TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2024128530
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-24
出願番号2023037532
出願日2023-03-10
発明の名称掘進機の振動制御システムと振動制御方法
出願人大成建設株式会社
代理人個人,個人
主分類E21D 9/06 20060101AFI20240913BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】シールド工法等において、掘進機が掘進する際に発生し得る振動の抑制に有効な箇所に対策を講じることができる、掘進機の振動制御システムと振動制御方法を提供する。
【解決手段】掘進機の振動制御システム100は、スキンプレート20の内部において、正面視における中心Oを通る推進ジャッキ28が対向位置の関係にある、複数組の推進ジャッキ群を形成し、推進ジャッキ28の近傍には、計測器60に含まれる加速度計61とストローク計63が少なくとも装着され、全ての計測器60は時刻同期され、制御装置50は、複数の加速度計61から取得した計測データに基づいて振動の発生源となる第1推進ジャッキ28を特定し、第1推進ジャッキ28に対応する位置にある注入器30、及び/又は、第1推進ジャッキ28と対向位置の関係にある第2推進ジャッキ28に対応する位置にある注入器30に対して滑材を注入させる制御を実行する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
シールド工法もしくは推進工法において適用され、筒状のスキンプレートと、該スキンプレートの掘進方向前方に回転自在に設けられているカッタヘッドとを有し、該カッタヘッドの前面には掘削ビットが設けられ、該カッタヘッドの背面にチャンバを備えている掘進機の振動を特定して制御する、掘進機の振動制御システムであって、
前記スキンプレートの内部において、正面視における該スキンプレートの中心を通る対向位置にはそれぞれ、相互に対応する推進ジャッキが設けられて、対向位置の関係にある推進ジャッキ群を形成し、該対向位置の関係にある推進ジャッキ群が複数組設けられており、
前記推進ジャッキもしくはその近傍には、計測器に含まれる加速度計が少なくとも装着され、全ての該計測器は時刻同期されており、
前記スキンプレートにおける各推進ジャッキに対応する位置には、該スキンプレートの内部から外部へ滑材を注入する注入器が設けられており、
前記計測器による計測データを取得し、複数の前記注入器のうちの少なくとも1つに対して滑材を注入させる制御を実行する、制御装置をさらに有し、
前記制御装置は、複数の前記加速度計から取得した計測データに基づいて振動の発生源となる第1推進ジャッキを特定し、該第1推進ジャッキに対応する位置にある注入器、及び/又は、第1推進ジャッキと前記対向位置の関係にある第2推進ジャッキに対応する位置にある注入器に対して、滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする、掘進機の振動制御システム。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記振動には、最初に発生する相対的に振幅の小さなトリガー振動と、その後で発生する相対的に振幅の大きな本振動が含まれ、
前記制御装置は、前記トリガー振動が特定された際に、該トリガー振動の原因となる推進ジャッキを前記第1推進ジャッキとし、該第1推進ジャッキに対応する前記注入器に対して滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする、請求項1に記載の掘進機の振動制御システム。
【請求項3】
前記振動には、最初に発生する相対的に振幅の小さなトリガー振動と、その後で発生する相対的に振幅の大きな本振動が含まれ、
前記トリガー振動を特定する加速度計と前記本振動を特定する加速度計は、前記対向位置の関係にあるとし、
前記制御装置は、トリガー振動が特定された際に、該トリガー振動の原因となる推進ジャッキを前記第1推進ジャッキとし、前記本振動の原因となる前記第2推進ジャッキに対応する前記注入器に対して滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする、請求項1に記載の掘進機の振動制御システム。
【請求項4】
前記振動には、最初に発生する相対的に振幅の小さなトリガー振動と、その後で発生する相対的に振幅の大きな本振動が含まれ、
