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公開番号
2024155561
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-31
出願番号
2023070373
出願日
2023-04-21
発明の名称
積層体の製造方法
出願人
大成建設株式会社
代理人
弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類
B28B
1/30 20060101AFI20241024BHJP(セメント,粘土,または石材の加工)
要約
【課題】本発明は、水硬性組成物の可使時間を事前に想定した使用時間以上となるように管理できる積層体の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る積層体の製造方法は、水硬性組成物への加水から所定時間経過時の流動性指標と、基準材料への加水から所定時間経過時の流動性指標とを比較して、前記水硬性組成物の流動性が前記基準材料よりも低くなるように調整する流動性調整工程と、前記水硬性組成物の流動性指標が可使範囲に入った後に、前記水硬性組成物の積層を開始する積層工程と、を含み、前記基準材料は、流動性が最も高くなった状態でも積層可能な材料であり、前記可使範囲は、積層可能な流動性指標の範囲である。
【選択図】図6
特許請求の範囲
【請求項1】
水硬性組成物への加水から所定時間経過時の流動性指標と、基準材料への加水から所定時間経過時の流動性指標とを比較して、前記水硬性組成物の流動性が前記基準材料よりも低くなるように調整する流動性調整工程と、
前記水硬性組成物の流動性指標が可使範囲に入った後に、前記水硬性組成物の積層を開始する積層工程と、を含み、
前記基準材料は、流動性が最も高くなった状態でも積層可能な材料であり、
前記可使範囲は、積層可能な流動性指標の範囲であることを特徴とする積層体の製造方法。
続きを表示(約 680 文字)
【請求項2】
前記流動性調整工程では、前記水硬性組成物への加水から所定時間経過時の流動性指標が、前記基準材料への加水から所定時間経過時の流動性指標に近づくように前記水硬性組成物に対して流動性向上剤を添加することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記流動性指標はベーンせん断抵抗値であって、
前記流動性調整工程では、前記水硬性組成物への加水から所定時間経過時のベーンせん断抵抗値と、前記基準材料への加水から所定時間経過時のベーンせん断抵抗値との差が、0.5kPa以下となるように前記水硬性組成物に対して流動性向上剤を添加し、
前記可使範囲は、0.4~0.9kPaであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記流動性調整工程の前に、前記基準材料への加水から所定時間経過時の流動性指標と、前記可使範囲と、を特定する準備工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
積層の開始後において、前記水硬性組成物の流動性指標の経時変化と前記可使範囲とに基づいて推定される積層可能時間が、積層に必要となる残り時間よりも短い場合に、前記水硬性組成物に対して流動性向上剤を添加する積層時間調整工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記水硬性組成物は、環境配慮型の材料であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層体の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、水硬性組成物を積層させることによって積層体を形成する3Dプリンティングに関する技術開発が進められている。そして、この3Dプリンティングについて、様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、材料押出方式の装置を用いて、コンクリートをノズルから押出して積層することで構造物を構築する方法が提案されている。
また、特許文献2では、3Dプリンティングによって製造した供試体に対して重錘で荷重を付与し、供試体の側方への変位量を測定し、その測定値に基づいて供試体の評価を行う装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2006-515908号公報
特開2021-006767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載されているような3Dプリンティングで積層体を製造する場合は、型枠工法の場合と異なり、積層した後に水硬性組成物に対してバイブレーターをかけて流動性を回復させるといった処理が行えない。そのため、3Dプリンティングに使用する水硬性組成物は、積層前の調整が非常に重要となる。
3Dプリンティングに使用する水硬性組成物は、流動性指標が経時的に変化するが、水硬性組成物を適切に積層可能な流動性指標の範囲(可使範囲)が狭いため、水硬性組成物を積層できる時間(可使時間)も短い。水硬性組成物を設計通りに配合しても、可使時間にバラツキが生じる可能性もある。3Dプリンティングを実施するために水硬性組成物を準備しても、可使時間が想定よりも短い場合には、廃棄材料が多く発生し、歩掛りが悪くなるといった事態を招く可能性がある。
そこで、本発明者らは、積層前の水硬性組成物を適切に調整することによって、水硬性組成物の可使時間を事前に想定した使用時間以上となるように管理したいと考えた。
【0005】
このような観点から、本発明は、水硬性組成物の可使時間を事前に想定した使用時間以上となるように管理できる積層体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
本発明に係る積層体の製造方法は、水硬性組成物への加水から所定時間経過時の流動性指標と、基準材料への加水から所定時間経過時の流動性指標とを比較して、前記水硬性組成物の流動性が前記基準材料よりも低くなるように調整する流動性調整工程と、前記水硬性組成物の流動性指標が可使範囲に入った後に、前記水硬性組成物の積層を開始する積層工程と、を含み、前記基準材料は、流動性が最も高くなった状態でも積層可能な材料であり、前記可使範囲は、積層可能な流動性指標の範囲である。
