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公開番号
2025032629
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-12
出願番号
2023138019
出願日
2023-08-28
発明の名称
車載充電装置
出願人
株式会社アイシン
代理人
弁理士法人R&C
主分類
H02M
7/48 20070101AFI20250305BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】車輪の駆動力源となるトラクション回転電機に接続される直流電源を、車両に搭載された回転電機のコイル及びインバータを利用して、外部交流電源からの電力により充電する車載充電装置をシステムコストの増加を抑制して構成する。
【解決手段】外部交流電源4の側の交流電力と第1の直流電力との間で電力を変換する交流直流変換器を備えた第1回路1と、第1の直流電力から脈動成分を減衰させて直流電源3を充電する第2の直流電力を生成する第2回路2とを備え、第2回路2は、ハーフブリッジ回路と、第2回路インダクタと、第2回路キャパシタとを備え、ハーフブリッジ回路が、インバータ50を用いて構成され、第2回路インダクタが、複数のコイル8を用いて構成され、第2回路キャパシタCoが、コイル8の中性点8Nと第2回路2の負極との間に接続されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
車輪の駆動力源となるトラクション回転電機とは別の駆動対象物を駆動する回転電機であり、中性点で互いに接続された複数相のコイルを備えた補機回転電機と、前記補機回転電機及び前記トラクション回転電機に電力を供給する直流電源と、前記直流電源の側の直流と前記補機回転電機の前記コイルの側の複数相の交流との間で電力を変換するインバータと、を備えた車両に搭載され、外部交流電源から供給される電力によって前記直流電源を充電する車載充電装置であって、
前記外部交流電源の側の交流電力と第1の直流電力との間で電力を変換する交流直流変換器を備えた第1回路と、
前記第1の直流電力から脈動成分を減衰させて前記直流電源を充電する第2の直流電力を生成する第2回路と、を備え、
前記第1回路は、力率改善機能を有するアクティブ整流器を備え、
前記第2回路は、前記交流直流変換器の側に配置されたハーフブリッジ回路と、前記直流電源の側に配置された第2回路インダクタと、第2回路キャパシタと、を備え、
前記ハーフブリッジ回路が、前記インバータを用いて構成され、
前記第2回路インダクタが、複数の前記コイルを用いて構成され、
前記第2回路キャパシタが、前記コイルの中性点と前記第2回路の負極との間に接続されている、車載充電装置。
続きを表示(約 630 文字)
【請求項2】
前記第2回路は、前記第1の直流電力と前記第2の直流電力との間で電力を変換するチョッパ回路を備えた直流直流変換器であり、
前記第2回路インダクタは、前記チョッパ回路のリアクトルであり、
前記第2回路キャパシタは、前記直流電源に並列接続された出力キャパシタである、請求項1に記載の車載充電装置。
【請求項3】
前記第2回路は、前記第1回路の直流側に、前記インバータの直流側が他の受動部品を介することなく接続されたアクティブデカップリング回路であり、
前記第2回路キャパシタは、前記直流電源に接続されることなく、前記コイルの中性点と前記第2回路の負極との間に接続されたアクティブフィルタキャパシタである、請求項1に記載の車載充電装置。
【請求項4】
前記トラクション回転電機は、複数相のトラクションコイルを備え、
前記直流電源の側の直流と前記トラクションコイルの側の複数相の交流との間で電力を変換するトラクションインバータは、シリコンスイッチング素子又は炭化シリコンスイッチング素子により構成され、
前記アクティブ整流器、及び前記第2回路のハーフブリッジ回路として機能する前記前記インバータは、前記トラクションインバータよりも高いスイッチング周波数でスイッチング制御されるように、窒化ガリウムスイッチング素子により構成されている、請求項1から3の何れか一項に記載の車載充電装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載充電装置に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
特表2022-503713号公報には、電気自動車やハイブリッド自動車などの車輪の駆動力源となるトラクション回転電機に接続される直流電源を、車両に搭載された状態で充電する車載充電装置(Onboard Charger)が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。この文献の図3には、外部交流電源(310)がY字接続された3相のコイルの中性点に接続され、当該3相のコイルのそれぞれにインバータ(220)の交流側のそれぞれのアームが接続され、インバータ(220)の直流側端子に直流直流変換器(DC/DCコンバータ)の入力側端子が接続され、直流直流変換器の出力側端子に直流電源が接続された車載充電装置が例示されている。3相のコイル及びインバータ(220)は、外部交流電源(310)からの正弦波のグリッド電流を直流に変換する交流直流変換器(AC/DCコンバータ)を形成している。インバータ(220)がスイッチング制御されることにより、この交流直流変換器は交流電力から変換される直流電力の力率を改善する力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路としても機能する。交流直流変換後の電流には、外部交流電源(310)の周波数(系統周波数)の2倍の周波数のリップルが生じる。直流直流変換器は、このリップルを低減して直流電源を充電するためのバッテリ電流を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2022-503713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば電気自動車やハイブリッド自動車における車載充電装置では、3相のコイルとして、当該車両に搭載されたトラクション回転電機のステータに備えられたコイル(ステータコイル)を用いることができる。しかし、例えば車両に搭載される回転電機は、高電力密度となるように設計されており、コイルは、交流直流変換器のインダクタとしてはインダクタンスが小さい。上記文献の図3にも例示されているように、コイルの中性点に外部交流電源が接続されて交流直流変換器が形成された場合、交流直流変換の際に、外部交流電源の系統電流の高調波電流のピーク値が大きくなる傾向がある。
