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公開番号
2025007901
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-17
出願番号
2023109620
出願日
2023-07-03
発明の名称
二酸化炭素資源化システム
出願人
株式会社日立製作所
代理人
弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類
C25B
9/70 20210101AFI20250109BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約
【課題】CO
2
を回収・濃縮して高濃度なCO
2
ガスを得るプロセスが不要でありながら、CO
2
還元生成物を生成できる二酸化炭素資源化システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る二酸化炭素資源化システム1は、還元反応電極11と、酸化反応電極12と、前記還元反応電極11および前記酸化反応電極12の間に配置される第1イオン交換膜13と、を備える電気化学CO
2
還元装置10を有し、前記還元反応電極11および前記第1イオン交換膜13を含んで成る第1ハーフセルHC1にカソライトとしてCO
2
が溶解した炭酸塩水溶液CASを導入し、前記還元反応電極11で前記カソライト中のCO
2
の還元を行う直前に前記カソライト中のCO
2
をガス化させるCO
2
ガス化手段80を有することとしている。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
還元反応電極と、酸化反応電極と、前記還元反応電極および前記酸化反応電極の間に配置される第1イオン交換膜と、を備える電気化学CO
2
還元装置を有し、
前記還元反応電極および前記第1イオン交換膜を含んで成る第1ハーフセルにカソライトとしてCO
2
が溶解した炭酸塩水溶液を導入し、
前記還元反応電極で前記カソライト中のCO
2
の還元を行う直前に前記カソライト中のCO
2
をガス化させるCO
2
ガス化手段を有する
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
続きを表示(約 2,200 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素資源化システムであり、
前記CO
2
ガス化手段が、電気化学CO
2
ガス化装置であり、
前記電気化学CO
2
ガス化装置は、
カソードおよびアノードと、
前記カソードおよび前記アノードの間に配置された第2イオン交換膜と、
前記カソードおよび前記アノードに接続され、これらに電圧を印加する電源と、
を含み、
前記カソードおよび前記第2イオン交換膜を含んで成る第3ハーフセル、ならびに、前記アノードおよび前記第2イオン交換膜を含んで成る第4ハーフセルに、それぞれ前記炭酸塩水溶液が導入され、
前記電圧が印加された前記第3ハーフセルにおいて前記カソードにより前記炭酸塩水溶液中のCO
2
をガス化させ、前記ガス化させたCO
2
を含む炭酸塩水溶液を前記カソライトとして前記第1ハーフセルに導入する
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
【請求項3】
請求項2に記載の二酸化炭素資源化システムであり、
前記第3ハーフセルが、前記カソードおよび前記第2イオン交換膜の間に第1陽イオン交換膜を有するとともに、前記カソードおよび前記第1陽イオン交換膜の間に第1レドックス媒体を有し、前記第1陽イオン交換膜および前記第2イオン交換膜の間に前記炭酸塩水溶液が導入され、
前記第4ハーフセルが、前記アノードおよび前記第2イオン交換膜の間に第2陽イオン交換膜を有するとともに、前記アノードおよび前記第2陽イオン交換膜の間に第2レドックス媒体を有し、前記第2陽イオン交換膜および前記第2イオン交換膜の間に前記炭酸塩水溶液が導入され、
前記第1レドックス媒体および前記第2レドックス媒体が循環するように設けられている
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
【請求項4】
請求項3に記載の二酸化炭素資源化システムであり、
前記カソードおよび前記アノードに温度差を付与する
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
【請求項5】
請求項2に記載の二酸化炭素資源化システムであり、
前記ガス化させたCO
2
を含む炭酸塩水溶液をカソライトとして前記第1ハーフセルに導入するとともに、アノライトとして前記酸化反応電極および前記第1イオン交換膜を含んで成る第2ハーフセルに導入し、
