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公開番号
2024162145
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-21
出願番号
2023077406
出願日
2023-05-09
発明の名称
ひび割れ検出方法とひび割れ検出装置、及びプログラム
出願人
大成建設株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
G06T
7/12 20170101AFI20241114BHJP(計算;計数)
要約
【課題】ひび割れ1本ごとの方向を高い精度で分類することのできる、ひび割れ検出方法とひび割れ検出装置、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】ひび割れ検出方法は、入力画像作成工程と、ウェーブレット画像作成工程と、二値化画像作成工程と、ひび割れ画像作成工程と、セグメンテーション画像作成工程、ひび割れ方向分類工程を有し、ひび割れ方向分類工程は、セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れ毎に、該ひび割れの総延長を所定数で分割して複数の分割ひび割れを作成する、分割ひび割れ作成工程と、各ラベルのひび割れにおいて、該ひび割れを構成する各分割ひび割れの方向を、該分割ひび割れの始点と終点の座標を用いて判定し、全ての該分割ひび割れの方向に基づいて該ひび割れの方向を判定する、ひび割れ方向判定工程とを有する。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
ひび割れを内包するコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力して入力画像を作成する、入力画像作成工程と、
前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行する、もしくは、コンクリート表面におけるひび割れの特徴をコンピュータに学習させた学習情報に基づいて、前記入力画像からひび割れと想定される想定ひび割れを抽出し、該想定ひび割れに沿って描画して想定ひび割れ描画ラインを作成し、該想定ひび割れ描画ラインを含む描画含有画像に対してウェーブレット変換処理を実行する、もしくは、前記入力画像に対してひび割れと想定されるひび割れ想定線に沿って付されたパスを含むパス画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成する、ウェーブレット画像作成工程と、
ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルを用いて、前記ウェーブレット画像の各画素を二値化して二値化画像を作成する、二値化画像作成工程と、
前記二値化画像に対して、幾何学的な連結性を備えた塊状の図形を個々のひび割れにラベリングし、ラベリングされた複数の該ひび割れを備えるひび割れ画像を作成する、ひび割れ画像作成工程と、
前記ひび割れ画像において、分離している複数のひび割れのうち、本来的には連続したひび割れであると判定されるひび割れの端点同士を繋いでセグメンテーション画像を作成する、セグメンテーション画像作成工程と、
前記セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れを、複数の方向カテゴリー毎に分類する、ひび割れ方向分類工程とを有し、
前記ひび割れ方向分類工程は、
前記セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れ毎に、該ひび割れの総延長を所定数で分割して複数の分割ひび割れを作成する、分割ひび割れ作成工程と、
各ラベルのひび割れにおいて、該ひび割れを構成する各分割ひび割れの方向を、該分割ひび割れの始点と終点の座標を用いて判定し、全ての該分割ひび割れの方向に基づいて該ひび割れの方向を判定する、ひび割れ方向判定工程とを有することを特徴とする、ひび割れ検出方法。
続きを表示(約 2,600 文字)
【請求項2】
前記分割ひび割れ作成工程では、前記分割ひび割れの長さが所定の目安長さ以下となるまで、該ひび割れを前記所定数で割る演算を順次実行することを特徴とする、請求項1に記載のひび割れ検出方法。
【請求項3】
前記ひび割れ方向判定工程では、全ての前記分割ひび割れの方向のうち、5割以上の割合を占める方向がある場合は、当該方向を前記ひび割れの方向として判定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のひび割れ検出方法。
【請求項4】
全てのラベルのひび割れが、一方向ひび割れと二方向ひび割れのいずれであるかを分類する、全体ひび割れ状態分類工程をさらに有し、
