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公開番号
2025061458
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-10
出願番号
2025007274,2023200421
出願日
2025-01-20,2014-09-12
発明の名称
R-ケタミンおよびその塩の医薬品としての応用
出願人
国立大学法人千葉大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
A61K
31/135 20060101AFI20250403BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】
本発明の課題は、うつ症状を示す疾患に対して即効性かつ長期持続性の治療効果を有する新たな化合物を提供すること。
【解決手段】
R(-)-ケタミンまたはその薬理学的に許容される塩からなるうつ症状の予防および/または治療用薬剤、並びにR(-)-ケタミンまたはその薬理学的に許容される塩をうつ症状の軽減に有効な量含有し、S(+)-ケタミンまたはその薬理学的に許容される塩を実質的に含まない、うつ症状の予防および/または治療用医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
R(-)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であって、該組成物は、自閉症スペクトラム障害のうつ症状の治療に使用するために、S(+)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩を実質的に含まない、医薬組成物。
続きを表示(約 940 文字)
【請求項2】
前記医薬組成物が非経口投与用に製剤化されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物が、静脈内、筋肉内、皮下、経鼻、経口、直腸または経皮投与用に製剤化されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物が、液体、溶液、懸濁液、粉末、錠剤、コーテイング錠、カプセル、トローチ、クリーム、座薬、塗布薬(リニメント)、パッチ薬、噴霧剤、若しくはゲルの剤型である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記非経口投与が、約0.01 mg~約1,000 mg/人/日、または約0.1 mg~500 mg/人/日のR(-)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記経口投与が、約0.01 mg~約500 mg/人/日、または約0.1 mg~100 mg/人/日のR(-)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記R(-)-ケタミンの薬学的に許容される塩が、R(-)-ケタミン塩酸塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物が、S(+)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩を実質的に含まないことが、S(+)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩を含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、S(+)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩を実質的に含まないことが、S(+)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩の副作用が生じないような量を含むことを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
R(-)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、該医薬組成物は、自閉症スペクトラム障害のうつ症状の治療に使用するために、S(+)-ケタミンまたはその薬学的に許容される塩を実質的に含まず、かつ該治療には対象に治療有効量の該医薬組成物を投与する、医薬組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、精神疾患、好ましくはうつ症状を示す疾患の予防および/または治療のための医薬に関する。さらに詳しくは、本発明は、R-ケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩からなる抗うつ剤、並びにR-ケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩を含有し、S-ケタミンまたはその薬学的に許容し得る塩を実質的に含まない、うつ症状を示す疾患の予防および/または治療用医薬組成物に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)
【背景技術】
【0002】
社会生活様式の変化や社会の高齢化に伴い、精神疾患や神経疾患などの様々な疾患は、全体として増加する傾向にある。例えば、代表的な精神疾患であるうつ病や統合失調症は発症率が高く、医療経済という点からも大きな問題となっている。また、強迫性障害は、強迫観念と強迫行動からなる不安障害の一つである。うつ病、統合失調症、不安障害、および自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)などの精神疾患の治療には、薬物治療が不可欠であり、抗うつ薬(三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、およびセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬など)や抗精神病薬(フェノチアジン系化合物、ブチロフェノン系化合物、ベンズアミド系化合物、イミノジベンジル系化合物、チエピン系化合物、インドール系化合物およびセロトニン・ドーパミン受容体遮断薬など)などが投与されている。しかしながら、臨床の場で実際に使用されているこれらの薬剤は、一部の患者や一部の症状には有効であるが、これらの薬剤では効果が無い、いわゆる治療抵抗性の患者が存在することも知られており、新しい治療薬の開発が切望されている。既存の薬物では、これらの精神疾患に対する十分な治療効果が出ているとは言い難く、現実的には有効な予防法や治療法はほとんど無いのが現状である。
