TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025029585
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-06
出願番号2024135091
出願日2024-08-13
発明の名称きのこ類を主原材料とする代替食品およびその製造方法
出願人学校法人東京農業大学
代理人個人
主分類A23L 13/00 20160101AFI20250227BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】 本発明はフードバリアフリーかつサステナブルな代替食品であって、成形が容易であり、食感の再現性が良い代替食品およびその製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】 きのこ類を主な原材料とする代替食品であって、きのこ類の子実体およびトランスグルタミナーゼを含み、きのこ類の子実体にトランスグルタミナーゼを作用させることにより代替食品が一体として結着している、代替食品を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
きのこ類を主な原材料とする代替食品であって、
前記代替食品は、きのこ類の子実体およびトランスグルタミナーゼを含み、
前記きのこ類の子実体にトランスグルタミナーゼを作用させることにより前記代替食品が一体として結着している、代替食品。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
請求項1に記載の代替食品であって、
前記きのこ類がヒラタケ属、ハラタケ属、サンゴハリタケ属、マイタケ属、ハナビラタケ属、シロタモギタケ属、キクラゲ属、エノキタケ属、シイタケ属、および、シメジ属からなる群より選択される少なくとも1つの属に属するきのこである、代替食品。
【請求項3】
請求項1に記載の代替食品であって、
前記きのこ類の子実体がペースト状である、代替食品。
【請求項4】
請求項1に記載の代替食品であって、
前記きのこ類の子実体が細断状である、代替食品。
【請求項5】
請求項1に記載の代替食品であって、
前記きのこ類の子実体を代替食品全量に対して50重量%以上で含む、代替食品。
【請求項6】
請求項1に記載の代替食品であって、
テクスチャー硬さが5~100kPaの範囲内である、代替食品。
【請求項7】
請求項1に記載の代替食品であって、
切断荷重が1~20Nの範囲内である、代替食品。
【請求項8】
請求項1に記載の代替食品であって、
切断荷重が1~10Nの範囲内である、代替食品。
【請求項9】
請求項3に記載の代替食品であって、
前記きのこ類がヒラタケ属、ハラタケ属、サンゴハリタケ属、マイタケ属、ハナビラタケ属、シロタモギタケ属、キクラゲ属、および、エノキタケ属からなる群より選択される少なくとも1つの属に属するきのこである、代替食品。
【請求項10】
請求項4に記載の代替食品であって、
前記きのこ類がヒラタケ属、サンゴハリタケ属、シイタケ属、および、シメジ属からなる群より選択される少なくとも1つの属に属するきのこである、代替食品。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、きのこ類を主原材料とする代替食品およびその製造方法に関する。特に、きのこ類にトランスグルタミナーゼを作用させてなる代替食品およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 6,000 文字)【背景技術】
【0002】
現在、世界的にベジタリアンやヴィーガンといった菜食主義者が増加している。例えば、2020年4月に各種製品比較情報サイトFinderが行った調査によると、英国ではベジタリアンを中心に約670万人の英国成人が肉を摂取しない生活を送っている。また、英国のヴィーガン人口は2019年に60万人となり、2014年の15万人から4倍に増えている。一方ドイツでは、Allensbach世論研究所の消費者行動に関する調査によると、自身をベジタリアンだと認識する人口が2020年に650万人となり、2019年から40万人増加している。また、SKOPOS市場研究所が2016年に実施した調査では、ドイツのヴィーガンの人口は130万人であり、8万人未満とされる2008年から大幅に増加している。
【0003】
また、世界で多くの人が信仰する宗教の中には、イスラム教、ユダヤ教、およびヒンドゥー教といった食事制約のある宗教が存在する。例えばイスラム教徒やユダヤ教徒は鱗の無い水生動物の摂食が禁止されており、ヒンドゥー教徒もグループによっては肉類、魚介類、五葷(ごくん:ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキ)などの摂食が禁止されている。中でもイスラム教徒の人口は2030年には世界総人口比の26.4%である約22億人に達すると予想されており、ハラール認証に関連するビジネスの成長が期待されている。このような背景から食に制約を抱える人々をターゲットにした製品の市場価値もまた今後さらに重要性を増すと考えられ、こういった製品を積極的に展開していくことは、少子化と人口減少を迎えつつある日本の食品産業にとって今後重要な観点だと考えられる。また、グローバル化が進む現代社会では、食事上の制限がある人々にも安心して食事を楽しんでもらうためのフードバリアフリーへの取り組みは、経済的な観点を抜きにしても非常に重要である。
