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公開番号
2025008658
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-20
出願番号
2023111008
出願日
2023-07-05
発明の名称
電極複合構造体及び水道水中の遊離残留塩素を除去できる水道水の浄水器
出願人
個人
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C25B
11/042 20210101AFI20250109BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約
【課題】カルキ臭もなく、おいしい水を生成でき、また、市販の浄水器のように、活性炭層中で時間経過とともにカビが生じ、それが増殖して不衛生であるという問題点を解決する、浄水器並びに前記浄水器に使用する電極複合構造体を提供する。
【解決手段】電極として薄い白金板を用い、白金線の一端を白金板または白金黒付白金板に接合し、該白金線の反対側の一端は、内径が該白金線の外径よりわずかに大きい、ステンレス管などある程度強度のある導電性金属管を貫通させるか、該金属管の下端の開口部から内部に3cm以上挿入させた、白金電極複合構造体及びこれを用いた浄水器。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
白金電極複合構造体であり、細い白金線の一端が白金板または白金黒付白金板に接合され、該白金線の反対側の一端は内径が該白金線の外径よりわずかに大きい導電性金属管の内部まで挿入され、白金線は導電性金属管の内側側面と長手方向に部分的に接触しており、該白金線が内在する該金属管の両端は電解液および気体が出入りできないように接着剤で封止されており、水道水と接触する可能性がある該金属管の表面部分は、導電性がなく水に不溶の有機材で被覆されていることを特徴とする白金電極複合構造体。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記細い白金線の長さが4~20cmであり、前記導電性金属管の長さが4~20cmである請求項1の白金電極複合構造体。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載された白金電極複合構造体において、白金板の替わりに、金、ニッケルなど表面が酸化皮膜で保護されて内部まで酸化されにくい金属からなる電極板、それに接続されたリード線、該金属管から構成された金属電極複合構造体。
【請求項4】
筒状体の電解槽の一方の端は非導電性平板で全面的に塞がれているが、他方は開口部を有する非導電性平板が接着された2つの該電解層が、それぞれの開口部が互いに向き合うように配置され、
それぞれの該電解槽において該非導電性平板の開口部からごく近い位置にある筒状体の側面に、水の電気分解で発生する水素または酸素を集積する気体集積管が設けられ、
それぞれの該電解槽の該筒状体の開口部から離れる方向に近接して水道水の導入するためのノズルが設けられ、それと筒状体の反対側の端に近い側面に前記該電解槽から水道水を排水するためのノズルが設けられた2つの該電解槽において、2つの開口部を有する該非導電性平板の間に陽イオン交換膜が挿入され、その両側に近接して、請求項1~3のいずれか一つに記載した電極複合構造体の構成要素である該電極板を該非導電性平板の開口部のところに位置させ、
それに接続された該金属線、該金属管も該陽イオン交換膜で隔てられて接触しないようにしながら、互い違いに異なる方向に延伸させて該金属管の該非導電性平板の外側部分で外部直流電源からのリード線を接続させ、
それぞれの該電極複合構造体の外側にパッキンも挟み込んで、該非導電性平板の外側から固定金具で強く締め付け、該陽イオン交換膜を隔膜として分割された2つの該電解槽に給水栓から出た水道水を直接またはいったん給水槽に導入してから分岐させて流量を調節しながら導入し、
それぞれの該電解槽の水道水の中で、請求項1~3の一つに記載した2つの電極複合構造体を陰極および陽極として該陽イオン交換膜の両側に近接して浸漬させ、
直流電流を流して水道水を電気分解させ、陰極側、陽極側それぞれで発生する水素および酸素が、該陽イオン交換膜によって分離されて集積され、
また陰極側および陽極側の該電解槽からの排水された水道水を1つの貯水槽に入れて混合することを特徴とする浄水器。
【請求項5】
前記開口部の径が3~6cmである請求項4に記載の浄水器。
【請求項6】
前記非導電性平板がアクリル樹脂平板である請求項4記載の浄水器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水中の遊離残留塩素を還元除去するために用いられ、発生する水素および酸素を分離して回収もできる電極複合構造体及びこれを使用した水道水の浄水器に関するものである。
続きを表示(約 4,900 文字)
【背景技術】
【0002】
水道法によれば、水道水がつくられる浄水場では雑菌が増殖されないように塩素が加えることによって、給水栓水中で残留塩素がある濃度以上保持されていることが義務づけられている。残留塩素には、遊離残留塩素(Cl
2
, HOCl, OCl
―
)と結合残留塩素(NH