前記全体ひび割れ状態分類工程では、
全てのラベルの前記ひび割れに含まれる、全ての前記分割ひび割れの方向に基づいて、主たるひび割れ方向のひび割れの割合が所定割合を超える場合に一方向ひび割れに分類し、主たるひび割れ方向のひび割れの割合が所定割合以下の場合に二方向ひび割れに分類することを特徴とする、請求項1又は2に記載のひび割れ検出方法。
【請求項5】
コンピュータに入力された、ひび割れを内包するコンクリート表面の撮影画像に基づいて入力画像を作成する入力画像作成部と、
前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行する、もしくは、コンクリート表面におけるひび割れの特徴をコンピュータに学習させた学習情報に基づいて、前記入力画像からひび割れと想定される想定ひび割れを抽出し、該想定ひび割れに沿って描画して想定ひび割れ描画ラインを作成し、該想定ひび割れ描画ラインを含む描画含有画像に対してウェーブレット変換処理を実行する、もしくは、前記入力画像に対してひび割れと想定されるひび割れ想定線に沿って付されたパスを含むパス画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成するウェーブレット画像作成部と、
ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルを用いて、前記ウェーブレット画像の各画素を二値化して二値化画像を作成する二値化画像作成部と、
前記二値化画像に対して、幾何学的な連結性を備えた塊状の図形を個々のひび割れにラベリングし、ラベリングされた複数の該ひび割れを備えるひび割れ画像を作成する、ひび割れ画像作成部と、
前記ひび割れ画像において、分離している複数のひび割れのうち、本来的には連続したひび割れであると判定されるひび割れの端点同士を繋いでセグメンテーション画像を作成する、セグメンテーション画像作成部と、
前記セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れを、複数の方向カテゴリー毎に分類する、ひび割れ方向分類部とを有し、
前記ひび割れ方向分類部は、
前記セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れ毎に、該ひび割れの総延長を所定数で分割して複数の分割ひび割れを作成する、分割ひび割れ作成部と、
各ラベルのひび割れにおいて、該ひび割れを構成する各分割ひび割れの方向を、該分割ひび割れの始点と終点の座標を用いて判定し、全ての該分割ひび割れの方向に基づいて該ひび割れの方向を判定する、ひび割れ方向判定部とを有することを特徴とする、ひび割れ検出装置。
【請求項6】
前記分割ひび割れ作成部では、前記分割ひび割れの長さが所定の目安長さ以下となるまで、該ひび割れを前記所定数で割る演算を順次実行することを特徴とする、請求項5に記載のひび割れ検出装置。
【請求項7】
前記ひび割れ方向判定部では、全ての前記分割ひび割れの方向のうち、5割以上の割合を占める方向がある場合は、当該方向を前記ひび割れの方向として判定することを特徴とする、請求項5又は6に記載のひび割れ検出装置。
【請求項8】
コンクリート表面上のひび割れを検出するコンピュータに以下の処理を実行させるプログラムであって、
ひび割れを内包するコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力して入力画像を作成する、入力画像作成工程と、
前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行する、もしくは、コンクリート表面におけるひび割れの特徴をコンピュータに学習させた学習情報に基づいて、前記入力画像からひび割れと想定される想定ひび割れを抽出し、該想定ひび割れに沿って描画して想定ひび割れ描画ラインを作成し、該想定ひび割れ描画ラインを含む描画含有画像に対してウェーブレット変換処理を実行する、もしくは、前記入力画像に対してひび割れと想定されるひび割れ想定線に沿って付されたパスを含むパス画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成する、ウェーブレット画像作成工程と、
ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルを用いて、前記ウェーブレット画像の各画素を二値化して二値化画像を作成する、二値化画像作成工程と、
前記二値化画像に対して、幾何学的な連結性を備えた塊状の図形を個々のひび割れにラベリングし、ラベリングされた複数の該ひび割れを備えるひび割れ画像を作成する、ひび割れ画像作成工程と、
前記ひび割れ画像において、分離している複数のひび割れのうち、本来的には連続したひび割れであると判定されるひび割れの端点同士を繋いでセグメンテーション画像を作成する、セグメンテーション画像作成工程と、