【0004】
信条・宗教上の理由で食品に制約がかけられている人でも安心して食べることのできるフードバリアフリーかつサステナブルな原料として種々の原料が検討されている。
例えば、英国のクオーン(Quorn)は、糸状菌であるフザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)由来のマイコプロテインを用いた肉代替食品を販売している(非特許文献1)。マイコプロテインは、フザリウム・ベネナタムを炭水化物の培地を含む発酵槽で培養することにより生産される菌糸体であり、特にきのこ類の子実体を原料とする代替食品とは区別される。また特許文献1は、キノコ菌糸体を用いた肉類似物の製造方法を開示する。しかしながら、キノコの菌糸体を肉代替用素材として利用するには、大量に培養する必要がある。キノコの子実体と比較し、菌糸体の生産期間は一般的に短いが、液体培養では、増殖速度が遅いため、培養時間が長く、生産性が低い傾向があった。
有限会社丸浅苑は、シイタケを原料とする代替肉であるモン・ミートを販売している(非特許文献2)。モン・ミートは原料となるシイタケにおから等を加えることで肉に近い食感をもたせ、結着剤としてパン粉等を用いた代替肉である。なお、シイタケに特化した代替肉を販売するに留まる。
きのこ類の子実体を主原料とした代替食品を製造する場合、代替食品としての食感の再現が困難であり、特に加工食品としての成形が難しいという課題があった。特に、特許文献1や非特許文献2に開示される代替肉はつなぎで成形しただけであるため強度が弱く、ハンバーグ程度での食感のものであれば製造可能であるが、魚肉練り性などのようにさらに強い食感を持つ製品の再現は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2009-538128号公報
【非特許文献】
【0006】
“クォーン (肉の代替品)”,[online],ウィキペディア,[令和5年8月1日検索],インターネット, <URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%B3_(%E8%82%89%E3%81%AE%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E5%93%81)>
“椎茸代替肉 モン・ミート”,[online],丸浅苑,[令和5年8月1日検索],インターネット, <URL:https://maruasaen.com/item/montmeat.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、フードバリアフリーかつサステナブルな代替食品であって、成形が容易であり、食感の再現性が良い代替食品およびその製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題を解決するため、きのこ類の子実体にトランスグルタミナーゼを作用させることにより結着・凝固させることを着想した。トランスグルタミナーゼはペプチド鎖の中のグルタミン側鎖部分のアミドと、同じくリジンの側鎖のアミノ基で架橋する反応を触媒する酵素として知られている。例えば魚介練り製品においてトランスグルタミナーゼを使用すると、筋繊維を主とする繊維状タンパク間を架橋することにより強固に凝固し、強い食感を生み出すことが一般的に知られている。一方で、対象製品に酵素などの水溶性の非繊維性タンパク質の含有量が多いと凝固が弱くなり、食感が柔らかくなることが知られている。そのため、一般的にしっかりした食感が求められる蒲鉾などの製品の場合は魚肉を水晒し、水溶性のタンパク質を除去する操作が行われる(例えば、Minoru Okada, Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries Vol. 30, No. 3, 1964参照)。一方、きのこ類は筋繊維を持たないため、含まれているタンパク質は酵素性のものが主体であると考えられ、トランスグルタミナーゼで凝固するか不明であった。本発明者らは鋭意検討の結果、驚くべきことにトランスグルタミナーゼを作用させることによりきのこ類の結着・凝固に成功し、食感に優れた代替食品として成形できることを見出した。
本発明は上記知見に基づき完成された発明であり、以下の態様を含む:
【0009】
本発明の一態様は、
〔1〕きのこ類を主な原材料とする代替食品であって、
前記代替食品は、きのこ類の子実体およびトランスグルタミナーゼを含み、
