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公開番号2024176859
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023095697
出願日2023-06-09
発明の名称複合発電システム及び複合発電方法
出願人株式会社トクヤマ
代理人弁理士法人維新国際特許事務所,個人
主分類F01K 17/02 20060101AFI20241212BHJP(機械または機関一般;機関設備一般;蒸気機関)
要約【課題】液体アンモニアから多量の燃焼用のアンモニアガスを生成する際のエネルギー損失を少なくすることができる複合発電システムを提供する。
【解決手段】蒸気を生成するボイラー設備4と、蒸気によって駆動される蒸気タービン8と、この蒸気タービン8に接続されて発電する第1の発電機9を有する第1の発電施設2と、液体アンモニアを貯蔵する貯蔵設備15と、この貯蔵設備15から供給される液体アンモニアを蒸気タービン8の排蒸気を用いてタービン駆動流体にするエネルギー付加設備と、このエネルギー付加設備において生成したタービン駆動流体によって駆動されるアンモニアタービン20と、このアンモニアタービン20に接続されて発電する第2の発電機21を有する第2の発電施設3を備え、ボイラー設備4又はこのボイラー設備4以外の少なくとも1の任意の設備、において排アンモニアガスを燃焼させる複合発電システム1Aによる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
蒸気を生成するボイラー設備と、前記蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記蒸気タービンに接続されて発電する第1の発電機を有する第1の発電施設と、
液体アンモニアを貯蔵する貯蔵設備と、前記貯蔵設備から供給される前記液体アンモニアを前記蒸気タービンの排蒸気の余熱を用いてタービン駆動流体にするエネルギー付加設備と、前記エネルギー付加設備において生成した前記タービン駆動流体によって駆動されるアンモニアタービンと、前記アンモニアタービンに接続されて発電する第2の発電機を有する第2の発電施設を備え、
前記ボイラー設備、又は、前記アンモニアタービンから排出される排アンモニアガスを燃焼可能な燃焼部を有しかつ前記ボイラー設備以外の少なくとも1の任意の設備、において前記排アンモニアガスを燃焼させることを特徴とする複合発電システム。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記排アンモニアガスは、前記ボイラー設備において燃焼されることを特徴とする請求項1に記載の複合発電システム。
【請求項3】
前記エネルギー付加設備に供給する前記液体アンモニアを6MPaG以上に加圧する加圧設備を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合発電システム。
【請求項4】
前記蒸気タービンは、
出口温度が200~450℃である中圧排蒸気を排出する中圧蒸気タービンと、
出口温度が30~200℃である低圧排蒸気を排出する低圧蒸気タービンを備え、
前記エネルギー付加設備はアンモニア気化設備であり、
前記液体アンモニアを予熱する予熱器と、
前記予熱器において予熱された前記液体アンモニアを気化する気化器と、
前記気化器において気化されたアンモニアガスを過熱する過熱器を備え、
前記中圧排蒸気の一部を前記過熱器に供給するとともに、前記過熱器において減温された前記中圧排蒸気の一部を前記気化器に供給する中圧排蒸気供給ラインと、
前記気化器又はその関連機器から生じる第1の温水、及び/又は、前記低圧蒸気タービンの関連機器から生じる第2の温水、を前記予熱器に供給する温水供給ラインを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合発電システム。
【請求項5】
前記アンモニアタービンから排出される前記排アンモニアガスの余圧により、前記ボイラー設備又は前記任意の設備に前記排アンモニアガスを供給することを特徴とする請求項1に記載の複合発電システム。
【請求項6】
前記液体アンモニアは1質量%以下の水を含有することを特徴とする請求項1に記載の複合発電システム。
【請求項7】
前記ボイラー設備又は前記任意の設備、の燃焼部に供給される前記排アンモニアガスの温度は18.8℃以上であることを特徴とする請求項6に記載の複合発電システム。
