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公開番号
2025005185
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-16
出願番号
2023105264
出願日
2023-06-27
発明の名称
滑り抑制部材、及び滑り抑制部材と相手材との組み合わせ
出願人
株式会社東電工舎
代理人
弁理士法人MTI特許事務所
主分類
C25D
7/00 20060101AFI20250108BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約
【課題】相手材の損傷を抑え且つ相手材との滑りを抑制できる滑り抑制部材、及び滑り抑制部材と相手材との組み合わせを提供する。
【解決手段】相手材の損傷を抑え且つ該相手材との滑りを抑制できる滑り抑制部材であって、基材と、該基材上に設けられた複合めっき皮膜とを有し、前記複合めっき皮膜は、セラミック粒子、ダイヤモンド粒子及び化合物粒子から選ばれる粒子を含み、該粒子は、平均粒径2~60μmの球状粒子が前記複合めっき皮膜の少なくとも表面に100~2000個/mm
2
の面積割合で現れているように構成して上記課題を解決する。複合めっき皮膜は、平均摩擦係数が0.4~1.1の範囲内であり、最大摩擦係数が0.7~2.6の範囲内であることが好ましく、そのめっき皮膜は、ニッケル、ニッケル合金、銅又は銅合金からなるめっき皮膜であることが好ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
相手材の損傷を抑え且つ該相手材との滑りを抑制できる滑り抑制部材であって、基材と、該基材上に設けられた複合めっき皮膜とを有し、前記複合めっき皮膜は、セラミック粒子、ダイヤモンド粒子及び化合物粒子から選ばれる粒子を含み、該粒子は、平均粒径2~60μmの球状粒子が前記複合めっき皮膜の少なくとも表面に100~2000個/mm
2
の面積割合で現れている、ことを特徴とする滑り抑制部材。
続きを表示(約 530 文字)
【請求項2】
前記複合めっき皮膜は、平均摩擦係数が0.4~1.1の範囲内であり、最大摩擦係数が0.7~2.6の範囲内である、請求項1に記載の滑り抑制部材。
【請求項3】
前記複合めっき皮膜が、ニッケル、ニッケル合金、銅又は銅合金からなるめっき皮膜である、請求項1又は2に記載の滑り抑制部材。
【請求項4】
前記基材が、金属基材、プラスチック基材及びセラミック基材から選ばれる、請求項1又は2に記載の滑り抑制部材。
【請求項5】
前記相手材が、紙若しくは段ボールに代表される紙製部材又は樹脂フィルム若しくはプラスチック部材に代表される樹脂製部材である、請求項1又は2に記載の滑り抑制部材。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の滑り抑制部材と、紙若しくは段ボールに代表される紙製部材又は樹脂フィルム若しくはプラスチック部材に代表される樹脂製部材からなる相手材との組み合わせであって、前記滑り抑制部材は、前記相手材の種類に応じて、該相手材の損傷を抑え且つ該相手材との滑りを抑制できる平均粒径と面積率からなる粒子を含む複合めっき皮膜を有する、ことを特徴とする、滑り抑制部材と相手材との組み合わせ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手材の損傷を抑え且つ相手材との滑りを抑制できる滑り抑制部材、及び滑り抑制部材と相手材との組み合わせに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)
【背景技術】
【0002】
製品の製造工程において、部品等の立体物を掴持部材で掴んで滑り落とすことなく移動したり、紙やフィルムをローラー部材等の回転物で滑ることなく搬送したり、テーブル上に置いた物がテーブル上を滑って位置ずれすることなく保持したりすること等が求められることがある。こうした要求に対し、対象物である立体物や紙等との間の滑りを抑制するため、掴持部材においては高い圧力で掴ませてグリップ力を高めたり、ローラー部材においてはローラー表面の摩擦抵抗を増したり、テーブル表面の摩擦抵抗を増したりすること等が、特許文献1~4等に示すように提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、優れた潤滑性を有しつつ、被覆鋼板表面同士が滑りにくい有機複合被覆鋼板が提案されている。この有機複合被覆鋼板は、亜鉛又は亜鉛系合金めっき層が施された鋼板と、該鋼板のめっき層上に形成され、金属クロム換算で1~200mg/m