【0005】
これを抑制するための1つの方法として、交流直流変換器を構成するインバータの制御周波数を高くすることが考えられる。或いは、直流直流変換器の側でリップルを軽減するべく、直流直流変換器の制御周波数を高くことが考えられる。但し、制御周波数を高くする場合には、インバータや直流直流変換器を制御する制御装置の制御周期(動作周波数)も短くする必要がある。また、早い制御周期に伴う高い周波数でのスイッチングは、インバータ及び直流直流変換器が備えるスイッチング素子における損失を増大させ、車載充電装置の効率の低下に繋がる。また、制御装置として、高速動作が可能なマイクロコンピュータ等を用いる必要が生じ、車載充電装置のコストの上昇に繋がる。あるいは別の方法として、外部交流電源と複数相のコイルの中性点との間に、インダクタを追加することも考えられる。しかし、この場合も、インダクタの追加は車載充電装置のコストの上昇に繋がる。
【0006】
上記に鑑みて、車輪の駆動力源となるトラクション回転電機に接続される直流電源を、車両に搭載された回転電機のコイル及びインバータを利用して、外部交流電源からの電力により充電する車載充電装置をシステムコストの増加を抑制して構成することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた車載充電装置は、車輪の駆動力源となるトラクション回転電機とは別の駆動対象物を駆動する回転電機であり、中性点で互いに接続された複数相のコイルを備えた補機回転電機と、前記補機回転電機及び前記トラクション回転電機に電力を供給する直流電源と、前記直流電源の側の直流と前記補機回転電機の前記コイルの側の複数相の交流との間で電力を変換するインバータと、を備えた車両に搭載され、外部交流電源から供給される電力によって前記直流電源を充電する車載充電装置であって、前記外部交流電源の側の交流電力と第1の直流電力との間で電力を変換する交流直流変換器を備えた第1回路と、前記第1の直流電力から脈動成分を減衰させて前記直流電源を充電する第2の直流電力を生成する第2回路と、を備え、前記第1回路は、力率改善機能を有するアクティブ整流器を備え、前記第2回路は、前記交流直流変換器の側に配置されたハーフブリッジ回路と、前記直流電源の側に配置された第2回路インダクタと、第2回路キャパシタと、を備え、前記ハーフブリッジ回路が、前記インバータを用いて構成され、前記第2回路インダクタが、複数の前記コイルを用いて構成され、前記第2回路キャパシタが、前記コイルの中性点と前記第2回路の負極との間に接続されている。
【0008】
この構成によれば、交流直流変換のために適切なインダクタンスが必要な第1回路が、補機回転電機の駆動系回路(補機回転電機のコイル及び補機回転電機を駆動するインバータ)を用いることなく構成される。車載充電装置に補機回転電機のような回転電機のコイルを用いる場合、当該コイルのインダクタンスが小さいことにより、必要な性能を確保することが困難となる場合がある。しかし、本構成によれば、補機回転電機のコイルを用いることなく、適切なインダクタンスが設定可能であるから、力率改善機能などの充分な性能を確保して交流直流変換が可能な交流直流変換器を構成することができる。また、高いインダクタンスを必要としない第2回路に、補機回転電機の駆動系回路を用いることにより、車載充電装置のコストを低減することができる。さらに、第1回路に適切なインダクタンスを設定可能なことにより、インダクタンスの小ささを補償するためにアクティブ整流器を短い制御周期(高い制御周波数)で制御する必要性を低くでき、アクティブ整流器を構成するスイッチング素子の損失も低減し易い。従って、車載充電装置のシステム効率も高くし易い。
【0009】
車両には、トラクション回転電機の他にも、例えばエアコンディショナや電動オイルポンプの駆動力源となる補機回転電機が備えられていることがある。そのような補機回転電機に駆動力を出力させるために、補機回転電機もトラクション回転電機と同様に、直流電源から電力を供給されるように構成された車両も増えている。車輪の駆動に比べて、エアコンディショナや電動オイルポンプの駆動は負荷が小さく、補機回転電機のコイル、及び補機回転電機を駆動するインバータもトラクション回転電機のコイルやトラクションインバータに比べて小型であることが多い。そして、充電の回路にはそのように小型の回転電機の回路で十分足りることも多い。車輪の駆動に用いられて消耗し易いトラクション回転電機の回路ではなく、車輪の駆動力源とは別の駆動対象物を駆動する補機回転電機の回路を利用して車載充電装置を構成することで、車載充電装置を搭載する車両への負担も軽減することができる。
【0010】
このように、本構成によれば、トラクション回転電機に接続される直流電源を、車両に搭載された回転電機のコイル及びインバータを利用して、外部交流電源からの電力により充電する車載充電装置をシステムコストの増加を抑制して構成することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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