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公開番号2024161803
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-20
出願番号2023076845
出願日2023-05-08
発明の名称磁気共鳴電気特性トモグラフィ
出願人国立大学法人千葉大学,シンガポール・ユニバーシティ・オブ・テクノロジー・アンド・デザイン,Singapore University of Technology and Design
代理人個人,個人,個人,個人
主分類A61B 5/055 20060101AFI20241113BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】ノイズロバスト性に優れ、汎化性に優れる磁気共鳴電気特性トモグラフィを提供する。
【解決手段】磁気共鳴電気特性トモグラフィであって、拡散係数ρと対流係数βとを係数として波動物理による物理モデルを用いて導電率を求める第1手段と、拡散係数ρと対流係数βとを物理モデルのパラメータを利用したデータ駆動型の機械学習モデルにより学習する第2手段と、を備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
磁気共鳴電気特性トモグラフィであって、
拡散係数ρと対流係数βとを係数として波動物理による物理モデルを用いて導電率マップを再構成する第1手段と、
前記拡散係数ρと前記対流係数βとを前記物理モデルのパラメータを利用したデータ駆動型の機械学習モデルにより学習する第2手段と、
を備えていることを特徴とする磁気共鳴電気特性トモグラフィ。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記物理モデルは、β(∇φ
tr
・∇γ)+γ∇

φ
tr
-ρ∇

γ=ωμ

であり、
前記パラメータは、φ
tr
、∇φ
tr
、∇

φ
tr
である(ここで、φ
tr
は正規化送信位相である。γは導電率σの逆数(γ=1/σ)である。ωはラーモア周波数である。μ

は真空の透磁率である。)ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴電気特性トモグラフィ。
【請求項3】
前記機械学習モデルは、ニューラルネットワークを用いた学習モデルであることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴電気特性トモグラフィ。
【請求項4】
前記拡散係数ρと前記対流係数βとをそれぞれ別のニューラルネットワークにより求めることを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴電気特性トモグラフィ。
【請求項5】
前記第1手段により再構成された導電率マップとGround truth導電率マップとの差分を求め、前記第2手段にフィードバックする第3手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気共鳴電気特性トモグラフィ。
【請求項6】
前記拡散係数ρと前記対流係数βは、それぞれグローバル係数マップであることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴電気特性トモグラフィ。
【請求項7】
前記拡散係数ρと前記対流係数βは、それぞれローカル係数マップであることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴電気特性トモグラフィ。
【請求項8】
前記拡散係数ρと前記対流係数βをテストサンプルのノイズの状況によってグローバル係数マップとローカル係数マップのいずれかに選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴電気特性トモグラフィ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電気特性を組織コントラストとして用いた画像の再構成のための磁気共鳴電気特性トモグラフィ、特に物理結合神経回路網磁気共鳴電気特性トモグラフィに関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
ヒト組織の電気特性(EPs;導電率σ、誘電率ε)は、様々な病態やその発生を識別するのに役立つ定量的なバイオマーカーであり、EPsを組織コントラストとして用いた画像(導電率マップ、誘電率マップ)は、癌組織の早期診断に応用できる可能性がある。
【0003】
磁気共鳴電気特性トモグラフィ(MREPT)は、MRI装置により測定されたラジオ波磁場(RF場)を用いてEPsを再構成する画像診断法である。従来、MREPTは、Maxwell方程式に基づく標準的な解析モデル(std-EPT)を数値的に解くことにより導電率マップを再構成するものが知られている。このような解析的なMREPTの数値解法は、簡単な手法である反面、解析モデルの背後にある均一性の仮定、すなわち導電率は一定であるとする仮定の不正確さや数値誤差に起因して組織境界で境界アーティファクトが発生し、再構成精度が低くなるという問題がある。
【0004】
非特許文献1では、Maxwell方程式に基づく解析モデルから均一性の仮定を取り除き、再構成問題を柔軟に解決する手法が提案されている。詳しくは、再構成問題を対流反応偏微分方程式(cr-EPT)として定式化し、関心領域(ROI)に対して離散化して解くことにより、空間的な制約なしに解ける未知数となるため、均一性の仮定を不要とすることができる。しかしながら、この手法では、MRI装置により測定されたB

フィールドの解像度が低い場合、数値アーティファクトが発生してしまう虞がある。
【0005】
cr-EPTを用いた手法における数値アーティファクトの影響は、粘性正則化の役割を果たす拡散項を追加することによって低減できるが、拡散項に含まれる拡散係数の値が大きいと、この拡散項がcr-EPTを支配し、EPsの分布がぼやけてコントラストが低下してしまう。そのため、EPsの再構成の急激な変動の抑制とコントラストの低下とのトレードオフを実現するために、サンプルに応じた適切な拡散係数を与える必要がある。
【0006】
非特許文献2では、境界アーティファクトを補正するために、cr-EPTに拡散係数の他に、対流項の重みを調整する対流係数を追加する手法が提案されている。詳しくは、非特許文献2では、画素依存ではなく、ROI全体に対して経験的に選択された1つの対流係数、いわゆるグローバル対流係数マップを追加する手法(d∇

ρ+c∇φ・∇ρ+(∇

φ)ρ=ωμ

)が提案されている。しかしながら、対流係数は、ROI内の異なる領域(境界部または非境界部)において、再構成精度を向上させるために異なる値が必要となる場合があり、サンプルに応じた適切な対流係数を与える必要があるだけでなく、拡散係数との協調も考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
F. S. Hafalir, O. F. Oran, N. Gurler, and Y. Z. Ider, “Convection-reaction equation based magnetic resonance electrical properties tomography (crmrept),”IEEE Trans Med Imaging, vol. 33, no. 3, pp. 777-793, Mar. 2014.
Y. Z. Ider and M. N. Akyer, “Properties and implementation issues of phase based cr-MRECT for conductivity imaging,” in Proc. Intl. Soc. Mag. Reson. Med. 28, 2020, p. 3190.
S. Mandija, E. F. Meliad`o, N. R. F. Huttinga, P. R. Luijten, and C. A. T. van den Berg, “Opening a new window on mr-based electrical properties tomography with deep learning,” Scientific Reports, vol. 9, no. 1, Dec. 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、解析的なMREPTの数値解法に伴うアーティファクトは、解析モデルに安定化係数、すなわちサンプルに応じた適切な拡散係数と対流係数を追加することで低減できるが、これらの安定化係数の選択は経験的に行われてきたため、解析モデルの汎化性を向上させることは難しかった。
【0009】
また、非特許文献3では、上述した解析的なMREPTの数値解法に伴うアーティファクトを回避するために、Maxwell方程式を用いることなく、トレーニングサンプルからB


フィールドをEPsにマッピングする関数を学習するデータ駆動型のエンドツーエンドのニューラルネットワーク(NN)に基づくMREPT(NN-EPT)が提案されている。しかしながら、非特許文献3のNN-EPTは、解析的なMREPTでは認識される波動物理を捉えていない物理非結合アプローチであるため、新しいサンプルに対する頑健性、すなわち汎化性を確保するために膨大な量のトレーニングサンプルデータが必要となる。特に医療分野では膨大な量のデータを収集することは困難である。加えて、MRIにおいて、再構成精度を高めるために様々な種類のノイズに対するロバスト性が求められている。
【0010】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、ノイズロバスト性に優れ、汎化性に優れる磁気共鳴電気特性トモグラフィを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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