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公開番号
2025033558
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-13
出願番号
2023139342
出願日
2023-08-29
発明の名称
発光性ナノ粒子分散液の製造方法、発光性ナノ粒子ポリマーインクおよび発光性ナノ粒子分散部材
出願人
伊勢化学工業株式会社
,
国立大学法人山形大学
代理人
個人
,
個人
主分類
C09K
11/08 20060101AFI20250306BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約
【課題】発光性ナノ粒子分散液の製造工程において、粗ナノ粒子の再分散に用いる分散媒として、分散媒の分散力エネルギー(δd
Sol
)と発光性ナノ粒子の分散力エネルギー(δd
LN
)との差の2乗(δd
Sol
-δd
LN
)
2
が小さい分散媒を用いることにより、ナノ粒子の再凝集を抑制し、高分散性の発光性ナノ粒子分散液を製造する方法を提供する。
【解決手段】発光性ナノ粒子前駆体と、有機塩基化合物と、有機酸化合物とを有機溶媒中で混合して粗ナノ粒子溶液を液相合成した後、沈降分離により粗ナノ粒子溶液から有機溶媒を除去して粗ナノ粒子を得る工程1と、前記粗ナノ粒子に、分散媒の分散力エネルギー(δd
Sol
)と発光性ナノ粒子の分散力エネルギー(δd
LN
)との差の2乗(δd
Sol
-δd
LN
)
2
が3.0MPa以下である分散媒を加えて前記粗ナノ粒子を再分散させた後、分級により粗大物を除去する工程2とを有することを特徴とする発光性ナノ粒子分散液の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
発光性ナノ粒子前駆体と、有機塩基化合物と、有機酸化合物とを有機溶媒中で混合して粗ナノ粒子溶液を液相合成した後、沈降分離により粗ナノ粒子溶液から有機溶媒を除去して粗ナノ粒子を得る工程1と、
前記粗ナノ粒子に、分散媒の分散力エネルギー(δd
Sol
)と発光性ナノ粒子の分散力エネルギー(δd
LN
)との差の2乗(δd
Sol
-δd
LN
)
2
が3.0MPa以下である分散媒を加えて前記粗ナノ粒子を再分散させた後、分級により粗大物を除去する工程2と、を有することを特徴とする発光性ナノ粒子分散液の製造方法。
続きを表示(約 580 文字)
【請求項2】
前記工程2において、分散媒に有機塩基化合物、有機酸化合物およびハロゲン化金属のうち一種または二種以上を溶解させることを特徴とする請求項1に記載の発光性ナノ粒子分散液の製造方法。
【請求項3】
前記工程2における分散媒が、脂環式炭化水素骨格を有する非極性溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光性ナノ粒子分散液の製造方法。
【請求項4】
前記脂環式炭化水素骨格を有する非極性溶媒がシクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカリンのうち一種または二種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光性ナノ粒子分散液の製造方法。
【請求項5】
前記発光性ナノ粒子がハロゲン化金属ペロブスカイトであることを特徴とする請求項1または2に記載の発光性ナノ粒子分散液の製造方法。
【請求項6】
前記発光性ナノ粒子の粒径が1~30nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の発光性ナノ粒子分散液の製造方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の方法により得られた発光性ナノ粒子分散液にポリマーを溶解させた発光性ナノ粒子ポリマーインク。
【請求項8】
請求項7に記載の発光性ナノ粒子ポリマーインクを用いて形成した発光性ナノ粒子分散部材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた分散安定性と高いフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)とを有する発光性ナノ粒子分散液に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
発光性ナノ粒子は、粒径が非常に小さく、バルク粒子とは異なる量子力学に従う独特な光学特性および電子特性を有しており、高機能性材料への応用が期待されている。なかでも、発光性ナノ粒子は、その量子閉じ込め効果や粒径依存性に着目して、量子ドットの形状および粒径を調節することで電気的および光学的性質を大幅に改善し、発光ダイオード(LED)、光増幅器、単一光子源および太陽電池などの光デバイスを実現しうる重要な材料となっている。
【0003】
発光性ナノ粒子は比表面積が大きいことから、比較的容易に軟凝集状態となる。軟凝集状態の粒子は、製造工程中の分級工程で粗大粒子と共に除去され収率低下を起こす、または長時間軟凝集状態であると凝結することでバルク粒子と同じ光学特性へと変化することで、分散液全体の光学特性にバラつきを発生させることが知られている。そのため、粒子表面の界面現象制御が重要になる。
【0004】
発光性ナノ粒子の合成およびその応用に際して、該発光性ナノ粒子の溶媒への親和性および高い分散性は最も重要な課題である。発光性ナノ粒子の溶媒への分散性に関して、顔料と、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)に基づき選択された界面活性化合物とを反応させて得られた変性有機顔料の報告例がある(特許文献1)。HSPには、化合物の凝集エネルギー密度に寄与する3つのパラメーターとして、疎水性を説明する分散成分(δd)、極性成分(δp)、および水素結合成分(δh)がある。特許文献1では、ソフトウェアHSPiPを用いて、この3つのパラメーターを座標に視覚化したハンセン空間を算出し、そのハンセン空間の中心付近にある材料を界面活性化合物として選択することで、有機顔料の分散性および着色力を向上させている。
【0005】
銀含有粒子、溶剤および熱硬化性樹脂を含むペースト状樹脂組成物において、銀含有粒子のハンセン溶解度パラメータ(HSP)と、溶剤のハンセン溶解度パラメータ(HSP)との差を4.3~9.8にすることにより、得られる材料の電気伝導性が改善されたとの報告例もある(特許文献2)。
【0006】
ハンセン溶解球法を用いて、金属粒子の表面にシランカップリング処理を施した前と後とで、HSP値が変化し、溶媒と接する金属粒子表面の状態を変化させることで特定媒体への分散性を達成したことが報告されている(非特許文献1)。
【0007】
発光性ナノ粒子は様々な合成方法が提案されているが、経済的な点からも主に液相合成が用いられる。例えばペロブスカイト量子ドットの合成においては、配位子を入れることで量子ドット表面に配位子が配位し、表面欠損の抑制と分散安定性向上を同時に行っている。
【0008】
しかし、同じ配位子を配位させた発光性ナノ粒子であっても、任意の分散媒を選択して発光性ナノ粒子分散液を作製すると、配位子の効果が大きく変化し、分散性に影響を及ぼす。それに伴い、凝結による蛍光スペクトルの半値幅(FWHM
PL
)の経時変化や凝集沈降による収率の低下など様々な問題を引き起こすことが知られている。
このため、高い分散性を持つ発光性ナノ粒子分散液の製造方法が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2019-026835号公報
特開2022-018051号公報
【非特許文献】
【0010】
Nobuyuki Fujiwara, Shunsuke Imai and Hideki Yamamoto, Mater. Chem. Phys. 2019, 229, 139-148
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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