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公開番号2024101117
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-29
出願番号2023004860
出願日2023-01-17
発明の名称プレート材の固定方法、固定構造および位置調整金具
出願人株式会社構造工学研究所
代理人
主分類E02D 27/00 20060101AFI20240722BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】プレートの下面全体で空気溜りの発生を防止し、グラウト材層との間で全面密着を可能にしたプレート材の固定方法、固定構造及び位置調整金具を提供する。
【解決手段】鉄骨柱の下端部に固着したベースプレート2が、基礎コンクリート9の上面に突出するアンカーボルト3で固定される露出型柱脚の施工において、従来のレベルモルタルに代えて位置調整金具20をアンカーボルト3に装着し、突起片22の先端面22aで位置を調整する。板状押圧具80をグラウト材Gの表面に当てて下方に押し込むと、グラウト材Gがその押圧力でベースプレート2の下面側を水平方向に流動し、ベースプレート2下部の残存空気を外部に押し出す。位置調整金具20の突起片22とアンカーボルト3の間には、グラウト材Gの流通を可能にする間隙が存在することにより、グラウト材Gの移動が阻害されることがなく、アンカーボルト3の周囲にも確実にグラウト材Gが充填される。
【選択図】図9
特許請求の範囲【請求項1】
複数のアンカーボルトが突出するコンクリート構造物の表面に、それらアンカーボルトが挿通する複数のボルト挿通孔を備えたプレート材を所定の離間距離で平行に配置し、それらコンクリート構造物の表面とプレート材の背面との間にグラウト材層を介在させてプレート材の表面側からナットで締め付けるプレート材の固定方法であって、前記アンカーボルトに螺合するネジ孔を備え、このネジ孔を貫通する前記アンカーボルトの外周面に対してグラウト材が流通可能な間隙を確保して突起片が立設された位置調整金具を、その突起片の先端面から前記コンクリート構造物の表面までの距離が前記離間距離と同じになるように回動して位置調整を行った後、前記プレート材の背面を位置調整金具の突起片の先端面に当接させた状態で前記プレート材の表面側から前記ナットで保持し、該プレート材の周囲に型枠を設置した後、グラウト材を注入することを特徴とするプレート材の固定方法。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
前記コンクリート構造物が建物の基礎コンクリートであり、前記プレート材が鉄骨柱の下端部に固着されたベースプレートであることを特徴とする請求項1に記載のプレート材の固定方法。
【請求項3】
前記ベースプレートのそれぞれの辺部側面に対して間隔をおいて平行状態に前記型枠を設置し、前記グラウト材を上方から前記ベースプレートの上面付近の高さまで注入した状態で、前記ベースプレートの辺部長に近い長さと、前記型枠の内面と前記ベースプレートの側面との間隔に近い幅からなる板状押圧具を前記グラウト材の表面に当てて下方に押し込むことを特徴とする請求項2に記載のプレート材の固定方法。
【請求項4】
複数のアンカーボルトが突出するコンクリート構造物の表面に、それらアンカーボルトが挿通する複数のボルト挿通孔を備えたプレート材を所定の離間距離で平行に配置し、コンクリート構造物の表面とプレート材の背面との間にグラウト材層を介在させてプレート材の表面側からナットで締め付けたプレート材の固定構造であって、前記アンカーボルトに螺合するネジ孔を備え、このネジ孔を貫通する前記アンカーボルトの外周面に対してグラウト材が流通可能な間隙を確保して突起片を立設した位置調整金具が、前記プレート材の背面に当接するその突起片の先端面から前記コンクリート構造物の表面までの距離が前記離間距離と同じになる位置に装着されていることを特徴とするプレート材の固定構造。
【請求項5】
請求項4に記載のプレート材の固定構造で使用する位置調整金具であって、前記アンカーボルトに螺合するネジ孔を中心位置に備えた台座部と、この台座部のネジ孔を貫通する前記アンカーボルトに対してグラウト材が流通可能な間隙を確保して対向状態で立設され、前記プレート材の背面に先端面で当接する2個の突起片からなることを特徴とする位置調整金具。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄骨造などで使用される露出型柱脚の施工において、アンカーボルトが挿通するベースプレートの下面と基礎コンクリートの上面との間に形成される空間へのグラウト材の充填技術に係り、プレート材をコンクリート構造物に対してアンカーボルトとグラウト材層により固定する方法と、その方法で構築される固定構造と、この固定構造で使用する位置調整金具に関するものである。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
露出型柱脚において、アンカーボルトが上端部を残して基礎コンクリート(以下、他の用途で使用されるコンクリート構造からなる構造物を含めてコンクリート構造物と総称することもある。)の所定位置に埋設され、鉄骨柱の下端に固着されたベースプレート(以下、他の用途で使用されるプレートを含めてプレート材と総称することもある。)は、複数本のアンカーボルトによって基礎コンクリートに定着される。具体的には、周辺部分に複数のボルト挿通孔が形成されているベースプレートを、これらボルト挿通孔に基礎コンクリート上に突出しているアンカーボルトを挿通しながら基礎コンクリート上面に予め設けたレベルモルタル上に載置し、ベースプレートの上面側から座金を介してナットで締め付けてベースプレートを仮固定する。そして、この状態でベースプレート下面にグラウト材を注入し、グラウト材が固化した後にナットを本締めする。
【0003】