前記トリガー振動を特定する加速度計と前記本振動を特定する加速度計は、前記対向位置の関係にあるとし、
前記制御装置は、トリガー振動が特定された際に、該トリガー振動の原因となる推進ジャッキを前記第1推進ジャッキとし、該第1推進ジャッキに対応する前記注入器と、前記本振動の原因となる前記第2推進ジャッキに対応する前記注入器の双方に対して滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする、請求項1に記載の掘進機の振動制御システム。
【請求項5】
複数の前記計測器の近傍にはそれぞれ、前記注入器が設けられており、
前記トリガー振動には、第1閾値が設定されて前記制御装置に記憶されており、
前記制御装置は、ある計測器にて特定された前記トリガー振動が前記第1閾値を超えた際に、該計測器の近傍にある前記注入器から滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする、請求項2又は3に記載の掘進機の振動制御システム。
【請求項6】
前記本振動には、前記注入器からの滑材の注入の要否となる第2閾値が設定されて前記制御装置に記憶されており、
前記制御装置は、特定された前記本振動が前記第2閾値を超えた際に、前記注入器から滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする、請求項2又は3に記載の掘進機の振動制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は表示部を有し、
前記表示部は、前記トリガー振動が特定された前記推進ジャッキの加速度波形と、前記本振動が特定された前記推進ジャッキの加速度波形を少なくとも、同一画面上に表示することを特徴とする、請求項2又は3に記載の掘進機の振動制御システム。
【請求項8】
シールド工法もしくは推進工法において適用され、筒状のスキンプレートと、該スキンプレートの掘進方向前方に回転自在に設けられているカッタヘッドとを有し、該カッタヘッドの前面には掘削ビットが設けられ、該カッタヘッドの背面にチャンバを備えている掘進機の振動を特定して制御する、掘進機の振動制御方法であって、
前記スキンプレートの内部において、正面視における該スキンプレートの中心を通る対向位置にはそれぞれ、相互に対応する推進ジャッキが設けられて、対向位置の関係にある推進ジャッキ群を形成し、該対向位置の関係にある推進ジャッキ群が複数組設けられており、
前記推進ジャッキもしくはその近傍には、計測器に含まれる加速度計が少なくとも装着され、全ての該計測器は時刻同期されており、
前記スキンプレートにおける各推進ジャッキに対応する位置には、該スキンプレートの内部から外部へ滑材を注入する注入器が設けられており、
複数の前記加速度計から取得した計測データに基づいて振動の発生源となる第1推進ジャッキを特定し、該第1推進ジャッキに対応する位置にある注入器、および/又は、第1推進ジャッキと前記対向位置の関係にある第2推進ジャッキに対応する位置にある注入器に対して、滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする、掘進機の振動制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、掘進機の振動制御システムと振動制御方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
シールド工法や推進工法においては、掘進機を掘進させながら地山を切削し、掘進機の後方においてセグメントトンネルや推進トンネルが施工される。推進工法では、掘進機による掘進に加えて、後方から元押しジャッキや中押しジャッキによるジャッキ推力により複数の推進函が推進されることになる。
ところで、掘進機の掘進に際しては、掘進中に振動(騒音を含む)が発生することが往々にしてあり、特に都市部におけるシールド工法等の際に発生する振動は、周辺環境への影響からその対策が急務となり得る。この振動発生の原因の一つに、掘進機と周辺地盤との間の摩擦が切れること(所謂、摩擦切れ)が挙げられる。例えば、砂地盤等において、砂の粒子のかみ合わせが緩んで体積膨張することにより掘進機が締付けられる、ジャーミングが発生する場合には、この摩擦切れの際の振動発生が顕著になり、硬質な礫地盤等では、切削抵抗が大きくなり、カッタヘッドが回転する際の振動が顕著になり得る。
【0003】
