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公開番号2024124045
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023031951
出願日2023-03-02
発明の名称組電池、及び電池盤
出願人株式会社東芝,東芝インフラシステムズ株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類H01M 10/6556 20140101AFI20240905BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】充放電により組電池のセルが温度上昇するときに、組電池の温度上昇を一時的に抑制し、かつ、組電池の温度を平滑化する。
【解決手段】セルを収容室に並列させて収容するケースと、セル下方に配設された金属板と、前記金属板により上面が接着封止される相変化材料充填部と、前記相変化材料充填部の下面に接着されるヒートシンクと、を備え、前記相変化材料充填部は、ケーシング内に配設された金属仕切り板によって仕切られた複数の充填空間と、複数の該充填空間に充填された相変化材料と、を備え、前記ヒートシンクは、シンク基部の下面に櫛状を形成するように複数並べて配設されたフィンを備え、複数の該フィンが、前記ケースに収容された複数の前記セルのうち温度が上昇しやすい該セルに対応するように、前記シンク基部の下面の中で該セルの高さ方向から見て十字状となるフィン群を形成する、組電池。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数の角柱セルと、
前記角柱セルを収容室に並列させて複数収容する樹脂ケースと、
前記角柱セルの下方に配設された金属板と、
前記金属板により上面が接着封止される相変化材料充填部と、
前記相変化材料充填部の下面に接着され前記角柱セルを冷却するヒートシンクと、を備え、
前記相変化材料充填部は、ケーシングと、前記ケーシング内に配設された金属仕切り板によって仕切られた複数の充填空間と、複数の該充填空間に充填された相変化材料と、を備え、
前記ヒートシンクは、平板状のシンク基部と、該シンク基部の下面に櫛状を形成するように複数並べて配設されたフィンと、隣り合う該フィン同士の間に形成された通風路と、を備え、
複数の該フィンが、前記樹脂ケースに収容された複数の前記角柱セルのうち温度が上昇しやすい該角柱セルに対応するように、前記シンク基部の下面の中で、空気の流れる方向における上流側の上流中央領域と、該上流中央領域につながるとともに該上流中央領域よりも広い中流領域と、該中流領域につながるとともに該空気の流れる方向における下流側の下流中央領域と、に配設されて、該角柱セルの高さ方向から見て十字状となるフィン群を形成する、組電池。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
前記ヒートシンクは、前記シンク基部の下面の中で、該シンク基部の下面の面方向において前記フィン群の側方に位置する領域に櫛状を形成するように複数並べて配設された側方フィンを備え、
隣り合う該側方フィンのピッチ幅は、前記フィン群を形成する前記フィンのピッチ幅よりも大きい、請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
絶縁性能を有し前記角柱セルの一対の長側面及び底面をそれぞれ覆うように該角柱セルを把持した状態で該角柱セルと共に前記樹脂ケースに収容されるセル把持部と、
該セル把持部の下面に倣って変形可能であり、前記樹脂ケースの底板に貫通形成された枠孔に収容され、前記セル把持部の下面に密着した状態で前記金属板と該セル把持部とを接着する伝熱可塑性材料と、を備える請求項1に記載の組電池。
【請求項4】
前記充填空間は、正六角柱状であり、
前記相変化材料充填部は、複数の前記充填空間により形成されたハニカム構造を有する請求項1に記載の組電池。
【請求項5】
前記相変化材料充填部の複数の前記充填空間は、それぞれ矩形体状である請求項1に記載の組電池。
【請求項6】
前記金属板と前記相変化材料充填部との間にホットメルトフィルムが配設され、
該相変化材料充填部は、該金属板及び該ホットメルトフィルムにより上面が接着封止された請求項1に記載の組電池。
【請求項7】
前記樹脂ケースは、前記収容室の外に設けられボルトが通る第1の貫通孔を備え、
前記金属板は、前記第1の貫通孔に連通するとともに前記ボルトが通る第2の貫通孔を備え、
前記相変化材料充填部は、前記第2の貫通孔に連通するとともに前記ボルトが通る第3の貫通孔を備え、
前記ヒートシンクは、前記第3の貫通孔に連通するとともに前記ボルトが螺合するボルト穴を備え、
前記第1の貫通孔、前記第2の貫通孔、前記第3の貫通孔に通されるとともに前記ボルト穴に螺合した前記ボルトによって、前記樹脂ケース、前記金属板、前記相変化材料充填部、及び前記ヒートシンクが締結固定される請求項1に記載の組電池。
【請求項8】
