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公開番号2025035268
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023142200
出願日2023-09-01
発明の名称発光ガスの回収方法、及び発光ガスの回収装置
出願人ウシオ電機株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類C01B 23/00 20060101AFI20250306BHJP(無機化学)
要約【課題】廃棄対象のランプから、効率的に発光ガスを回収する方法及び装置を提供する。
【解決手段】発光ガスの回収方法は、発光ガスが封入された状態の管体を含む廃棄対象ランプを準備する工程(a)と、前記廃棄対象ランプをチャンバの内部空間に設置する工程(b)と、前記チャンバの内部空間の気圧を減圧する工程(c)と、前記管体の一部にエネルギーを与えることで、前記管体の全体を破壊することなく前記管体の内部空間と前記チャンバの内部空間とを連絡させて、前記管体の内部空間から前記チャンバの内部空間に向けて前記発光ガスを放出させる工程(d)と、前記工程(d)の後、前記チャンバの内部空間に存在する第一ガスを前記チャンバの外側に配置された回収機構に向けて排出する工程(e)とを有する。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
発光ガスが封入された状態の管体を含む廃棄対象ランプを準備する工程(a)と、
前記廃棄対象ランプをチャンバの内部空間に設置する工程(b)と、
前記チャンバの内部空間の気圧を減圧する工程(c)と、
前記管体の一部にエネルギーを与えることで、前記管体の全体を破壊することなく前記管体の内部空間と前記チャンバの内部空間とを連絡させて、前記管体の内部空間から前記チャンバの内部空間に向けて前記発光ガスを放出させる工程(d)と、
前記工程(d)の後、前記チャンバの内部空間に存在する第一ガスを前記チャンバの外側に配置された回収機構に向けて排出する工程(e)とを有する、発光ガスの回収方法。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
前記廃棄対象ランプは、前記管体の外壁から外側に向けて突出した排気管残部を備えており、
前記工程(d)は、前記排気管残部にエネルギーを与えることで、前記管体の内部空間と前記チャンバの内部空間とを連絡させる工程であることを特徴とする、請求項1に記載の発光ガスの回収方法。
【請求項3】
前記廃棄対象ランプは、前記管体内において相互に離間して配置された一対の電極を備え、
前記工程(b)は、前記一対の電極の離間方向が実質的に水平方向となり、前記管体を鉛直上方から見た時に前記排気管残部が前記管体から突出するように前記廃棄対象ランプを前記チャンバの内部空間に固定する工程であり、
前記工程(d)は、衝撃付与機構が実質的に鉛直下方に向けて移動して前記排気管残部に衝突することで、前記排気管残部に対して物理エネルギーを与える工程であることを特徴とする、請求項2に記載の発光ガスの回収方法。
【請求項4】
前記回収機構が回収した前記第一ガスを精製して、前記第一ガスに含まれる、前記発光ガスの貴ガス成分の比率を高める工程(f)を有することを特徴とする、請求項1に記載の発光ガスの回収方法。
【請求項5】
前記工程(f)は、
前記第一ガスに含まれる空気由来の成分の比率を低減する工程(f1)と、
前記工程(f1)の実行後の前記第一ガスに含まれる酸素の濃度を計測する工程(f2)と、
前記工程(f2)の計測結果が所定の閾値以下である場合に、前記工程(f1)を経た前記第一ガスに含まれる、前記発光ガスの貴ガス成分とは異なる不純ガスの成分の比率を低減する工程(f3)とを含み、
前記工程(f2)の計測結果が前記閾値を超える場合には前記工程(f1)の実行に戻ることを特徴とする、請求項4に記載の発光ガスの回収方法。
【請求項6】
前記工程(f2)は、窒素、水分、及び水素からなる群に属するいずれか1種以上と、酸素とを含む対象物質の濃度をそれぞれ計測する工程であり、
前記工程(f3)は、前記工程(f2)の計測結果が、前記対象物質毎に設定された閾値以下である場合に実行され、
前記工程(f2)の計測結果が、前記対象物質毎に設定された閾値を超える場合には、前記工程(f1)の実行に戻ることを特徴とする、請求項5に記載の発光ガスの回収方法。
【請求項7】
前記廃棄対象ランプはキセノンランプであって、
前記工程(e)で排出される前記第一ガスは、酸素、窒素、水素、及び水分からなる群より選択される少なくとも一種の不純ガスの濃度が2ppm超であり、
前記工程(f)は、前記第一ガスに含まれる前記不純ガスの濃度を2ppm以下にする工程であることを特徴とする、請求項4に記載の発光ガスの回収方法。
【請求項8】
前記廃棄対象ランプはハロゲンランプであって、
前記工程(e)で排出される前記第一ガスは、酸素、窒素、水素、及び水分からなる群より選択される少なくとも一種の不純ガスの濃度が10ppm超であり、
