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公開番号2024132948
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-01
出願番号2024035482
出願日2024-03-08
発明の名称近赤外線遮蔽性に優れたフィルム
出願人東レ株式会社
代理人
主分類G02B 5/26 20060101AFI20240920BHJP(光学)
要約【課題】 本発明は、過酷な条件下でも優れた可視光透過性、近赤外線遮蔽性、外観を維持することができるフィルムを提供することを、その課題とする。
【解決手段】 大きさ1m×1mのフィルムの全面において、波長帯域400nm以上800nm以下の平均透過率が80%以上であり、波長帯域900nm以上1200nm以下の平均透過率が20%未満であり、短波長側の半値波長端λminの変化が30nm未満であり、ヘイズが3.0%未満であり、100℃・24時間の加熱試験においてヘイズ上昇が1.0%未満であることを特徴とする、フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
大きさ1m×1mのフィルムの全面において、波長帯域400nm以上800nm以下の平均透過率が80%以上であり、波長帯域900nm以上1200nm以下の平均透過率が20%未満であり、短波長側の半値波長端λminの変化が30nm未満であり、ヘイズが3.0%未満であり、100℃・24時間の加熱試験においてヘイズ上昇が1.0%未満であることを特徴とする、フィルム。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
相対的に屈折率が高い層をA層、相対的に屈折率の低い層をB層としたときに、前記A層と前記B層が交互に51層以上積層されている、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記A層がポリエステル樹脂を主成分とする、請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記A層の主成分であるポリエステル樹脂が、ジカルボン酸単位としてナフタレンジカルボン酸単位を含む共重合体である、請求項3に記載のフィルム。
【請求項5】
前記A層の主成分であるポリエステル樹脂において、主たるジカルボン酸単位がナフタレンジカルボン酸単位である、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記A層の主成分であるポリエステル樹脂において、ジオール成分全体に占めるポリアルキレングリコール単位が1wt%以上15wt%以下である、請求項2~5のいずれかに記載のフィルム。
【請求項7】
前記B層がポリエステル樹脂を主成分とする、請求項2~5のいずれかに記載のフィルム
【請求項8】
前記B層の主成分であるポリエステル樹脂が、シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリエステル樹脂である、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
100℃・24時間の加熱試験において波長帯域900nm以上1200nm以下の平均透過率の変化率が8%未満である、請求項1~8のいずれかに記載のフィルム。
【請求項10】
車両または建材に使用される光透過体を構成する要素として使用される、請求項1~9のいずれかに記載のフィルム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線を遮蔽するフィルムに関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
住宅やオフィス等の建物、または車両や船舶等の交通機関では、その窓ガラス等の光透過体から、太陽光線や蛍光灯、ランプ等の光源から光が入射することにより、室内温度または車内温度が上昇する。建物や交通機関の内部の気温を一定に保つ手段としては、空調設備を稼働させる方法が挙げられるが、空調設備は余分なエネルギーを消費し、交通機関であれば空調設備の稼働により燃費性能の悪化も問題となる。また、空調設備の稼働により快適な温度に制御したとしても、建物や交通機関の外部からの光線、中でも近赤外線が人体に当たることによる不快なジリジリ感やヒリヒリ感を抑制することは困難である。そのため光透過体には、太陽や光源からの光に含まれる近赤外線を遮断する性質を有することが要求される。さらに、上記用途に用いる光透過体には、明るさや視認性を確保する観点から、太陽や光源からの光に含まれる可視光線を透過することも同時に要求される。
【0003】
