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公開番号2025037211
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-17
出願番号2023161757
出願日2023-09-05
発明の名称硫化物イオンを含有する廃液の処理方法
出願人株式会社興徳クリーナー
代理人
主分類C02F 1/58 20230101AFI20250310BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】硫化物イオンを含有する廃液を労働安全リスク、環境リスクの低い条件で効率良く固定化処理することで、作業者の安全確保のみならず環境影響を軽減した硫化物イオンを含有する廃液の処理方法を提供するものである。
【解決手段】鉄化合物を中和することで得られた水酸化鉄スラリーに硫化物イオンを含有する廃液を添加した後、pHを7.0から9.5の間に維持されるよう酸成分を添加して得られたスラリーを固液分離することで、硫化物イオンを含有する廃液を硫化水素ガスが遊離することなく鉄化合物として固定化することが可能である。さらに固液分離によって回収した濾液には遊離性の硫化物が残留しないため、後段の排水処理工程における硫化水素の発生も防止することができる。また、鉄化合物として固定化した硫化物は硫化鉄鉱代替物としてリサイクルすることも可能となり、労働安全リスクのみならず環境リスクを軽減した硫化物イオン含有廃液の処理方法を提供することができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
(1)鉄化合物をアルカリ剤でpH7.0以上とすることで水酸化鉄スラリーを作成する第1工程と
(2)水酸化鉄スラリーに硫化物イオンを含有する廃液を添加してpH11.0以上とする第2工程と
(3)pHを7.0から9.5の間に維持されるよう酸成分を添加し、生成したスラリーを固液分離する第3工程
からなる、硫化物イオンを含有する廃液の処理方法。
続きを表示(約 240 文字)【請求項2】
第1工程において使用する鉄化合物が塩化鉄(III)、塩化鉄(II)、硫酸鉄(III)、硫酸鉄(II)の内、1種類以上を含む化合物である請求項1に記載の硫化物イオンを含有する廃液の処理方法。
【請求項3】
第1工程において、水酸化鉄スラリーに硫化物イオンを含有する廃液を添加する際の「鉄成分/遊離硫化物イオン」の比が1.1当量以上となるように硫化物イオンを含有する廃液の添加量を決定する請求項1または2に記載の硫化物イオンを含有する廃液の処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化物イオンを含有する廃液を労働安全リスク、環境リスクの低い条件で固定化処理することで、作業者の安全確保のみならず環境影響を軽減した硫化物イオンを含有する廃液の処理方法に関するものである。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
硫化水素や硫化物イオンは様々な産業で副生または利用されている。例えば、石油精製の工程においては、分留した油分は水素化精製を経て石油製品となるが、この際に原油に含有する硫黄成分が水素化される事で硫化水素が副生する。副生した硫化水素は脱硫装置を経て硫黄汚泥として安定化され、硫酸原料として利用されたり埋立処分される。また、化学産業や医薬品産業ではチオール基やチオン基などのようなS原子を含む官能基が多くの分野で利用されており、必要不可欠な官能基として利用されている。これら産業では製造工程の安全管理としてスクラバーを設けることが一般的であり、製造工程排水としてだけでなく廃循環水も硫化水素が溶解した廃液として多量に排出される。
【0003】
硫化水素は人体にとって有害な化合物の一つであり、作業環境中に3ppm程度存在すると腐卵臭による不快感を感じ、10ppm程度存在すると刺激を感じ、300ppm程度存在すると短時間で死に至る。また、人間の嗅覚は硫化水素に対して非常に鋭敏に機能し、作業環境中に0.3ppm存在するだけでもその存在を感知することができる。これは悪臭防止法の規制値として臭気指数を選択する市町村に事業所を持つ企業にとっては大きな課題となる。
【0004】
硫化水素が溶解した廃液、すなわち硫化物イオンを含有する廃液の処理方法には焼却処理、化学酸化処理、曝気による硫化ガス揮散法、吸着処理法、硫黄酸化細菌による生物処理法などが挙げられるが、それぞれ課題を内包している。
【0005】
焼却処理では、硫化物イオンを硫酸イオンまで完全に酸化させることで無害化が可能だが、硫酸イオンが生成するため焼却炉が酸によってダメージを負い、設備の耐久性を損なうことが懸念されるため、全硫黄濃度として受け入れ基準を設ける焼却処理会社がほとんどである。また、排ガスの脱硫設備を設けてこれに対処する事業者も多いが、設備コストや管理コストの観点で課題がある。
【0006】
化学酸化処理は、硫化物イオンの酸化を燃焼ではなく化学薬品やオゾンによって行うものである。特許文献1では、化学製造工場から排出される廃液に溶て次亜塩素酸ソーダを添加し酸化処理することで、これら悪臭物質を除去する方法が提案されている。この方法によれば、硫化水素に限らず、有機性の硫黄化合物も処理可能であり、酸化還元電位を監視しながら次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を添加することで過不足無く酸化処理が実施できる。一方で、酸化剤の薬品コストを考慮すると対応可能なS量には限度があり、%オーダーの硫化物イオンを含有する廃液に適用するのは経済面から困難である。
【0007】
曝気による硫化ガス揮散法は、硫化水素含有廃液を酸性条件で曝気することで気相部に硫化水素を放出し、各種吸着剤やアルカリでトラップすることで硫化物を分離する方法である。分離された硫化物は硫黄酸化細菌等で生物処理されたり、再利用することが可能となるため有効な処理方法の一つであるが、揮散した硫化水素が漏洩するリスクも孕んでおり、労働安全、悪臭防止の観点から、広く一般に適用することは難しい。
【0008】
特許文献2では、処理対象をバイオガス発電で生成する硫化水素などの臭気成分とし、臭気成分を吸収塔内の吸収液に吸着させ、その吸収液を吸収塔の下部に設置された生物反応槽へ導入後、硫黄酸化菌等の微生物により生物処理する方法が提案されている。この方法によれば、一連の処理工程を密閉条件で実施することで臭気成分の外部漏洩を防止することができ、硫化水素等の臭気成分を漏洩させることなく処理を完了できるため、労働安全、悪臭防止の観点からも有効な処理方法である。しかしながら、生物反応ゆえに夾雑物や阻害物質を含有していると安定な運用が難しく、また対応可能な処理対象液(吸収液)の硫化物イオン量は0.8kg-S/日程度であるため、産業工程から排出される%オーダーの硫化物イオンを含む廃液を多量に処理することは困難であり、処理量を確保するために設備を大型化した場合、設置面積や設備コストの課題が浮上する。
【0009】
一方、硫化物イオンを含有する廃液の処理方法ではないが、重金属を含む廃液の処理方法として硫化物を使用する提案もある。
【0010】
特許文献3では、重金属含有排水を硫化剤で処理するにあたり、硫化剤を添加する事で発生する硫化水素ガスをセンサー等で検出しながら、前記排水から硫化水素ガスが発生し始める状態を維持するように硫化剤の添加を繰り返す、硫化剤による重金属イオンの処理方法である。この方法によれば、硫化剤が過剰に添加されることがないため、過剰添加による多硫化物生成やコロイド化を防止でき、また処理工程での硫化水素ガスによるリスクを大幅に抑制できるとの記載がある。
(【0011】以降は省略されています)

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