【請求項8】
第1の発電機が接続される蒸気タービンをボイラー設備において生成される蒸気により駆動して第1の電力を発電するとともに、
前記蒸気タービンの排蒸気の余熱を用いて液体アンモニアからタービン駆動流体を生成し、第2の発電機が接続されるアンモニアタービンを前記タービン駆動流体により駆動して第2の電力を発電し、
前記ボイラー設備、又は、前記ボイラー設備以外の少なくとも1の任意の設備、において前記アンモニアタービンから排出される排アンモニアガスを燃焼させることを特徴とする複合発電方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、液体アンモニアを気化して燃焼用のアンモニアガスを生成する際のエネルギー損失を少なくする又は無くすことができる複合発電システム及びその方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、アンモニア(NH

)は、常温(20℃、0.875MPaG(蒸気圧))では気体であるが冷却や加圧で容易に液化でき、燃料として使用する場合は液体のまま輸送や貯留することができる。このため、容易に液化できない気体燃料を取り扱う場合に比べて輸送や貯留に要するコストを低減できる。また、近年アンモニアは、燃焼時に温室効果ガスである二酸化炭素(CO

)を排出しない燃料として注目されている。
このため、石炭等の化石燃料を使用する従来の火力発電施設において、燃料の一部としてアンモニアを用いることで温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を低減する試みもなされている。
その一方で、アンモニアを燃料として用いる場合は、液体アンモニアを気化してアンモニアガスにする必要がある。
【0003】
アンモニアの沸点は-33.34℃であり、水に比べて大幅に低い。このため、液体アンモニアを気化させる際は、工業用水や海水を熱媒体として用いて容易に液体アンモニアを気化させることができる。
その一方で、液体アンモニアを気化させる際の熱媒体として工業用水や海水を使用する場合は、これらの揚水に要するエネルギーコストが増大することが予想される。このため、エネルギー収支の観点から、アンモニアを燃料として使用する際のコスト的なメリットが薄くなるという懸念があった。
このような事情に鑑み、従来の火力発電施設等において生じる余熱を利用して液体アンモニアを気化させて燃料として利用することが行われている。
当該技術分野の先願としては、例えば特許文献1に開示される「発電プラント用のアンモニア供給ユニット、発電プラント用のアンモニア気化処理方法、及び発電プラント」等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2023-11172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示される発明によれば、従来の火力発電施設等において生じる排熱を用いることで、気化時のエネルギー損失を極力抑制しながら燃焼用のアンモニアガスを生成できるものの、火力発電施設等において利用可能な排熱量は限られている。
このため、特許文献1を参酌する場合は、気化できる液体アンモニアの量に限りがあった。
【0006】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、多量の液体アンモニアを気化せしめて燃焼用のアンモニアガスを生成することができ、かつ、気化によるエネルギー損失を少なくする又は無くすことができる複合発電システム及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明である複合発電システムは、蒸気を生成するボイラー設備と、その蒸気によって駆動される蒸気タービンと、この蒸気タービンに接続されて発電する第1の発電機を有する第1の発電施設と、液体アンモニアを貯蔵する貯蔵設備と、この貯蔵設備から供給される液体アンモニアを蒸気タービンの排蒸気の余熱を用いてタービン駆動流体にするエネルギー付加設備と、このエネルギー付加設備において生成したタービン駆動流体によって駆動されるアンモニアタービンと、このアンモニアタービンに接続されて発電する第2の発電機を有する第2の発電施設を備え、ボイラー設備、又は、アンモニアタービンから排出される排アンモニアガスを燃焼可能な燃焼部を有しかつボイラー設備以外の少なくとも1の任意の設備、において排アンモニアガスを燃焼させることを特徴とする。