上記問題を解決するために、特許文献1では、近赤外線吸収粒子を分散させたシート材を用いることが提案されている。一方、シート材中に粒子を分散させることにより、可視光線透過性が低下するため、近赤外線遮蔽性と可視光線透過性を同時に満足させることは困難であった。特許文献2、3では、屈折率が異なる2種類以上の材料を光の反射帯域の波長レベルの層厚みで交互に積層することにより発現する光の干渉現象を利用した熱線反射フィルムが提案されている。本技術ではフィルム内部に粒子を実質的に含まないため、近赤外線遮蔽性と可視光線透過性を同時に満足することができる。特許文献2や3の熱線反射フィルムは、透明性、耐熱性、耐候性、耐薬品性、強度、寸法安定性などの理由から、一方の樹脂にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを使用し、もう一方の樹脂に低屈折率の共重合ポリエステルを使用しているが、特にポリエチレンナフタレートを使用した場合、材料の屈折率差が大きくなり、高い反射率を有するフィルムを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2022-100880号公報
特開2017-177810号公報
特開2022-91206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、近赤外線反射フィルムを実際の窓ガラス等の製品に適用する際に行われる信頼性試験を行うと、フィルム中の有機低分子の結晶化によりヘイズが上昇する点が問題となる。また、特許文献3に記載の方法では、自動車のフロントガラス等の大型の製品に適用できるサイズでは、一方向に延びるスジが発生して外観や熱線反射性能に劣る箇所が発生する点が問題となる。
【0006】
本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、過酷な条件下でも優れた可視光透過性、近赤外線遮蔽性、外観を維持することができるフィルムを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。すなわち、大きさ1m×1mのフィルムの全面において、波長帯域400nm以上800nm以下の平均透過率が80%以上であり、波長帯域900nm以上1200nm以下の平均透過率が20%未満であり、短波長側の半値波長端λminの変化が30nm未満であり、ヘイズが3.0%未満であり、100℃・24時間の加熱試験においてヘイズ上昇が1.0%未満であることを特徴とする、フィルムである。
【0008】
また、本発明のフィルムは以下の態様とすることもできる。
(1) 大きさ1m×1mのフィルムの全面において、波長帯域400nm以上800nm以下の平均透過率が80%以上であり、波長帯域900nm以上1200nm以下の平均透過率が20%未満であり、短波長側の半値波長端λminの変化が30nm未満であり、ヘイズが3.0%未満であり、100℃・24時間の加熱試験においてヘイズ上昇が1.0%未満であることを特徴とする、フィルム。
(2) 相対的に屈折率が高い層をA層、相対的に屈折率の低い層をB層としたときに、前記A層と前記B層が交互に51層以上積層されている、(1)に記載のフィルム。
(3) 前記A層がポリエステル樹脂を主成分とする、(2)に記載のフィルム。
(4) 前記A層の主成分であるポリエステル樹脂が、ジカルボン酸単位としてナフタレンジカルボン酸単位を含む共重合体である、(3)に記載のフィルム。
(5) 前記A層の主成分であるポリエステル樹脂において、主たるジカルボン酸単位がナフタレンジカルボン酸単位である、(4)に記載のフィルム。
(6) 前記A層の主成分であるポリエステル樹脂において、ジオール成分全体に占めるポリアルキレングリコール単位が1wt%以上15wt%以下である、(2)~(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7) 前記B層がポリエステル樹脂を主成分とする、(2)~(6)のいずれかに記載のフィルム。
(8) 前記B層の主成分であるポリエステル樹脂が、シクロヘキサンジメタノール単位を含むポリエステル樹脂である、(7)に記載のフィルム。
(9) 100℃・24時間の加熱試験において波長帯域900nm以上1200nm以下の平均透過率の変化率が8%未満である、(1)~(8)のいずれかに記載のフィルム。
(10) 車両または建材に使用される光透過体を構成する要素として使用される、(1)~(9)のいずれかに記載のフィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、過酷な条件下でも優れた可視光透過性、近赤外線遮蔽性、外観を維持することができるフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のフィルムは、大きさ1m×1mのフィルムの全面において、波長帯域400nm以上800nm以下の平均透過率が80%以上であり、波長帯域900nm以上1200nm以下の平均透過率が20%未満であり、短波長側の半値波長端λminの変化が30nm未満であり、ヘイズが3.0%未満であり、100℃・24時間の加熱試験においてヘイズ上昇が1.0%未満であることを特徴とする、フィルムである。以下、本発明のフィルムについて具体的に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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