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公開番号2024139714
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-09
出願番号2024031689
出願日2024-03-01
発明の名称熱電素子及びその製造方法
出願人三菱マテリアル株式会社,学校法人トヨタ学園
代理人個人
主分類H10N 10/17 20230101AFI20241002BHJP()
要約【課題】 熱電変換効率が高く、高いZT値を得ることが可能な熱電素子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】一端部1aと他端部1bとを有した第1熱電材料部1と、第1熱電材料部と直接又は導電体2aを介して接合された第2熱電材料部2と、第1熱電材料部に接続された一対の電極3とを備え、第1熱電材料部が、第2熱電材料部よりも高いゼーベック係数の絶対値及び高い電気抵抗率を有し、一対の電極が、第1熱電材料部の一端部側と他端部側とに互いに離間して接続されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
一端部と他端部とを有した第1熱電材料部と、
前記第1熱電材料部と直接又は導電体を介して接合された第2熱電材料部と、
前記第1熱電材料部に接続された一対の電極とを備え、
前記第1熱電材料部が、前記第2熱電材料部よりも高いゼーベック係数の絶対値及び高い電気抵抗率を有し、
前記一対の電極が、前記第1熱電材料部の前記一端部側と前記他端部側とに互いに離間して接続されていることを特徴とする熱電素子。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
請求項1に記載の熱電素子において、
前記第1熱電材料部が、前記第2熱電材料部よりもゼーベック係数の絶対値が50μV/K以上大きく、かつ電気抵抗率が10倍以上大きいことを特徴とする熱電素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱電素子において、
前記第1熱電材料部と前記第2熱電材料部とが、いずれもA
2+δ
M(但し、AがAg,Cuの少なくとも1種であり、Mが、S,Se,Teの少なくとも1種である。)で形成されていることを特徴とする熱電素子。
【請求項4】
請求項3に記載の熱電素子において、
前記第1熱電材料部が、Ag-Sで形成され、
前記第2熱電材料部が、Ag-Se又はAg-S-Seで形成されていることを特徴とする熱電素子。
【請求項5】
請求項3に記載の熱電素子において、
前記第1熱電材料部が、Cu-Sで形成され、
前記第2熱電材料部が、Cu-Seで形成されていることを特徴とする熱電素子。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の熱電素子において、
前記第1熱電材料部が、少なくともBi,Teを含む材料で形成されていることを特徴とする熱電素子。
【請求項7】
請求項1に記載の熱電素子を製造する方法であって、
前記第2熱電材料部と前記第1熱電材料部とを接合する接合工程と、
前記第1熱電材料部に前記一対の電極を形成する電極形成工程とを有していることを特徴とする熱電素子の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の熱電素子の製造方法において、
前記接合工程で、前記第2熱電材料部と前記第1熱電材料部とを導電性接合材で接合することを特徴とする熱電素子の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の熱電素子の製造方法において、
前記接合工程で、前記第2熱電材料部の上に前記第1熱電材料部を気相成長法により成膜することを特徴とする熱電素子の製造方法。
【請求項10】
請求項7に記載の熱電素子の製造方法において、
前記接合工程で、前記第2熱電材料部の上に前記第1熱電材料部をゾルゲル法により成膜することを特徴とする熱電素子の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高い熱電変換効率を得ることができる熱電素子及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来、組成の異なる複数の材料を接合させた、いわゆるセグメント型の熱電素子が知られている。
例えば、特許文献1には、基板上に第1の電極と、第2の電極と、熱電材料から成るP型半導体薄膜と、熱電材料から成るN型半導体薄膜とが形成され、P型半導体薄膜は第1の電極に接続されており、N型半導体薄膜は第2の電極に接続されている熱電素子において、P型半導体薄膜とN型半導体薄膜とが重なって接合しており、その接合面が基板の略全面に存する熱電素子が記載されている。
【0003】
また、特許文献2及び3にも、互いに異なる材料の第1熱電材料と第2熱電材料とが接合され、一対の電極の一方が第1熱電材料に接続され、一対の電極の他方が第2熱電材料に接続された熱電素子が記載されている。すなわち、これら従来の熱電素子では、接合された第1熱電材料と第2熱電材料とにそれぞれ電極を設け、第1熱電材料と第2熱電材料とが電気的に直列接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平10-303471号公報
特開2009-32960号公報
特開2018-152464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、熱電発電の実用化に必要な熱電素子の性能として、熱電変換材料のエネルギー変換性能を表す指標であるZT値(無次元性能指数ZT(=S