複数の角柱セル、及び該角柱セルを冷却するヒートシンクを備える複数の組電池と、
複数の前記組電池を収容し、正面板及び該正面板と反対側に位置する背面板を有する筐体と、
前記筐体内で上下方向に間隔を空けて並べて複数配設され、前記組電池がそれぞれ載置される棚板と、
前記筐体の正面板に形成された複数の吸気口と、
前記筐体内に複数の前記吸気口にそれぞれ対向するように配設され、前記吸気口から該筐体外の空気を該筐体内に吸い込み、該空気を前記組電池のヒートシンクに向けて送り該ヒートシンクを通過させるファンと、
前記筐体の背面板に形成され前記ヒートシンクを通過した前記空気を該筐体外に排気する排気口と、
前記棚板と前記上下方向において段状に隣り合う別の前記棚板との間に形成された盤内通風路と、を備え、
前記棚板は、前記上下方向に貫通形成された開口部を有し、
前記組電池に取り付けられ前記棚板の上面の面方向に沿って延在し、前記組電池の前記ヒートシンクを前記開口部を通過させ前記棚板の下面から下方に位置する前記盤内通風路に露出させた状態で、前記開口部よりも前記面方向における外側に張り出し前記棚板の上面で支持される被支持板を備え、
前記ファンにより前記吸気口から吸い込まれた前記空気を、前記棚板によって前記排気口側へ流れるようにガイドしつつ前記棚板の下面から露出した前記ヒートシンクを通過させた後に前記排気口から排気する、電池盤。
【請求項9】
前記組電池は、請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の組電池である請求項8に記載の電池盤。
【請求項10】
前記正面板の内側面の前記上下方向における中間領域に上下に並べて配設された上入口偏向板と下入口偏向板とを備え、
前記上入口偏向板は、前記正面板の内側面から前記筐体の内部側の斜め下方に向かって傾斜するように延在し、前記下入口偏向板は、前記正面板の内側面から前記筐体の内部側の斜め上方に向かって傾斜するように延在し、
前記上入口偏向板は、該上入口偏向板よりも前記上下方向において上方に位置する前記ファンが前記吸気口から吸い込んだ前記空気を、前記上下方向において段状に隣り合う1つの前記ヒートシンクと別の1つの前記ヒートシンクとに分配するように偏向し、
前記下入口偏向板は、該下入口偏向板よりも前記上下方向において下方に位置する前記ファンが前記吸気口から吸い込んだ前記空気を、前記上下方向において段状に隣り合う1つの前記ヒートシンクと別の1つの前記ヒートシンクとに分配するように偏向する、請求項8に記載の電池盤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、組電池、及び電池盤に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来、組電池(電池モジュール)は、絶縁性を持たせた樹脂ケース内に複数のセル(電池)を収容し、所望の電圧電流となるように直並列にバスバー等で接続されたセル群を備えている。そして、セル群が正常な状態となっているか否かを監視する監視基板を、樹脂ケース等に収納し、該監視基板に主回路と通信ケーブル配線部とを配設する場合がある。該監視基板は、例えば、Cell Monitoring Unit(CMU)と呼ばれている。そして、組電池をさらに複数個直並列に配置することで、電池システム、電池盤、又は電池パックとして所望の電力、電圧、及び電流を得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許6892451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常走行用電池装置やUPS(無停電電源装置)用蓄電池盤に用いられ、充放電時において急速に温度上昇する電池システムがある。そして、電池システムのモジュール内において、他のセルよりも温度が高いセルがあると、そのセルだけ先に内部の劣化が加速する。そのため、内部抵抗が上昇し、且ジュール熱が上昇することで、セル温度が上昇して容量が減少する。例えば、リチウムイオン電池等はエネルギー密度が低いので、高密度に組電池、電池システム、電池盤、又は電池パックに複数配置することが多く、配置場所によって、セルの急速充放電により急速に温度上昇するホットスポットができやすい。そして、ホットスポットの発生は、上記電池システム等における全体の性能低下の原因となる。
【0005】
