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公開番号
2024151619
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-25
出願番号
2023065103
出願日
2023-04-12
発明の名称
二酸化炭素供給装置
出願人
株式会社デンソー
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
B01D
53/32 20060101AFI20241018BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】ランニングコストを低減することが可能な二酸化炭素供給装置を提供する。
【解決手段】二酸化炭素供給装置10は、筐体内の二酸化炭素の濃度を測定することができる二酸化炭素センサ12bを用いて、電気化学セル12aに脱離電位が印加されたときの、時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化を測定する。そして、測定された時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と電気化学セル12aからの二酸化炭素の脱離量との関係を表す脱離学習データを生成する。この脱離学習データに基づいて、脱離モードにおける脱離電位の印加時間を設定することにより、無駄に脱離電位を印加することを防ぐことができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
筐体内に配置され、吸着電位の印加により二酸化炭素を吸着し、脱離電位の印加により吸着した二酸化炭素を脱離する電気化学セル(12a)を有し、前記電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる吸着モードと、前記電気化学セルから二酸化炭素を脱離させる脱離モードとを交互に実施することにより、前記電気化学セルから脱離された二酸化炭素を二酸化炭素供給対象(16)に供給する二酸化炭素供給装置であって、
前記筐体内の二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素センサ(12b)と、
前記筐体内を密閉した状態として、二酸化炭素を吸着している前記電気化学セルに脱離電位を印加し、時間経過に伴う前記筐体内の二酸化炭素濃度の変化を前記二酸化炭素センサを用いて測定する脱離データ測定部(S400~S440)と、
前記脱離データ測定部によって測定された、時間経過に伴う前記筐体内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と前記電気化学セルからの二酸化炭素の脱離量との関係を表す脱離学習データを生成する脱離学習データ生成部(S450)と、を備え、
前記脱離学習データに基づいて、前記脱離モードにおける脱離電位の印加時間が設定される二酸化炭素供給装置。
続きを表示(約 2,400 文字)
【請求項2】
前記筐体内に二酸化炭素を含有した大気を送り込む送風機(14)と、
前記送風機によって前記筐体内に二酸化炭素を含有した大気を送り込みつつ、前記電気化学セルに吸着電位を印加することにより、前記脱離データ測定部による測定前に、前記電気化学セルが二酸化炭素を吸着している状態にする学習前準備部(S300~S330)と、をさらに備える請求項1に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項3】
前記学習前準備部は、前記電気化学セルの最大吸着量に相当する量の二酸化炭素が前記電気化学セルに吸着されることが推定される所定の推定時間が経過するまで、又は、前記二酸化炭素センサによって測定される前記電気化学セルの下流側の濃度変化が前記電気化学セルの最大吸着量の吸着を示すまで、前記電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる、請求項2に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項4】
前記脱離データ測定部による測定後の、前記電気化学セルから脱離された二酸化炭素が前記筐体内に存在しているとき、前記筐体内を密閉した状態を維持しつつ、前記電気化学セルに吸着電位を印加し、時間経過に伴う前記筐体内の二酸化炭素濃度の変化を前記二酸化炭素センサを用いて測定する吸着データ測定部(S500~S540)と、
前記吸着データ測定部によって測定された、時間経過に伴う前記筐体内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と前記電気化学セルによる二酸化炭素の吸着量との関係を表す吸着学習データを生成する吸着学習データ生成部(S550)と、をさらに備え、
前記吸着学習データに基づいて、前記吸着モードにおける吸着電位の印加時間が設定される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項5】
前記脱離データ測定部は、時間経過に伴う二酸化炭素濃度の変化が所定値以下となるまで、又は、前記筐体内の二酸化炭素濃度が、前記電気化学セルからの二酸化炭素の脱離の完了を示す値に上昇するまで、時間経過に伴う二酸化炭素濃度の変化を測定する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項6】
