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公開番号2024143467
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023056173
出願日2023-03-30
発明の名称研磨用組成物、基板の製造方法および研磨方法
出願人株式会社フジミインコーポレーテッド
代理人個人,個人,個人
主分類G11B 5/84 20060101AFI20241003BHJP(情報記憶)
要約【課題】磁気ディスク基板の研磨において、シリカ砥粒を含んで、加工性や端部形状を損なうことなく微小うねりとシリカ残留を改善し得る研磨用組成物を提供すること。
【解決手段】磁気ディスク基板研磨用組成物が提供される。この研磨用組成物は、砥粒としてのシリカ粒子と、芳香環含有化合物と、水とを含む。上記芳香環含有化合物は、芳香環と官能基Aとを有する化合物またはその塩である。上記官能基Aは、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、カルボキシ基、アルデヒド基およびヒドロキシ基からなる群から選択される。上記シリカ粒子は、SEM画像解析による体積基準の粒子径が小径側から累積50%以上100%以下の範囲にある粒子(D50以上粒子)の平均投影面積(SP50-100)が、上記D50以上粒子に該当する各粒子の周長相当円の平均面積(SC50-100)の40%以上65%以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
磁気ディスク基板研磨用組成物であって、
砥粒としてのシリカ粒子と、芳香環含有化合物と、水と、を含み、
前記芳香環含有化合物は、芳香環と官能基Aとを有する化合物またはその塩であり、
前記官能基Aは、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、カルボキシ基、アルデヒド基およびヒドロキシ基からなる群から選択され、
前記シリカ粒子は、SEM画像解析による体積基準の粒子径が小径側から累積50%以上100%以下の範囲にある粒子(D
50
以上粒子)の平均投影面積(SP
50-100
)が、前記D
50
以上粒子に該当する各粒子の周長相当円の平均面積(SC
50-100
)の40%以上65%以下である、研磨用組成物。
続きを表示(約 490 文字)【請求項2】
前記シリカ粒子は、SEM画像解析による体積基準の粒子径が小径側から累積0%以上50%未満の範囲にある粒子(D
50
未満粒子)の平均投影面積(SP
0-50
)が、前記D
50
未満粒子に該当する各粒子の周長相当円の平均面積(SC
0-50
)の65%より大きく90%以下である、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記芳香環含有化合物の分子量が2000以下である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記芳香環含有化合物は、前記芳香環と前記官能基Aとの間にオキシアルキレン鎖を有する化合物またはその塩である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
請求項1または2に記載の研磨用組成物を用いて研磨対象基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の研磨用組成物を研磨対象基板に供給して該研磨対象基板を研磨する工程を含む、基板の研磨方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク基板の研磨に用いられる研磨用組成物、基板の製造方法および研磨方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、高精度な表面が要求される磁気ディスク基板の製造プロセスには、研磨液を用いて該基板の原材料である研磨対象物を研磨する工程が含まれる。例えば、ニッケルリンめっきが施されたディスク基板(以下、Ni-P基板ともいう。)の製造においては、一般に、より研磨効率を重視した研磨(一次研磨)と、最終製品の表面精度に仕上げるために行う最終研磨(仕上げ研磨)とが行われている。磁気ディスク基板を研磨する用途で使用される研磨用組成物に関する技術文献として特許文献1~3が挙げられる。特許文献3は、アルミナ砥粒を必須成分として含む研磨材スラリーの製造方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007-63372号公報
特開2017-182849号公報
特開2010-260121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気ディスク基板の研磨では、記録容量増大のため、基板表面の品質向上の取組みが継続的に行われている。磁気ディスク用基板の研磨は、通常、研磨パッドを研磨対象基板に押し当て、両者を相対移動させて行われる。研磨パッドを用いる研磨において、基板の端部には、研磨面に対する圧力(研磨荷重)だけでなく、研磨パッドの沈み込みの分だけ側面からの力が加わり、より大きな負荷がかかるため、基板端部の厚みは内周部に比べて減少しがちである。このような端部形状は、ロールオフ(端面ダレともいう。)と称され、記録に適さないため、磁気ディスク記録容量増大の制限要因となり得る。また、近年においては、仕上げ研磨後の基板表面をより高品質なものとするため、一次研磨の段階から、アルミナ砥粒に代えてシリカ砥粒が用いられている。シリカ砥粒を用いた研磨は、アルミナ砥粒を用いた研磨と比べて、砥粒の基板への突き刺さりがなく、スクラッチ等の欠陥低減性に優れ、高い面品質を得やすい。その反面、シリカ砥粒を用いた研磨では、アルミナ砥粒含有スラリーのような加工力を得にくく、加工力の向上が課題となる。
