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公開番号
2024156862
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-06
出願番号
2024126656,2021531950
出願日
2024-08-02,2019-11-29
発明の名称
百日咳ブースターワクチン
出願人
サノフィ パスツール インコーポレイテッド
代理人
個人
,
個人
主分類
A61K
39/10 20060101AFI20241029BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】TLRアゴニストを含む改変された無細胞百日咳ブースターワクチンおよび免疫応答を誘導するためにそれを使用する方法を提供する。
【解決手段】無細胞百日咳(aP)ブースターワクチンであって、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、解毒された百日咳毒素、線維状赤血球凝集素、パータクチン、線毛タイプ2および3、少なくとも1種のトール様受容体(TLR)アゴニスト、およびアルミニウム塩を含み、該少なくとも1種のTLRアゴニストは、該アルミニウム塩と共に製剤化される、前記aPブースターワクチンとする。
【選択図】図9B
特許請求の範囲
【請求項1】
無細胞百日咳(aP)ブースターワクチンであって、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、解毒された百日咳毒素、線維状赤血球凝集素、パータクチン、線毛タイプ2および3、少なくとも1種のトール様受容体(TLR)アゴニスト、およびアルミニウム塩を含み、該少なくとも1種のTLRアゴニストは、該アルミニウム塩と共に製剤化される、
前記aPブースターワクチン。
続きを表示(約 810 文字)
【請求項2】
TLRアゴニストは、TLR4アゴニストおよび/またはTLR9アゴニストである、請求項1に記載のaPブースターワクチン。
【請求項3】
TLR4アゴニストは、E6020を含む、請求項2に記載のaPブースターワクチン。
【請求項4】
TLR9アゴニストは、CpG1018を含む、請求項2に記載のaPブースターワクチン。
【請求項5】
破傷風トキソイドは、8~12Lf/mL、場合により9~11Lf/mLまたは10Lf/mLの量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
【請求項6】
ジフテリアトキソイドは、3~8Lf/mL、場合により3~6Lf/mLまたは4~5Lf/mLの量で存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
【請求項7】
解毒された百日咳毒素は、遺伝子的に解毒された百日咳毒素であり、16~24μg/mL、場合により18~22μg/mLまたは20μg/mLの量で存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
【請求項8】
線維状赤血球凝集素は、5~15μg/mL、場合により8~12μg/mLまたは10μg/mLの量で存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
【請求項9】
パータクチンは、5~15μg/mL、場合により8~12μg/mLまたは10μg/mLの量で存在する、請求項1~8のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
【請求項10】
線毛タイプ2および3は、10~20μg/mL、場合により14~16μg/mLまたは15μg/mLの量で存在する、請求項1~9のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、2018年12月5日に出願された欧州特許出願第18306621.6号の利益を主張し、その出願日に依拠するものである。
続きを表示(約 4,500 文字)
【0002】
配列表
本願は、ASCIIフォーマットにおいて電子的に提出されており、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる配列表を含む。2019年11月27日に作成された前記ASCIIコピーは、0171_0016-PCT_SLと命名され、1キロバイトのサイズである。
【0003】
分野
本開示は、無細胞百日咳ワクチンおよびそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