充放電によって、組電池のセルが例えば急激に温度上昇するときに、組電池の温度上昇を一時的にパッシブに抑制し、また、組電池の温度を平滑化するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本実施形態の組電池は、複数の角柱セルと、前記角柱セルを収容室に並列させて複数収容する樹脂ケースと、前記角柱セルの下方に配設された金属板と、前記金属板により上面が接着封止される相変化材料充填部と、前記相変化材料充填部の下面に接着され前記角柱セルを冷却するヒートシンクと、を備え、前記相変化材料充填部は、ケーシングと、前記ケーシング内に配設された金属仕切り板によって仕切られた複数の充填空間と、複数の該充填空間に充填された相変化材料と、を備え、前記ヒートシンクは、平板状のシンク基部と、該シンク基部の下面に櫛状を形成するように複数並べて配設されたフィンと、隣り合う該フィン同士の間に形成された通風路と、を備え、複数の該フィンが、前記樹脂ケースに収容された複数の前記角柱セルのうち温度が上昇しやすい該角柱セルに対応するように、前記シンク基部の下面の中で、空気の流れる方向における上流側の上流中央領域と、該上流中央領域につながるとともに該上流中央領域よりも広い中流領域と、該中流領域につながるとともに該空気の流れる方向における下流側の下流中央領域と、に配設されて、該角柱セルの高さ方向から見て十字状となるフィン群を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、実施形態の組電池の各構成を説明する分解斜視図である。
図2は、組電池の角柱セルの一例を示す斜視図である。
図3は、実施形態の組電池を下側ケースの底板側から見て説明する斜視図である。
図4は、実施形態の組電池の下側ケースの収容室内を説明する斜視図である。
図5は、実施形態の組電池の概略的な断面図である。
図6は、相変化材料充填部を説明する平面図である。
図7は、実施例1のヒートシンクを下面側から見て説明する斜視図である。
図8は、実施例1のヒートシンクの十字状のフィン群を説明する下面図である。
図9は、実施例2のヒートシンクのフィン群の側方に配設された側方フィンを説明する下面図である。
図10は、実施形態の組電池における温度上昇がしやすいセルを説明する斜視図である。
図11は、相変化材料充填部を備える実施形態の組電池の温度と時間との関係を示すグラフ、及び相変化材料充填部を備えていない組電池の温度と時間との関係を示すグラフである。
図12は、相変化材料充填部を備える実施形態の組電池の温度と時間との関係を示すグラフ、相変化材料充填部を備えていない組電池の温度と時間との関係を示すグラフ、及び充電率と時間との関係を示すグラフである。
図13は、実施形態1の電池盤の構造を説明するための側面図である。
図14は、棚板と、棚板に複数載置される組電池とを示す分解斜視図である。
図15は、別例の棚板と、電池盤用に金属板、相変化材料充填部、及びヒートシンクのサイズが変更された組電池と、を説明する分解斜視図である。
図16は、実施形態1の電池盤の筐体の正面板に形成された吸気口とファンとの位置関係を説明する説明図である。
図17は、実施形態2の電池盤の構造を説明するための側面図である。
図18は、実施形態2の電池盤の筐体の正面板に形成された吸気口とファンとの位置関係を説明する説明図である。
図19は、実施形態2の電池盤の棚板と、棚板に複数載置される組電池とを示す分解斜視図である。
図20は、実施形態2の電池盤の棚板と、棚板に載置された組電池とを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(組電池の実施形態)
以下、図1~図5を用いて複数の角柱セル10(以下、セル10とする)を備える組電池4の例示的かつ模式的な実施形態を開示する。なお、以下の説明では、便宜上、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向が規定されている。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに直交している。例えば、X軸方向及びY軸方向で形成される平面を水平面とし、Z軸方向を鉛直方向とする。X軸方向は、組電池4の長手方向に沿う方向である。Y軸方向は、組電池4の短手方向に沿う方向である。Z軸方向は、組電池4の高さ方向に沿う方向である。X軸方向は、+X方向と-X方向とを含む。Y軸方向は、+Y方向と-Y方向とを含む。Z軸方向は、+Z方向(上方向)と-Z方向(下方向)とを含む。なお、本実施形態における上下のような方向を示す表現は、便宜上の呼称であり、組電池4の位置、姿勢、及び使用態様を限定するものではない。
【0009】
実施形態の組電池4は、種々の装置や、機械、設備等に設置され、それら種々の装置や、機械、設備の電源として使用される。組電池4は、自動車や鉄道車両等の電源等、移動型の電源としても使用される他、例えば、POS(Point Of Sales)システム用の電源等、定置型の電源としても使用されうる。また、種々の装置等には、複数の、本実施形態で示される組電池4を、直列あるいは並列に接続したセット(例えば棚状に上下に重ねたセット)として搭載することもできる。組電池4は、電池モジュールとも称される。
【0010】
図1に示すように、組電池4は、例えば、絶縁性能を有し複数のセル10の一対の長側面109及び底面108をそれぞれ覆うように複数のセル10を把持するセル把持部41を、例えば3つ備えている。また、組電池4は、セル把持部41により把持された複数のセル10を並列させて収容する樹脂ケース5を備えている。
(【0011】以降は省略されています)

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