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公開番号2024135487
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-04
出願番号2023046195
出願日2023-03-23
発明の名称二酸化炭素の固定方法
出願人太平洋セメント株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類B01D 53/62 20060101AFI20240927BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】二酸化炭素含有ガス(例えば、工場の排ガス)に含まれている二酸化炭素(炭酸ガス)を、連続式でかつ大型の加熱炉を用いて、廃コンクリート等のセメント質硬化体に固定するための方法であって、二酸化炭素の固定を十分な量で安定して行うことができる方法を提供する。
【解決手段】連続式加熱炉1の筒状の収容部2の内部空間を、その軸線方向に2つ以上のゾーン13、14、15に分けて、最も大きな設定温度のゾーン13と最も小さな設定温度のゾーン15とで設定温度の差が30℃以上になるように、ゾーン13等の設定温度を定める工程と、筒状の収容部2の内部空間(温度及び相対湿度の実測値が80~150℃、35%以上に調整されたもの)にて、管12から供給された水蒸気の存在下で、管11から供給された二酸化炭素含有ガスと、セメント質硬化体を接触させて、セメント質硬化体に二酸化炭素を固定する工程、を含む二酸化炭素の固定方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
二酸化炭素含有ガスを流通させるための筒状の収容部を有する連続式加熱炉の中に、セメント質硬化体を供給して、上記二酸化炭素含有ガスに含まれている二酸化炭素を、上記セメント質硬化体に固定するための二酸化炭素の固定方法であって、
上記筒状の収容部の内部空間を、その軸線方向に2つ以上のゾーンに分けて、最も大きな設定温度のゾーンと最も小さな設定温度のゾーンとで設定温度の差が30℃以上になるように、上記2つ以上のゾーンについて、設定温度を定める設定温度調整工程と、
上記設定温度調整工程の後、上記設定温度の差を30℃以上に維持した状態で、上記筒状の収容部の一端から、上記セメント質硬化体を供給して、上記筒状の収容部の内部空間にて、水蒸気の存在下で上記セメント質硬化体と上記二酸化炭素含有ガスを接触させ、上記筒状の収容部の他端から、上記二酸化炭素を固定したセメント質硬化体を排出させるセメント質硬化体処理工程、
を含む二酸化炭素の固定方法。
続きを表示(約 580 文字)【請求項2】
上記最も大きな設定温度のゾーンが、上記セメント質硬化体が供給される側に最も近いゾーンであり、かつ、上記最も小さな設定温度のゾーンが、上記セメント質硬化体が排出される側に最も近いゾーンである請求項1に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項3】
上記筒状の収容部が、5~30mの長さを有する請求項1に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項4】
上記連続式加熱炉が、外熱式のロータリーキルンである請求項1に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項5】
上記水蒸気の単位時間当たりの供給量が、1kg/h以上であり、かつ、上記二酸化炭素含有ガスの単位時間当たりの供給量が、二酸化炭素に換算した値として、0.5Nm

/h以上である請求項1に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項6】
上記筒状の収容部の内部空間の相対湿度の測定値が35%以上になるように、上記2つ以上のゾーンについて、上記設定温度を定める請求項1~5のいずれか1項に記載の二酸化炭素の固定方法。
【請求項7】
上記筒状の収容部の内部空間の温度の測定値が80~150℃になるように、上記2つ以上のゾーンについて、上記設定温度を定める請求項1~5のいずれか1項に記載の二酸化炭素の固定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の固定方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
二酸化炭素含有ガス(例えば、工場の排ガス)に含まれている二酸化炭素を、廃コンクリート等のセメント質硬化体に固定する技術が、知られている。
例えば、特許文献1に、セメント質硬化体に二酸化炭素含有ガス及び水蒸気を接触させて、前記セメント質硬化体上で炭酸化反応を生ぜしめ、当該セメント質硬化体に二酸化炭素を固定化するための反応部(例えば、ロータリーキルンを含むもの)と、前記反応部に前記セメント質硬化体を供給するセメント質硬化体供給部と、前記反応部に前記二酸化炭素含有ガスを供給する二酸化炭素含有ガス供給部と、前記反応部に水又は氷を供給する水供給部又は氷供給部と、を備え、前記反応部は水の75℃以上の温度に保持され、前記水蒸気は前記水又は前記氷が前記反応部に供給されることにより生成されることを特徴とする、二酸化炭素の固定化装置が、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-146817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素をセメント質硬化体に固定する技術において、当該固定のための手段である加熱炉として、連続式でかつ大型のものを用いる場合、加熱炉の中の各種の雰囲気(例えば、温度)を、目的とする雰囲気になるように正確に制御することは、困難である。その結果、二酸化炭素を十分かつ安定した量で固定することが困難という問題がある。