前記第4ハーフセルに導入される炭酸塩水溶液には、前記第1ハーフセルから回収した、未反応のCO
2
を含む炭酸塩水溶液が含まれる
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
【請求項6】
請求項2に記載の二酸化炭素資源化システムであり、
前記カソードおよび前記アノードがともにプロトン共役電子移動反応を行うPCET電極であり、
前記第2イオン交換膜が陰イオン交換膜であり、
前記PCET電極に対する定期的な電位スウィッチングと、少なくとも前記第1ハーフセルへの炭酸塩水溶液の供給流路の切り替えと、を同期させる
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
【請求項7】
請求項1に記載の二酸化炭素資源化システムであり、
前記CO
2
ガス化手段は、
前記第1イオン交換膜がバイポーラ膜であり、
前記バイポーラ膜から供給されるH
+
によって前記還元反応電極の近傍で前記カソライトが局所的に酸性化され、それにより前記カソライト中のCO
2
をガス化させる
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
【請求項8】
請求項1に記載の二酸化炭素資源化システムであり、
前記酸化反応電極および前記第1イオン交換膜を含んで成る第2ハーフセルを有し、
前記第1ハーフセルから排出される未反応CO
2
を含む気体および前記第2ハーフセルから排出されるクロスオーバーCO
2
を含む気体のうちの少なくとも一方の気体を回収して炭酸塩水溶液に溶解し、前記第1ハーフセルに前記カソライトとして再利用させる再利用機構を備える
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
【請求項9】
請求項8に記載の二酸化炭素資源化システムであり、
前記再利用機構が、前記CO
2
の電離溶解がpHに依存することを利用して、カソード側からアノード側へCO
2
のみをpH勾配で選択的に能動輸送させてCO
2
を濃化させる
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
【請求項10】
請求項8に記載の二酸化炭素資源化システムであり、
前記再利用機構が、カソードおよびアノードの間にキノン溶液層が配置されており、
前記カソードから前記気体を前記キノン溶液に導入してプロトン共役電子移動反応を行わせることによりCO
2
濃度を高めて前記アノードから回収する
ことを特徴とする二酸化炭素資源化システム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素資源化システムに関する。
続きを表示(約 3,500 文字)
【背景技術】
【0002】
地球温暖化などの環境問題解決に向けて、二酸化炭素(CO
2
)排出量削減が求められている。また、大気中のCO
2
を人工的に回収するDirect air capture(DAC)技術、さらには回収したCO
2
を有用化成品に還元して再利用するCarbon dioxidecapture and utilization(CCU)技術への期待が高まっている。
【0003】
このようなCO
2
資源化・循環化システムの実現に向けて、水(プロトン源)とCO
2
(炭素源)を原料にして、水素や炭化水素といった燃料・有機物を合成する人工光合成技術の開発が進められている。人工光合成技術の中でも、電気化学CO
2
還元装置は、常温・大気圧下でCO
2
を電気化学的に還元することで、多炭素化合物などの有機物を作り出す装置である。この電気化学CO
2
還元装置を風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー電力で稼働し、原料である炭素源も大気中のCO
2
から回収したものを用いれば、環境問題とエネルギー問題の解決に貢献するカーボンネガティブなCO
2
資源化装置になる。
【0004】
図11は、前記した従来の電気化学CO
2
還元装置200の一例を示している。図11に示すように、電気化学CO
2
還元装置200は、CO
2
を還元して炭素化合物を生成するハーフセルであるカソード室201と、水を酸化して酸素を生成するハーフセルであるアノード室202と、カソード室201とアノード室202とを分離するイオン交換膜203とで構成される。なお、当該装置において、カソード室201に設けられるカソード204は、例えば、微細多孔質層(micro porous layer;MPL)付ガス拡散層(gas diffusion layer;GDL)(MPL付GDL204a)にCO
2
