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公開番号
2024136271
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-04
出願番号
2023047344
出願日
2023-03-23
発明の名称
識別対象物の識別方法、識別用添加剤及び高分子化合物
出願人
帝人株式会社
代理人
弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類
G01N
24/12 20060101AFI20240927BHJP(測定;試験)
要約
【課題】
13
C-NMRスペクトルにおいて
13
C核同士のカップリングによりピークの分裂が観測されることを利用した、識別対象物の識別方法の提供。
【解決手段】識別対象物の識別方法は、識別対象物についての
13
C-NMRスペクトルを測定し、前記識別対象物から
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察されるか否かに基づいて前記識別対象物の識別を行うものである。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
識別対象物についての
13
C-NMRスペクトルを測定し、前記識別対象物から
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察されるか否かに基づいて前記識別対象物の識別を行う識別対象物の識別方法。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記識別対象物が、高分子化合物を含有するか又は高分子化合物由来である請求項1に記載の識別対象物の識別方法。
【請求項3】
前記高分子化合物を含有する識別対象物が、
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位を含有する請求項2に記載の識別対象物の識別方法。
【請求項4】
前記高分子化合物を含有する識別対象物が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ABS樹脂、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ジフェニルパラフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、ポリアミド、ポリベンゾアゾール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項2に記載の識別対象物の識別方法。
【請求項5】
前記
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体が、アクリロニトリル-1,2-
13
C
2
、アクリロニトリル-2,3-
13
C
2
、アクリロニトリル-1,2,3-
13
C
3
、テレフタル酸ジメチル-1,2,3,4,5,6,α,α’-
13
C
8
及びビスフェノールA(ring-
13
C
12
)からなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項3に記載の識別対象物の識別方法。
【請求項6】
前記高分子化合物を含有する識別対象物における前記
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位の割合が、0.00001質量%以上である請求項3に記載の識別対象物の識別方法。
【請求項7】
前記高分子化合物由来の識別対象物が、ポリアクリロニトリル系炭素繊維の前駆体である請求項2に記載の識別対象物の識別方法。
【請求項8】
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位を含む高分子化合物を含有する識別用添加剤。
【請求項9】
前記
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位の割合が、50質量%以上である請求項8に記載の識別用添加剤。
【請求項10】
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位の割合が、0.00001質量%以上である高分子化合物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、識別対象物の識別方法、識別用添加剤及び高分子化合物に関する。
続きを表示(約 5,500 文字)
【背景技術】
【0002】
現在、高分子材料から構成される多くの製品が、様々な産業分野で用いられている。近年の高分子材料のサプライチェーンの複雑化に伴い、これらの高分子材料が市場で流通する際に、偽造、すり替え等の所謂サイレントチェンジが起こる場合がある。その結果、最終製品の品質に意図しない形で悪影響を与える可能性がある。
一方、昨今の化石資源の枯渇や地球の温暖化防止策の一環として、植物由来の原料の使用が推奨されている。植物由来の原料を用いて製造された高分子材料に、意図しない取り違えにより化石資源由来の原料が混入する可能性がある。
サイレントチェンジや取り違えが生じたか否かを確認するための一般的な手法としては、識別可能な化合物を高分子材料にあらかじめ添加しておくことが考えられる。しかしながら、本手法では高分子材料と異なる物質を添加することから、高分子材料の物性の低下につながる恐れがある。
高分子材料の物性を損なうことなく高分子材料の識別を可能とする方法としては、炭素12(
12
C)の安定な同位体である炭素13(
13
C)を高濃度で含む化合物を用いる方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平10-287075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
13
Cを高濃度で含む化合物は一般に高価であり、添加量を出来る限り低減することが望ましい。一方で、
13
Cは天然中の炭素に1%程度存在しており、
13
Cを高濃度で含む化合物の添加量を低減しすぎると、既存の化合物との区別が困難となる。
本開示は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、本開示の一形態は、
13
C-NMRスペクトルにおいて
13
C核同士のカップリングによりピークの分裂が観測されることを利用した、識別対象物の識別方法を提供することを目的とする。また、本開示の他の形態は、識別対象物に添加される識別用添加剤及び識別対象物としての高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 識別対象物についての
13
C-NMRスペクトルを測定し、前記識別対象物から
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察されるか否かに基づいて前記識別対象物の識別を行う識別対象物の識別方法。
<2> 前記識別対象物が、高分子化合物を含有するか又は高分子化合物由来である<1>に記載の識別対象物の識別方法。
<3> 前記高分子化合物を含有する識別対象物が、
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位を含有する<2>に記載の識別対象物の識別方法。
