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公開番号2024150636
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-23
出願番号2024117407,2022563561
出願日2024-07-23,2021-06-04
発明の名称エアロゲル粉末及びその製造方法
出願人国立研究開発法人物質・材料研究機構
代理人個人
主分類C01B 33/16 20060101AFI20241016BHJP(無機化学)
要約【課題】単位占有体積当たりの製造コストが低減でき、併せて断熱特性に優れたエアロゲル粉末を提供する。
【解決手段】本発明のエアロゲル粉末は、0.1~1.0μmに、レーザー回折式粒子径分布測定による粒子径分布のピークを有する。本発明のエアロゲル粉末は、好適には、2つの粒子径分布のピークを有し、粒子径の小さい方のピークを0.1~1.0μmに有するか、または、粒子の総数の50%以上が0.1~1.0μmの粒子径を有する。本発明のエアロゲル粉末は、さらに好適には、有機基で修飾され、その有機基は、例えば、有機基がトリメチルシラン基又はトリエチルシラン基である。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
0.1~1.0μmに、レーザー回折式粒子径分布測定による粒子径分布のピークを有する、エアロゲル粉末。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
2つの粒子径分布のピークを有し、粒子径の小さい方のピークを0.1~1.0μmに有する、請求項1に記載のエアロゲル粉末。
【請求項3】
粒子の総数の50%以上が0.1~1.0μmの粒子径を有する、請求項1のエアロゲル粉末。
【請求項4】
有機基で修飾された、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゲル粉末。
【請求項5】
有機基がトリメチルシラン基又はトリエチルシラン基である、請求項4に記載のエアロゲル粉末。
【請求項6】
金属アルコキシドを加水分解させることでゲルを生成する工程と、
生成したゲルを熟成する工程と、
熟成したゲルを乾燥する工程と、
乾燥したゲルを粉砕する工程と
を有し、
熟成する工程において、熟成温度15~70℃で、熟成時間12時間以下で熟成し、
粉砕する工程において、粉砕装置の粉砕羽根回転速度10000~28000rpmにて、乾燥したゲルを粉砕する、
エアロゲル粉末の製造方法。
【請求項7】
前記粉砕する工程が、得られるエアロゲル粉末についてレーザー回折式粒子径分布測定を実施した場合に、0.1~1.0μmに粒子径の分布のピークを有するように粉砕するものである、請求項6に記載のエアロゲル粉末の製造方法。
【請求項8】
熟成時間が3時間以下である、請求項6又は7に記載のエアロゲル粉末の製造方法。
【請求項9】
さらに、ゲルを有機基で修飾する工程
を有する、請求項6又は7に記載のエアロゲル粉末の製造方法。
【請求項10】
金属アルコキシドを加水分解させることでゲルを生成する工程と、
生成したゲルを熟成する工程と、
熟成したゲルを乾燥する工程と
を有し、
熟成する工程における熟成温度は15~70℃であり、熟成時間は12時間以下であり、
得られるエアロゲル粉末について粉砕をし、レーザー回折式粒子径分布測定を実施した場合に、0.1~1.0μmに粒子径の分布のピークを有するように粉砕する、エアロゲル粉末の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゲルを用いた断熱材及びその製造方法に関し、特に弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法、中空粒子でハイブリッド化された弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法及びこれらを用いた断熱材する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
エアロゲルは1931年に最初に発表された材料であり(非特許文献1)、一般的に定義すれば、微小孔を有する固体からなっていて、分散相が気体であるゲルである。
【0003】
エアロゲルは非常に低密度の材料であるが、繊細、脆弱であって非常に壊れやすく、そのため多くの実用的な局面への応用が困難になっていた。そこで、これまでにないフィルターとして、例えば高断熱窓、冷蔵庫用極薄壁、建築物の高断熱材等の工学応用のために、機械的に堅牢な新たな種類のエアロゲルが求められている。
この課題を達成するため、従来から繊維やその他の有機分子で補強を行った、ハイブリッド化されたエアロゲルが研究されてきている。例えば、シリカエアロゲルの表面を有機基で修飾して、自然乾燥によって超臨界乾燥で製造したエアロゲル並みの低密度構造多孔体を製造することが提案されている。
また、特許文献1、2では、断熱性能のみならず、柔軟性も備えたエアロゲル複合体が提案されている。
【0004】
しかし、多くの実用的な局面への応用に適するエアロゲルは実現できていないのが実情である。特に、超臨界乾燥で製造したエアロゲルは高コストで、価格的要因も実用的な応用への障害となっている。
他方で、液体水素や液体ヘリウムのような、液体窒素の沸点温度(-196℃)と比較しても、低い沸点温度(液体水素で-252.8℃)の低温液体の貯蔵や運搬が重要になってきている。
そこで、液体水素や液体ヘリウムのような低温液体の貯蔵や運搬に目的に適するエアロゲルの出現が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
WO2017/170498号公報
特許第6288382号公報
【非特許文献】
【0006】
S. S. Kistler, Nature 1931,127,741.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、シリカをベースにしたエアロゲルは、長年にわたって開発されてきたもので、多孔質構造を示し、世界の他の断熱材に比べて超低熱伝導率を実現している。
しかし、エアロゲル応用の最大の難点は製造コストの高さであり、エアロゲルの用途を限定しているという課題があった。
