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公開番号2024167717
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-04
出願番号2023083975
出願日2023-05-22
発明の名称筋シナジー解析装置、筋シナジー解析方法、情報処理装置およびプログラム
出願人日本電信電話株式会社,公益財団法人東京都医学総合研究所
代理人弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
主分類A61B 5/372 20210101AFI20241127BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】実際の神経系の筋協調構造を模擬する筋シナジーの解析を可能にする。
【解決手段】この発明の一態様は、脳活動の特徴量を表す脳活動計測データと、解析対象の筋シナジーに係る複数の筋肉の筋活動の特徴量を表す筋活動計測データを取得する。そして、前記脳活動計測データと活動度計算パラメータとに基づいて前記筋シナジーの時系列的な活動の大きさを表す筋シナジー活動度を計算し、計算した前記筋シナジー活動度と筋肉重みパラメータとに基づいて前記筋シナジーに関係する前記複数の筋肉の活動を推定する。そして、前記筋活動計測データと前記筋活動の推定データとの間の誤差を計算し、計算した前記誤差を減少させるべく前記活動度計算パラメータおよび前記筋肉重みパラメータを更新する処理を繰り返し、前記誤差が収束したときの前記筋シナジー活動度および前記筋肉重みパラメータを前記筋シナジーの解析結果を表す情報として出力する。
【選択図】図3

特許請求の範囲【請求項1】
脳活動を計測し、前記脳活動の特徴量を表す脳活動計測データを出力する脳活動計測部と、
前記脳活動の計測と並行して、解析対象の筋シナジーに関係する複数の筋肉の筋活動を計測し、前記筋活動の特徴量を表す筋活動計測データを出力する筋活動計測部と、
前記脳活動計測部および筋活動計測部に接続される情報処理装置と
を具備し、
前記情報処理装置は、
前記脳活動計測データと予め用意された活動度計算パラメータとに基づいて、前記筋シナジーの時系列的な活動の大きさを表す筋シナジー活動度を計算する第1の処理部と、
前記筋シナジー活動度と予め用意された筋肉重みパラメータとに基づいて、前記筋シナジーに関係する前記複数の筋肉の前記筋活動を推定し、筋活動推定データを出力する第2の処理部と、
前記筋活動計測データと前記筋活動推定データとの間の誤差を計算し、前記誤差を減少させるべく前記活動度計算パラメータおよび前記筋肉重みパラメータを更新する第3の処理部と、
前記誤差が収束したときの前記筋シナジー活動度および前記筋肉重みパラメータを、前記筋シナジーの解析結果を表す情報として出力する第4の処理部と
を備える筋シナジー解析装置。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
脳活動計測部から、脳活動の特徴量を表す脳活動計測データを取得する第1の処理部と、
筋活動計測部から、前記脳活動の計測と並行して計測された、解析対象の筋シナジーに関係する複数の筋肉の筋活動の特徴量を表す筋活動計測データを取得する第2の処理部と、
前記脳活動計測データと予め用意された活動度計算パラメータとに基づいて、前記筋シナジーの時系列的な活動の大きさを表す筋シナジー活動度を計算する第3の処理部と、
前記筋シナジー活動度と予め用意された筋肉重みパラメータとに基づいて、前記筋シナジーに関係する前記複数の筋肉の筋活動を推定し、筋活動推定データを出力する第4の処理部と、
前記筋活動計測データと前記筋活動推定データとの間の誤差を計算し、前記誤差を減少させるべく前記活動度計算パラメータおよび前記筋肉重みパラメータを更新する第5の処理部と、
前記誤差が収束したときの前記筋シナジー活動度および前記筋肉重みパラメータを、前記筋シナジーの解析結果を表す情報として出力する第6の処理部と
を備える情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
複数の筋シナジーを解析対象とする場合に、前記複数の筋シナジーの各々について、前記第3の処理部および前記第4の処理部により前記筋シナジー活動度および前記筋活動推定データを計算し、
前記複数の筋シナジーについてそれぞれ計算された前記筋活動推定データを合成し、合成された前記筋活動推定データを前記第5の処理部に入力する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第3の処理部は、前記筋シナジー活動度として、前記筋シナジーの時系列的な活動の大きさを表すスカラー値を計算する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第6の処理部は、前記誤差の時系列上の変化が予め設定したしきい値未満になった場合に、前記誤差が収束したと判定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
脳活動計測部により、脳活動を計測して前記脳活動の特徴量を表す脳活動計測データを得る過程と、
筋活動計測部により、前記脳活動の計測と並行して解析対象の筋シナジーに関係する複数の筋肉の筋活動を計測し、前記筋活動の特徴量を表す筋活動計測データを得る過程と、
情報処理装置により、前記脳活動計測データと予め用意された活動度計算パラメータとに基づいて、前記筋シナジーの時系列的な活動の大きさを表す筋シナジー活動度を計算する過程と、
前記情報処理装置により、前記筋シナジー活動度と予め用意された筋肉重みパラメータとに基づいて、前記筋シナジーに関係する前記複数の筋肉の前記筋活動を推定し、筋活動推定データを出力する過程と、
前記情報処理装置により、前記筋活動計測データと前記筋活動推定データとの間の誤差を計算し、前記誤差を減少させるべく前記活動度計算パラメータおよび前記筋肉重みパラメータを更新する過程と、
前記情報処理装置により、前記誤差が収束したときの前記筋シナジー活動度および前記筋肉重みパラメータを、前記筋シナジーの解析結果を表す情報として出力する過程と
を備える筋シナジー解析方法。
