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公開番号
2024123665
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-12
出願番号
2023031270
出願日
2023-03-01
発明の名称
排ガス浄化用触媒
出願人
株式会社キャタラー
代理人
個人
,
個人
主分類
B01J
35/57 20240101AFI20240905BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】内燃機関の稼働状況に応じて適切な浄化性能を発揮できる排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】ここに開示される排ガス浄化用触媒は、複数のセル12と、複数のセル12を仕切る隔壁14とを有する基材10と、隔壁14の表面に設けられた触媒層20とを備えている。この触媒層20は、下層触媒層22と上層触媒層24とを備えている。そして、下層触媒層22の上流側には下層フロント部Aが設けられ、下流側には下層リア部Bが設けられている。また、上層触媒層24の上流側には上層フロント部Cが設けられ、下流側には上層リア部Dが設けられている。そして、フロント部Aと下層リア部Bと上層フロント部Cと上層リア部Dの各々は、CeO
2
含有量が個別に設定されている。これによって、内燃機関の稼働状況に応じて適切な浄化性能を発揮できる。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
内燃機関の排気経路に配置され、前記内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒であって、
複数のセルと、前記複数のセルを仕切る隔壁とを有する基材と、
前記隔壁の表面に設けられた多孔質層であって、触媒金属と、当該触媒材料を担持する担持材料とを有する触媒層と
を備え、
前記触媒層は、
前記隔壁の表面に近い方を下層触媒層とし相対的に遠い方を上層触媒層とする少なくとも2層の積層構造を有しており、
前記担持材料として、少なくとも、CeO
2
を含むOSC材を含んでおり、
前記下層触媒層は、
排ガス流通方向における前記基材の上流側の端部から下流側に向かって延在し、CeO
2
含有量A
CeO2
が0g/L~15g/Lであり、前記触媒金属としてPdを含む下層フロント部Aと、
前記排ガス流通方向における前記基材の下流側の端部から上流側に向かって延在し、CeO
2
含有量B
CeO2
が20g/L~63g/Lであり、前記触媒金属としてPdおよびPtの少なくとも一方を含む下層リア部Bと
を有し、
前記上層触媒層は、
前記排ガス流通方向における前記基材の上流側の端部から下流側に向かって延在し、CeO
2
含有量C
CeO2
が1g/L~7g/Lであり、前記触媒金属としてRhを含む上層フロント部Cと、
前記排ガス流通方向における前記基材の下流側の端部から上流側に向かって延在し、CeO
2
含有量D
CeO2
が2g/L~8g/Lであり、前記触媒金属としてRhを含む上層リア部Dと
を有しており、
ここで、前記上層触媒層に含まれる前記担持材料は、電子顕微鏡観察に基づく体積基準の平均粒子径D50
CD
が2μm以上5μm以下である、排ガス浄化用触媒。
続きを表示(約 760 文字)
【請求項2】
前記担持材料は、前記OSC材とAl
2
O
3
とを含む、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項3】
前記下層触媒層に含まれる前記担持材料の電子顕微鏡観察に基づく体積基準の平均粒子径をD50
AB
としたときに、
前記平均粒子径D50
AB
に対する前記平均粒子径D50
CD
の比(D50
CD
/D50
AB
)が0.4以上0.9以下である、請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項4】
前記下層触媒層に含まれる前記担持材料の前記平均粒子径D50
AB
が2.5μm以上12.5μm以下である、請求項3に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項5】
前記上層フロント部Aに含まれる前記担持材料は、電子顕微鏡観察に基づく体積基準の平均粒子径D50
A
が2μm以上5μm以下である、請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項6】
前記下層リア部Bに含まれる前記担持材料の電子顕微鏡観察に基づく体積基準の平均粒子径をD50
B
としたときに、
前記平均粒子径D50
B
に対する前記平均粒子径D50
A
の比(D50
A
/D50
B
)が0.4以上0.9以下である、請求項5に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項7】
前記OSC材は、CeO
2
-ZrO
2
複合酸化物である、請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、排ガス用浄化触媒に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン等の内燃機関から排出される排ガスには、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO
x
)等の有害成分が含まれる。このため、内燃機関の排気系には、有害成分を浄化する排ガス浄化用触媒が配置される。この排ガス浄化用触媒は、基材と、当該基材の表面に形成される触媒層とを備えている。この触媒層には、例えば、触媒金属とOSC材が含まれる。触媒金属は、上記有害成分の酸化(又は還元)を促進する貴金属材料である。また、OSC材には、例えば、CeO
