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公開番号
2024165415
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2023081598
出願日
2023-05-17
発明の名称
電動機制御装置
出願人
株式会社東芝
,
日本キヤリア株式会社
代理人
弁理士法人サトー
主分類
H02P
21/12 20160101AFI20241121BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】キャリアに三角波のみを使用して、磁極位置推定のSN比を十分に確保しつつ、騒音を抑制できる電動機制御装置を提供する。
【解決手段】3相のPWM信号パターンを生成するPWM信号生成部、電流検出素子に発生した信号とPWM信号パターンとに基づき相電流を検出する電流検出部、2相のそれぞれ2回検出した電流値の差を電流変化量として出力する電流変化量検出部、電流変化量に基づき磁極位置を推定する磁極位置推定部を備え、PWM信号生成部は三角波を搬送波とし、電流検出部がPWM信号の搬送波周期内の4点のタイミングで2相の電流をそれぞれ2回検出できるように3相のPWM信号パターンを生成し、インバータ部の出力電圧のセクタ毎に変化する各相デューティ比の大小関係にて、最大相は搬送波周期の任意の位相を基準として進み側又は遅れ側の一方向に、中間相は搬送波周期の任意の位相を基準として最大相とは逆方向にシフトさせる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
3相ブリッジ接続された複数のスイッチング素子を所定のPWM信号パターンに従いオンオフ制御することで、直流を3相交流に変換する電動機を駆動するインバータ回路と、
このインバータ部の電流値に対応する信号を発生する電流検出素子と、
前記電動機の磁極位置に追従するように3相のPWM信号パターンを生成するPWM信号生成部と、
前記電流検出素子に発生した信号と前記PWM信号パターンとに基づいて、前記電動機の相電流を検出する電流検出部と、
3相のうち2相のそれぞれについて、2回検出した電流値の差を電流変化量として出力する電流変化量検出部と、
前記電流変化量に基づいて、前記電動機の磁極位置を推定する磁極位置推定部とを備え、
前記PWM信号生成部は、三角波を搬送波として使用し、
前記電流検出部が、前記PWM信号の搬送波周期内における4点のタイミングで、2相の電流をそれぞれ2回検出できるように3相のPWM信号パターンを生成し、
前記3相のPWM信号のうち、前記インバータ部の出力電圧のセクタ毎に変化する各相デューティ比の大小関係において、デューティ比が最大となる最大相については、前記搬送波周期の任意の位相を基準として進み側又は遅れ側の一方向に、デューティ比が中間となる中間相については、前記搬送波周期の任意の位相を基準として前記最大相とは逆方向にシフトさせる第1のシフト方法を実行する電動機制御装置。
続きを表示(約 670 文字)
【請求項2】
前記PWM信号生成部は、前記第1のシフト方法によりシフトさせた3相のPWM信号のうち、少なくとも1相のPWM信号について、前記セクタの前回値のパルスシフト方向と、前記セクタの今回値のパルスシフト方向とが等しくなるようにPWM信号を生成する請求項1記載の電動機制御装置。
【請求項3】
前記電流検出素子は、前記インバータ回路の直流側に接続され、
前記PWM信号生成部は、前記3相のPWM信号のうち、前記セクタ毎に変化するデューティ比の大小関係において、最大及び中間相を、前記搬送波周期の任意の位相を基準として進み側又は遅れ側の一方向にシフトさせる第2のシフト方法が実行可能であり、
前記PWM信号生成部は、制御周期毎に、前記第1のシフト方法と前記第2のシフト方法とを交互に実行する請求項1又は2記載の電動機制御装置。
【請求項4】
前記PWM信号生成部は、前記第2のシフト方法について、前記3相のPWM信号のうち、前記セクタ毎に変化するデューティ相の大小関係において、前記最大相のシフト量を前記中間相のシフト量よりも大きく設定する請求項3記載の電動機制御装置。
【請求項5】
前記電流検出素子に発生した信号を増幅して、前記電流変化量検出部に出力する増幅器を備える請求項1又は2記載の電動機制御装置。
【請求項6】
前記電流検出素子に発生した信号を増幅して、前記電流変化量検出部に出力する増幅器を備える請求項3記載の電動機制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インバータ回路により駆動される電動機の各相電流に基づいて、電動機の磁極位置を推定する装置に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)
