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公開番号
2024165987
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2023082639
出願日
2023-05-18
発明の名称
インターリーブ方式高電圧比双方向DC-DCコンバータ
出願人
国立大学法人神戸大学
代理人
弁理士法人グローバル知財
主分類
H02M
3/155 20060101AFI20241121BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】放電モードでの電圧ダブラー特性と、充電モードでの分圧器特性を広範囲に拡張し、広い入力/出力範囲の用途のための電圧変換比の向上という点で優れた性能を有する双方向DC-DCコンバータを提供する。
【解決手段】インターリーブ方式双方向DC-DCコンバータにおいて、各相のインダクタ電流の合成値と基準値との誤差の増幅値に対して、充電モードと放電モードのモード毎にそれぞれ制御対象となる一部のスイッチの駆動パルスのオン時比率の上限又は下限のリミットが非対称に設けられ、スイッチングされる。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
インターリーブ方式双方向DC-DCコンバータにおいて、
各相のインダクタ電流の合成値と基準値との誤差の増幅値に対して、充電モードと放電モードのモード毎にそれぞれ制御対象となる一部のスイッチの駆動パルスのオン時比率の上限又は下限のリミットが非対称に設けられ、スイッチングされることを特徴とする双方向DC-DCコンバータ。
続きを表示(約 3,800 文字)
【請求項2】
前記DC-DCコンバータの回路は、
第1の低圧DC電源と第2の高圧DC電源の間に設けられ、
第1の低圧DC電源側フィルタキャパシタ(C
L
)と、
第2の高圧DC電源側フィルタキャパシタ(C
H
)と、
第1の低圧DC電源の正端子側に並列接続された2つの第1及び第2のインダクタ(L
1
,L
2
)と、
第1のインダクタ(L
1
)に直列接続された第2のスイッチ(Q
2
)と、
第2のスイッチ(Q
2
)と第2の高圧DC電源の正端子の間に接続された第1のスイッチ(Q
1
)と、
第1のインダクタ(L
1
)と第2の高圧DC電源の負端子との間に接続された第3のスイッチ(Q
3
)と、
第2のインダクタ(L
2
)と第2の高圧DC電源の負端子との間に接続された第4のスイッチ(Q
4
)と、
第1及び第2のスイッチ(Q
1
,Q
2
)の接続点と、第2のインダクタ(L
2
)と第4のスイッチ(Q
4
)の接続点の間に接続されたチャージポンプ(C
B
)と、
第1乃至第4のスイッチを制御する駆動回路、
を備え、
前記駆動回路は、
第1のインダクタ(L
1
)電流と第2のインダクタ(L
2
)電流の合成値と基準値との誤差の増幅値に対して、第1のスイッチ(Q
1
)のスイッチ駆動パルスのオン時比率の上限リミットと、第4のスイッチ(Q
4
)のスイッチ駆動パルスのオン時比率の下限リミットとが設けられる、請求項1に記載の双方向DC-DCコンバータ。
【請求項3】
第1のスイッチ(Q
1
)のスイッチ駆動パルスのオン時比率(D
Q1
)と第4のスイッチ(Q
4
)のスイッチ駆動パルスのオン時比率(D
Q4
)は、充電モードと放電モードによらず共通で、それぞれ、0<D
Q1
≦0.5,0<D
Q4
≦0.5であり、
第2のスイッチ(Q
2
)のスイッチ駆動パルスのオン時比率(D
Q2
)と第3のスイッチ(Q
3
)のスイッチ駆動パルスのオン時比率(D
Q3
)は、充電モードと放電モードによらず共通で、それぞれ、0<D
Q1
<1,0<D
Q4
<1である、請求項2に記載の双方向DC-DCコンバータ。
【請求項4】
前記駆動回路は、
第1のスイッチ(Q
1
)と第4のスイッチ(Q
4
)、及び、第2のスイッチ(Q
2
)と第3のスイッチ(Q
3
)を、それぞれ相補的に動作し、
第1のスイッチ(Q
1
)のオン時比率と第4のスイッチ(Q
4
)のオン時比率の合計、及び、第2のスイッチ(Q
2
)のオン時比率と第3のスイッチ(Q
3
)のオン時比率の合計は、共に1であり、
充電モード時、第2のスイッチ(Q
2
)のオン時比率が0.5未満である場合には、第1のスイッチ(Q
1
)と第2のスイッチ(Q
2
)のオン時比率は同一とし、第2のスイッチ(Q
2
)のオン時比率が0.5以上である場合には、第1のスイッチ(Q
1
)のオン時比率は0.5に固定する、
及び、
放電モード時、第3のスイッチ(Q
3
)のオン時比率が0.5未満である場合には、第4のスイッチ(Q
