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公開番号2024153159
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-29
出願番号2023066878
出願日2023-04-17
発明の名称グラフェン粉末、グラフェン分散液、組成物およびそれを用いた形成物
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C01B 32/182 20170101AFI20241022BHJP(無機化学)
要約【課題】塗布性に優れたグラフェン粉末および耐腐食性に優れた組成物を提供すること。
【解決手段】X線光電子分光法による酸素/炭素の元素比(O/C比)が0.05以上0.60以下であり、JIS K5101(2004)に準拠した100gあたりの吸油量が500g以上10000g以下であるグラフェン粉末。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
X線光電子分光法による酸素/炭素の元素比(O/C比)が0.05以上0.60以下であり、JIS K5101(2004)に準拠した100gあたりの吸油量が500g以上10000g以下であるグラフェン粉末。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記グラフェン粉末の、JIS K5101(2004)に準拠した100gあたりの吸油量が3000g以上6000g以下である請求項1記載のグラフェン粉末。
【請求項3】
BET測定法により測定される比表面積が100m

/g以上1000m

/g以下である請求項2記載のグラフェン粉末。
【請求項4】
前記グラフェン粉末の1層の平均厚さが0.3nm以上10nm以下である請求項3記載のグラフェン粉末。
【請求項5】
前記グラフェン粉末が、窒素を含む表面処理剤で修飾されている請求項4記載のグラフェン粉末。
【請求項6】
前記グラフェン粉末のX線光電子分光法により測定される炭素に対する窒素の元素の比(N/C比)が、0.005以上0.200以下である請求項5記載のグラフェン粉末。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のグラフェン粉末が、有機溶媒に分散されてなるグラフェン分散液。
【請求項8】
前記有機溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒および/またはアルコール系溶媒を含む請求項7記載のグラフェン分散液。
【請求項9】
請求項8記載のグラフェン分散液と、硬化性樹脂および/またはその前駆体とを含む組成物。
【請求項10】
前記組成物中の総固形分に対して、グラフェン含有量が0.01重量%以上5.0重量%以下である請求項9記載の組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフェン粉末およびそれを用いた組成物に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
グラフェン粉末は、炭素原子からなる二次元結晶であり、2004年に発見されて以来、非常に注目されている素材である。グラフェン粉末の薄層シート構造は、金属腐食原因物質である酸素や水の透過を抑制することができる。かかるグラフェン粉末の機能を活用した用途の一例として耐腐食性塗料が挙げられ、グラフェン粉末を用いることにより、耐腐食性のさらなる向上が期待されている。
【0003】
グラフェン粉末を工業的に利用するために、電気抵抗が低く、塗布性および分散性に優れるグラフェン粉末の分散液が用いられている。グラフェン粉末の分散液としては、例えば、グラフェン粉末がN-メチルピロリドンを50質量%以上含む溶媒に分散した分散液であって、N-メチルピロリドンでグラフェン重量分率0.000013に調整した希釈液の、波長270nmにおける重量吸光係数が25000cm
-1
以上200000cm
-1
以下であるグラフェン分散液(例えば、特許文献1参照)が提案されている。また、グラフェン分散液の製造方法としては、例えば、還元工程、微細化工程、有機溶媒混合工程、強撹拌工程、水分除去工程を有するグラフェンを分散液にする製造方法(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2017/047521号
国際公開第2017/047523号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グラフェン粉末の応用範囲を広げる上では、グラフェン粉末を様々な形状に成形する技術が求められており、そのために、グラフェン粉末を単層または複数層の薄層状態に分散させた分散液とすることが有効である。しかし、分散液中において、薄層状態のグラフェンは積層凝集しやすく、さらに凝集したシート状のグラフェン同士は絡まり合いやすい傾向にある。特許文献1や特許文献2に記載された技術に対しても、様々な組成物中へのさらなる分散性の向上が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、分散性に優れたグラフェン粉末、および耐腐食性に優れる硬化物を得ることのできる組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、X線光電子分光法による酸素/炭素の元素比(O/C比)が0.05以上0.60以下であり、JIS K5101(2004)に準拠した100gあたりの吸油量が500g以上10000g以下であるグラフェン粉末である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のグラフェン粉末は分散性が高く、耐腐食性に優れる組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<グラフェン粉末>
本発明のグラフェン粉末は、X線光電子分光法による酸素/炭素の元素比(O/C比)が0.05以上0.60以下であり、JIS K5101(2004)に準拠した100gあたりの吸油量が500g以上10000g以下であることを特徴とする。本発明においては、グラフェン粉末の分散性を評価する指標として、吸油量に着目した。
【0010】
本発明におけるグラフェン粉末の吸油量は、グラフェン粉末の剥離状態によって変化する。十分に剥離した薄層グラフェンであれば、表面間の相互作用によりグラフェン同士のネットワークを形成しやすいグラフェン数が多く、グラフェン間に吸着するアマニ油量が多くなり、グラフェン粉末の吸油量は多くなる。一方、剥離が不十分な場合、積層数の増加や凝集の形成によって単位重量あたりのグラフェン数が少なく、グラフェン層間に吸着するアマニ油量が少なくなり、グラフェン粉末の吸油量は少なくなる。JIS K5101(2004)に準拠したグラフェン100gあたりの吸油量が500gより少ない場合、グラフェン粉末の剥離度が低く、グラフェン粉末の多くが積層凝集した状態であり、グラフェン粉末の分散性が低く、グラフェン分散液としたときの塗布性が低下し、塗膜抵抗が高くなる。1000g以上が好ましく、2000g以上がより好ましく、3000g以上がさらに好ましい。JIS K5101(2004)に準拠したグラフェン100gあたりの吸油量が10000gより多い場合、グラフェン同士のネットワークが強固となり、溶媒への分散が困難になる。8000g以下が好ましく、6000g以下がさらに好ましい。本発明のグラフェン粉末の吸油量は、後述する測定例1に記載する方法により測定することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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