3
中の水素が塩素と置換した化合物、例えば、モノクロアミンなど)があるが、給水栓での水道水中では殺菌力が強い遊離残留塩素が0.1mg/L以上残っていることが求められている。
しかし水道水中の残留塩素濃度が大きくなると、カルキ臭がし、また食品中のビタミンC(アスコルビン酸)と反応する可能性もあるので、残留塩素濃度は1mg/L未満であることが目標値とされている。また「おいしい水」であるためには、0.4 mg/L以下であることが望ましいとされている。
水道水をつくる浄水場は、古くから藻などを利用した生物的な浄化作用の助けを借りて雑菌も減らすことができる「緩速ろ過」が広く行われてきたが、第二次世界大戦後、川から取水した濁水に薬剤(ポリ塩化アルミニウムなど)を投与して濁質を凝集沈殿させた後に、物理的な「急速濾過」を行うことが広く行われるようになってきた。その結果、雑菌を除去するのには生物的な浄化ではなく、塩素を多く加えて雑菌を除去することに頼りがちなり、給水栓口の遊離残留塩素濃度も高くなりがちになった。また加えられた塩素と水道水原水中のフミンなどとの反応で生成するトリハロメタンの問題も提起され、また濁質が多く存在する原水を「急速濾過」することによる濾過器内の分離膜の目詰まりも多く生じることになり、分離膜は、しばしば逆洗して目詰まりをなくする必要性が生じている。また人々の中では、カルキ臭い水道水を生で飲むことを控えがちになり、わざわざペットボトルに入った水を購入して飲用に使うひと人が多くなってきたことには、上記のような事情があるように考えられる。
【0003】
市販されている「浄水器」と称される装置は、水道水中にある「有害な物質」を除去する装置であり、「有害な物質」の中、とりわけ遊離残留塩素およびその他の有機塩素化合物(トリハロメタンなど)を除去するために、水道水を活性炭層に通しているものが多い。しかし、かかる装置では、活性炭層中では時間経過とともにカビが生じ、それが増殖して不衛生である問題点が指摘されている。
また市販されている「アルカリ性電解水(アルカリイオン水)生成装置」(非特許文献1)あるいは単に「整水器」と称されている装置内部では、給水栓から出た水道水を電気分解反応させ、その陰極側で水素を発生させているが、水道水中の遊離残留塩素は、発生する水素によって還元除去されておらず、水道水を活性炭層に通すことによって除去している(特許文献1,2)。
【0004】
水道水の電気分解用の電極としては、酸化されにくく触媒作用もある白金板または白金黒付白金板を用いることが極めて望ましい。しかし、白金は高価であることが難点である。なお本明細書では、以下の記載において、「白金板」と記載されている部分は、「白金板または白金黒付白金板」の意味であることとする。
水の電気分解反応では、2H
2
O →2H
2
+O
2
の反応式で表されるように、陰極および陽極で、それぞれ水素ガス(以下、単に「水素」ともいう)および酸素ガス(以下、単に「酸素」ともいう)が物質量比2:1で発生する。水の電気分解において、陽極では、おもに2H
2
O → O
2
+4H
+
+4e
-
の反応式で表される酸化反応が起き、酸素ガスが発生する。その時、陽極金属として、例えば比較的廉価なステンレスなどの金属電極を用いると、酸素を発生する反応の他、ステンレス中の鉄、ニッケル、クロムなどが酸化され、それらが陽イオンとなって電解液中に溶出するという好ましくない副反応が起こり、あるいはそれらの金属の酸化物あるいは水酸化物が、アノード酸化皮膜として電極表面に固着するという副反応も起こる(非特許文献2)。
【0005】
水の電気分解において過電圧をできるだけ小さくして電気エネルギーのロスを少なくするために、また、白金の使用量を抑制するために、白金板そのものを用いるのではなく白金の粉末を炭素板などの導電体基板の表面に接着させた電極や、白金の他、パラジウム、イリジウムなどの他の遷移金属元素との合金の粉末を導電体基板の表面に固着させた電極板が開発されている。しかし、かかる電極板は製作が難しく、高価で、さらに長時間電流を流し続けたとき電極表面が劣化しやすいという難点がある。
電極としては、白金板を用いた方が長時間電流を流し続けても表面は劣化しにくく耐久性がある。ただし白金は高価であるので、白金の使用量をできるだけ少なくしたものが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2013-138996
特開2009-207962
WO2014077211A1(発明者は本発明の発明者と同じ)
【非特許文献】
【0007】
「水の応用工学」日本学術振興会「水の先進工学」に関する先導的研究開発委員会 編、日刊工業新聞社、2011年、p127~131
「表面技術者のための電気化学」春山志郎 著 丸善、2015年、 p217~226
「水処理技術」和田洋六 著 東京電機大学出版局、p54~57、2011年
水環境の浄化・改善技術(菅原正孝監修)シーエムシー出版、2010年、p189~190
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
水道水を供給するための浄水場では、雑菌を殺菌するために塩素が加えられており、給水栓水中に残っている遊離残留塩素(Cl
2
,HOCl,OCl
―
)は、〔0002〕で記載したように、それが0.1mg/L以上残っていることが求められている。