4
)のオン時比率は0.5に固定し、第3のスイッチ(Q
3
)のオン時比率が0.5以上である場合には、第4のスイッチ(Q
4
)と第3のスイッチ(Q
3
)のオン時比率は同一とする、請求項2に記載の双方向DC-DCコンバータ。
【請求項5】
第2の高圧DC電圧に対する第1の低圧DC電圧比は、充電モード時、第1のスイッチ(Q
1
)のオン時比率と第2のスイッチ(Q
2
)のオン時比率の積である、請求項3又は4に記載の双方向DC-DCコンバータ。
【請求項6】
第2の高圧DC電圧に対する第1の低圧DC電圧比は、放電モード時、値1から第3のスイッチ(Q
3
)のオン時比率を減算した値と、値1から第4のスイッチ(Q
4
)のオン時比率を減算した値との積の逆数である、請求項3又は4に記載の双方向DC-DCコンバータ。
【請求項7】
第1の低圧DC電源と第2の高圧DC電源の間に設けられ、
第1の低圧DC電源側フィルタキャパシタ(C
L
)と、
第2の高圧DC電源側フィルタキャパシタ(C
H
)と、
第1の低圧DC電源の正端子側に並列接続された2つの第1及び第2のインダクタ(L
1
,L
2
)と、
第1のインダクタ(L
1
)に直列接続された第2のスイッチ(Q
2
)と、
第2のスイッチ(Q
2
)と第2の高圧DC電源の正端子の間に接続された第1のスイッチ(Q
1
)と、
第1のインダクタ(L
1
)と第2の高圧DC電源の負端子との間に接続された第3のスイッチ(Q
3
)と、
第2のインダクタ(L
2
)と第2の高圧DC電源の負端子との間に接続された第4のスイッチ(Q
4
)と、
第1及び第2のスイッチ(Q
1
,Q
2
)の接続点と、第2のインダクタ(L
2
)と第4のスイッチ(Q
4
)の接続点の間に接続されたチャージポンプ(C
B
)と、
第1乃至第4のスイッチを制御する駆動回路、
を備えるインターリーブ方式双方向DC-DCコンバータの回路の制御方法であって、
第1のインダクタ(L
1
)電流と第2のインダクタ(L
2
)電流の合成値と基準値との誤差の増幅値に対して、第1のスイッチ(Q
1
)のスイッチ駆動パルスのオン時比率の上限リミットと、第4のスイッチ(Q
4
)のスイッチ駆動パルスのオン時比率の下限リミットとが設けられ、充電モード時に制御対象となる第1及び第2のスイッチ(Q
1
,Q
2
)と放電モード時に制御対象となる第3及び第4のスイッチ(Q
3
,Q
4
)をスイッチングする、双方向DC-DCコンバータの制御方法。
【請求項8】
前記駆動回路の制御は、
第1のスイッチ(Q
1
)と第4のスイッチ(Q
4
)、及び、第2のスイッチ(Q
2
)と第3のスイッチ(Q
3
)を、それぞれ相補的に動作するステップと、
第1のスイッチ(Q
1
)のオン時比率と第4のスイッチ(Q
4
)のオン時比率の合計、及び、第2のスイッチ(Q
2
)のオン時比率と第3のスイッチ(Q
3
)のオン時比率の合計は、共に1とするステップと、
充電モード時に、第2のスイッチ(Q
2
)のオン時比率が0.5未満である場合には、第1のスイッチ(Q
1
)と第2のスイッチ(Q
2
)のオン時比率は同一とし、第2のスイッチ(Q
2
)のオン時比率が0.5以上である場合には、第1のスイッチ(Q
1
)のオン時比率は0.5に固定するステップと、
放電モード時に、第3のスイッチ(Q
3
)のオン時比率が0.5未満である場合には、第4のスイッチ(Q
4
)のオン時比率は0.5に固定し、第3のスイッチ(Q
3
)のオン時比率が0.5以上である場合には、第4のスイッチ(Q
4
)と第3のスイッチ(Q
3
)のオン時比率は同一とするステップを備える、請求項7に記載の双方向DC-DCコンバータの制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターリーブ方式の双方向DC-DCコンバータに関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
近年アジア諸国では深刻な電力トラブルに見舞われており、消費者は、電気自動車(EV;Electric Vehicle)を接続する直流マイクログリッド(DC Micro-Grid)を停電時の潜在的な電源として用いている。この実現には、広範囲の電圧変換比を有する双方向DC-DCコンバータが必要である。
図12に示すような、太陽光発電(PV)用パワーコンディショナーや電力系統に電気自動車(EV)をつなげるV2Gシステムには、電位差の激しい2つの直流電圧源間で、双方向に電力を伝送できる双方向DC-DCコンバータが不可欠である。一般に、直流電圧源間の電位差が大きい場合、DC-DCコンバータを構成する半導体スイッチの耐圧が増加する傾向にあり、高耐圧のパワー半導体素子は電流導通損失が大きいことから、高効率な電力変換効率が達成し難い技術課題がある。
