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公開番号2024142274
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023054407
出願日2023-03-29
発明の名称薄膜形成装置および薄膜形成方法
出願人国立大学法人東北大学,国立研究開発法人物質・材料研究機構
代理人個人,個人
主分類C23C 16/517 20060101AFI20241003BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】 空洞共振器にマイクロ波を照射することによって発生させた金属プラズマを利用し、基板に薄膜を形成する装置と、その装置を使用する薄膜形成方法を提供する。
【解決手段】 薄膜形成装置100は、金属、合金、金属間化合物及び炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種のプラズマ源を収容するためのプラズマ室10と、プラズマ室に連続して設けられ、薄膜を形成させる対象物を収容する反応室20と、プラズマ室および反応室の内部ガスを排気する排気ポンプと、反応室内に設けられる放電電極22,接地電極23と、電極に高周波電力を供給して高周波放電を生じさせる高周波電源71と、少なくとも1つの空洞共振器30と、プラズマ室を介して反応室に原料ガスを供給するガス供給部13とを備える。空洞共振器は、中心に磁場強度分布を形成する手段を有し、プラズマ源の全部又は一部にマイクロ波を照射し、プラズマ源からプラズマを発生させ、反応室内にプラズマを供給する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
金属、合金、金属間化合物及び炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種のプラズマ源を収容するためのプラズマ室と、
前記プラズマ室に連続して設けられ、薄膜を形成させる対象物を収容する反応室と、
前記プラズマ室および反応室の内部ガスを排気する排気ポンプと、
前記反応室内に設けられる放電電極および接地電極と、
前記反応室内の電極に高周波電力を供給して高周波放電を生じさせる高周波電源と、
少なくとも1つの空洞共振器と、
前記プラズマ室を介して前記反応室に原料ガスを供給するガス供給部とを備え、
前記空洞共振器は、該空洞共振器の中心に磁場強度分布を形成する手段を有し、前記プラズマ源の全部又は一部にマイクロ波を照射し、前記プラズマ源からプラズマを発生させ、前記反応室内にプラズマを供給することを特徴とする薄膜形成装置。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記空洞共振器には、さらにマイクロ波電力が投入され、前記プラズマ源からプラズマを発生させることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項3】
前記空洞共振器がシングルモード型であることを特徴とする請求項2に記載の薄膜形成装置。
【請求項4】
前記プラズマ源は、導電率が3000S/m以上であることを特徴とする請求項3に記載の薄膜形成装置。
【請求項5】
前記プラズマ源となる金属は、アルミニウム、チタニウム、鉄、カルシウムまたはマグネシウムのいずれかであり、
前記プラズマ源となる合金は、アルミニウム合金、チタン合金、カルシウム合金、鉄合金またはマグネシウム合金のいずれかであり、
前記プラズマ源となる金属間化合物は、アルミニウム含有金属化合物、チタニウム含有金属化合物、鉄含有金属化合物、カルシウム含有金属間化合物またはマグネシウム含有金属化合物のいずれかである請求項4に記載の薄膜形成装置。
【請求項6】
前記プラズマ源としては、前記金属、合金又は金属間化合物にセラミックを混合させた混合体でもよく、前記セラミックスは、ジルコニア、石英、アルミナ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種から選択することを特徴とする請求項4に記載の薄膜形成装置。
【請求項7】
前記反応室は、電極を平行平板型もしくはバレル型とするものまたは反応室にコイルが巻かれたものである請求項1に記載の薄膜形成装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の薄膜形成装置を使用する薄膜形成方法であって、
プラズマ室内に、金属、合金、金属間化合物、金属とセラミックスとの混合体、合金とセラミックスとの混合体、金属間化合物とセラミックスとの混合体及び炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種のプラズマ源を配置する第1工程と、
反応室内の接地電極に基板を配置する第2工程と、
前記プラズマ室および前記反応室の内部ガスを排気する第3工程と、
前記プラズマ源の全部又は一部にマイクロ波を照射し、前記プラズマ源からプラズマを発生させ、かつ、反応室にプラズマおよび原料ガスを供給する第4工程と、を有し、
該第4工程において、前記プラズマ源に磁場モードのマイクロ波を照射することを特徴とする薄膜形成方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属プラズマを利用した薄膜の形成装置および形成方法に関するものである。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
特定基板上に薄膜を形成するための装置としてプラズマCVDがあることは周知である。プラズマCVD装置は、減圧下においてプラズマを利用した化学気相成長(CVD)法により薄膜形成するものであり、代表的にはスパッタリング法がある。プラズマを気体から発生させる場合には、高電場により絶縁破壊を起こさせ、外部から高周波電力を与え、その放電を維持させることでプラズマを持続させ、プラズマにより活性となったイオン種を使って表面改質を行うことなどに利用されている。
【0003】
例えば、アルゴンガスを用いて、チタンやアルミニウムのターゲットにRFバイアスを印加してプラズマを発生させ、同時に窒素を供給することによりTiNやAlNを形成することができる。さらに、半導体製造工程では、チタンやアルミニウムを含む有機金属ガスを用いるとともに窒素を供給し、シリコン基板を高温にすることによりガスを分化して、TiNやAlNを形成している。
【0004】
また、固体を用いて、その固体を構成する元素を主として金属蒸気(原子プラズマ)を発生させる方法が開発されている(特許文献1参照)。この技術は、金属材料とセラミックス体との混合体に、マイクロ波を照射して加熱し、金属材料を蒸発させることによって金属蒸気を発生させるものであった。使用するマイクロ波の発生には、マルチモードアプリケータおよびシングルモードアプリケータを使用できるとされている。そして、このように発生させた金属蒸気は、特に、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属を中心とする材料を採用することにより、酸化金属の還元剤として利用できるものであった。
【0005】
なお、プラズマにより活性となったイオンを還元剤として利用する技術として、特許文献2および3に開示される技術がある。これらの技術は、いずれもマイクロ波の照射により金属材料とセラミックス体との混合物を加熱し、金属材料を蒸発させることを基本としたものであった。また、非特許文献1は、酸化スカンジウムを還元することができることが開示され、非特許文献2は、酸化バナジウムを還元する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2018-141190号公報
特開2018-178180号公報
特開2018-178234号公報
【非特許文献】
【0007】
S. Fujii, E. Suzuki, N. Inazu, S. Tsubaki, J. Fukushima, H. Takizawa, and Y. Wada, “Micro-wave Irradiation Process for Al Cs Alloy Production,” Scientific Reports, Vol. 1-, pp. 2689, February 14, 2020
N. Inazu et-al, “A facile formation of vanadium(0) by the reduction of vanadium pentoxide pelletized with magnesium oxide enabled by microwave irradiation,” Chemistry Select, Vol. 5, pp. 2949-2953, Mar. 2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のプラズマCVDによる場合には、活性種の衝突により欠陥の発生が懸念されるものであり、また、気体を使用する場合には、基板を高温に維持させる必要があるため、基板が反ってしまう欠点があった。
【0009】
ところで、本願の発明者らは、1または2以上の空洞共振器を使用し、少なくとも一つの空洞共振器の中心に磁場強度分布を形成する手段(形式)として、マクロ波を照射することにより、金属のプラズマ源から金属プラズマを発生させ、還元対象となる酸化物を還元させる反応装置を開発した(特願2022-014599)。この技術は、プラズマ源とは別に還元対象の酸化物を収容し、同時に加熱することにより還元反応を実現させるものであった。
【0010】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、従来のプラズマCVDによる欠点を解消すべく、空洞共振器にマイクロ波を照射することによって発生させた金属プラズマを利用し、基板に薄膜を形成する装置および薄膜の形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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