【0005】
上記シリカ砥粒を用いた研磨では、加工力の維持や向上に加えて、研磨後の基板における微小うねりの増大も課題となっている。上述の研磨において、加工性と微小うねりとは、一方を改善しようとすれば他方が悪化してしまう相反関係にあり、その両立は容易ではないうえ、加工力が増すことでロールオフが助長されることもある。また、本発明者らは、研磨に用いたシリカ粒子の一部が、研磨後の洗浄によっても除去されず、研磨後の基板表面に付着残留する事象(以下、「シリカ残留」あるいは「シリカ残」ともいう。)に着目し、検討を進めている。研磨および洗浄を実施した基板におけるシリカ残留が低減されれば、より高い表面品質を実現することができ、高品質基板の歩留り向上の点でも望ましいと考えられる。しかし、上述の加工性、ロールオフおよび微小うねりを考慮しつつ、シリカ残留を低減することは、殊に困難である。例えば、特許文献1は、ロールオフの低減に有効な研磨液組成物の提供を課題とし、実施例ではロールオフに加えて研磨速度が評価されているが、微小うねりは評価されておらず、シリカ残留への言及もない。特許文献2は、端面ダレを低減することができるとともに高い研磨速度を得ることができる研磨用組成物の提供を課題とし、特定の構造を有する端部形状改善剤を含む研磨用組成物を提案しているが、微小うねりの抑制やシリカ残留の低減については検討していない。特許文献1~3のいずれにも、シリカ砥粒を用いた研磨において、加工性、ロールオフおよび微小うねりを考慮しつつ、シリカ残留を低減することについての示唆はない。
【0006】
本発明者らは、シリカ砥粒を用いた研磨において、加工性や端部形状を損なうことなく微小うねりとシリカ残留を改善し得る研磨用組成物の開発を進めており、鋭意検討の結果、特定の粒子特性を有するシリカ砥粒と特定の構造を有する芳香環含有化合物とを組み合わせて用いることにより、かかる課題を解決する研磨用組成物の作出に成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、磁気ディスク基板の研磨において、シリカ砥粒を含んで、加工性や端部形状を損なうことなく微小うねりとシリカ残留を改善し得る研磨用組成物を提供することを目的とする。関連する他の目的は、上記研磨用組成物を用いた基板の製造方法および研磨方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書により提供される磁気ディスク基板研磨用組成物は、砥粒としてのシリカ粒子と、芳香環含有化合物と、水とを含む。上記芳香環含有化合物は、芳香環と官能基Aとを有する化合物またはその塩であり、上記官能基Aは、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、カルボキシ基、アルデヒド基およびヒドロキシ基からなる群から選択される。また、上記シリカ粒子は、SEM画像解析による体積基準の粒子径が小径側から累積50%以上100%以下の範囲にある粒子(D
50
以上粒子)の平均投影面積(SP
50-100
)が、上記D
50
以上粒子に該当する各粒子の周長相当円の平均面積(SC
50-100
)の40%以上65%以下である。ここで、周長相当円平均面積に対する平均投影面積の比(SP/SC比)は、粒子の異形度を表し、SP/SC比が小さいことは、異形度が高いことを意味する。D
50
以上粒子の周長相当円平均面積(SC
50-100
)に対する平均投影面積(SP
50-100
)の面積比((SP/SC)
50-100
)が上記範囲にある異形構造を有するシリカ粒子と、上記芳香環含有化合物とを組み合わせて用いた研磨用組成物によると、磁気ディスク基板の研磨において、加工性や端部形状を損なうことなく、微小うねりおよびシリカ残留を改善することができる。
【0008】
いくつかの好ましい態様において、上記シリカ粒子は、SEM画像解析による体積基準の粒子径が小径側から累積0%以上50%未満の範囲にある粒子(D
50
未満粒子)の平均投影面積(SP
0-50
)が、上記D
50
未満粒子に該当する各粒子の周長相当円の平均面積(SC
0-50
)の65%より大きく、かつ90%以下である。かかる構成によると、上記D
50
以上粒子の周長相当円平均面積(SC
50-100
)に対する平均投影面積(SP
50-100
)の面積比(SP/SC)
50-100
が特定の範囲にあるシリカ粒子と上記芳香環含有化合物との組み合わせに基づく作用に加えて、上記面積比(SP/SC)
50-100
と、D
50
未満粒子の周長相当円平均面積(SC
0-50
)に対する平均投影面積(SP
0-50
)の面積比(SP/SC)
0-50
とが、それぞれ所定範囲にあるシリカ粒子の作用により、加工性や端部形状を損なうことなく微小うねりおよびシリカ残留を改善する効果がよりよく発揮される。
【0009】
いくつかの好ましい態様において、上記芳香環含有化合物の分子量(Mw)は2000以下である。上記芳香環含有化合物のMwが2000以下であることにより、シリカ残留を改善する効果がよりよく発揮される。
【0010】
いくつかの好ましい態様において、上記芳香環含有化合物は、上記芳香環と上記官能基Aとの間にオキシアルキレン鎖を有する化合物またはその塩である。このような構造の芳香環含有化合物を用いることにより、ここに開示される技術による効果を好ましく得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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