【0003】
また、双方向DC-DCコンバータの電力容量(動作電流)を向上させるため、2相の変換器を間欠駆動(インターリーブ)する回路方式がよく利用されるが、パワー半導体素子の動作責務や回路部品のパラメータのわずかな差異により電流の不均衡が起こりやすく、そのための電流バランス制御を必要とする。ここで、パワー半導体素子のオン時比率が50%以下という従来技術の制約を受ければ、電流不平衡は解消せず、昇降圧比の制限も受けることから、双方向DC-DCコンバータの応用先が限定的となる問題がある。
このような状況下、パワー半導体素子のオン時比率の制約が少なく、かつ、高昇降圧比を実現する双方向DC-DCコンバータの実用的回路トポロジーを確立することが求められている。
【0004】
燃料電池や太陽光発電(PV)のバッテリなど低電圧のクリーンエネルギー源に、一般的に使用されるコンバータの1つは、インターリーブ方式のバックブースト双方向DC/DCコンバータ(IBDC)である。あるシナリオでは、インターリーブ方式の昇降圧双方向DC/DCコンバータの高電圧変換比の要件が満たされない可能性があり、そのため、低電圧のクリーンエネルギー源は、AC主電源または高電圧のDCバスに接続された家電製品への電力供給には適していないと言われている。
【0005】
また、インターリーブ方式のチャージポンプ双方向DC/DCコンバータ(ICPBDC;Interleaved Charge-Pump Bidirectional DC-DC Converter)が知られている(非特許文献1)。ICPBDCは、従来のIBDC(Interleaved Bidirectional DC-DC Converter)と比較して、優れた電圧変換比を備えているが、動作中のアンバランスな電流条件により、分圧器特性および電圧ダブラー特性が失われるという重大な問題がある。すなわち、入力電流リプルを効果的に低減し装置容量増にも対応できるメリットを持つ一方、2相スイッチのオン時比率のリミット値がともに0.5であることが条件となる(降圧動作は0.5以下、昇圧動作は0.5以上)。本明細書では、このオン時比率の条件をFDCL(Fixed Duty Cycle Limit )と称す。このため、降圧動作では主となるスイッチのオン時比率が0.5以上の領域となり、昇圧動作では0.5以下の領域では2相電流のバランスが崩れ、高降圧および高昇圧特性が失われてしまう。
【0006】
かかる問題に対処するために、広範囲のDCバス電圧動作とインダクタ電流の平衡化を可能にするICPBDCの新たな提案が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特表2011-504356号公報
再表2018/066444号公報
【0008】
C. M. Lai, “Development of a Novel BidirectionalDC/DC Converter Topology with High Voltage Conversion Ratio for ElectricVehicles and DC-Microgrids”, Energies, Vol. 9, No. 6, pp.410:1-25, June 2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かかる状況に鑑みて、本発明は、降圧,昇圧の各動作に応じて2つの主スイッチのオン時比率を非対称かつ調整範囲に制限をつけることにより、2相インダクタ電流のバランスをとって、その結果、電圧変換比を改善することを図る。
すなわち、本発明は、ICPBDCにおける動作中のアンバランスな電流条件により、分圧器特性および電圧ダブラー特性が失われるといった問題を解決すべく、放電モードでの電圧ダブラー特性と、充電モードでの分圧器特性を広範囲に拡張し、広い入力/出力範囲の用途のための電圧変換比の向上という点で優れた性能を有する双方向DC-DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明の双方向DC-DCコンバータは、インターリーブ方式双方向DC-DCコンバータにおいて、各相のインダクタ電流の合成値と基準値との誤差の増幅値に対して、充電モードと放電モードのモード毎にそれぞれ制御対象となる一部のスイッチの駆動パルスのオン時比率の上限又は下限のリミットが非対称に設けられ、スイッチングされることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)
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