前記セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れを、複数の方向カテゴリー毎に分類する、ひび割れ方向分類工程とを有し、
前記ひび割れ方向分類工程は、
前記セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れ毎に、該ひび割れの総延長を所定数で分割して複数の分割ひび割れを作成する、分割ひび割れ作成工程と、
各ラベルのひび割れにおいて、該ひび割れを構成する各分割ひび割れの方向を、該分割ひび割れの始点と終点の座標を用いて判定し、全ての該分割ひび割れの方向に基づいて該ひび割れの方向を判定する、ひび割れ方向判定工程とを有することを特徴とする、プログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひび割れ検出方法とひび割れ検出装置、及びプログラムに関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
現在、道路や橋梁、トンネルといった様々なインフラ施設の老朽化が進んでおり、改修工事が各地で行われ、また改修計画が進められている。インフラ施設の多くは鉄筋コンクリート構造物(RC(Reinforced Concrete)構造物)や鋼構造物であるが、例えば竣工から40年以上が経過したRC構造物等の表面上には、様々な損傷部が存在している。この損傷部の具体例として、コンクリート表面上においては、ひび割れや白華、遊離石灰、錆汁等が挙げられる。
RC構造物等の改修工事や改修計画に際しては、まず、インフラ施設の技術担当者や業務委託された調査会社もしくは建設会社の技術担当者により、RC構造物等の表面の点検が実施される。この点検では、ひび割れの幅や長さ、遊離石灰等の形状や面積などが定量的に評価され、この定量評価に基づいて、構造物の改修施工の有無やメンテナンスの有無等が判断されることになる。
【0003】
ところで、RC構造物のコンクリート表面におけるひび割れを定量的に検出する方法が種々提案されている(特許文献1乃至7参照)。これら特許文献1乃至7にて提案されているひび割れ検出方法はいずれも、ウェーブレット変換処理と二値化処理を実行する方法を共通の工程とした上で、必要に応じてノイズ除去処理を実行してひび割れを検出する方法である。これらのひび割れ検出方法によれば、コンクリート表面の汚れや照明条件などによりひび割れの検出が困難な場合においても、高精度にひび割れの検出を行うことができる。
【0004】
一方、特許文献8には、検査対象のコンクリート表面に存在する多数のひび割れが、全体として一方向ひび割れと二方向ひび割れのいずれであるかを定量的に分類することを可能にした、コンクリート表面上のひび割れ方向特定方法が提案されている。
このコンクリート表面上のひび割れ方向特定方法は、ひび割れを内包するコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力して入力画像を作成する入力画像作成工程と、入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成するウェーブレット画像作成工程と、ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルを用いて、前記ウェーブレット画像の各画素を二値化して二値化画像を作成する二値化画像作成工程と、二値化画像における各ひび割れを、複数の方向カテゴリー毎に分類するひび割れ方向分類工程とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2006-162583号公報
特開2008-267943号公報
特開2008-185510号公報
特開2010-121992号公報
特開2012-002531号公報
特開2013-117409号公報
特開2013-002839号公報
特開2019-102031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献8に記載のコンクリート表面上のひび割れ方向特定方法によれば、検査対象のコンクリート表面に存在する多数のひび割れが、全体として一方向ひび割れと二方向ひび割れのいずれであるかを定量的に分類することができる。すなわち、このひび割れ方向特定方法は、検査対象のコンクリート表面に存在する多数のひび割れが、全体として一方向ひび割れと二方向ひび割れのいずれであるかを特定するものであり、個々のひび割れの方向を高精度に特定する手段を開示するものではない。
コンクリート構造物の状態把握においては、ひび割れ1本ごとの方向を高精度に分類できることが望ましい。
【0007】