<4> 前記高分子化合物を含有する識別対象物が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ABS樹脂、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ジフェニルパラフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、ポリアミド、ポリベンゾアゾール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種を含有する<2>又は<3>に記載の識別対象物の識別方法。
<5> 前記
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体が、アクリロニトリル-1,2-
13
C
2
、アクリロニトリル-2,3-
13
C
2
及びアクリロニトリル-1,2,3-
13
C
3
、テレフタル酸ジメチル-1,2,3,4,5,6,α,α’-
13
C
8
及びビスフェノールA(ring-
13
C
12
)からなる群より選択される少なくとも1種を含有する<3>又は<4>に記載の識別対象物の識別方法。
<6> 前記高分子化合物を含有する識別対象物における前記
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位の割合が、0.00001質量%以上である<3>~<5>のいずれか1項に記載の識別対象物の識別方法。
<7> 前記高分子化合物由来の識別対象物が、ポリアクリロニトリル系炭素繊維の前駆体である<2>に記載の識別対象物の識別方法。
<8>
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位を含む高分子化合物を含有する識別用添加剤。
<9> 前記
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位の割合が、50質量%以上である<8>に記載の識別用添加剤。
<10>
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体由来の構造単位の割合が、0.00001質量%以上である高分子化合物。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一形態によれば、
13
C-NMRスペクトルにおいて
13
C核同士のカップリングによりピークの分裂が観測されることを利用した、識別対象物の識別方法を提供することができる。また、本開示の他の形態によれば、識別対象物に添加される識別用添加剤及び識別対象物としての高分子化合物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
【0008】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される単量体を「
13
C標識されたモノマー」と称する。また、
13
C標識されたモノマーと分子構造を同じとし、且つ、
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察されない単量体を「
13
C標識されていないモノマー」と称する。また、
13
C標識されたモノマーとは分子構造が異なり、且つ、
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察されない単量体を「その他のモノマー」と称する。
【0009】
<識別対象物の識別方法>
本開示の識別対象物の識別方法は、識別対象物についての
13
C-NMR(核磁気共鳴、Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルを測定し、前記識別対象物から
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察されるか否かに基づいて前記識別対象物の識別を行うものである。
天然の炭素中における
13
Cの存在量は1%程度であるため、有機物質中に意図的に
13
Cを導入しないと
13
C核同士が隣接する可能性は極めて低い。一般に、有機物質の
13
C-NMRスペクトルを測定しても、
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂は無視できる程度の頻度でしか観察されない。本発明者等は、識別対象物に
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察される構造を意図的に導入した。これにより、識別対象物の
13
C-NMRスペクトルを測定した場合に、近接する
13
C核同士が影響しあうことで
13
C-NMRスペクトルにおいてカップリングによるピークの分裂として観察される。
13
C核同士のカップリングによるピークの分裂が観察されることを利用して、識別対象物の識別が可能になることを本発明者等は見出し、本発明を完成させた。
【0010】
「
13
C核同士のカップリングによって分裂しているピーク」の確認方法について以下に述べる。
13
C標識されたモノマーの重合体及び
13
C標識されていないモノマーの重合体の両方について
13
C-NMRスペクトル測定を行い、両スペクトルを比較することで、
13
C核同士のカップリングによって分裂しているピークを確認することができる。
13
C標識されたモノマーの場合、
13
C核同士のカップリングによって、
13
C-NMRスペクトルのピークは、
13
C標識されていないモノマーの場合と比べてさらに分裂する。すなわち、
13
C標識されていないモノマーの重合体の
13
C-NMRスペクトルのピークのうちのあるピークに着目した時、そのピークを中心に等間隔の化学シフト値で分裂して現れているピークの組を
13
C標識されたモノマーの重合体の
13
C-NMRスペクトルから探すことにより、
13
C核同士のカップリングによって分裂しているピークを特定することができる。
13
C標識されていないモノマーの重合体の
13
C-NMRスペクトルにおける他の全てのピークについて同様の解析を行うことにより、
13
C標識されたモノマーの重合体の
13
C-NMRスペクトルにおいて、
13
C核同士のカップリングによって分裂して現れるピークの出現位置を網羅的に把握することができる。
また、識別対象物の
13
C-NMRスペクトル測定を行い、上記で特定した
13
C標識されたモノマー由来の
13
C核同士のカップリングで分裂したピークが観測されるかどうか確認することで、識別対象物が
13
C標識されたモノマー由来の構造単位を含有する成分を含んでいるかどうか判断することができる。
夾雑物の影響でピーク位置が少し動いて判断しづらい場合は、少量の
13
C標識されたモノマーの重合体を追加で添加してNMR測定を行い、目的の分裂ピークが増強されて観測されるかどうか確認することで、
13
C標識されたモノマー由来の構造単位を含有する成分の有無を判断できる。
夾雑物が多く、識別対象物の
13
C-NMRスペクトル測定を行っても
13
C標識されたモノマー由来の構造単位を含有する成分(以下、「
13
C標識体」と称することがある。)由来のピークが全て夾雑物由来のピークに埋もれて観測しづらい場合は、適宜精製操作を行い、夾雑物を除去してから
13
C-NMRスペクトル測定を行うことが有効である。識別対象物が高分子化合物を含有する場合、精製方法としては、例えば、識別対象物の凍結粉砕を行い、
13
C標識体の貧溶媒を用いて夾雑物を抽出して除去する方法や、識別対象物の凍結粉砕後に
13
C標識体を良溶媒で抽出して再沈殿により精製する方法などが挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)
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