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公開番号2024143498
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023056217
出願日2023-03-30
発明の名称船舶用発電システム
出願人三浦工業株式会社
代理人個人,個人
主分類F01K 23/10 20060101AFI20241003BHJP(機械または機関一般;機関設備一般;蒸気機関)
要約【課題】温度の異なる2種類以上の熱源流体から加熱器にて熱回収を行う船舶用の有機ランキンサイクル発電システムにおいて、重油など硫黄分を多く含む油燃料を使用する内燃機関の排ガスを熱源流体とする場合に、加熱器の伝熱面に生じる硫酸露点腐食を抑制する。
【解決手段】船舶用発電システム1であって、作動媒体Rを循環させる循環回路LCと、循環ポンプ22と、過給機64からの過給空気A2で作動媒体Rを加熱する第1加熱器10と、排ガスエコノマイザ68からの排ガスE2で作動媒体Rを加熱する第2加熱器12と、膨張機16と、冷却器20と、発電機18と、作動媒体Rの流量を調節する流量調節手段40と、第1加熱器10から流出直後の作動媒体Rに対する圧力検知手段42および温度検知手段44と、内燃機関60に対する燃料種情報取得部33と、を備え、燃料種情報取得部33の情報を参照して流量調節手段40を制御する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
船体の推進力を得る内燃機関と、前記内燃機関に燃料を供給する燃料供給手段と、前記内燃機関に過給空気を供給する過給機と、前記過給機に連結され、前記内燃機関からの排ガスにより回転される排気タービンと、前記排気タービンからの排ガスを用いて蒸気を生成する排ガスエコノマイザと、を備える船舶に用いられる発電システムであって、
水よりも低沸点の作動媒体を循環させる循環回路と、
作動媒体を前記循環回路内に流通させる循環ポンプと、
前記過給機からの過給空気を熱源流体として、前記循環ポンプからの作動媒体を加熱する第1加熱器と、
前記排ガスエコノマイザからの排ガスを熱源流体として、前記第1加熱器で加熱後の作動媒体を加熱する第2加熱器と、
前記第2加熱器で加熱後の作動媒体の膨張エネルギーにより回転される膨張機と、
前記膨張機を通過後の作動媒体を冷却用流体により冷却する冷却器と、
前記膨張機に連結され、前記膨張機の回転により駆動される発電機と、
前記循環ポンプから供給される作動媒体の流量を調節する流量調節手段と、
前記第1加熱器から流出直後の作動媒体の圧力を検知する圧力検知手段と、
前記第1加熱器から流出直後の作動媒体の温度を検知する温度検知手段と、
前記内燃機関に供給される燃料種に関する情報を取得する燃料種情報取得手段と、
発電システムの運転を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記燃料種情報取得手段により取得された燃料種の情報が油燃料の単一供給である場合に、
(i)前記圧力検知手段の検知圧力における作動媒体の飽和蒸気温度を求め、
(ii)前記温度検知手段の検知温度が前記飽和蒸気温度を上回る第1目標温度、または前記飽和蒸気温度を下回る第2目標温度になるように、前記流量調節手段を制御し、
前記第1目標温度および前記第2目標温度は、前記第2加熱器の伝熱面を構成する金属材料の硫酸露点腐食に対する耐性に基づいて選択される船舶用発電システム。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
前記制御手段は、
前記燃料種情報取得手段により取得された燃料種の情報が油燃料およびガス燃料の同時供給である場合に、前記第1目標温度を下位の第1補正温度に変更、または前記第2目標温度を下位の第2補正温度に変更する、請求項1に記載の船舶用発電システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記燃料種情報取得手段により取得された燃料種の情報がガス燃料の単一供給である場合に、前記第1目標温度を下位の第3補正温度に変更、または前記第2目標温度を下位の第4補正温度に変更する、請求項1に記載の船舶用発電システム。
【請求項4】
前記第1目標温度および前記第2目標温度は、前記内燃機関の負荷率に応じて設定される、請求項1に記載の船舶用発電システム。
【請求項5】
前記流量調節手段は、前記循環ポンプの駆動モータの回転数を制御可能なインバータ装置であり、
前記制御手段は、前記インバータ装置を介して前記駆動モータの回転数を制御することにより、作動媒体の流量を調節する、請求項1~4のいずれかに記載の船舶用発電システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用発電システムに関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、有機ランキンサイクルを利用した船舶用発電システムが知られている。例えば、特許文献1には、船舶のディーゼルエンジン(推進用主機)から排出される排ガスから熱回収する第1排熱回収器1(排ガスエコノマイザ)と、ディーゼルエンジンに設けられた過給機の空気冷却器3から熱回収する第2排熱回収器5と、これら排熱回収器1,5から排熱を受け取る熱媒が循環する熱媒経路7と、熱媒経路7の熱媒から熱を受け取る有機流体経路9と、を備える排熱回収発電装置10が開示されている。この排熱回収発電装置10は、有機流体経路9に設けられた単一の蒸発器60にて、熱媒経路7を流通する熱媒からの入熱で有機流体を蒸発し、有機流体ガスでタービン62を回転駆動させることにより、発電機68で発電させる。