本発明は、ひび割れ1本ごとの方向を高い精度で分類することのできる、ひび割れ検出方法とひび割れ検出装置、及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明によるひび割れ検出方法の一態様は、
ひび割れを内包するコンクリート表面の撮影画像をコンピュータに入力して入力画像を作成する、入力画像作成工程と、
前記入力画像に対してウェーブレット変換処理を実行する、もしくは、コンクリート表面におけるひび割れの特徴をコンピュータに学習させた学習情報に基づいて、前記入力画像からひび割れと想定される想定ひび割れを抽出し、該想定ひび割れに沿って描画して想定ひび割れ描画ラインを作成し、該想定ひび割れ描画ラインを含む描画含有画像に対してウェーブレット変換処理を実行する、もしくは、前記入力画像に対してひび割れと想定されるひび割れ想定線に沿って付されたパスを含むパス画像に対してウェーブレット変換処理を実行し、各画素がウェーブレット係数を有するウェーブレット画像を作成する、ウェーブレット画像作成工程と、
ウェーブレット係数の閾値となるウェーブレット係数テーブルを用いて、前記ウェーブレット画像の各画素を二値化して二値化画像を作成する、二値化画像作成工程と、
前記二値化画像に対して、幾何学的な連結性を備えた塊状の図形を個々のひび割れにラベリングし、ラベリングされた複数の該ひび割れを備えるひび割れ画像を作成する、ひび割れ画像作成工程と、
前記ひび割れ画像において、分離している複数のひび割れのうち、本来的には連続したひび割れであると判定されるひび割れの端点同士を繋いでセグメンテーション画像を作成する、セグメンテーション画像作成工程と、
前記セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れを、複数の方向カテゴリー毎に分類する、ひび割れ方向分類工程とを有し、
前記ひび割れ方向分類工程は、
前記セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れ毎に、該ひび割れの総延長を所定数で分割して複数の分割ひび割れを作成する、分割ひび割れ作成工程と、
各ラベルのひび割れにおいて、該ひび割れを構成する各分割ひび割れの方向を、該分割ひび割れの始点と終点の座標を用いて判定し、全ての該分割ひび割れの方向に基づいて該ひび割れの方向を判定する、ひび割れ方向判定工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、入力画像からウェーブレット画像を作成し、ウェーブレット画像から二値化画像を作成し、二値化画像からひび割れ画像を作成し、ひび割れ画像からセグメンテーション画像を作成した後、セグメンテーション画像における各ラベルのひび割れ毎に、ひび割れの総延長を所定数で分割して複数の分割ひび割れを作成し、各ラベルのひび割れを構成する各分割ひび割れの方向をその始点と終点の座標を用いて判定し、全ての分割ひび割れの方向に基づいてひび割れの方向を判定することにより、ひび割れ1本ごとの方向を高い精度で分類することが可能になる。
セグメンテーション画像における各ラベルの1本ごとのひび割れの総延長を、例えば2乃至10程度の所定数で分割して複数の分割ひび割れを作成し、各分割ひび割れの方向を特定することにより、1本のひび割れが様々な方向に蛇行する線形を有する場合であっても、当該様々な方向を複数の分割ひび割れの方向として特定でき、特定された複数の分割ひび割れの方向に基づいて1本のひび割れの方向を特定することができる。
複数の分割ひび割れの方向に基づいて1本のひび割れの方向を特定する方法としては、主たる方向に関する閾値を設けておき、特定された複数の分割ひび割れの方向のうち、閾値を超える方向がある場合はこの方向を1本のひび割れの方向として特定する方法を挙げることができる。一方、閾値を超える方向がない場合は、判別不能とし、主たる方向を備えていないひび割れと判定してよい。
【0010】
セグメンテーション画像を作成するセグメンテーション画像作成工程においては、ひび割れの端点間の距離を特定し、端点間距離に関する閾値と端点間距離とを比較し、端点間距離が特定された2つのひび割れが同一ラベルのひび割れであるか否かを判定することができる。また、画像解析により、端点同士が離間しているひび割れを、別々のひび割れとしてピクセル単位で精度よく特定し、出力できることに加えて、セグメンテーション画像では、点検者による点検結果と同様に、条件を満たすひび割れ同士を、ピクセル単位ではなくて同一ラベルのひび割れとして特定し、出力することができる。出力に際しては、ピクセル単位の出力方法と、セグメンテーション画像としての出力方法のいずれか一方もしくは双方を選択的に出力できるようにしておくこともできる。
(【0011】以降は省略されています)
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