T/ρκ):但し、S,T,ρ,κは、それぞれゼーベック係数(熱起電力;温度差1K当たりで生じる起電力)、絶対温度、電気抵抗率、熱伝導率κ)が、1以上であることが要求されている。また、熱電変換で得られる電圧出力と発電量(=電圧×電流)とを共に増大させるため、P型特性、N型特性を有し、かつ、ゼーベック係数の絶対値が100μV/K以上であり、かつ、出力因子(パワー因子、Power factor PW=S

/ρ))が1×10
-3
W/mK

を上回る高い性能がもつことが要求されている。
これまで、様々な材料系にて、単一材料を用いてZT値の増大を目的とした研究開発がされてきたが、室温近傍温度におけるZT値が1程度の実用化されている材料はBi-Te系材料のみであり、Bi-Te系材料の耐熱性が低く、200℃程度の温度以下での使用が限定され、熱電変換効率が小さいことから、熱電の実用化が困難となっていた。
一方、従来の上記セグメント型の熱電素子を用いると、高温側に200℃以上の耐熱性を有する熱電材料を配置することができるが、セグメント型の熱電素子を構成するそれぞれの熱電材料のZT値が小さく、複数の熱電素子が電気的かつ熱的に直列回路を形成されているため、素子全体としてのZT値が小さくなり、熱電変換効率の増大を図ることが困難であった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、熱電変換効率が高く、高いZT値を得ることが可能な熱電素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る熱電素子は、一端部と他端部とを有した第1熱電材料部と、前記第1熱電材料部と直接又は導電体を介して接合された第2熱電材料部と、前記第1熱電材料部に接続された一対の電極とを備え、前記第1熱電材料部が、前記第2熱電材料部よりも高いゼーベック係数の絶対値及び高い電気抵抗率を有し、前記一対の電極が、前記第1熱電材料部の前記一端部側と前記他端部側とに互いに離間して接続されていることを特徴とする。
【0008】
この熱電素子では、第1熱電材料部が、第2熱電材料部よりも高いゼーベック係数の絶対値及び高い電気抵抗率を有し、一対の電極が、第1熱電材料部の一端部側と他端部側とに互いに離間して接続されているので、第1熱電材料部と第2熱電材料部とが電気的かつ熱的な並列回路を構成し、一端部側と他端部側との間で温度差が生じる(熱流が生じる)と、高い熱電変換効率で熱起電力が発生する。すなわち、一対の電極が接続され高いゼーベック係数(絶対値)かつ高い電気抵抗値を有する第1熱電材料部では、主にゼーベック効果に従う起電圧経路を構成し、第1熱電材料部に接合され接触している低い電気抵抗値を有する第2熱電材料部では、電流経路を構成する。第2熱電材料部内を流れる電流値はオームの法則に従うことが望ましい。このように、起電圧経路と電流経路との並列回路が構成されることにより、起電圧経路とは別に電流パスとなる電流経路が形成されることで、第1熱電材料部の高いゼーベック係数(絶対値)を維持したまま一対の電極間を流れる電気伝導度が増加し、高い熱電変換効率及びZT値を得ることができる。
なお、第2熱電材料部と一対の電極とは直接接合されておらず、第1熱電材料部を介して電気的接触をしている。本発明は、組成の異なる複数の材料を接合させた熱電素子の構造をとるが、第1熱電材料部に一対の電極(2つの電極)を接続することを特徴とする。(セグメント型の熱電素子も、組成の異なる複数の材料を接合させた構造をとるが、一対の電極は互いに異なる熱電材料に接続されており、本発明とは異なる電極接続方法をとる。)
【0009】
第2の発明に係る熱電素子は、第1の発明において、前記第1熱電材料部が、前記第2熱電材料部よりもゼーベック係数の絶対値が50μV/K以上大きく、かつ電気抵抗率が10倍以上大きいことを特徴とする。
すなわち、この熱電素子では、第1熱電材料部が、第2熱電材料部よりもゼーベック係数の絶対値が50μV/K以上大きく、かつ電気抵抗率が10倍以上大きいので、ゼーベック効果が十分に高い起電圧経路と電気伝導が十分に高い電流経路とが共に構成されることで、一対の電極間から出力される起電圧値と電流値とが共に大きくなり、より高い熱電変換効率及びZT値を得ることができる。
【0010】
第3の発明に係る熱電素子は、第1又は第2の発明において、前記第1熱電材料部と前記第2熱電材料部とが、いずれもA
2+δ
M(但し、AがAg,Cuの少なくとも1種であり、Mが、S,Se,Teの少なくとも1種である。)で形成されていることを特徴とする。
なお、第1熱電材料部A
2+δ
Mが、前記第2熱電材料部A
2+δ
Mよりもゼーベック係数の絶対値が50μV/K以上大きく、かつ電気抵抗率が10倍以上大きくなるように、材料の組成を設計することで、大きなZT値を得ることが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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