前記脱離学習データに基づいて、前記脱離モードにおける脱離電位の印加時間を設定する際、前記送風機を駆動する制御電圧の大きさと、前記電気化学セルに印加される脱離電位の大きさとの少なくとも一方に応じて、二酸化炭素の脱離量に対する経過時間を変化させるように、前記脱離学習データを修正する脱離学習データ修正部(S710、S720)をさらに備える、請求項2又は3に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項7】
前記脱離学習データの生成は、ユーザによる要求時、前記二酸化炭素供給装置の稼働開始時、前記二酸化炭素供給装置の停止期間中、前記二酸化炭素供給装置の稼働時間又は稼働回数が所定値に達したとき、前記電気化学セルのメンテナンス又は交換後、及び天候、地域、季節に応じた学習タイミングとなったときの少なくとも1つに応じて実施される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項8】
筐体内に配置され、吸着電位の印加により二酸化炭素を吸着し、脱離電位の印加により吸着した二酸化炭素を脱離する電気化学セル(12a)を有し、前記電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる吸着モードと、前記電気化学セルから二酸化炭素を脱離させる脱離モードとを交互に実施することにより、前記電気化学セルから脱離された二酸化炭素を二酸化炭素供給対象に供給する二酸化炭素供給装置であって、
前記筐体内の二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素センサ(12b)と、
前記筐体内を密閉した状態、かつ前記筐体内の二酸化炭素濃度が大気中の二酸化炭素濃度よりも高い状態で、前記電気化学セルに吸着電位を印加し、時間経過に伴う前記筐体内の二酸化炭素濃度の変化を前記二酸化炭素センサを用いて測定する吸着データ測定部(S500~S540)と、
前記吸着データ測定部によって測定された、時間経過に伴う前記筐体内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と前記電気化学セルによる二酸化炭素の吸着量との関係を表す吸着学習データを生成する吸着学習データ生成部(S550~S570)と、を備え、
前記吸着学習データに基づいて、前記吸着モードにおける吸着電位の印加時間が設定される二酸化炭素供給装置。
【請求項9】
前記吸着データ測定部による測定前に、前記筐体内を密閉した状態として、二酸化炭素を吸着している前記電気化学セルに脱離電位を印加し、時間経過に伴う前記筐体内の二酸化炭素濃度の変化を前記二酸化炭素センサを用いて測定する脱離データ測定部(S400~S440)と、
前記脱離データ測定部によって測定された、時間経過に伴う前記筐体内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と前記電気化学セルからの二酸化炭素の脱離量との関係を表す脱離学習データを生成する脱離学習データ生成部(S450)と、をさらに備え、
前記脱離学習データに基づいて、前記脱離モードにおける脱離電位の印加時間が設定される、請求項8に記載の二酸化炭素供給装置。
【請求項10】
前記筐体内に二酸化炭素を含有した大気を送り込む送風機(14)と、
前記送風機によって前記筐体内に二酸化炭素を含有した大気を送り込みつつ、前記電気化学セルに吸着電位を印加することにより、前記脱離データ測定部による測定前に、前記電気化学セルが二酸化炭素を吸着している状態にする学習前準備部(S300~S330)と、をさらに備える請求項9に記載の二酸化炭素供給装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる吸着モードと、電気化学セルから二酸化炭素を脱離させる脱離モードとを交互に実施することにより、電気化学セルから脱離された二酸化炭素を二酸化炭素供給対象に供給する二酸化炭素供給装置に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1や特許文献2には、電気化学デバイスや水酸化ナトリウム水溶液を用いて、屋内の空気中から二酸化炭素を回収して、二酸化炭素濃度を減少させる二酸化炭素回収装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018-144024号公報
特開2022-8288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような二酸化炭素回収装置を用いて、農作物の収穫量を増加させることが試みられている。この場合、二酸化炭素の回収及び供給を行う装置が、大気中の二酸化炭素を回収するとともに、回収した二酸化炭素をビニールハウス内に供給するように用いられる。これにより、ビニールハウス内の二酸化濃度を、例えば通常の約3倍程度まで高めることにより、農作物の収穫量を最大で3割程度増加させることが可能となる。
【0005】
しかしながら、二酸化炭素の回収や供給を行う際に、装置において過剰なエネルギーが消費されてしまうと、装置を稼働するためのランニングコストが高くなるという問題がある。
【0006】