レベルモルタルは、「柱下モルタル」、「柱底均しモルタル」などとも呼ばれ、鉄骨柱の建て方時の必要性から設置されるものである。レベルモルタルの施工は、鉄骨柱の建込みに先立ち、基礎コンクリート上面のアンカーボルト群(ベースプレート設置予定位置)の中央付近に、鉄骨柱の仮支持に必要な硬練りのモルタルを鏝により3~5cm程度の高さに盛り上がるようにして成形される。その役割は、ベースプレート(鉄骨柱)の鉛直方向の位置決め(高さ調整)と、建て方作業時に鉄骨柱の重心位置がその中に納まるようにするためのものであることから、ベースプレートの底面積に対して相応の大きさ(広がり)が必要となる。そして、ベースプレートの下面側において、レベルモルタルの周囲に残る空間にセメント系のグラウト材(無収縮モルタル等)を流し込み、固化したグラウト材層を介して基礎コンクリートに固定されることになる。(特許文献1の図1、特許文献2の図5参照)。
【0004】
次に、グラウト材の充填に際し求められる条件は、グラウト材の流動性と注入圧力である。流動性に関しては、適切なグラウト材を選定し、必要な強度が得られる範囲で配合を行うことになる。注入圧力は、注入するグラウト材の圧力と充填先の空間との圧力差による。一般的な充填方法としては、図15に示すように、レベルモルタル11に載置したベースプレート2の周囲に間隔を空けて型枠12を設置し、グラウト容器16からグラウト材Gをベースプレート2の上端レベルまで注入する。この場合、充填先との高低差h1が注入圧力となる。
【0005】
さらに大きな注入圧力を得る方法として、図16に示すように、型枠12をベースプレート2の側面に密着させてベースプレート2の下面側に閉鎖空間Sをつくり、十分な量のグラウト材Gが収容されている先細状のグラウトロート17の先端部分を、ベースプレート2に設けた複数の注入孔2aのいずれかに立設状態で嵌入し、グラウト材Gの高さを利用してグラウト材Gを閉鎖空間Sに流し込む充填方法がある(特許文献1、2参照)。この充填方法は、グラウトロート17に収容するグラウト材Gの高さh2を高くすることで十分な注入圧力が得られるという利点がある。また、同じようなグラウトロートを利用する他の充填方法としては、ベースプレート自体に注入孔を設けることに代えて、ボルト挿通孔の近くにグラウト材の注入孔が設けられた特殊形状の座金を使用する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第4340189号公報(図1、11~15参照)
特開平10-169010号公報(図1、5参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、建築物の構造計算における柱脚部においては、躯体にかかるせん断力に対して、(1)ベースプレート下面とグラウト材層との間の摩擦抵抗力に基づくせん断抵抗力によって処理するか、(2)アンカーボルトの許容せん断耐力に期待するかの選択を行っている。(1)の条件を選択した場合、摩擦抵抗力は、N(重さ)×μ(抵抗係数)の積で表されるが、上部の重量Nを基礎コンクリートに伝える場合、設計者は、ベースプレートとそれを下側で受けるグラウト材層との関係に関して、ベースプレート下面(背面)の全体がグラウト材層に対して確実に密着しているものと考えている。
【0008】
ところが、実際の施工状況において、これらの条件(全面密着)が実現されているかについては、大いに疑問が残るところである。すなわち、上記方法などによってグラウト材を投入しただけでは、図17に示すように、レベルモルタル11の周辺部の窪みに空気溜り18aが生じやすく、特にアンカーボルト3に近い区域では、アンカーボルト3がグラウト材Gの流動を阻害し、アンカーボルト3とレベルモルタル11の間のベースプレート2直下に、より大きな空気溜り18bが発生する。また、ベースプレート2の下面に当接するレベルモルタル11の上面については、現場での鏝成形であるために精度の高い平坦面とはならず、場合によってはその不陸部分に空気溜り18cが残り、グラウト材Gの未充填箇所が何箇所にも発生することになる。このため、ベースプレート2と固化したグラウト材G(グラウト材層)の間では、計算上の摩擦抵抗力が生じていない可能性がある。さらに、ベースプレート2の下面には、その中央部で比較的大きな空間を占有するレベルモルタル11が存在しているため、一方向からグラウト材Gを注入する場合には、流動の妨げになり、その背後側に廻り難く、隅々にまで行き渡らない虞がある。
【0009】
本出願人は、露出型柱脚の施工において、レベルモルタルの存在がグラウト材の密実充填にとって阻害要因になっていることに着目し、鋭意検討を重ねた結果、本発明に想到したのである。すなわち、本発明は、レベルモルタルに代わるものとして、注入時にグラウト材の流動を阻害しにくい位置調整金具を新たに開発し、これを使用することによりベースプレートの下面全体で空気溜りの発生を防止し、実質的にグラウト材層との間で全面密着が可能であり、さらに柱脚を対象とするベースプレートに限らず、他の用途で使用されるプレート材にも適用可能な固定方法と、その方法で構築される固定構造、さらにそこで用いる位置調整金具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための技術手段として、本願の請求項1に係る発明は、複数のアンカーボルトが突出するコンクリート構造物の表面に、それらアンカーボルトが挿通する複数のボルト挿通孔を備えたプレート材を所定の離間距離で平行に配置し、それらコンクリート構造物の表面とプレート材の背面との間にグラウト材層を介在させてプレート材の表面側からナットで締め付けるプレート材の固定方法において、アンカーボルトに螺合するネジ孔を備え、このネジ孔を貫通するアンカーボルトの外周面に対してグラウト材が流通可能な間隙を確保して突起片が立設された位置調整金具を、その突起片の先端面からコンクリート構造物の表面までの距離が、コンクリート構造物とプレート材の離間距離と同じになるように回動して位置調整を行った後、プレート材の背面を位置調整金具の突起片の先端面に当接させた状態でプレート材の表面側からナットで保持し、プレート材の周囲に型枠を設置した後、グラウト材を注入する、という構成を採用した点に特徴がある。
(【0011】以降は省略されています)

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