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公開番号2025030921
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023136623
出願日2023-08-24
発明の名称熱コンダクタンス計測方法及び熱コンダクタンス計測システム
出願人株式会社アルテックス,学校法人東京理科大学,学校法人加計学園 岡山理科大学
代理人弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
主分類G01N 25/18 20060101AFI20250228BHJP(測定;試験)
要約【課題】熱源の熱コンダクタンスを把握し、未利用の熱エネルギーの有効利用に貢献する。
【解決手段】一端に冷却源を有する熱伝導路の他端を計測対象の熱源に接続し(S10)、変動する加熱エネルギーを与えることで発熱量が変動するように制御可能な発熱体を熱伝導路中に設置し、熱伝導路中の温度を計測して、発熱体による発熱の影響を受けているときの第1温度と受けていないときの第2温度とを取得し(S30、S50)、第1温度と第2温度との差分(S60)と、第1温度を計測したときの加熱エネルギーとに基づいて、熱源の熱コンダクタンスを算出する(S80)。これにより、熱源の比熱や質量などを把握する必要なく、熱源の熱コンダクタンスを算出することができるため、熱源が有する未利用の熱エネルギーの有効利用に貢献することが可能となる。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
熱源の熱コンダクタンスを計測する方法であって、
一端に冷却源を有する熱伝導路の他端を前記熱源に接続し、
変動する加熱エネルギーを与えることで発熱量が変動するように制御可能な発熱体を前記熱伝導路中に設置し、
前記熱伝導路中の温度を計測して、前記発熱体による発熱の影響を受けているときの第1温度と受けていないときの第2温度とを取得し、
前記第1温度と前記第2温度との差分と、前記第1温度を計測したときの前記加熱エネルギーとに基づいて、前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする熱コンダクタンス計測方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記発熱体としてペルチェ素子を利用し、
前記加熱エネルギーとして、前記熱源からの熱流の変動周波数と異なる所定周波数の交流電力を与え、
前記第1温度と前記第2温度との差分の算出結果から、前記所定周波数の周波数成分のデータを抽出し、該抽出結果に基づいて前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする請求項1記載の熱コンダクタンス計測方法。
【請求項3】
前記熱源の熱コンダクタンスを算出する際に、更に、前記第1温度と前記第2温度との差分と、前記第1温度を計測したときの前記加熱エネルギーとに基づいて、前記熱源から前記熱伝導路までの総合熱抵抗を算出し、該総合熱抵抗に基づいて前記熱源の内部の熱抵抗を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の熱コンダクタンス計測方法。
【請求項4】
熱源の熱コンダクタンスを計測するシステムであって、
発熱量が変動するように制御可能な発熱体が、熱伝導率が既知の材料で形成された2つの熱伝導媒体で挟持された構成を有し、前記2つの熱伝導媒体のうち一方の熱伝導媒体に対して前記熱源から熱が伝導されるように設置される熱伝導変調部と、
前記熱源よりも低い温度を有し、前記2つの熱伝導媒体のうち他方の熱伝導媒体から熱が伝導されるように設置される冷却源と、
前記発熱体に変動する加熱エネルギーを与えることで、前記発熱体の制御を行う発熱体制御部と、
前記2つの熱伝導媒体の双方或いは何れか一方の所定位置に設定された温度計測点の温度を計測する温度計測部と、
算出処理を行う算出処理部と、を含み、
該算出処理部は、
前記温度計測部の計測結果から、前記発熱体による発熱の影響を受けているときの第1温度と受けていないときの第2温度との差分を算出し、
該差分と前記第1温度が計測されたときの前記加熱エネルギーとに基づいて、前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする熱コンダクタンス計測システム。
【請求項5】
前記発熱体がペルチェ素子であり、
前記発熱体制御部は、前記加熱エネルギーとして、前記熱源からの熱流の変動周波数と異なる所定周波数の交流電力を与え、
前記算出処理部は、前記第1温度と前記第2温度との差分の算出結果から、前記所定周波数の周波数成分のデータを抽出し、該抽出結果に基づいて前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする請求項4記載の熱コンダクタンス計測システム。
【請求項6】
前記一方の熱伝導媒体は、前記熱源からの熱の伝導方向に沿って間隔を空けて少なくとも3つの前記温度計測点が設定されており、
前記算出処理部は、前記温度計測部により前記少なくとも3つの温度計測点で計測された温度と、前記少なくとも3つの温度計測点間の間隔とを利用して、前記熱源からの熱流が定常状態であるか否かを判定し、定常状態であると判定した場合に前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする請求項4記載の熱コンダクタンス計測システム。
【請求項7】
前記一方の熱伝導媒体は、少なくとも1つの前記温度計測点が設定されると共に、前記他方の熱伝導媒体は、少なくとも1つの前記温度計測点が設定されており、
前記算出処理部は、前記温度計測部により前記一方の熱伝導媒体の前記温度計測点で計測された温度と、前記他方の熱伝導媒体の前記温度計測点で計測された温度との大小関係から、前記熱伝導変調部を通過する熱量が正常であるか否かを判定し、正常であると判定した場合に前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする請求項4記載の熱コンダクタンス計測システム。
【請求項8】