そこで、従来は、振動が発生した後に掘進機の内部に加速度計等の計測器を設置することもあったが、振動原因の明確な特定には至っていない。また、限られた点で振動を測定していることから、掘進機全体が一体となって軸方向に動いていることを測定結果として把握しておらず、加速度計と同じ周期で推進ジャッキや掘進機の挙動が計測されていない。
上記のような振動が発生した際の対策として、夜間における掘進停止や、掘進スピードの低下、推進ジャッキの当て直し、滑剤の注入等が実施されているものの、振動の原因が明確に特定されていないことから、いずれも効果的な対策には至っていない。掘進機の周囲をオーバーカットし、オーバーカット領域に滑剤を注入することにより振動を低減できる場合もあるが、例えば、振動の発生源を特定することなく、掘進機の周囲に大量に滑材を注入することにより、掘進機のテールボイドに注入されている裏込め材の塩基によって滑材が脱水され(裏込め材による吸水)、滑材が脱水にて収縮することによって裏込め材と滑材の間に空隙が生じる恐れがある。この空隙により、裏込め材の強度が低下し得る。従って、掘進機の周囲の全域に大量の滑材を注入することは、裏込め材の強度低下の要因になり得ることから好ましくない。
以上のことから、シールド工法等において、掘進機が掘進する際に発生し得る振動の抑制に有効な箇所に対策を講じることのできる、掘進機の振動制御システムと振動制御方法が望まれる。
【0004】
ここで、特許文献1には、スキンプレートと掘削孔の内壁面との間におけるスキンプレートの全周に亘って滑材を注入する、掘削機が提案されている。具体的には、円筒状のスキンプレートと、スキンプレートの先端に回転自在に設けられているカッター装置とを有し、カッター装置により地山を掘進するシールド機において、カッター装置の外周部分におけるスキンプレートよりも外方側でかつ後方側に向いている部位に開口部が設けられ、開口部を介してスキンプレートと掘削孔の内壁面との間に後方に向けて滑材が注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017-89167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の掘削機(掘進機)によれば、カッター装置の外周部分におけるスキンプレートよりも外方側の後方側に向いた部位にある開口部を介して、スキンプレートと掘削孔の内壁面との間に後方に向けて滑材を注入することにより、スキンプレートと掘削孔の内壁面との間に生じる摩擦力を十分に低減できるとしている。
しかしながら、既に述べたように、掘進機が掘進する際に発生し得る振動の抑制に有効な箇所に対策を講じる手段を開示するものではない。
【0007】
本発明は、シールド工法等において、掘進機が掘進する際に発生し得る振動の抑制に有効な箇所に対策を講じることができる、掘進機の振動制御システムと振動制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による掘進機の振動制御システムの一態様は、
シールド工法もしくは推進工法において適用され、筒状のスキンプレートと、該スキンプレートの掘進方向前方に回転自在に設けられているカッタヘッドとを有し、該カッタヘッドの前面には掘削ビットが設けられ、該カッタヘッドの背面にチャンバを備えている掘進機の振動を特定して制御する、掘進機の振動制御システムであって、
前記スキンプレートの内部において、正面視における該スキンプレートの中心を通る対向位置にはそれぞれ、相互に対応する推進ジャッキが設けられて、対向位置の関係にある推進ジャッキ群を形成し、該対向位置の関係にある推進ジャッキ群が複数組設けられており、
前記推進ジャッキもしくはその近傍には、計測器に含まれる加速度計が少なくとも装着され、全ての該計測器は時刻同期されており、
前記スキンプレートにおける各推進ジャッキに対応する位置には、該スキンプレートの内部から外部へ滑材を注入する注入器が設けられており、
前記計測器による計測データを取得し、複数の前記注入器のうちの少なくとも1つに対して滑材を注入させる制御を実行する、制御装置をさらに有し、