百日咳(Pertussisまたはwhooping cough)は、主に百日咳菌(Bordetella pertussis)によって引き起こされる、急性の感染力が強い呼吸器疾患である。免疫処置が広く実践される前は、百日咳は、極めて風土病性であった。証拠は、ほとんど全ての子供が、大人になる前に百日咳に感染し、そのほとんどがある程度の臨床疾患を患い、ならびに病原菌における盛んな循環が、感染獲得免疫の自然なブースティングを提供することを示唆しており、それは、7~10年から20年継続すると推定される(非特許文献1)。
【0005】
ワクチン接種は、百日咳の症例数を減らすための最も効果的な戦略であった(非特許文献2)。初期の百日咳ワクチンは、化学的に解毒されてジフテリア抗原および破傷風抗原と共に製剤化された、殺された百日咳の全細胞(wP)を含んでいた。1990年代以来、wPワクチンは、多くの国において、無細胞百日咳ワクチンに置き換えられてきた。無細胞百日咳(aP)ワクチンは、発熱、注射部位の反応原性、および(程度は低いが)痙攣の高いリスクに関連しているwPワクチンと比較して、比較的副作用を引き起こさない。現在の無細胞ワクチンは、典型的には、以下の病原性因子:百日咳毒素(PT)、線維状赤血球凝集素(FHA)、パータクチン(PRN)、線毛性凝集原2および線毛性凝集原3(FIM2/3またはFIM)に基づいている。いくつかの無細胞ワクチンは、PTおよびFHAのみまたはPT単独を含むが、一般的に、PT、FHA、PRN、およびFIM2/3成分を含む無細胞百日咳ワクチンは、現在利用可能な最も効果的なaPワクチンであると考えられている。
【0006】
何十年ものワクチン接種にもかかわらず、百日咳は、世界中において風土病のままであり、2~5年ごとに(典型的には3または4年ごとに)、一貫した季節パターンなしに、局地的に特定の流行のピークまたは大発生が生じる(非特許文献3;非特許文献4)。報告された諸国間での発生率の大きな違いにもかかわらず、今も、百日咳症例の最も高い年齢特異的発症率、入院、合併症は、各国において、1歳未満、主に3か月前の幼児において報告される。幼すぎて一次ワクチンのシリーズを完了していない幼児が、百日咳関連合併症、入院、および死亡の大部分を占める(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)。近年の疫学的知見において、若者および成人は、ワクチンスケジュールが十分に確立された国、例えば、米国および英国などにおいて、二番目に高い疾患の発症率と、最も高い発症率増加を示す傾向にある。
【0007】
蓄積された証拠は、観察された再流行および大発生がおそらく、複数の要因、例えば、認識(非特許文献10)、検査で確認する方法の感度増強(非特許文献11)、不完全なスケジュールまたは最善には及ばないワクチン適用範囲(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)、生物における遺伝子型および表現型の変化を伴う、ワクチン誘導免疫の性質における弱化および変化(非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18)、などの複数の要因の複合効果から生じることを示唆している。
【0008】
子供の百日咳の発生率を減少させるため、およそ4~6歳に対するaPブースターワクチン接種が、多くの国において実践された(非特許文献19;非特許文献20)。無細胞百日咳含有ワクチン(Tdap)のブースター投与の有効性が、いくつかの設定において評価された。1997年から1999年に合衆国において行われたある無作為臨床試験によって、15歳から65歳までの若者および成人におけるTdapワクチンの有効性が評価された。この研究は、Tdapワクチン接種が、検査で確認された百日咳に対して92%のワクチン有効性推定に対して、1年にわたる観察期間における臨床疾患(すなわち、21日間を超える咳)の発症率の減少および抗百日咳抗体レベルの増加に関連していることを見出した(非特許文献21)。百日咳抑制におけるTdapワクチン接種の有効性が、米国およびオーストラリアにおける非大発生設定においてのいくつかの観察的研究に示されており、これは、疾患発症率に対する青年期のTdapワクチン接種の有意な影響を実証しており、ある研究は、検査で確認された百日咳に対して85.4%の有効性を推定した(非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24)。しかしながら、いくつかの最近のケース(無細胞ワクチンによって主にプライミングされた群における米国での大発生設定において行われた抑制研究)は、一貫して、Tdapワクチン接種の有効性を、検査で確認された百日咳に対して約65%以下の中程度と推定した(非特許文献25;非特許文献26;非特許文献27;非特許文献28;非特許文献29)。これらの観察研究のほとんどに存在する固有の方法論的限界にもかかわらず、ウィスコンシン州の研究で観察されたTdapブースター投与後の全てのブランドの有効性の急速な弱化の証拠は、ワシントン州の大発生設定において行われた研究の観察と一致しており、その研究は、Tdapワクチン接種の有効性が、ブースター投与後の最初の年の75%から2年目以降に42%へと急速に弱化すると推定した(非特許文献30;非特許文献31)。