上記構成の第1の発明において、第1の発電施設は、ボイラー設備で生成した蒸気により蒸気タービンを駆動して、この蒸気タービンに接続される第1の発電機により第1の電力を発電するという作用を有する。
また、第2の発電施設のエネルギー付加設備は、貯蔵設備から供給される液体アンモニアを、第1の発電施設における蒸気タービンの排蒸気の余熱を利用してタービン駆動流体(過熱アンモニアガス又はアンモニアの超臨界流体)を生成するという作用を有する。さらに、第2の発電施設では、エネルギー付加設備において生成されるタービン駆動流体により、アンモニアタービンを駆動して、このアンモニアタービンに接続される第2の発電機により第2の電力を発電するという作用を有する。
さらに、第2の発電施設のアンモニアタービンから排出される排アンモニアガスは、ボイラー設備、又はこのボイラー設備以外の少なくとも1の任意の設備、において燃焼用のアンモニアガスとして用いられる。
つまり、第1の発明では、第1の発電施設において蒸気により第1の電力を発電しつつ、この蒸気の一部を用いて第2の発電施設において生成されるタービン駆動流体を用いて第2の電力を発電し、さらに第2の発電施設から排出される排アンモニアガスが燃料として使用される。
【0008】
第2の発明は、上述の第1の発明であって、排アンモニアガスは、ボイラー設備において燃焼されることを特徴とする。
上記構成の第2の発明は、アンモニアタービンから排出される排アンモニアガスを燃焼させる設備がボイラー設備に特定されている。よって、第2の発明による作用は、第1の発明による作用と同じである。
また、第2の発明では、アンモニアタービンから排出される排アンモニアガスをボイラー設備の燃料として用いることで、第1の発電施設において第1の電力を発電する際の二酸化炭素の排出量を削減するという作用を有する。
【0009】
第3の発明は、上述の第1又は第2の発明であって、エネルギー付加設備に供給する液体アンモニアを6MPaG以上に加圧する加圧設備を備えることを特徴とする。
上記構成の第3の発明は、上述の第1又は第2の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第3の発明では、エネルギー付加設備に供給する液体アンモニアを6MPaG以上に加圧しておくことで、無加圧の液体アンモニアを用いる場合に比べて、第1及び第2の発電施設における総発電量を増加させるという作用を有する。
【0010】
第4の発明は、上述の第1又は第2の発明であって、蒸気タービンは、出口温度が200~450℃である中圧排蒸気を排出する中圧蒸気タービンと、出口温度が30~200℃である低圧排蒸気を排出する低圧蒸気タービンを備え、エネルギー付加設備はアンモニア気化設備であり、液体アンモニアを予熱する予熱器と、この予熱器において予熱された液体アンモニアを気化させる気化器と、この気化器において気化されたアンモニアガスを過熱する過熱器を備え、中圧排蒸気の一部を過熱器に供給するとともに、過熱器において減温された中圧排蒸気の一部を気化器に供給する中圧排蒸気供給ラインと、気化器又はその関連機器から生じる第1の温水、及び/又は、低圧蒸気タービンの関連機器から生じる第2の温水、を予熱器に供給する温水供給ラインを備えることを特徴とする。
上記構成の第4の発明は、上述の第1又は第2の発明による作用と同じ作用を有する。また、第4の発明では、アンモニア気化設備の過熱器において、中圧排蒸気を利用して気化器において気化されたアンモニアガスを過熱するとともに、過熱器において使用済の中圧排蒸気の一部を気化器に供給して(=中圧排蒸気供給ライン)液体アンモニアの気化に利用することで、過熱アンモニアガスを効率良く生成させるという作用を有する。
また、第4の発明では、気化器又はその関連機器から生じる第1の温水、及び/又は、低圧蒸気タービンの関連機器から生じる第2の温水、を利用して(=温水供給ライン)予熱器に送給された液体アンモニアを予熱することで、気化器又はその関連機器が有する余熱、及び/又は、低圧蒸気タービンから生じる排熱を有効利用して、効率良く液体アンモニアを予熱するという作用を有する。
特に、第4の発明が温水供給ラインを備えることで、環境に放出される排熱量を減らすことができる。
(【0011】以降は省略されています)

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