2
の付着量を有するクロメート処理層と、このクロメート処理層上に厚さ0.1及至5μmの範囲で形成された樹脂皮膜とを具備し、前記樹脂皮膜が実質的に、(A)有機樹脂40~98重量%、(B)シリカ微粒子1~40重量%、及び(C)有機系潤滑剤1~30重量%からなり、摩擦係数が0.15以下、樹脂皮膜同士の摩擦係数が0.07以上であるように構成されている。
【0004】
特許文献2には、金属線の表面に形成された溶融めっきによるめっき層と、このめっき層に付着した多数の金属粒子とによって形成されている金属被覆線が提案されている。この金属被覆線は、金属粒子によって表面に多数の微小凹凸が形成されているから、物と接触したときの摩擦係数が大きくなり、大きな摩擦抵抗が得られる、つまり滑り止め効果が得られる、また、表面の金属粒子が金属線を異物との接触から保護し、該異物との接触による摩耗・損傷を防ぐことになるとのことである。
【0005】
特許文献3には、十分な取り扱い性と成形性の両立を図っためっき鋼材が提案されている。このめっき鋼材は、めっき鋼板の少なくとも片面に、ジルコニウム化合物、リン酸化合物、コバルト化合物を含有する皮膜層を有し、その皮膜中に、主成分がN-イソプロピルアクリルアミドからなり、平均粒子径が0.2~2.0μm、ガラス転移温度が30~54℃である感温性高分子ビーズを含んでいる。このめっき鋼材では、めっき鋼板の表面に高分子ビーズを含有させた化成処理皮膜を設けることにより、皮膜中に含有する粒子が滑りにくく作用するとのことである。
【0006】
特許文献4には、脳神経外科、心臓外科等で用いられる把持具において、鑷子、鉗子等のマイクロピンセットの把持面が平坦であると、滑りやすい生体膜や血管を確実に掴むことが難しいという課題に対し、突起を蝋付けすることができない微小な先端を有する把持具の把持面に施すことが可能な、滑り止めの機能を向上させる把持具が提案されている。この把持具は、把持面に、粒径が数μm~140μmの一定の第1粒径である複数の第1のダイヤモンド粒子が、前記第1のダイヤモンド粒子の上面が揃うように均一に分布した状態で、前記把持面に前記第1粒径を超えない一定の厚さまでニッケルを含む金属が析出した金属層により固着されるように構成されている。特に、含有粒子として粒径の異なる2種のダイヤモンド粒子を用い、第2のダイヤモンド粒子は第1のダイヤモンド粒子を含むメッキ層を形成した後に複合させていることで、課題を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平11-268176号公報
特開2002-322574号公報
特開2010-53405号公報
特開2017-14542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した各特許文献には、樹脂皮膜やめっき皮膜等に特定の微粒子を含有させて表面処理皮膜の摩擦抵抗を高める技術が提案されている。これらの先行技術では、相手材に接触したときの摩擦抵抗を高めることによって滑り止め効果が得られている。しかしながら、滑りにくくするために摩擦抵抗を増すだけでは、相手材に傷が付いてしまい、相手材の製品品質を低下させてしまうという等の問題がある。また、前記した掴持部材やローラー部材等は製造工程で繰り返し使用するので、耐久性に優れたものとすることも課題になっている。
【0009】
本発明は、こうした課題を解決するものであって、その目的は、相手材の損傷を抑え且つ相手材との滑りを抑制できる滑り抑制部材、及び滑り抑制部材と相手材との組み合わせを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る滑り抑制部材は、相手材の損傷を抑え且つ該相手材との滑りを抑制できる滑り抑制部材であって、基材と、該基材上に設けられた複合めっき皮膜とを有し、前記複合めっき皮膜は、セラミック粒子、ダイヤモンド粒子及び化合物粒子から選ばれる1種又は2種以上の粒子を含み、該粒子は、平均粒径2~60μmの球状粒子が前記複合めっき皮膜の少なくとも表面に100~2000個/mm
2
の面積割合で現れている、ことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)
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