本発明の目的は、単位占有体積当たりの製造コストが低減でき、併せて断熱特性に優れた弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法、中空粒子でハイブリッド化された弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法、およびこれらのエアロゲル粉末を用いた断熱材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、非常に低密度のエアロゲルとすれば、同じ重量で占有体積が増大することで、製造コストが低減できるのではないかと着想し、本発明を想到するに至った。
[1]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法は、例えば図1に示すように、金属アルコキシドと、溶媒とを混合し、加水分解させてゾルを生成する混合工程と、前記混合工程で得られたゾルをゲル化するゲル化工程と、前記ゲル化工程で得られたゲルを熟成して湿潤ゲルを得る熟成工程と、湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒に置き換える溶媒置換工程と、網目構造の表面を所定の有機基で修飾する修飾工程と、前記湿潤ゲル生成工程により得られた修飾済みの湿潤ゲルを洗浄する工程と、洗浄された修飾済みの湿潤ゲルを乾燥させる工程と、前記乾燥された湿潤ゲルを粉砕する工程と、を備えるものである。
[2]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法において、好ましくは、前記金属アルコキシドの金属は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、バナジウム(V)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、プラセオジウム(Pr)、ホルミウム(Ho)、又はモリブデン(Mo)の何れかの少なくとも1種を含むとよい。
[3]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法において、好ましくは、前記金属アルコキシドはケイ素アルコキシドであるとよい。
[4]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[3]において、好ましくは、前記ケイ素アルコキシドとして、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリブトキシシランの少なくとも1つを用いるとよい。
【0009】
[5]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[3]において、好ましくは、前記混合工程において、前記ケイ素アルコキシドと前記溶媒の比は所定範囲であるとよい。前記混合工程においては、加水分解反応を促進させるため、溶媒中に酸触媒を添加してもよい。
[6]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[3]において、好ましくは、前記ゲル化工程において、前記ケイ素アルコキシドと前記溶媒の混合液に酸触媒及び塩基触媒を添加するとよい。
[7]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[3]において、好ましくは、前記熟成工程において、熟成温度は15以上70℃以下であり、熟成時間は0時間を超えて24時間以下であるとよい。
[8]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[3]において、好ましくは、前記修飾工程において、前記網目構造の表面を有機基で修飾する反応性基は、ハロゲン、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、アルコキシル基、水酸基、アルキル基、フェニル基、アルキル基のフッ化物、及びフェニル基のフッ化物の1種のみ又は2種以上を有するとよい。
[9]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[8]において、好ましくは、前記修飾工程において、前記反応性基を有する試薬として添加する化合物は、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、酢酸、蟻酸、コハク酸、メチルクロリドであるとよい。
[10]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[9]において、好ましくは、前記湿潤ゲル洗浄工程は、前記反応性基を有する試薬を前記ゲルから除去するように、洗浄液で前記修飾工程をへた湿潤ゲルを洗浄するとよい。
[11]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[3]において、好ましくは、前記乾燥工程は、大気圧下での乾燥であるとよい。
[12]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[3]において、好ましくは、前記粉砕工程は、弱結合超微粒子エアロゲルにおいて、一次粒子を骨格の単位とするエアロゲル粒子が50%以上含まれ、残余が二次粒子を骨格の単位とするエアロゲル粒子であるように[11]に記載の方法で乾燥されたエアロゲルを粉砕するとよい。
【0010】
[13]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[3]において、好ましくは、前記混合工程の前記溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノールの少なくとも1種であるとよい。
[14]本発明の弱結合超微粒子エアロゲル粉末の製造方法[3]において、好ましくは、前記置換用溶媒は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2-ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸の少なくとも1種である有機溶媒を単独で又は2種類以上を混合して用いるとよい。
(【0011】以降は省略されています)

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