前記工程(f)は、前記第一ガスに含まれる前記不純ガスの濃度を10ppm以下にする工程であることを特徴とする、請求項4に記載の発光ガスの回収方法。
【請求項9】
前記廃棄対象ランプは高圧水銀ランプ、エキシマランプ、フラッシュランプ又はメタルハライドランプであって、
前記工程(e)で排出される前記第一ガスは、酸素、窒素、水素、及び水分からなる群より選択される少なくとも一種の不純ガスの濃度が5ppm超であり、
前記工程(f)は、前記第一ガスに含まれる前記不純ガスの濃度を5ppm以下にする工程であることを特徴とする、請求項4に記載の発光ガスの回収方法。
【請求項10】
前記回収機構は、
一以上の前記チャンバから排出された前記第一ガスを冷却して固体状態で保持する、第一貯蔵装置と、
前記第一貯蔵装置に保持された固体状態の前記第一ガスが気化されて得られた前記第一ガスが供給される、第二貯蔵装置とを備え、
前記工程(e)は、
前記チャンバから、当該チャンバに接続された前記第一貯蔵装置に対して前記第一ガスを導入する工程(e1)と、
前記第一貯蔵装置に保持された固体状態の前記第一ガスを気化して得られた前記第一ガスを前記第二貯蔵装置に導入する工程(e2)とを有し、
前記工程(f)は、前記第二貯蔵装置に保持された前記第一ガスを精製することを特徴とする、請求項4に記載の発光ガスの回収方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄対象ランプの管体に封入された発光ガスの回収方法、及び回収装置に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、キセノン等の貴ガス(「希ガス」ともいう。)は、例えばランプに封入される発光ガスや、レーザ発振用のガス、X線検出用のガス等、幅広い用途に用いられている。
【0003】
一方で、貴ガスは空気中にわずかしか含まれないため、工業用に酸素や窒素を大量に製造する大規模なプラントの副産物として生産されるのが典型的である。しかし、このような大規模なプラントの数は限られている。また、貴ガスを高純度に精製するには多大なエネルギーを要する。そのため、幅広い産業からの需要とも相まって、貴ガスは非常に希少であり、高価なガスである。
【0004】
上記に鑑みて、使用済みの貴ガスを回収して、再利用する方法が検討されている。例えば下記特許文献1では、X線検出装置に対してキセノンを吸着するガス吸着材を接続しておき、当該装置で使用されたキセノンを回収する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2011-88773号公報
特許第4305152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本出願人は、発光ガスとしてキセノンが封入されたランプを製造している(上記特許文献2参照)。例えばキセノンランプは、演色性に優れることから映写機等に用いられる。キセノンランプの照度は、点灯時間の蓄積に伴って電極が変形することで低下する。これにより、キセノンランプは寿命を迎え、廃棄される。しかし、キセノンランプに封入されたキセノンは管体内に残留している。
【0007】
前述の通り、キセノンの製造及び精製に多大なエネルギーが消費される点に鑑みると、例えば寿命を迎えて廃棄対象となったランプに残留したキセノンを回収して、新たなランプの製造等に再利用することが好ましい。なお、この点はキセノンに限らず、発光ガスとして用いられる様々な貴ガスにあてはまる。
【0008】
上記に鑑みて、本発明は、廃棄対象のランプから、効率的に発光ガスを回収する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記方法の実行に適した回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発光ガスの回収方法は、
発光ガスが封入された状態の管体を含む廃棄対象ランプを準備する工程(a)と、
前記廃棄対象ランプをチャンバの内部空間に設置する工程(b)と、
前記チャンバの内部空間の気圧を減圧する工程(c)と、
前記管体の一部にエネルギーを与えることで、前記管体の全体を破壊することなく前記管体の内部空間と前記チャンバの内部空間とを連絡させて、前記管体の内部空間から前記チャンバの内部空間に向けて前記発光ガスを放出させる工程(d)と、
前記工程(d)の後、前記チャンバの内部空間に存在する第一ガスを前記チャンバの外側に配置された回収機構に向けて排出する工程(e)とを有する。
【0010】
本明細書において、「廃棄対象ランプ」とは、なんらかの理由で廃棄が決定されたランプ全般を意味する。つまり、本発明はランプが廃棄対象となった理由に限定されない。上記方法は、例えば点灯に供された後に、一定の照度以下となったランプに適用されても構わないし、製造不良で廃棄の対象となったランプに適用されても構わない。
(【0011】以降は省略されています)

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