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公開番号
2024162334
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-21
出願番号
2023077731
出願日
2023-05-10
発明の名称
ピリジニック窒素を選択的に導入した含窒素炭素材料の製造方法
出願人
国立大学法人千葉大学
,
株式会社日本触媒
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C01B
32/184 20170101AFI20241114BHJP(無機化学)
要約
【課題】エッジに窒素原子が導入されて構造が精密に制御された含窒素炭素材料を、取り扱い易い原料を用い、温和な条件で簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態による含窒素炭素材料の製造方法は、前駆体化合物(A)を加熱する加熱工程(I)を含む。前駆体化合物(A)は、ピリジン環(a)と芳香族環(b)とを有する。芳香族環(b)は、ピリジン環(a)に単結合により結合している。芳香族環(b)は、ベンゼン環およびピリジン環からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
前駆体化合物(A)を加熱する加熱工程(I)を含み、
前記前駆体化合物(A)は、
ピリジン環(a)と、
前記ピリジン環(a)に単結合により結合している、ベンゼン環およびピリジン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族環(b)と、を有する、
含窒素炭素材料の製造方法。
続きを表示(約 450 文字)
【請求項2】
前記芳香族環(b)は、ピリジン環である、請求項1に記載の含窒素炭素材料の製造方法。
【請求項3】
前記前駆体化合物(A)は、ポリピリジンである、請求項1に記載の含窒素炭素材料の製造方法。
【請求項4】
前記前駆体化合物(A)は、ハロゲン元素を有する、請求項1に記載の含窒素炭素材料の製造方法。
【請求項5】
前記前駆体化合物(A)は、化合物(1)~(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の含窒素炭素材料の製造方法。
TIFF
2024162334000004.tif
33
170
ここで、R
1
~R
4
は、それぞれ、水素または臭素であり、nは、2~500の整数である。
【請求項6】
前記加熱工程(I)における前記前駆体化合物(A)の加熱温度が300℃~1000℃である、請求項1に記載の含窒素炭素材料の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリジニック窒素を選択的に導入した含窒素炭素材料の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、人造黒鉛、カーボンブラックなどの炭素材料は、それぞれ、その特徴的な物性に起因して、各種分野における新規な機能性材料として期待されている(例えば、非特許文献1~6)。
【0003】
グラフェンは2次元シート状の炭素材料であり、sp2炭素による六員環で敷き詰められた構造をしている。グラファイトは、通常、2次元シート状のグラフェン同士がファンデルワールス力で結合した多数の積層構造をしているものを指すが、1層のものをグラフェンと称する。2層-5層のグラフェンが積層した材料は数層グラフェンと呼び,3層以上のグラフェンが積層した材料を多層グラフェンと呼ぶ。1層のグラフェンではベーサル面に官能基を導入することでグラフェン自体の特性や形状が大きく変化する。3層以上となると、グラフェンのベーサル面に官能基を導入しても中心部のグラフェンは直接影響を受けにくくなる。そのため,3層以上のグラフェンは基本的には層数が増加し、比表面積が減少する以外には際立った性質の違いは現れにくくなる。
【0004】
グラフェンの存在は古くから知られていたが、グラファイトから1枚のグラフェンを取り出す方法は最近まで確立されていなかった。2004年になって、高配向性の無水グラファイトの表面を粘着テープで剥離し、剥離したものを基板の上に貼り付ける方法によってグラフェンの薄片を取り出せることが見出され、その後、大量生産や低コスト生産を目指して、CVD(化学気相蒸着製膜法)などの気相製膜法によるグラフェンの製造方法や、酸化グラフェン(GO)の還元法によるグラフェン(還元型酸化グラフェン:RGO)の製造方法が検討されている。
【0005】
しかし、CVD(化学気相蒸着製膜法)などの気相製膜法によるグラフェンの製造方法は、膜以外の形状(代表的には、バルク状)として得ることができないという問題、可燃性ガスを使用しなければならないという問題、Cu等の触媒性能を有する金属基板上に製膜させるため、金属が不純物として含有してしまうという問題、金属表面のみの製造であって大量製造できないという問題がある。
【0006】
また、同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物を加熱して炭素材料を製造する方法が開示されている(特許文献1)。この技術では温和な条件で炭素材料が合成できることが示されている。
【0007】
工業的に製造されている炭素材料は、様々な官能基を有している。このため、炭素材料の構造を精密に制御することが難しく、物性にばらつきが生じてしまうという問題がある。近年、狙った物性を確実に発現できる炭素材料が求められており、このため、構造が精密に制御された炭素材料の開発が求められている。
【0008】
このような構造が精密に制御された炭素材料の中でも、エッジに炭素以外の原子が導入されて構造が精密に制御された炭素材料を得ることができれば、各種用途への応用が期待される。特に、エッジに窒素原子が導入されて構造が精密に制御された含窒素炭素材料は、応用範囲が広い可能性がある。
【0009】
近年、エッジに窒素原子すなわちピリジニック窒素が導入されたグラフェン(非特許文献7)やグラフェンナノリボン(非特許文献8~10)、酸化グラフェン(非特許文献11)等の種々の炭素材料が報告されている(非特許文献12~15)。ピリジニック窒素の構造制御状態が高いものとして、グラフェンについては89%程度(非特許文献7)、グラフェンナノリボンについては75%程度(非特許文献8)、酸化グラフェンについては80%程度制御されていると考えられる(非特許文献11)。しかし、グラフェンにおいては600℃以下という低温で調製されており、触媒作用を示す銅が金属基板として使用されている(非特許文献7)。このため、上述のように、金属が不純物として含有してしまうという問題、金属表面のみの製造であって大量製造できないという問題がある。グラフェンナノリボンに関する上記3報の報告の内の2報(非特許文献8、9)では、金属基板は使用されていない。しかし、非特許文献8に記載の技術においては、2つのピリジニック窒素がオルト位で導入された構造を有して臭素化された原料を使用しており、原料の取り扱い性が容易ではないという問題がある。また、非特許文献9においては、ピリジニック窒素がパラ位で導入されたグラフェンナノリボンが報告されているが、その解析が十分になされておらず、構造が精密に制御されているかについては検討されていない。さらに、非特許文献11に記載の酸化グラフェンについては、熱処理が行われておらず、耐久性が低いと考えられる。これらの他にも、非特許文献12、13、14、15に記載の炭素材料においては、ピリジニック窒素の構造制御状態は高くない(非特許文献12に記載の炭素材料で45%、非特許文献13に記載の炭素材料で60%~70%、非特許文献14に記載の炭素材料で70%、非特許文献15に記載の炭素材料で73%)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2019-085298号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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