前記きのこ類の子実体にトランスグルタミナーゼを作用させることにより前記代替食品が一体として結着している、代替食品に関する。
ここで本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔2〕上記〔1〕に記載の代替食品であって、
前記きのこ類がヒラタケ属、ハラタケ属、サンゴハリタケ属、マイタケ属、ハナビラタケ属、シロタモギタケ属、キクラゲ属、エノキタケ属、シイタケ属、および、シメジ属からなる群より選択される少なくとも1つの属に属するきのこであることを特徴とする。
また本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔3〕上記〔1〕に記載の代替食品であって、
前記きのこ類の子実体がペースト状であることを特徴とする。
また本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔4〕上記〔1〕に記載の代替食品であって、
前記きのこ類の子実体が細断状であることを特徴とする。
また本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔5〕上記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の代替食品であって、
前記きのこ類の子実体を代替食品全量に対して50重量%以上で含むことを特徴とする。
また本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔6〕上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の代替食品であって、
テクスチャー硬さが5~100kPaの範囲内であることを特徴とする。
また本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔7〕上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の代替食品であって、
切断荷重が1~20Nの範囲内であることを特徴とする。
また本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔8〕上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の代替食品であって、
切断荷重が1~10Nの範囲内であることを特徴とする。
また本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔9〕上記〔3〕、〔5〕~〔8〕のいずれかに記載の代替食品であって、
前記きのこ類がヒラタケ属、ハラタケ属、サンゴハリタケ属、マイタケ属、ハナビラタケ属、シロタモギタケ属、キクラゲ属、および、エノキタケ属からなる群より選択される少なくとも1つの属に属するきのこであることを特徴とする。
また本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔10〕上記〔4〕~〔8〕のいずれかに記載の代替食品であって、
前記きのこ類がヒラタケ属、サンゴハリタケ属、シイタケ属、および、シメジ属からなる群より選択される少なくとも1つの属に属するきのこであることを特徴とする。
また本発明の代替食品は一実施の形態において、
〔11〕魚肉練り製品の代替食品である、上記〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の代替食品であることを特徴とする。
【0010】
また本発明は別の態様において、
〔12〕きのこ類を主原材料とする代替食品の製造方法であって、
きのこ類の子実体にトランスグルタミナーゼを混合する工程と、
前記きのこ類の子実体を成形する工程と、
前記トランスグルタミナーゼの作用により前記きのこ類の子実体が結着する工程と
を含む、製造方法に関する。
ここで本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔13〕上記〔12〕に記載の製造方法であって、
前記きのこ類がヒラタケ属、ハラタケ属、サンゴハリタケ属、マイタケ属、ハナビラタケ属、シロタモギタケ属、キクラゲ属、エノキタケ属、シイタケ属、および、シメジ属からなる群より選択される少なくとも1つの属に属するきのこであることを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔14〕上記〔12〕または〔13〕に記載の製造方法であって、
前記混合工程の前に、前記きのこ類の子実体に含まれるプロテアーゼを加熱により失活させる工程をさらに含むことを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔15〕上記〔12〕~〔14〕のいずれかに記載の製造方法であって、
前記混合工程の前に、きのこ類の子実体に含まれる水分を取り除く工程をさらに含むことを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔16〕上記〔15〕に記載の製造方法であって、
