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公開番号2025087403
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-10
出願番号2023202024
出願日2023-11-29
発明の名称窒化処理部品およびその製造方法
出願人株式会社日立製作所
代理人ポレール弁理士法人
主分類C23C 8/28 20060101AFI20250603BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】鉄鋼材料に対する表面処理において、従来のガス浸炭処理による浸炭層の形成よりも温室効果ガス排出量を低減しながら、従来の浸窒層や窒素化合物層が形成された部品よりも耐クラック性に優れる窒化処理部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る窒化処理部品は、鉄鋼材料を基材とし、前記基材の表層領域に窒化層となじみ層とを有し、前記窒化層は、前記窒化処理部品の表面から厚さ方向30μmまでの平均窒素濃度が0.3質量%以上2質量%以下であり、前記なじみ層は、前記窒化層の外層側に形成され、平均厚さが5μm以上20μm以下で酸化鉄を含む層であることを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
鉄鋼材料を基材とする窒化処理部品であって、
前記窒化処理部品は、前記基材の表層領域に窒化層となじみ層とを有し、
前記窒化処理部品の表面から厚さ方向30μmまでの平均窒素濃度が0.3質量%以上2質量%以下であり、
前記なじみ層は、前記窒化層の外層側に形成され、平均厚さが5μm以上20μm以下で酸化鉄を含む層であることを特徴とする窒化処理部品。
続きを表示(約 960 文字)【請求項2】
請求項1に記載の窒化処理部品において、
前記窒化層は前記なじみ層よりも内層側にビッカース硬さが680 Hv以上の領域を有し、
前記なじみ層はビッカース硬さが500 Hv以下であることを特徴とする窒化処理部品。
【請求項3】
請求項1に記載の窒化処理部品において、
前記基材はマルテンサイト組織を有することを特徴とする窒化処理部品。
【請求項4】
請求項2に記載の窒化処理部品において、
前記基材はマルテンサイト組織を有することを特徴とする窒化処理部品。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の窒化処理部品の製造方法であって、
所望の形状を有する前記基材を用意する基材用意工程と、
前記基材の前記表層領域に前記窒化層と前記なじみ層とを形成する窒化層・なじみ層形成工程と、
前記窒化層および前記なじみ層を形成した基材にマルテンサイト組織を形成する焼入れ工程とを有し、
前記窒化層・なじみ層形成工程は、所定の雰囲気の中で前記基材を高周波誘導加熱法によって加熱して該基材の表層領域に窒素を侵入させると共に該基材の鉄成分を酸化させる窒化・酸化熱処理素工程を有する、
ことを特徴とする窒化処理部品の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の窒化処理部品の製造方法において、
前記窒化・酸化熱処理素工程における前記所定の雰囲気は、窒化源ガスの濃度が0.5%以上10%以下であり、酸化源ガスの濃度が0.1%以上0.5%以下であり、残部が不活性ガスからなり、
前記高周波誘導加熱法による加熱は、前記基材の表面の温度が650℃以上850℃以下になるように入力制御することを特徴とする窒化処理部品の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の窒化処理部品の製造方法において、
前記焼入れ工程は、高周波誘導加熱法による加熱を含み、当該高周波誘導加熱法によって前記基材の表面の温度が800℃以上1100℃以下でありかつ前記窒化・酸化熱処理素工程よりも高い温度になるように入力制御することを特徴とする窒化処理部品の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化処理を施した金属部品に関し、特に鉄鋼材料に窒化処理を施した部品およびその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
動力伝達装置における歯車・ギア等の摺動/転動部品は、機械的負荷を繰り返し受ける過酷な環境下で使用される部品であり、耐摩耗性が非常に重要な機械的特性のうちの一つである。摺動/転動部品は、通常、鉄鋼材料を基材とし、耐摩耗性を確保するための表面処理として浸炭処理がしばしば施される。
【0003】
鉄鋼材料に対する浸炭処理は、二酸化炭素(CO
2
)、水素(H
2
)、メタン(CH
4
)等を主成分とするガスによって行うガス浸炭が現在主流である。しかしながら、現在のガス浸炭処理は、大量の温室効果ガス(例えばCO
2
ガス)を排出するため、昨今の温室効果ガス排出量削減に対して不都合である。そこで、温室効果ガス排出量を削減可能な代替えの表面処理技術が求められている。
【0004】
そのような要求に対して、例えば特許文献1(特開2017-137547)には、鉄鋼材料からなるワークに窒素を浸透拡散させる浸窒処理方法であって、前記ワークに対し電流浸透深さが2 mm以上になる周波数で誘導加熱を行うことと、前記ワークの表面に窒化ガスを吹き付けることと、を含むことを特徴とする浸窒処理方法、が開示されている。
【0005】
特許文献1によると、窒化ガスから分解した窒素におけるワーク内部への拡散速度を維持しつつ、ワーク表面での窒化ガスの分解を抑制することができ、その結果、浸窒処理時間を短縮することが可能になるとされている。また、特許文献1に直接的に記載されていないが、浸炭処理でないことから排出される温室効果ガス量の削減が期待できる。
【0006】
また、特許文献2(WO 2021/181570 A1)には、鋼芯部と、化合物層と、前記鋼芯部と前記化合物層との間に存在する窒素拡散層と、を備え、前記鋼芯部の組成が、質量%で、C:0.05%~0.60%、Si:0.05%~1.50%、Mn:0.20%~2.50%、P:0.025%以下、S:0.050%以下、Cr:0.50%~2.50%、V:0.05%~1.30%、Al:0.050%以下、及びN:0.0250%以下を含有し、残部はFe及び不純物を含み、
前記鋼芯部の前記組成におけるC、Mn、Cr、V、Moの含有量が所定の式を満たし、
前記化合物層の厚さが3~20μmであり、前記化合物層は、ε相を面積率で50%超含有し、残部がγ’相であり、前記化合物層の表面から深さ3μmまでの領域において、空隙の面積比率が12%未満であることを特徴とするガス軟窒化処理部品、が開示されている。
【0007】
特許文献2によると、耐摩耗性に加え回転曲げ疲労強度に優れた軟窒化処理部品を得ることができるとされている。また、特許文献2に直接的に記載されていないが、窒化処理の一種であることから浸炭処理よりも排出される温室効果ガス量の削減が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2017-137547号公報
国際公開第2021/181570号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、昨今は工業製品の製造において温室効果ガスの排出量削減が強く求められている。鉄鋼材料に対する従来の浸炭処理を、特許文献1~2に開示されているような浸窒処理やガス軟窒化処理(以下、窒化処理と総称する)に変更することで、表面処理で排出される温室効果ガス量を削減できることが期待される。
【0010】
一方、従来の窒化処理で形成される浸窒層や窒素化合物層は、硬さが浸炭層よりも大きくなり易く耐摩耗性の観点で有利であるが、鉄鋼材料中の窒素の拡散係数が炭素の拡散係数よりも小さいことから、形成される層の厚さが浸炭層よりも薄くなり易いとされている。そのため、摺動/転動部品に対する機械的な繰り返し負荷において、従来の浸窒層や窒素化合物層は、予期せぬ異物等が挟まると応力集中によってクラックが入り易く、摩耗とは異なる要因によって摺動/転動部品の耐久性が低下するという別の問題が生じる。
(【0011】以降は省略されています)

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