【請求項7】
請求項2乃至5のいずれかに記載の情報処理装置が備える第1乃至第6の処理部が行う処理の少なくとも1つを、前記情報処理装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明の一態様は、複数の筋肉の協調構造を表す筋シナジーを解析するために用いる筋シナジー解析装置および筋シナジー解析方法と、筋シナジー解析装置に設けられる情報処理装置とそのプログラムに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
人の身体には、複数の筋肉を協調的に制御する仕組みが備わっており、この複数の筋肉の協調構造は「筋シナジー」と呼ばれている。一つの筋シナジーは、一つの運動ニューロンとそれに接続する複数の筋肉とから構成される。運動ニューロンは大脳皮質運動野などに存在し、その活動によって筋シナジーの活動度を定め、運動ニューロンと各筋肉との接続の強さによって筋シナジーの活動度に応じた筋活動が各筋肉において定まる。
【0003】
このような神経系と筋肉との接続的構造を数値解析によってモデル化する技術がある。その主要な技術の1つとして、筋活動によって生じる生体電位信号である筋電図(EMG )を複数筋部位で時系列的に計測した数値群を行列とみなし、行列の因子に分解する行列因子分解手法が知られている。行列因子分解手法のアルゴリズムとしては、例えば非特許文献1に記載されるように、非負値行列分解アルゴリズム(Non-negative Matrix Factorization: NMF)や独立成分分析手法等が用いられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Matthew C. Tresch, Vincent C.K. Cheung, and Andrea d’Avella. “Matrix Factorization Algorithms for the Identification of Muscle Synergies: Evaluation on Simulated and Experimental Data Sets.” Journal of neurophysiology VOL 95. APRIL 2006: 2199-2212.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、非特許文献1に記載された行列因子分解手法のアルゴリズムは、運動時に生じたEMG のみを対象に因子分解を行うものとなっている。このため、例えば神経系の異なる複数の筋協調構造が運動時に同様にEMG を発生する場合に、EMG のみを対象に因子分解すると、上記複数の筋協調構造が同一の筋シナジーとして導出されてしまう可能性がある。従って、実際の神経系の筋協調構造を模擬する筋シナジーの解析が困難だった。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、実際の神経系の筋協調構造を模擬する筋シナジーの解析を可能にする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためにこの発明に係る筋シナジー解析装置または解析方法の一態様は、脳活動計測部により脳活動を計測して前記脳活動の特徴量を示す脳活動計測データを得ると共に、筋活動計測部により前記脳活動の計測と並行して解析対象の筋シナジーに関係する複数の筋肉の筋活動を計測し、当該筋活動の特徴量を示す筋活動計測データを得る。そして情報処理装置により、前記脳活動計測データと予め用意された活動度計算パラメータとに基づいて、前記筋シナジーの時系列的な活動の大きさを表す筋シナジー活動度を計算し、計算した前記筋シナジー活動度と予め用意された筋肉重みパラメータとに基づいて、前記筋シナジーに関係する前記複数の筋肉の筋活動を推定する。そして、前記筋活動計測データと前記筋活動の推定データとの間の誤差を計算して、この誤差を減少させるべく前記活動度計算パラメータおよび前記筋肉重みパラメータを更新する処理を繰り返し実行し、前記誤差が収束したときの前記筋シナジー活動度および前記筋肉重みパラメータを、前記筋シナジーの解析結果を表す情報として出力するようにしたものである。
【0008】
この発明の一態様によれば、筋活動の計測と並行して脳活動が計測され、その計測データをもとに神経系に対応する筋シナジーの活動度と筋活動が推定される。そして、この筋活動の推定データと筋活動の計測データとの誤差が収束するまで、活動度計算パラメータおよび筋肉重みパラメータを更新する処理が繰り返し行われる。このため、神経系に対応する筋活動の推定値が反映された筋活動度と筋肉重みを筋シナジーとして導出することが可能となる。従って、神経系の異なる複数の筋協調構造が運動している場合に、それぞれの神経系に対応した筋シナジーを導出することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
すなわちこの発明の一態様によれば、実際の神経系の筋協調構造を模擬する筋シナジーの解析を可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、この発明の第1の実施形態に係る筋シナジー解析装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2は、図1に示した筋シナジー解析装置に設けられる情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3は、図1に示した筋シナジー解析装置に設けられる情報処理装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4は、図3に示した情報処理装置の制御部が実行する筋シナジー解析処理の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
図5は、この発明の第2の実施形態に係る筋シナジー解析装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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