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公開番号2024106758
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-08
出願番号2023011188
出願日2023-01-27
発明の名称サイドトレッド用ゴム組成物
出願人横浜ゴム株式会社
代理人清流国際弁理士法人,個人,個人
主分類C08L 9/00 20060101AFI20240801BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】未加硫状態で保管されたゴム組成物の経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ、低発熱性(tanδ(60℃))を改善したサイドトレッド用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】イソプレン系ゴム35質量%~55質量%とブタジエンゴム45質量%~65質量%とを含むジエン系ゴムに対して、CTAB吸着比表面積が60m2/g~100m2/gであるシリカ、CTAB吸着比表面積が30m2/g~100m2/gであるカーボンブラック、硫黄含有シランカップリング剤、およびグアニジン系加硫促進剤を配合し、ジエン系ゴム100質量部に対するシリカの配合量を5質量部以上50質量部以下、ジエン系ゴム100質量部に対するシリカおよびカーボンブラックの配合量の合計を55質量部未満、シリカの配合量Msに対する前記グアニジン系加硫促進剤Maの配合量の比Ma/Msを0.02~0.08に設定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
イソプレン系ゴム35質量%~55質量%とブタジエンゴム45質量%~65質量%とを含むジエン系ゴムに対して、CTAB吸着比表面積が60m
2
/g~100m
2
/gであるシリカ、CTAB吸着比表面積が30m
2
/g~100m
2
/gであるカーボンブラック、硫黄含有シランカップリング剤、およびグアニジン系加硫促進剤が配合されたサイドトレッド用ゴム組成物であって、前記ジエン系ゴム100質量部に対する前記シリカの配合量が5質量部以上50質量部以下であり、該シリカおよび前記カーボンブラックの配合量の合計が55質量部未満であり、前記シリカの配合量Msに対する前記グアニジン系加硫促進剤Maの配合量の比Ma/Msが0.02~0.08であることを特徴とするサイドトレッド用ゴム組成物。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
前記ブタジエンゴムが、ネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムを含み、且つ任意でシリカ用末端変性ブタジエンゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載のサイドトレッド用ゴム組成物
【請求項3】
前記ブタジエンゴム中に含まれる前記ネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムの割合が69質量%~100質量%、前記シリカ用末端変性ブタジエンゴムの割合が0質量%~31質量%であり、且つ、前記ジエン系ゴム100質量%に対する前記シリカ用末端変性ブタジエンゴムの配合量の割合が20質量%未満であることを特徴とする請求項2に記載のサイドトレッド用ゴム組成物。
【請求項4】
前記グアニジン系加硫促進剤を除く他の加硫促進剤が配合されてなり、前記グアニジン系加硫促進剤および前記他の加硫促進剤とからなる加硫促進剤の総量Mtに対する前記グアニジン系加硫促進剤の配合量Maの比Ma/Mtが0.2~0.5であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のサイドトレッド用ゴム組成物。
【請求項5】
前記グアニジン系加硫促進剤の配合量Maがジエン系ゴム100質量部に対して0.5質量部以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のサイドトレッド用ゴム組成物。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載のサイドトレッド用ゴム組成物からなるサイドトレッドゴム層を備えたことを特徴とするタイヤ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてタイヤのサイドトレッド層に用いることを意図したサイドトレッド用ゴム組成物に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいては、環境負荷を低減するために走行時の燃費性能を向上することが求められている。そのため、空気入りタイヤの各部を構成するゴム組成物の発熱を抑制することが行われている。近年、燃費性能の更なる改善のために、例えば、空気入りタイヤのサイドトレッドゴム層を構成するゴム組成物(サイドトレッド用ゴム組成物)について発熱を抑制することが検討されている。
【0003】