【背景技術】
【0002】
従来より、ロータに永久磁石を用いた永久磁石電動機、DCブラシレスモータを適切に制御するために磁極位置の検出が行われている。磁極位置の検出とは、電動機の電気角座標上の位置である電気角位相を検出することである。磁極位置の検出には、ロータリーエンコーダやレゾルバ、ホール素子等の位置センサを用いる方法もある。しかし、コストや構造上の制約の点から、位置センサを設けることができない場合もある。例えば、冷凍サイクル用の圧縮機モータの場合には、密閉容器からなる圧縮機の内部の冷媒充填空間内に電動機が内蔵されるため、位置センサを取付けることができない。
【0003】
そこで、位置センサを用いずに、電流や電圧情報から磁極位置を推定する手法がある。このような手法には、例えば、誘起電圧利用型と、インダクタンス利用型とがある。誘起電圧利用型は、電動機の速度に比例する誘起電圧を電動機への入力電圧及び電流より演算し、この誘起電圧に基づいて磁極位置を推定する手法である。この手法は、電動機の回転により発生する誘起電圧が、磁極位置である電動機の電気角に応じて変化することを利用している。
【0004】
誘起電圧利用型は、電動機の回転数が高い高速領域では十分な精度が得られる。しかし、回転数が低い低速領域では、誘起電圧の振幅が小さくなるか発生しないため、停止時や低速時には正確な推定ができない。
一方、インダクタンス利用型は、電動機のインダクタンスを電流や電圧情報から算出し、磁極位置を推定する手法である。この手法は、電動機のインダクタンスが、電動機の電気角に応じて2倍の周期で変化することを利用している。インダクタンス利用型の推定方法として、例えば、駆動周波数に関係しないセンシングのための交流電圧信号を電動機に印加し、電圧と電流の関係から磁極位置を推定する方法が幾つか提案されている。
【0005】
このようにしてインダクタンスを求めるために印加する交流電圧信号の周波数は、キャリア周波数以下の数100Hz~数kHz程度であるが、人の可聴域に電動機の電流リップル周波数が入るため騒音が増加してしまう。
この問題に対処するため、特許文献1では、3相のPWM信号パターンのうち1相については、搬送波周期の任意の位相を基準として遅れ側、進み側の双方向にデューティを増減させ、他の1相については搬送波周期の任意の位相を基準として遅れ側、進み側の一方向にデューティを増減させ、残りの1相については搬送波周期の任意の位相を基準として前記方向とは逆方向にデューティを増減させることで、高調波電流振幅を発生させ、騒音を抑制しながら磁極位置を推定する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2015-126565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように3相のPWM信号パターンを生成する方法では、搬送波周期内における固定された4点のタイミングで3相の電流をそれぞれ2回検出してそれらの差分値を求め、電流変化量に基づいて電動機の推定磁極位置を求める。よって、この方法は、突極比が小さい、又はインダクタンスが大きいという電動機の電気的特性に依存することなく、ゼロ速度を含む極低速領域においても、位置センサレス方式により推定磁極位置を精度良く求めることが可能で、様々な電動機に容易に適用できるという利点がある。
【0008】
しかしながら、3相のPWM信号を生成する処理では、各相で異なる波形のキャリアを使用することで各相のパルスを伸長させる方向を変更している。例えば、V相キャリアは三角波であり、U相キャリアは下降する鋸歯状波であり、W相キャリアはU相に対して逆相となる上昇する鋸歯状波である。そして、これらの位相は、U相キャリアの振幅レベルが最小となり、V相キャリアの振幅レベルが最大、W相キャリアの振幅レベルが最大となる位相が一致するように出力される。
【0009】
このため、実用化を想定すると、各相についてこれらのキャリアを生成可能なマイコンを使用する必要がある。これが、既存システムのソフトウェアを更新する必要や、製品開発時にマイコンを選定する際に制約となり、様々なシステムに対して汎用的に適用することを困難にしている。
【0010】
そこで、キャリアに三角波のみを使用して、磁極位置推定のSN比を十分に確保しつつ、騒音を抑制できる電動機制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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