近年の米国およびカナダにおける百日咳症例の疫学的傾向および分布は、aPワクチンでプライミングされた個人は百日咳ブースターワクチンにあまりロバストには応答せず、そのような人たちの保護が、wPワクチンでプライミングされた前の群よりも急速に弱まる、との考え方を裏付けるとして解釈されている(非特許文献32;非特許文献33)。さらに、2010年および2012年の米国の大発生ならびに2008~2012年のオーストラリアの大発生において得られたデータを分析するいくつかの研究は、ブースターワクチンによって誘導された保護が、wPワクチンでプライミングされた個人よりもaPワクチンでプライミングされた個人においてより早く弱まることを示唆している(非特許文献34;非特許文献35;非特許文献36;非特許文献37;非特許文献38;非特許文献39;非特許文献40;非特許文献41)。これらの研究の結果は、方法論的基礎において何人かの専門家によって挑まれたが、彼らの結論は、米国においてCDCによって報告された経済観察によって支持され、それは、保護の弱化が、wPでプライミングされた群における前の観察と比較して、aPでプライミングされた群においてより早く生じることを示していた。(非特許文献42)。実際に、aPまたはwPワクチンでプライミングされた若者に関する臨床研究において得られた免疫原性結果の比較は、Tdapワクチン投与後の1か月間でのより低い体液または細胞(BおよびTh1)免疫応答の一貫した証拠を提供している(非特許文献43;非特許文献44;非特許文献45;非特許文献46)。
【0009】
スウェーデンの百日咳監視データに基づくモデリング研究は、aPワクチン状況における百日咳疫学の群れ効果を示唆しており、その一方で、米国、イタリア、および他の国の
監視データを使用するいくつかの他の研究は、観察された疫学的傾向に最もよく合うモデルが、aPワクチンがwPワクチンと比べてより低いブースター応答、より早い保護の弱化、およびより高い無症候性感染を誘発するとの仮説を立てる傾向にあることを見出している(非特許文献47;非特許文献48;非特許文献49)。
【0010】
Warfelらによる非ヒト霊長類における研究に基づいて、wPワクチンとaPワクチンでは保護メカニズムがおそらく異なっていることが示唆されている(非特許文献50)。この研究は、ヒトにおいてではなく、非統計的有意な試料においてではあるが、aPワクチンが、臨床疾患を予防するが、明確なコロニー形成についてはwPワクチンほどには予防せず、感染しやすい動物への伝染を許容することを見出した(Id.)。百日咳のマウスモデルを使用した研究からも、同様の結論に達した(非特許文献51)。非ヒト霊長類において行われた研究は、aPプライミングと比較してwPワクチン接種後の相違のある免疫プロファイルを特に指摘している。詳細には、Th1または混合Th1/Th17の応答プロファイルは、wPワクチンプライミングに関連していたが、その一方で、Th2プロファイルは、aPワクチンプライミングに関連していた。その結果、wPワクチン接種後に観察された免疫応答のTh1/Th17優位(Th1/Th17 bias)は、aPワクチン接種後に観察されるTh2優位よりも、より長い保護期間およびより迅速な感染除去に関連し得る(すなわち、より強い初期保護)との仮説が立てられた。さらに、それぞれwPおよびaPによる初回ワクチン接種によって誘導される初期Th1/Th17対Th2応答は、初期の初回ワクチン接種の数年後でさえ、aPブースターワクチン接種後に維持されることが観察され、このことは、プライミングワクチン接種が、aPブースターワクチン接種後のTh1/Th17優位対Th2優位に影響を及ぼすことを示唆している(非特許文献52)。百日咳菌に対する免疫におけるTh1/Th17エフェクタ細胞の重要な役割は、感染のマウスモデルにおいて確認され、この仮説をさらに強化した(非特許文献53)。この仮説を支持するヒトにおける証拠はまだ開発されていないが、いくつかの研究は、wPワクチンまたはaPワクチンを接種したヒトにおけるTヘルパー細胞の反応の違いを示唆している(非特許文献54)。さらに、aPワクチンに対するTh2支配的応答は、異なるIgGアイソタイプ分布に対応するようにも見える。aPワクチン接種に対する反応は、主にIgG1を生じるが、IgG2およびIgG4も生じ、ブースターワクチン接種後のIgG4の保護が増加する。対照的に、wPワクチンのTh1支配的応答は、主に、IgG1およびIgG2抗体反応を伴う(非特許文献55;非特許文献56;非特許文献57)。
(【0011】以降は省略されています)
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