本発明の目的は、二酸化炭素含有ガス(例えば、工場の排ガス)に含まれている二酸化炭素(炭酸ガス)を、廃コンクリート等のセメント質硬化体に固定する技術において、二酸化炭素を固定するための手段である加熱炉として、連続式でかつ大型のものを用いる場合、加熱炉の中の各種の雰囲気(特に、温度及び相対湿度)を、目的とする雰囲気になるように正確に制御することができ、その結果、セメント質硬化体に二酸化炭素を十分かつ安定した量で固定することができる二酸化炭素の固定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、連続式加熱炉の筒状の収容部の内部空間を、その軸線方向に2つ以上のゾーンに分けて、これら2つ以上のゾーンについて、最も大きな設定温度のゾーンと最も小さな設定温度のゾーンとで設定温度の差が30℃以上になるように、設定温度を定め、次いで、水蒸気の存在下でセメント質硬化体と二酸化炭素含有ガスを接触させて、二酸化炭素の固定化を行なえば、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、以下の[1]~[7]を提供するものである。
[1] 二酸化炭素含有ガスを流通させるための筒状の収容部を有する連続式加熱炉の中に、セメント質硬化体を供給して、上記二酸化炭素含有ガスに含まれている二酸化炭素を、上記セメント質硬化体に固定するための二酸化炭素の固定方法であって、上記筒状の収容部の内部空間を、その軸線方向に2つ以上のゾーンに分けて、最も大きな設定温度のゾーンと最も小さな設定温度のゾーンとで設定温度の差が30℃以上になるように、上記2つ以上のゾーンについて、設定温度を定める設定温度調整工程と、上記設定温度調整工程の後、上記設定温度の差を30℃以上に維持した状態で、上記筒状の収容部の一端から、上記セメント質硬化体を供給して、上記筒状の収容部の内部空間にて、水蒸気の存在下で上記セメント質硬化体と上記二酸化炭素含有ガスを接触させ、上記筒状の収容部の他端から、上記二酸化炭素を固定したセメント質硬化体を排出させるセメント質硬化体処理工程、を含む二酸化炭素の固定方法。
[2] 上記最も大きな設定温度のゾーンが、上記セメント質硬化体が供給される側に最も近いゾーンであり、かつ、上記最も小さな設定温度のゾーンが、上記セメント質硬化体が排出される側に最も近いゾーンである、上記[1]に記載の二酸化炭素の固定方法。
[3] 上記筒状の収容部が、5~30mの長さを有する、上記[1]又は[2]に記載の二酸化炭素の固定方法。
[4] 上記連続式加熱炉が、外熱式のロータリーキルンである、上記[1]~[3]のいずれかに記載の二酸化炭素の固定方法。
[5] 上記水蒸気の単位時間当たりの供給量が、1kg/h以上であり、かつ、上記二酸化炭素含有ガスの単位時間当たりの供給量が、二酸化炭素に換算した値として、0.5Nm

/h以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の二酸化炭素の固定方法。
[6] 上記筒状の収容部の内部空間の相対湿度が35%以上になるように、上記2つ以上のゾーンについて、上記設定温度を定める、上記[1]~[5]のいずれかに記載の二酸化炭素の固定方法。
[7] 上記筒状の収容部の内部空間の温度の測定値が80~150℃になるように、上記2つ以上のゾーンについて、上記設定温度を定める、上記[1]~[6]のいずれかに記載の二酸化炭素の固定方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、二酸化炭素(炭酸ガス)の固定手段である加熱炉として、連続式でかつ大型のもの(例えば、外熱式のロータリーキルン)を用いる場合であっても、セメント質硬化体に対して、二酸化炭素含有ガスに含まれている二酸化炭素を十分かつ安定した量で(換言すると、大きな量でかつ経時的な変動が小さい量で)固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の二酸化炭素の固定方法で用いる連続式加熱炉の一例を示す模式的な構成図である。
本発明の二酸化炭素の固定方法で用いる連続式加熱炉の他の例を示す模式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、被処理物であるセメント質硬化体としては、コンクリートからなる硬化体、モルタルからなる硬化体、または、セメントペーストからなる硬化体が挙げられる。
特に、廃棄物の利用促進の観点から、再生骨材や、コンクリートもしくはモルタルからなる建材の廃材(廃コンクリート等)や、セメントペースト硬化体の廃材や、レディーミクストコンクリートで発生するスラッジの硬化体等が、本発明において、好ましく用いられる。
セメント質硬化体は、二酸化炭素含有ガスとの接触面積を大きくして、固定される二酸化炭素の量を増大させるために、好ましくは、粒状物の形態を有する。
該粒状物の粒度は、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下、さらに好ましくは20mm以下、特に好ましくは10mm以下である。ここで、粒状物の粒度とは、その粒状物の最大寸法(例えば、断面が楕円の形状である場合、長軸の寸法)をいう。
【0010】
本発明において、二酸化炭素含有ガスとは、気体である二酸化炭素(炭酸ガス)を含むガスを意味する。
二酸化炭素含有ガスの例としては、工場の排ガス等が挙げられる。
工場の排ガスとしては、セメント工場の排ガスや、石炭火力発電所の排ガスや、塗装工場における排気処理で発生する排ガス等が挙げられる。
また、工場の排ガスとしては、工場の排ガスから分離及び回収してなる高純度化したガス(炭酸ガスの濃度を高めたガス)を用いることもできる。
二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素(炭酸ガス)の割合は、体積分率の値として、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上である。該割合が10%以上であると、セメント質硬化体に固定される二酸化炭素の量が大きくなり、大気中への二酸化炭素の排出量の削減の効果が大きくなることから、好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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