ゴム組成物の発熱性の指標としては、一般に動的粘弾性測定による60℃におけるtanδ(以下、「tanδ(60℃)」という。)が用いられ、ゴム組成物のtanδ(60℃)が小さいほど発熱性が小さくなる。そして、ゴム組成物のtanδ(60℃)を小さくする方法として、例えばカーボンブラック等の充填材の配合量を少なくしたり、カーボンブラックの粒径を大きくすることが挙げられる。或いは、粒径の大きいシリカを配合することも提案されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、これらの方法では、必ずしもゴム硬度が十分に得られず、またサイドトレッド用ゴム組成物として求められる引張強度への影響が懸念される。更に未加硫状態で保管されたゴム組成物の経時的な劣化(特に破断伸びの低下)が懸念される。そのため、サイドトレッド用ゴム組成物において、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性(tanδ(60℃))を改善する更なる対策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2013‐001889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、未加硫状態で保管されたゴム組成物の経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ、低発熱性(tanδ(60℃))を改善し、これら性能をバランスよく高度に両立することを可能にしたサイドトレッド用ゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のサイドトレッド用ゴム組成物は、イソプレン系ゴム35質量%~55質量%とブタジエンゴム45質量%~65質量%とを含むジエン系ゴムに対して、CTAB吸着比表面積が60m
2
/g~100m
2
/gであるシリカ、CTAB吸着比表面積が30m
2
/g~100m
2
/gであるカーボンブラック、硫黄含有シランカップリング剤、およびグアニジン系加硫促進剤が配合されたサイドトレッド用ゴム組成物であって、前記ジエン系ゴム100質量部に対する前記シリカの配合量が5質量部以上50質量部以下であり、該シリカおよび前記カーボンブラックの配合量の合計が55質量部未満であり、前記シリカの配合量Msに対する前記グアニジン系加硫促進剤Maの配合量の比Ma/Msが0.02~0.08であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物は、上述の配合からなることで、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善し、これら性能をバランスよく高度に両立することができる。具体的には、CTAB吸着比表面積が60m
2
/g~100m
2
/gである大粒径のシリカを使用することでtanδ(60℃)を低減し、低発熱性を改善することができる。また、大粒径のシリカとカーボンブラックとの配合比率を上記のように設定している点でもtanδ(60℃)の低減(低発熱性の改善)が見込まれる。その一方で、加硫促進剤としてグアニジン系加硫促進剤をシリカに対して適度な量で配合することで硬度や引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制することができる。これらの協働により、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善することができ、サイドトレッドゴム層として求められる物性を良好に発揮することが可能になる。
【0008】
本発明においては、ブタジエンゴムが、ネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムを含み、且つ任意でシリカ用末端変性ブタジエンゴムを含むことが好ましい。このとき、ブタジエンゴム中に含まれるネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムの割合が69質量%~100質量%、シリカ用末端変性ブタジエンゴムの割合が0質量%~31質量%であり、且つ、ジエン系ゴム100質量%に対するシリカ用末端変性ブタジエンゴムの配合量の割合が20質量%未満であることが好ましい。このようにネオジム系触媒により合成されたブタジエンゴムやシリカ用末端変性ブタジエンゴムを含むことで、硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善するには有利になる。
【0009】
本発明においては、グアニジン系加硫促進剤を除く他の加硫促進剤が配合されてなり、グアニジン系加硫促進剤および他の加硫促進剤とからなる加硫促進剤の総量Mtに対するグアニジン系加硫促進剤の配合量Maの比Ma/Mtが0.2~0.5であることが好ましい。また、グアニジン系加硫促進剤の配合量Maがジエン系ゴム100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましい。このようにグアニジン系加硫促進剤が適量配合されることで未加硫状態で保管されたゴム組成物の経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、低発熱性を改善し、これら性能をバランスよく両立することができる。
【0010】
本発明のサイドトレッド用ゴム組成物は、タイヤのサイドトレッドゴム層に好適に用いることができる。本発明のサイドトレッド用ゴム組成物からなるサイドトレッドゴム層を備えたタイヤは、本発明のサイドトレッド用ゴム組成物の優れた物性により、サイドトレッドゴム層として求められる硬度および引張強度を良好に維持し、且つ経時的な破断伸びの低下を抑制しながら、転がり抵抗を低減し、低燃費性能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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