しかし水道水中の残留塩素の濃度が大きくなると、カルキ臭がし、また食品中のビタミンC(アスコルビン酸)と反応する可能性もあるので、残留塩素の濃度は1mg/L未満であることが目標値とされている。また「おいしい水」であるためには0.4 mg/L以下であることが望ましいとされている。市販されている「浄水器」では、給水栓からの水道水を活性炭層に通して遊離残留塩素および有機塩素化合物などを除去している。しかし活性炭層中では使用時間経過とともに活性炭層中にカビが生じ、それが増殖して不衛生である問題点が指摘されてきた。
水の電気分解において陰極では、2H
2
O +2e
-
→ H
2
+2OH
-
の反応式で表されるような還元反応が起きている。陰極で発生したばかりの水素は「発生期の水素」とも呼ばれ、反応性が強く、他の物質を還元する性質も強い。もし水の電気分解で、反応性が強く、還元力も大きい水素によって遊離残留塩素を除去できれば、水道水をカビが生じやすい活性炭層を使用する必要性はない。それゆえ遊離残留塩素については、水道水をカビが生じやすいと言われる活性炭層に通すのではなく、水の電気分解反応において、電極として触媒作用もある白金電極複合構造体を用い、陰極で発生する水素の還元力を効果的に生かして、水道水中の遊離残留塩素を還元して除去することができるように工夫がなされた電気分解装置が求められてきた。
現在市販されている「アルカリ性電解水(アルカリイオン水)生成装置」、「整水器」と称される装置内において、水道水を電気分解して水素を発生させているが、〔0003〕に記載したように、その水素で遊離残留塩素を効果的に還元して除去できていないため、水道水を活性炭層に通すことによって、水道水中の遊離残留塩素、有機塩素化合物を吸着除去している(特許文献1、2)。さらにそれらの装置では、水道水を電気分解しながら、そのとき陰極および陽極でそれぞれ発生する水素および酸素を分離して回収されておらず、分離された水素、酸素が有効利用されていない。
【0009】
白金は酸化されにくく、触媒のはたらきもするので、水の電気分解の電極用材として望ましい金属であるが、高価であるのでコスト面から、できるだけその使用量を少なくするために薄くて縦横のサイズも大きくない白金板を用い、またリード線も細い白金線を用いることが望ましい。
しかし薄い白金板と細い白金線とを単に接続させたものだけでは、必然的に強度的に弱い。例えば細い白金線と外部電源に通じるリード線(銅線など)とを、電解槽の内部あるいは外部で直接はんだ付けなどによって接合しようとしても、細い白金線は容易に折れて断線しやすい。また細い白金線を電解槽の密閉手段を貫通させることは難しく、また貫通できたとしても、そのままでは白金線と密閉手段の間のわずかの隙間を通って外部から空気が侵入し、あるいは逆に、電解槽内の気体が外部へ流出してしまい、その結果、電解槽の気密性を維持することは困難である。
そのように薄い白金板および細い白金線を電極用金属に用いながら、機械的な強度があり、なお電解槽の気密性を維持できる電極を開発するという課題の克服が求められてきた。
【0010】
電解槽内での陽極金属として白金が望ましいのではあるが、白金は高価であり、薄い白金板と細い白金線を用いたとしても、装置としては高価なものになる。白金より廉価であっても白金より酸化されやすい廉価な金属を用いた時、その金属が電解液と接触すると、おもに陽極側で、酸素を発生する反応の他、その金属が酸化されて陽イオンになって電解液中に溶出せず、あるいはアノード酸化皮膜となって電極表面に固着する副反応が起きてしまうことが多い(非特許文献2)。
高価な白金の替わりに、他の比較的廉価な貴金属、あるいはより廉価なニッケルなど、表面に酸化皮膜が生成して内部まで酸化されにくい金属を陽極として用いることによって、装置をより廉価なものにして、水道水中の遊離残留塩素を除去して飲用可能な水道水を得ることが可能であれば、それが実用的な意味で望ましい。しかしその場合、その陽極金属が電解液に溶け出す可能性があっても、その量が極めて微量で、装置を通した後の水道水を飲用しても健康に全く影響を与えないような、水の電気分解反応をさせるための電極を開発するという課題の克服が求められてきた。そのような廉価な費用で制作できる電解装置を数多く並列させて用いれば、遊離残留塩素を除去できた水道水の水量を多くすることができる。さらに水素ガス、酸素ガスの発生速度を大きくできることが期待できる。
一般的な電気分解反応で用いられる電解質の溶液で電気分解したときの回収する水素ガス、酸素ガスでは、その中に電解質が溶けた飛沫を含まれがちになり、それが水素については、例えば燃料電池の中で水素を貯蔵する容器の金属部分を腐食させて、それが爆発事故につながったりする危険性があり、また酸素についても、それを例えば人の呼吸の補助に使うと、健康被害が生じたりする。それに対して安全な水道水を電気分解することによって、分離されて集積される水素ガスおよび酸素ガスの中には、そのような飛沫が含まれないので、安全で利用価値が高いものとなる。そのような水の電気分解装置を開発するという課題の克服が求められてきた。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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