本発明によれば、水硬性組成物の流動性指標が可使範囲に入った後に積層を開始することから、水硬性組成物の流動性がピークの状態(流動性が最も高くなる状態)に至る前から積層することができる。よって、本発明によれば、水硬性組成物の積層可能な時間を長期化できる。
また、本発明によれば、流動性調整工程において水硬性組成物の流動性を基準材料よりも低くなるように調整することで、水硬性組成物の流動性がピークの状態であろうと、水硬性組成物の流動性指標が可使範囲に含まれることとなる。よって、垂れなどの発生に伴う積層体の品質の低下を招くことなく、適切に積層体を製造することができる。
本発明に係る積層体の製造方法では、前記流動性調整工程において、前記水硬性組成物への加水から所定時間経過時の流動性指標が、前記基準材料への加水から所定時間経過時の流動性指標に近づくように前記水硬性組成物に対して流動性向上剤を添加するのが好ましい。
本発明によれば、水硬性組成物の流動性指標が可使範囲に含まれる時間がより長くなることによって、水硬性組成物の積層可能な時間を更に長期化できる。
本発明に係る積層体の製造方法においては、前記流動性指標はベーンせん断抵抗値であって、前記流動性調整工程では、前記水硬性組成物への加水から所定時間経過時のベーンせん断抵抗値と、前記基準材料への加水から所定時間経過時のベーンせん断抵抗値との差が、0.5kPa以下となるように前記水硬性組成物に対して流動性向上剤を添加し、前記可使範囲は、0.4~0.9kPaであるのが好ましい。
本発明によれば、より確実に水硬性組成物の積層可能な時間を長期化できる。
本発明に係る積層体の製造方法では、前記流動性調整工程の前に、前記基準材料への加水から所定時間経過時の流動性指標と、前記可使範囲と、を特定する準備工程を含むのが好ましい。
本発明によれば、事前に基準材料の流動性指標と可使範囲とを特定することができる。
本発明に係る積層体の製造方法では、積層の開始後において、前記水硬性組成物の流動性指標の経時変化と前記可使範囲とに基づいて推定される積層可能時間が、積層に必要となる残り時間よりも短い場合に、前記水硬性組成物に対して流動性向上剤を添加する積層時間調整工程を含むのが好ましい。
本発明によれば、水硬性組成物の積層可能な時間を更に長期化することで、より確実に積層体を完成させることができる。
本発明に係る積層体の製造方法は、前記水硬性組成物は、環境配慮型の材料であるのが好ましい。
本発明によれば、環境配慮型の材料であろうと、適切に水硬性組成物の積層可能な時間を長期化できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る積層体の製造方法によれば、水硬性組成物の可使時間を事前に想定した使用時間以上となるように管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
準備工程における作業の手順を示したフローチャートである。
流動性調整工程における作業の手順を示したフローチャートである。
積層時間調整工程における作業の手順を示したフローチャートである。
積層可能時間の推定方法を説明するグラフである。
実施例における基準材料のベーンせん断抵抗値の経時変化を示すグラフである。
実施例における基準材料と水硬性組成物のベーンせん断抵抗値の経時変化を示すグラフである。
実施例における水硬性組成物のベーンせん断抵抗値の経時変化を示すグラフであって、積層時間調整工程に焦点を当てたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る積層体の製造方法について説明する。
[積層体の製造方法]
本実施形態に係る積層体の製造方法は、水硬性組成物を積層させることによって積層体を製造する方法であり、いわゆる3Dプリンティングに関する技術である。そして、本実施形態に係る積層体の製造方法は、流動性調整工程と、積層工程とを含み、さらに、流動性調整工程の前に準備工程を含んでもよく、積層の開始後に積層時間調整工程を含んでもよい。
以下、本実施形態に係る積層体の製造方法で使用する水硬性組成物と流動性指標を説明した後、各工程を詳細に説明する。
【0010】
(水硬性組成物)
水硬性組成物とは、積層体を形成する水硬性の材料(硬化性材料とも呼ばれる)であって、3Dプリンティングに使用できる材料であれば特に限定されない。そして、水硬性組成物は、JISR5210:2009に規定されている各種ポルトランドセメントを全く使用しない材料(セメントゼロ型)、CO
2
を吸収した炭酸カルシウムなどの素材を使用する材料(カーボンリサイクル型)、前記各種ポルトランドセメントの使用量を減らし、代わりに高炉スラグを使用する材料(環境基準法対応型)、前記各種ポルトランドセメントの使用量を減らし、代わりに高炉スラグとフライアッシュを使用する材料(フライアッシュ活用型)といった環境配慮型の組成物が好ましい。そして、セメントゼロ型は、例えば、高炉スラグ微粉末、膨張材、消石灰、石灰石微粉末、細骨材、を含むとともに、適宜、高性能減水剤、超遅延剤、増粘剤、消泡剤、硬化促進剤などを含んで構成される。
このような環境配慮型の材料は、CO
2
排出量の削減に寄与できるという観点だけでなく、可使時間が短くなる傾向があることから、本発明の効果(可使時間の長期化)がより顕著に現れるという観点からも好ましい。
なお、水硬性組成物は、通常、水以外の材料を混練した後で加水することにより生成するが、加水した後は、まず、流動性が大きく向上(流動性向上段階)し、その後、徐々に流動性が低下(流動性損失段階)する。
基準材料は、流動性が最も高くなった状態でも積層可能な材料であって、基本的には、水硬性組成物に含まれる成分と同じ成分を含んで構成される。なお、後記するように、水硬性組成物は基準材料よりも流動性が低くなるように成分の配合量を調整していることから、基準材料は、水硬性組成物と同じ成分を含みつつ、水硬性組成物よりも流動性が高い材料(流動性向上剤の配合量が多い材料)である、ということもできる。
以下の説明では、水硬性組成物としてセメントゼロ型(環境配慮型)を用いた場合を説明する。
(【0011】以降は省略されています)
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