還元反応触媒(カソード触媒204b)を設けたカソードガス拡散電極(gas diffusion electrode;GDE)(カソードGDE204c)が用いられる。アノード室202に設けられるアノード205は、例えば、酸素発生反応(oxygen evolution reaction;OER)触媒(OER触媒205a)を設けたアノードGDE205bが用いられる。イオン交換膜203は、陰イオン交換膜(anion-exchange membrane;AFM)が用いられる。カソード室201およびアノード室202には、電解液として中性~アルカリ性の水溶液が用いられる。
【0005】
ここで、カソライトおよびアノライトがアルカリ性の電解液であると、CO
2
ガスが炭酸塩となって溶解(消費)してしまう。アルカリ環境で用いられるAEMは、OH
-
だけでなく炭酸塩(HCO
3
-
、CO
3
2-
)も通すため、カソード204側からアノード205側にクロスオーバーしてしまい、過剰にカソード204にCO
2
ガスを供給してもCO
2
利用率はかなり低い。そのため、従来の装置では、CO
2
ガスを過剰供給することでアルカリ環境でのCO
2
還元反応を成立させている。なお、カソライトおよびアノライトが中性の電解液であっても、H
2
OがH
+
(プロトン)源になるので、局所的なOH
-
生成によるアルカリ性化とそれに伴う炭酸塩の生成は回避できない。
【0006】
前記装置において、電解還元の炭素源であるCO
2
は、CO
2
ガスとしてカソードGDE204cのカソード触媒204bに供給される。カソード室201でのCO
2
還元反応は、CO
2
(ガス)と水系電解液(液体)とカソード触媒204b(固体)の三相界面を反応場として進行する。そのため、CO
2
の利用率の向上、さらにはCO
2
還元生成物の生成速度を向上するためには、電解液(液体)中の触媒(固体)表面に、前記したようにCO
2
をガスとして供給する必要がある。なお、CO
2
還元生成物としては、炭素数1または2以上の炭素化合物(C
1
、C
2+
)が挙げられる。電気化学CO
2
還元装置200によって生じたC
1
、C
2+
と未反応CO
2
は、カソードGDE204cから排出される。電気化学CO
2
還元装置200によって生じたO
2
とクロスオーバーCO
2
は、アノードGDE205bから排出される。なお、クロスオーバーCO
2
とは、カソード204側に供給されたCO
2
が炭酸塩(HCO
3
-
、CO
3
2-
)のかたちでイオン交換膜203を通ってアノード205側に達し、アノード205側で局所的にH
2
Oから生成されたH
+
と直接反応して生成されたCO
2
をいう。
【0007】
従来の電気化学CO
2
還元装置200では、高濃度なCO
2
ガスをCO
2
還元セルのカソード室201に供給しており、その反応効率を向上するために、前記したようにガス拡散電極(GDE)を適用するといった工夫が検討されている。高濃度のCO
2
ガスが確保できない場所では、CO
2
ガスを過剰供給できないので、電気化学CO
2
還元装置200としての効率が低くなる。
【0008】
前記した高濃度なCO
2
ガスを確保するためには、大気中の希薄なCO
2
を回収し、濃縮するDACプロセスが必要である。現状のアミン水溶液を用いた化学吸着法や多孔性固体吸着剤による物理吸着法によるDACプロセスは、CO
2
の濃縮に多大なエネルギーが必要であり、また、大気から回収したCO
2
を再びCO
2
ガスとして脱離させる工程にも多大なエネルギーがかかり、高コスト化の要因の一つになっている。
【0009】
このような従来の電気化学CO
2
還元装置の一例として、例えば、特許文献1に記載の二酸化炭素反応装置がある。
この二酸化炭素反応装置は、電気化学反応セルと、第1の供給部と、第2の供給部と、第1の二酸化炭素分離部とを具備する。前記した電気化学反応セルは、第1の収容部と、第2の収容部と、隔膜と、カソードと、アノードとを備えている。第1の収容部は、二酸化炭素を含むガスまたは二酸化炭素を含む第1の電解液を収容する。第2の収容部は、水を含む第2の電解液を収容する。隔膜は、前記第1の収容部と前記第2の収容部との間に設けられている。カソードは、前記ガスまたは前記第1の電解液と接するように配置され、二酸化炭素を還元して炭素化合物を生成する。アノードは、前記第2の電解液と接するように配置され、水を酸化して酸素を生成する。第1の供給部は、前記第1の収容部に前記ガスまたは前記第1の電解液を供給する。第2の供給部は、前記第2の収容部に前記第2の電解液を供給する。第1の二酸化炭素分離部は、前記第2の収容部から酸素および二酸化炭素を含む排出物を排出する排出部に接続され、前記排出物中のガス成分から前記二酸化炭素を分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2021-147679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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