前記算出処理部は、前記熱源の熱コンダクタンスを算出する際に、更に、前記第1温度と前記第2温度との差分と、前記第1温度が計測されたときの前記加熱エネルギーとに基づいて、前記熱源から前記熱伝導路までの総合熱抵抗を算出し、該総合熱抵抗に基づいて前記熱源の内部の熱抵抗を算出することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項記載の熱コンダクタンス計測システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源の熱コンダクタンスを計測する熱コンダクタンス計測方法及び熱コンダクタンス計測システムに関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、熱エネルギーを扱う工業プラント、熱源を用いた各種装置、燃焼装置、内燃機関、焼却炉、温泉水が流れる流路、排気ダクト、煙突、及び蒸気配管などには、排熱として捨てられている熱エネルギーが存在する。このような未利用の熱エネルギーを有効利用する研究は従来から行われている(例えば、特許文献1、2参照)が、大量の熱エネルギーが未だに大気中へと放出され、それが地球温暖化などの一因になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5299324号公報
特開2014-174027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、熱源からの未利用の熱エネルギーを有効利用するためには、熱交換器などを取り付ける高温側熱源の受熱面積や単位面積当たりの受熱量、冷熱源側の放熱、排熱システムの情報などといった基本情報に基づいて、シミュレーションを行うアプローチが有効である。このようなシミュレーションで最も重要なファクターは、熱交換器などを通して流入する受熱量を予め計測して想定するために必要な、熱源の熱抵抗を表す受熱点での熱コンダクタンスである。しかしながら、未利用の熱エネルギーの有効利用において、熱コンダクタンスが重要であることは見逃されてきた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱源の熱コンダクタンスを把握し、未利用の熱エネルギーの有効利用に貢献することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)熱源の熱コンダクタンスを計測する方法であって、一端に冷却源を有する熱伝導路の他端を前記熱源に接続し、変動する加熱エネルギーを与えることで発熱量が変動するように制御可能な発熱体を前記熱伝導路中に設置し、前記熱伝導路中の温度を計測して、前記発熱体による発熱の影響を受けているときの第1温度と受けていないときの第2温度とを取得し、前記第1温度と前記第2温度との差分と、前記第1温度を計測したときの前記加熱エネルギーとに基づいて、前記熱源の熱コンダクタンスを算出する熱コンダクタンス計測方法。
【0007】
本項に記載の熱コンダクタンス計測方法は、排熱されている未利用の熱エネルギーを有する熱源の熱コンダクタンスを計測するものであって、具体的には、一端に冷却源を有する熱伝導路の他端を熱源に接続することで、熱源から冷却源に向かって流れるように熱を分流する。このときに使用する熱伝導路は、熱伝導率などの特性が予め把握されている材料で形成するものとする。また、発熱体を熱伝導路中、すなわち冷却源が設置された熱伝導路の一端と熱源に接続される熱伝導路の他端との間に設置する。設置する発熱体には、変動する加熱エネルギーを与えると、発熱量が変動するように制御可能なものを用いる。ここで、発熱体が予め設置された熱伝導路を、熱源に接続するようにしてもよい。
【0008】
更に、上記のような構成の熱伝導路中の温度を計測して、発熱体による発熱の影響を受けているときの第1温度と、発熱体による発熱の影響を受けていないときの第2温度とを取得する。このとき、第1温度は、発熱量が変動するような制御を発熱体が受けているときに、熱伝導路中の温度を計測したものであればよい。これに対し、第2温度は、状況に応じて、第1温度の計測結果から、発熱体による発熱の影響が排除されるように算出したものであってもよく、発熱体が発熱していないときの熱伝導路中の温度を計測したものであってもよい。続いて、上記のように取得した第1温度と第2温度との差分を算出することで、発熱体の変動する発熱の影響によって変化した温度変化データを抽出する。そして、抽出した温度変化データと、第1温度を計測したときに発熱体に与えた加熱エネルギーとに基づいて、熱源の熱コンダクタンスを算出する。
【0009】
ここで、熱量と温度との関係について言及すると、相変化がなく微小な温度変化域内では、熱量が質量及び比熱を定数として温度に比例する。このため、加熱エネルギーが加わったことで質量及び比熱に変化は無く温度が温度変化データ分だけ上昇したことを考慮すると、「質量と比熱の積」は、「加熱エネルギーを受けない状態の熱量」を「加熱エネルギーを受けない状態の温度(第2温度)」で割った値や、「加熱エネルギーを受けた状態の熱量」を「加熱エネルギーを受けた状態の温度(第1温度)」で割った値で表すことができる。更に、「質量と比熱の積」は、輻射や誤差を生む熱伝導が無視できるほど微小であれば、加熱エネルギーを温度変化データで割った値でも表すことができる。
【0010】
また、熱抵抗は、2点間の温度差を2点間を流れる熱流量(単位時間に流れる熱量)で割った値となることから、上記のような関係において、温度変化データを加熱エネルギーで割った値で表すことができる。そして、この熱抵抗が熱源から熱伝導路までの全ての熱抵抗を含むこと、熱コンダクタンスが熱抵抗の逆数として表現できること、熱伝導路の受熱面積などを考慮すれば、温度変化データ及び加熱エネルギーから単位面積当たりの熱コンダクタンスを算出できることが分かる。これにより、熱源の比熱や質量などを把握する必要なく、発熱体の影響によって変化した温度変化データと、そのときに発熱体に与えた加熱エネルギーとに基づいて、熱源の熱コンダクタンスが算出されるものとなる。このようにして熱コンダクタンスが把握されるため、熱源が有する未利用の熱エネルギーの有効利用に貢献するものとなる。しかも、熱源の比熱や圧力、物性の密度などといった熱源内部の情報が不明な場合や、時間的に圧力や密度が変動する熱源であっても、熱コンダクタンスが把握されるものである。
(【0011】以降は省略されています)

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