2
が使用される。このCeO
2
は、リーン状態(酸素過多)の排ガスが供給されている間に酸素を貯蔵し、リッチ状態(酸素不足)の排ガスが供給された際に酸素を放出する。これによって、排ガスの空燃比が変動しても、排ガスを安定的に浄化できる。
【0003】
近年の排ガス浄化用触媒の分野では、組成の異なる複数の触媒層を基材表面に形成することが提案されている。例えば、特許文献1に記載の排ガス浄化用触媒は、上流側下層コート層と、上流側上層コート層と、下流側下層コート層と、下流側上層コート層とからなる4種類の触媒層を備えている。そして、特許文献1に記載の排ガス浄化用触媒では、各層における触媒金属(Pt、Pd、Rh)の濃度を異ならせている。これによって、高温環境におけるHC浄化能力と、低温環境におけるNO
X
浄化能力とを高度に両立できる。また、特許文献2には、排ガス用浄化触媒の他の例が開示されている。この特許文献2に記載の排ガス用浄化触媒では、複数の触媒層の各々にOSC材が添加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第7061655号
米国出願公開第2010/0104491号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内燃機関から排出される排ガスは、当該内燃機関の稼働状況に応じて様々な要素(温度、流速、空燃比など)が変化する。例えば、始動直後の暖機運転では、低温低速の排ガスが排出される。一方、高速運転では、高温高速の排ガスが排出される。さらに、通常運転の間も、フューエルカット(F/C)などによって排ガスの流速や空燃比が変動し得る。このため、特定の状況(例えば、暖機運転)のみに着目して排ガス浄化用触媒を設計すると、内燃機関の稼働状況が変化した際に、有害成分のエミッションが増大するおそれがある。
【0006】
ここに開示される技術は、上述の課題を解決するためになされたものであり、様々な稼働状況で好適な浄化性能を発揮できる排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく、ここに開示される技術によって下記の構成の排ガス浄化用触媒が提供される。
【0008】
ここに開示される排ガス浄化用触媒(1)は、内燃機関の排気経路に配置され、内燃機関から排出される排ガスを浄化する。この排ガス浄化用触媒は、複数のセルと、複数のセルを仕切る隔壁とを有する基材と、隔壁の表面に設けられた多孔質層であって、触媒金属と、当該触媒材料を担持する担持材料とを有する触媒層とを備えている。そして、触媒層は、隔壁の表面に近い方を下層触媒層とし相対的に遠い方を上層触媒層とする少なくとも2層の積層構造を有しており、担持材料として、少なくとも、CeO
2
を含むOSC材を含んでいる。そして、下層触媒層は、排ガス流通方向における基材の上流側の端部から下流側に向かって延在し、CeO
2
含有量A
CeO2
が0g/L~15g/Lであり、触媒金属としてPdを含む下層フロント部Aと、排ガス流通方向における基材の下流側の端部から上流側に向かって延在し、CeO
2
含有量B
CeO2
が20g/L~63g/Lであり、触媒金属としてPdおよびPtの少なくとも一方を含む下層リア部Bとを有している。また、上層触媒層は、排ガス流通方向における基材の上流側の端部から下流側に向かって延在し、CeO
2
含有量C
CeO2
が1g/L~7g/Lであり、触媒金属としてRhを含む上層フロント部Cと、排ガス流通方向における基材の下流側の端部から上流側に向かって延在し、CeO
2
含有量D
CeO2
が2g/L~8g/Lであり、触媒金属としてRhを含む上層リア部Dとを有している。そして、ここに開示される排ガス浄化用触媒の上層触媒層に含まれる担持材料は、電子顕微鏡観察に基づく体積基準の平均粒子径D50
CD
が2μm以上5μm以下である。
【0009】
上述の通り、ここに開示される排ガス浄化用触媒は、触媒金属の種類とCeO
2
含有量が異なる4種類の触媒層(下層フロント部A、下層リア部B、上層フロント部C、上層リア部D)を備えている。これによって、様々な稼働状況において好適な浄化性能を発揮できる。以下、具体的に説明する。
【0010】
まず、下層フロント部Aは、運転開始直後の暖機運転における排ガスを好適に浄化する領域である。具体的には、運転開始時においては、触媒金属の大部分が酸化しており、触媒活性が低下している。そして、暖機運転を開始すると、排ガス温度の上昇に伴って触媒金属から酸素が徐々に解離して浄化性能が上昇(回復)する。一方で、運転開始時には、OSC材(CeO
2
)も多くの酸素を吸蔵している。このため、触媒金属の近傍にCeO
2
が多く存在していると、CeO
2
からの酸素供給によって浄化性能の回復が阻害され得る。ここで、暖機運転中の排ガスは、流速が非常に遅いため、下層触媒層の上流側(下層フロント部A)に浸透しやすい。これらの点を考慮し、ここに開示される排ガス浄化用触媒では、下層フロント部AのCeO
2
含有量A
CeO2
を15g/L以下に設定している。これによって、暖機運転における浄化性能の回復が生じやすくなる。加えて、ここに開示される排ガス浄化用触媒では、下層フロント部Aの触媒金属としてPdを使用している。Pdは、他の触媒金属よりも、酸化状態での触媒活性に優れている。これらの構成によって、下層フロント部Aは、暖機運転中の有害成分のエミッションを低減できる。
(【0011】以降は省略されています)
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