本開示は、上述した点に鑑みてなされたものであり、ランニングコストを低減することが可能な二酸化炭素供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様による二酸化炭素供給装置は、筐体内に配置され、吸着電位の印加により二酸化炭素を吸着し、脱離電位の印加により吸着した二酸化炭素を脱離する電気化学セル(12a)を有し、電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる吸着モードと、電気化学セルから二酸化炭素を脱離させる脱離モードとを交互に実施することにより、電気化学セルから脱離された二酸化炭素を二酸化炭素供給対象(16)に供給する二酸化炭素供給装置であって、
筐体内の二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素センサ(12b)と、
筐体内を密閉した状態として、二酸化炭素を吸着している電気化学セルに脱離電位を印加し、時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化を二酸化炭素センサを用いて測定する脱離データ測定部(S400~S440)と、
脱離データ測定部によって測定された、時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と電気化学セルからの二酸化炭素の脱離量との関係を表す脱離学習データを生成する脱離学習データ生成部(S450)と、を備え、
脱離学習データに基づいて、脱離モードにおける脱離電位の印加時間が設定されるように構成される。
【0008】
上述した第1の態様による二酸化炭素供給装置では、脱離データ測定部が、筐体内の二酸化炭素の濃度を測定することができる二酸化炭素センサを用いて、電気化学セルに脱離電位が印加されたときの、時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化を測定する。そして、脱離学習データ生成部が、脱離データ測定部によって測定された、時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と電気化学セルからの二酸化炭素の脱離量との関係を表す脱離学習データを生成する。このように、実際に、二酸化炭素が電気化学セルから脱離されるときの筐体内の二酸化炭素の濃度変化に基づいて、経過時間と電気化学セルからの二酸化炭素の脱離量との関係を表す脱離学習データが生成される。従って、この脱離学習データに基づいて、脱離モードにおける脱離電位の印加時間を設定することにより、例えば、電気化学セルに吸着された二酸化炭素の脱離が実質的に終了しているにも係らず、脱離電位の印加を継続するなど、無駄に脱離電位を印加することを防ぐことができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0009】
また、本開示の第2の態様による二酸化炭素供給装置は、筐体内に配置され、吸着電位の印加により二酸化炭素を吸着し、脱離電位の印加により吸着した二酸化炭素を脱離する電気化学セル(12a)を有し、電気化学セルに二酸化炭素を吸着させる吸着モードと、電気化学セルから二酸化炭素を脱離させる脱離モードとを交互に実施することにより、電気化学セルから脱離された二酸化炭素を二酸化炭素供給対象(16)に供給する二酸化炭素供給装置であって、
筐体内の二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素センサ(12b)と、
筐体内を密閉した状態、かつ筐体内の二酸化炭素濃度が大気中の二酸化炭素濃度よりも高い状態で、電気化学セルに吸着電位を印加し、時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化を二酸化炭素センサを用いて測定する吸着データ測定部(S500~S540)と、
吸着データ測定部によって測定された、時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と電気化学セルによる二酸化炭素の吸着量との関係を表す吸着学習データを生成する吸着学習データ生成部(S550)と、を備え、
吸着学習データに基づいて、吸着モードにおける吸着電位の印加時間が設定されるように構成される。
【0010】
上述した第2の態様による二酸化炭素供給装置では、吸着データ測定部が、筐体内の二酸化炭素の濃度を測定することができる二酸化炭素センサを用いて、電気化学セルに吸着電位が印加されたときの、時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化を測定する。そして、吸着学習データ生成部が、吸着データ測定部によって測定された、時間経過に伴う筐体内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて、経過時間と電気化学セルからの二酸化炭素の吸着量との関係を表す吸着学習データを生成する。このように、実際に、二酸化炭素が電気化学セルに吸着されるときの筐体内の二酸化炭素の濃度変化に基づいて、経過時間と電気化学セルによる二酸化炭素の吸着量との関係を表す吸着学習データが生成される。従って、この吸着学習データに基づいて、吸着モードにおける吸着電位の印加時間を設定することにより、例えば、電気化学セルによって吸着可能な二酸化炭素が既に吸着されているにも係らず、吸着電位の印加を継続するなど、無駄に吸着電位を印加することを防ぐことができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
(【0011】以降は省略されています)
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