前記制御装置は、複数の前記加速度計から取得した計測データに基づいて振動の発生源となる第1推進ジャッキを特定し、該第1推進ジャッキに対応する位置にある注入器、及び/又は、第1推進ジャッキと前記対向位置の関係にある第2推進ジャッキに対応する位置にある注入器に対して、滑材を注入させる制御を実行することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、制御装置が、複数の加速度計から取得した計測データに基づいて振動の発生源となる第1推進ジャッキを特定し、第1推進ジャッキに対応する位置にある注入器、及び/又は、第1推進ジャッキと正面視におけるスキンプレートの中心を通る対向位置にある第2推進ジャッキに対応する位置にある注入器に対して、滑材を注入させる制御を実行することにより、振動の発生源となる推進ジャッキに対応する領域、もしくは当該推進ジャッキと対向位置の関係にある推進ジャッキに対応する領域に絞って、滑材を注入して振動を低減することができる。このように、掘進機が掘進する際に発生し得る振動の抑制に有効な箇所に対策を講じることができるため、例えば掘進機の周囲の全域に大量の滑材を注入する際に生じ得る、裏込め材の強度低下を抑制もしくは抑止できる。
例えば正面視円形の掘進機には、そのスキンプレートの内部において周方向に複数の推進ジャッキが装備されているが、本発明者等によれば、実際のシールド施工現場において、大きな振動が発生する推進ジャッキと、最初に振動(微小な振動)が発生する推進ジャッキが異なる傾向にあり、より詳細には、これらの推進ジャッキは正面視においてスキンプレートの中心を通る対向位置の関係にあることが特定されている。尚、この「対向位置の関係にある」とは、厳密に対向位置(180度対向する位置)の関係にあることの他に、180度対向する位置の左右±30度程度幅を持った範囲も含まれる。
換言すれば、最初に微小な振動を生じさせる推進ジャッキの対向位置の関係にある推進ジャッキが、大きな振動を生じさせる推進ジャッキであることが特定されている。
そこで、振動の発生源となる第1推進ジャッキと、これと対向位置の関係にある第2推進ジャッキの少なくとも一方に対応する注入器から滑材を注入することにより、滑材の注入領域を振動の抑制に効果的な領域に絞ることができ、掘進機の全周に大量の滑材を注入することなく振動抑制を図ることが可能になる。
【0010】
ここで、「振動の発生源となる第1推進ジャッキ」とは、例えば最初に微小な振動を生じさせる推進ジャッキであり、大きな振動の発生原因となる振動(トリガー振動)であることから、トリガー振動の発生源ということもできる。一方、この第1推進ジャッキと対向位置の関係にある推進ジャッキは、大きな振動である本振動を発生させる第2推進ジャッキとなる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

大成建設株式会社
プログラム
5日前
大成建設株式会社
鉄骨梁の耐火被覆構造
5日前
大成建設株式会社
地下構造物の構築方法
5日前
大成建設株式会社
爆薬装填システムと切羽穿孔機
5日前
大成建設株式会社
削孔装填システムと削孔装填方法
6日前
大成建設株式会社
異種コンクリートの切替り特定方法
5日前
大成建設株式会社
異種コンクリートの切替り特定装置
5日前
リーフ株式会社
搬送アシスト装置
19日前
大成建設株式会社
コンクリート鋼管柱およびその構築方法
12日前
大成建設株式会社
掘進機の振動制御システムと振動制御方法
1日前
大成建設株式会社
掘進機の振動制御システムと振動制御方法
13日前
大成建設株式会社
遊離脂肪酸の製造方法および遊離脂肪酸生産藻類
1日前
大成建設株式会社
異種コンクリートの切替り特定装置と切替り特定方法
5日前
大成建設株式会社
遊離脂肪酸生産藻類とその製造方法、および脂肪酸製造方法
5日前
株式会社コルラボ
情動判定システム及び情動判定プログラム
16日前
大成建設株式会社
場所打ちコンクリート杭および場所打ちコンクリート杭の施工方法
12日前
個人
地面の穴あけ機
5か月前
個人
ずり積込み装置
2か月前
株式会社エステック
掘削機
1か月前
株式会社奥村組
削孔システム
1か月前
能美防災株式会社
水噴霧設備
5日前
株式会社大林組
土砂採取装置
4か月前
戸田建設株式会社
面木
2か月前
株式会社堤水素研究所
発破装置
29日前
アイエスケー株式会社
結合装置
3か月前
株式会社フジタ
遠隔操作トンネル掘削装置
2か月前
日特建設株式会社
ビット及び削孔機
1か月前
株式会社フジタ
覆工コンクリート打設装置
3か月前
株式会社フジタ
覆工コンクリート打設装置
3か月前
個人
鉱物採取具
2か月前
テクノス株式会社
鋼製セグメント製造設備
1か月前
Next Innovation合同会社
継手部材
4か月前
株式会社フジタ
トンネル工事のずり排出方法
3か月前
株式会社フジタ
トンネル工事のずり排出方法
3か月前
株式会社フジタ
切羽穿孔機の遠隔制御システム
2か月前
個人
掘削機、資源回収システム、及び、潜水機
4か月前
続きを見る