【0003】
また、特許文献2には、水より低沸点の作動媒体が循環する循環流路10に、作動媒体ポンプ15の吐出側から順に蒸発器11および過熱器12が設けられた発電装置が開示されている。この発電装置は、蒸気や温水等の加熱媒体を過熱器12および蒸発器11の順に流通させて、作動媒体を蒸発させつつ過熱し、作動媒体ガスでスクリュ膨張機13を回転駆動させることにより、発電機20で発電させる。また、発電装置は、過熱器12の出口側での過熱度が所定の目標値になるように作動媒体ポンプ15の回転数を制御するポンプ制御手段を備え、蒸発器11の出口側での作動媒体の温度が飽和温度未満である場合に、過熱度に対する所定の目標値を上げることで、作動媒体の循環流量を低減させる制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2011-149332号公報
特開2014-47632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムは、圧縮空気および排ガスに含まれる排熱を一旦熱媒に吸収させる構成であるため、熱回収用に少なくとも3つの熱交換器(1,5,60)と熱媒循環ポンプが必要である。また、熱交換器(1,5)に流入させる圧縮空気や排ガスの流量を調節するために、複数のバルブも必要であることから、据付工事を含む設備費用が高額になりやすい。そこで、特許文献2のシステムのように、熱回収用に2つの熱交換器(11,12)を用いて、それぞれに圧縮空気および排ガスを流通させると共に、これらの熱源流体の流量を調節しないように構成することが考えられる。
【0006】
ところで、近年のLNG運搬船では、LNGと重油の両方を燃料とする二元燃料ディーゼルエンジンを搭載する事例が増えている。硫黄分を多く含む重油を使用しているときの内燃機関の排ガスから熱交換器(作動媒体の加熱器)にて熱回収を行う場合、加熱器の伝熱面に硫酸露点腐食が生じることが懸念される。加熱器が腐食により破損すると、作動媒体が船内に流出する危険性もある。
【0007】
そこで、本発明は、温度の異なる2種類以上の熱源流体から加熱器にて熱回収を行う船舶用の有機ランキンサイクル発電システムにおいて、重油など硫黄分を多く含む油燃料を使用する内燃機関の排ガスを熱源流体とする場合に、加熱器の伝熱面に生じる硫酸露点腐食を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の船舶用発電システムは、船体の推進力を得る内燃機関と、前記内燃機関に燃料を供給する燃料供給手段と、前記内燃機関に過給空気を供給する過給機と、前記過給機に連結され、前記内燃機関からの排ガスにより回転される排気タービンと、前記排気タービンからの排ガスを用いて蒸気を生成する排ガスエコノマイザと、を備える船舶に用いられる発電システムであって、水よりも低沸点の作動媒体を循環させる循環回路と、作動媒体を前記循環回路内に流通させる循環ポンプと、前記過給機からの過給空気を熱源流体として、前記循環ポンプからの作動媒体を加熱する第1加熱器と、前記排ガスエコノマイザからの排ガスを熱源流体として、前記第1加熱器で加熱後の作動媒体を加熱する第2加熱器と、前記第2加熱器で加熱後の作動媒体の膨張エネルギーにより回転される膨張機と、前記膨張機を通過後の作動媒体を冷却用流体により冷却する冷却器と、前記膨張機に連結され、前記膨張機の回転により駆動される発電機と、前記循環ポンプから供給される作動媒体の流量を調節する流量調節手段と、前記第1加熱器から流出直後の作動媒体の圧力を検知する圧力検知手段と、前記第1加熱器から流出直後の作動媒体の温度を検知する温度検知手段と、前記内燃機関に供給される燃料種に関する情報を取得する燃料種情報取得手段と、発電システムの運転を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記燃料種情報取得手段により取得された燃料種の情報が油燃料の単一供給である場合に、(i)前記圧力検知手段の検知圧力における作動媒体の飽和蒸気温度(沸点)を求め、(ii)前記温度検知手段の検知温度が前記飽和蒸気温度を上回る第1目標温度、または前記飽和蒸気温度を下回る第2目標温度になるように、前記流量調節手段を制御し、前記第1目標温度および前記第2目標温度は、前記第2加熱器の伝熱面を構成する金属材料の硫酸露点腐食に対する耐性に基づいて選択される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の船舶用発電システムによれば、温度の異なる2種類以上の熱源流体から加熱器にて熱回収を行う船舶用の有機ランキンサイクル発電システムにおいて、重油など硫黄分を多く含む油燃料を使用する内燃機関の排ガスを熱源流体とする場合に、加熱器の伝熱面に生じる硫酸露点腐食を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施形態の船舶用発電システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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