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公開番号
2024121024
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-05
出願番号
2024108495
出願日
2024-06-18
発明の名称
食品用日持ち向上剤
出願人
太平化学産業株式会社
代理人
主分類
A23L
3/3526 20060101AFI20240829BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約
【課題】pHが中性において、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に静菌効果を示す食品用日持ち向上剤を提供することを目的とする。
【解決手段】グリシンおよび酢酸ナトリウムに低重合メタリン酸ナトリウムを含有、またはグリシンに低重合メタリン酸ナトリウムを含有、もしくは酢酸ナトリウムに低重合メタリン酸ナトリウムを含有してなることを特徴とするpHを中性に調整した食品用日持ち向上剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
グリシンおよび酢酸ナトリウムに、Na
n
H
2
P
n
O
3n+1
で表されるメタリン酸ナトリウムのうち平均重合度が14≦n<20を含有してなる食品用日持ち向上剤であって、グリシンを1.5質量%以上2.0質量%未満、酢酸ナトリウムを1.5質量%以上2.0質量%未満、前記メタリン酸ナトリウムを0.1質量%以上の割合で食品に含有してなることを特徴とする、グラム陽性菌およびグラム陰性菌のどちらにも静菌効果を示すpH6~8に調整した食品用日持ち向上剤。
続きを表示(約 530 文字)
【請求項2】
グリシンおよびNa
n
H
2
P
n
O
3n+1
で表されるメタリン酸ナトリウムのうち平均重合度が14≦n<20を含有してなる食品用日持ち向上剤であって、グリシンを2.0質量%以上、前記メタリン酸ナトリウムを0.1質量%以上の割合で食品に含有してなることを特徴とする、グラム陽性菌およびグラム陰性菌のどちらにも静菌効果を示すpH6~8に調整した食品用日持ち向上剤。
【請求項3】
酢酸ナトリウムおよびNa
n
H
2
P
n
O
3n+1
で表されるメタリン酸ナトリウムのうち平均重合度が14≦n<20を含有してなる食品用日持ち向上剤であって、酢酸ナトリウムを2.0質量%以上、前記メタリン酸ナトリウムを0.5質量%以上の割合で食品に含有してなることを特徴とする、グラム陽性菌およびグラム陰性菌のどちらにも静菌効果を示すpH6~8に調整した食品用日持ち向上剤。
【請求項4】
グラム陽性菌が黄色ブドウ球菌、グラム陰性菌が大腸菌である、請求項1~3記載の食品用日持ち向上剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用日持ち向上剤に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で販売される弁当や惣菜類の需要は年々高まっており、その微生物的品質低下を防ぐ目的で、グリシン、酢酸ナトリウム等の日持ち向上剤が用いられている。これらは単独での使用では十分な静菌効果が得られにくいことから、組み合わせて使用されることが多い。しかしながら、グリシン、酢酸ナトリウムの抗微生物力は食品のpHに左右されることが知られており、グリシンはアルカリ側において(非特許文献1)、酢酸ナトリウムは酸性側において(非特許文献2)グラム陽性菌、グラム陰性菌に対して効力を発揮することが知られているが、中性条件でグラム陽性菌、グラム陰性菌両方に十分な静菌効果を得るためにはこれらの日持ち向上剤を多く添加する必要があり、それにともない味質に影響を及ぼす等の問題がある。
【0003】
このような状況を踏まえ、日持ち向上剤の組合せについては様々提案されている。非特許文献3にはグリシンおよびメタリン酸ナトリウムを併用し、大腸菌および黄色ブドウ球菌などに対する静菌効果を30℃、24時間後の吸光度(OD
660
値)値から評価する方法が開示されている。しかしこの方法では、黄色ブドウ球菌および大腸菌の指摘発育温度である35℃かつ48時間での静菌効果は不明である。
【0004】
特許文献1にはグリシン、酢酸および酢酸ナトリウム、デキストリンを配合することを特徴とする日持ち向上剤が開示されている。しかしこの方法では、中性付近における静菌効果が不明確であること、また製剤化の工程で特別な温度管理が必要であり、製剤化までに長時間を有すること、さらに黄色ブドウ球菌のみの評価で大腸菌への静菌効果が不明等の問題がある。
【0005】
特許文献2にはグリシン、重合リン酸塩および食品用酵素を主成分とした食品用保存剤が開示されている。しかしこの方法では、メタリン酸ナトリウムの重合度について言及されていないため、重合度の異なるメタリン酸ナトリウムを使用した場合、想定した静菌効果が発揮されない可能性があること、また食品を製造する際に加熱温度によっては酵素が失活してしまい静菌効果を示さなくなること、さらに黄色ブドウ球菌および大腸菌への静菌効果が不明等の問題がある。
【0006】
特許文献3には酢酸ナトリウム、グリシン、キサンタンガムを配合することを特徴とする日持ち向上剤が開示されている。しかしこの方法ではキサンタンガム由来の増粘性により用途が限定されること、また黄色ブドウ球菌および大腸菌への静菌効果が不明等の問題がある。
【0007】
特許文献4には中性で抗菌性を発現するプロタミンに、ベタインまたはグルタチオンを配合することを特徴とする食品用日持ち向上剤が開示されている。しかしこの方法では、プロタミン独特の風味による味質への影響やコスト面への影響があること、また黄色ブドウ球菌および大腸菌への静菌効果が不明等の問題がある。
【先行技術文献】
【0008】
特許第6576803号
特開平7-155153
特開平11-196764
特開平7-46972
新食品添加物表示の実務2022 食品添加物表示問題連絡会 一般社団法人日本食品添加物協会 共著 pp315-316
酢酸ナトリウムの抗菌性 宮尾茂雄 東京都農業試験場研究報告 第14号 pp57-66 (1981)
グリシンと二、三の薬剤の抗菌力併用効果 李 在根ら 食品衛生学雑誌 Vol.26, No.3 pp279-284
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の技術では中性条件で、黄色ブドウ球菌や大腸菌の至適発育温度である35℃かつ48時間での静菌効果が不明であること、製剤化に特別な工程を有すること、酵素が失活しない温度でしか使用できないこと、味質やコストに影響すること等に問題があった。このような背景から黄色ブドウ球菌や大腸菌の至適発育温度の35℃かつ48時間静菌効果を示し、簡易に製剤化することができ、味質への影響の少ない日持ち向上剤が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の日持ち向上剤は、グリシンおよび酢酸ナトリウムにNa
n
H
2
P
n
O
3n+1
で表されるメタリン酸ナトリウムのうち平均重合度が14≦n<20(以下、低重合メタリン酸ナトリウム)を含有する、またはグリシンに低重合メタリン酸ナトリウムを含有する、もしくは酢酸ナトリウムに低重合メタリン酸ナトリウムを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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