【0003】
うつ病治療における主要な問題の一つは、抗うつ薬の効果とさらにその補強療法の効果に限界があることである。現在の抗うつ薬の薬効発現には数週間以上を要し、またこれらの抗うつ薬に奏功しない治療抵抗性患者が存在する。そのため、うつ病患者のわずか50%しか寛解に至らないとも言われている。また、寛解を求めて抗うつ薬の用量を上げていけば、患者は多くの副作用に悩まされることになる。さらにうつ病は自殺の原因の一つである。また、 高齢者のうつ病がアルツハイマー病や脳血管性痴呆などの認知症の危険因子であることが報告されている(非特許文献1)
【0004】
最近の研究では、うつ病や双極性障害などの気分障害の病態生理にグルタミン酸の伝達障害、特にN-メチル-D-アスパラギン酸(以下、NMDAと略称する)受容体を介したグルタミン酸神経伝達が関連しており、神経生物学においても大うつ病性障害(major depressive disorder;以下、MDDと略称する)の治療においても主要な役割を果たしていることを示唆する証拠が次々と挙がってきている(非特許文献2)。
【0005】
NMDA受容体アンタゴニストであるケタミンが、治療抵抗性MDD患者および治療抵抗性双極性障害のうつ症状に即効性かつ強力な抗うつ効果を示すことが報告されている(非特許文献3-5)。またケタミンは治療抵抗性の強迫性障害および治療抵抗性心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic stress disorder;以下、PTSDと略称する)にも有効であることが報告された(非特許文献6-8)。さらに、ケタミンは、うつ病患者の自殺念慮を抑制する作用があることが報告されている(非特許文献9)。加えて、ケタミンによる自閉症スペクトラム障害の治療に関する報告がある(非特許文献10)。ケタミンは、1962年に麻酔薬として開発された化合物であり、1965年から臨床応用が開始されたが、幻覚や妄想などの精神症状および依存性が問題となり、規制薬物に指定されている。現在では、臨床現場では、麻酔薬および慢性疼痛の治療として使用されている。
【0006】
ケタミンの臨床的抗うつ効果は、その単回投与後の数時間後から、1~2日という短期間の持続であるという報告がある一方、2週間以上にわたって持続できるかもしれないといった報告がある(非特許文献3、4、11)。また、ケタミンには精神病症状惹起作用という副作用があり、ケタミンの抗うつ効果は、その副作用が消失するまで発現しなかったことが報告されている(非特許文献3、4)。
【0007】
ケタミン(またはRS(±)-ケタミンとも称する)は、ラセミ体混合物であり、R(-)-ケタミンとS(+)-ケタミンとを等量含む。R(-)-ケタミンおよびS(+)-ケタミンはそれぞれ、ケタミンのR-異性体およびS-異性体ともいう。S(+)-ケタミンはNMDA受容体に対する親和性がR-異性体より約4倍高い(非特許文献12)。さらに、S(+)-ケタミンはR-異性体と比較して、麻酔効果が約3-4倍強く、そして、精神病症状惹起性の副作用も強い(非特許文献12)。このように、ケタミンの精神病症状惹起作用の強度はNMDA受容体の遮断強度と相関する(非特許文献12)。健常ボランティアのポジトロン断層法(PET)試験では、精神病症状惹起作用量のS(+)-ケタミン、すなわち15mgの静脈内注入を5分間、ついで0.014-0.02mg/kg/分の用量の注入を53分間行うことにより、前頭皮質および視床でのグルコースの脳代謝速度(cerebral metabolic rate of glucose;以下、CMRgluと略称する)が顕著に上昇することが証明された(非特許文献13)。対照的に、等分子用量のR(-)-ケタミンは脳領域に亘ってCMRgluを減少させる傾向を示し、リラックス状態および幸福感を生じたが、精神病症状を引き起こさなかった(非特許文献13)。
【0008】
このように、ケタミンの鎮痛作用および精神病症状惹起作用はいずれも、主としてNMDA受容体の遮断により媒介されていると一般的に理解されており、S-異性体のNMDA受容体への親和性が高いことから、ケタミンのこれらの作用は、主にS-異性体により引き起こされると考えられている。
【0009】
現在、ケタミンは治療抵抗性MDD患者、治療抵抗性双極性障害のうつ症状、治療抵抗性強迫性障害、および治療抵抗性PTSDの治療に注目されている薬剤の1つである(非特許文献5-12)。これまでの症例報告では治療抵抗性MDD患者におけるS(+)-ケタミン(0.25mg/kg、静脈内投与)の抗うつ効果はRS(±)-ケタミン(0.5mg/kg、静脈内投与)の該効果よりも弱いことが報告されている(非特許文献14)。さらに、非盲検試験(非特許文献15)および症例報告(非特許文献16)で、うつ病患者での有効経口用量のRS(±)-ケタミンおよびS(+)-ケタミンがそれぞれ0.5mg/kgおよび1.25mg/kgであることが示されている。また、ケタミンの鼻腔内投与による治療抵抗性MDD患者の治療効果も報告されている(特許文献1、非特許文献17)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
国際公開第2007/111880号パンフレット
米国特許第6040479号明細書
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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