請求項10に記載の製造方法であって、
前記水分を取り除く工程が加熱により水分を取り除く工程であることを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔17〕上記〔12〕~〔16〕のいずれかに記載の製造方法であって、
前記結着工程後に得られたきのこ類の子実体を熱処理する工程をさらに含むことを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔18〕上記〔12〕~〔17〕のいずれかに記載の製造方法であって、
前記きのこ類の子実体をペースト状にする工程を含むことを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔19〕上記〔18〕に記載の製造方法であって、
前記きのこ類がヒラタケ属、ハラタケ属、サンゴハリタケ属、マイタケ属、ハナビラタケ属、シロタモギタケ属、キクラゲ属、および、エノキタケ属からなる群より選択される少なくとも1つの属に属するきのこであることを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔20〕上記〔12〕~〔17〕のいずれかに記載の製造方法であって、
前記きのこ類の子実体を細断する工程を含むことを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔21〕上記〔20〕に記載の製造方法であって、
前記細断した子実体を酵素処理する工程を含むことを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔22〕上記〔20〕に記載の製造方法であって、
前記きのこ類がヒラタケ属、サンゴハリタケ属、シイタケ属、および、シメジ属からなる群より選択される少なくとも1つの属に属するきのこであることを特徴とする。
また本発明の製造方法は一実施の形態において、
〔23〕上記〔12〕~〔22〕のいずれかに記載の製造方法であって、
前記代替食品が、前記きのこ類の子実体を代替食品全量に対して50重量%以上で含むことを特徴とする。
また本発明は別の態様において、
〔24〕きのこ類の子実体にトランスグルタミナーゼを混合する工程と、前記きのこ類の子実体を成形する工程と、前記トランスグルタミナーゼの作用により前記きのこ類の子実体が結着する工程とを含む、きのこ類を主原材料とする代替食品の製造方法により製造された代替食品に関する。
ここで上記〔24〕に係る代替食品は一実施の形態において、
〔25〕上記〔24〕に記載の代替食品であって、
前記混合工程の前に、前記きのこ類の子実体に含まれるプロテアーゼを加熱により失活させる工程をさらに含むことを特徴とする。
また上記〔24〕に係る代替食品は一実施の形態において、
〔26〕上記〔24〕または〔25〕に記載の代替食品であって、
前記混合工程の前に、きのこ類の子実体に含まれる水分を取り除く工程をさらに含むことを特徴とする。
また上記〔24〕に係る代替食品は一実施の形態において、
〔27〕上記〔26〕に記載の代替食品であって、
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

学校法人東京農業大学
メタンガスの製造方法
10日前
株式会社日本バリアフリー
養殖魚用飼料、飼育方法及び腸管上皮保護剤
2か月前
個人
古代食品塩梅醤
2か月前
ライソン株式会社
焙煎機
1か月前
個人
具入り餅食品
3か月前
個人
ジャム
2か月前
不二製油株式会社
油脂組成物
3日前
不二製油株式会社
卵代替素材
2か月前
株式会社東洋新薬
経口組成物
1か月前
池田食研株式会社
微粉状食品
1か月前
株式会社ソディック
計量装置
2か月前
池田食研株式会社
風味改善剤
1か月前
株式会社ソディック
計量装置
2か月前
不二製油株式会社
チーズ様食品
1か月前
アサヒ飲料株式会社
飲料
1か月前
東ソー株式会社
食品品質保持剤
8日前
不二製油株式会社
異風味抑制剤
3か月前
SoPros株式会社
経口養毛剤
2か月前
株式会社ソディック
食品搬送装置
11日前
株式会社寺田製作所
散茶装置
2か月前
個人
廃棄食品の資源化法とその装置
今日
大山食品株式会社
お好み焼き
2か月前
池田食研株式会社
食品生地用組成物
2日前
個人
天然マンゴー果汁色青汁
1か月前
株式会社和田機械
皮剥き機の刃物円盤
2か月前
長谷川香料株式会社
動物油脂感付与剤
2日前
株式会社米島本店
七草加工食品
1か月前
明星食品株式会社
フライ麺の製造方法
3か月前
日本メナード化粧品株式会社
糖化抑制剤
1か月前
理研ビタミン株式会社
麺類用品質改良剤
3か月前
理研ビタミン株式会社
麺類用品質改良剤
3か月前
マクセルイズミ株式会社
加熱装置
1か月前
株式会社クライスエムイ―
のど飴
11日前
個人
黒ニンニク加工品及びその製造方法
2か月前
個人
茶を抽出する方法、茶冷凍体
3か月前
池田食研株式会社
風味付与増強用組成物
2か月前
続きを見る