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公開番号2024091791
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-05
出願番号2024066904,2020563388
出願日2024-04-17,2019-12-25
発明の名称粒子の製造方法および成形体の製造方法
出願人AGC株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C08J 3/12 20060101AFI20240628BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】低沸成分の除去性に優れ、かつ、粉砕処理を実施した場合であってもフィブリル化を抑制できる粒子の製造方法および成形体の製造方法の提供。
【解決手段】本発明の粒子の製造方法は、溶融成形可能なフッ素樹脂を含む粒子Aを、中間点ガラス転移温度以上の温度であって補外融解開始温度以下の温度で熱処理して、上記フッ素樹脂を含む粒子Bを得る方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
溶融成形可能なフッ素樹脂を含む粒子Aを、中間点ガラス転移温度以上の温度であって補外融解開始温度以下の温度で熱処理して、前記フッ素樹脂を含む粒子Bを得ることを特徴とする、粒子の製造方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記熱処理の温度が、中間点ガラス転移温度よりも10℃以上高い温度であって、補外融解開始温度よりも10℃以上低い温度であることを特徴とする、請求項1に記載の粒子の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理の時間が、30分~10時間である、請求項1または2に記載の粒子の製造方法。
【請求項4】
前記フッ素樹脂が、ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルの存在下、含フッ素単量体と、非フッ素単量体と、を重合して得られる、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項5】
含フッ素単量体が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、及びフッ化ビニルから成る群から選択される少なくとも一種であり、
非フッ素単量体が、エチレン、プロピレン、無水イタコン酸、及び酢酸ビニルから成る群から選択される少なくとも一種である、請求項4に記載の粒子の製造方法。
【請求項6】
前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とエチレンに基づく単位とを含む共重合体、クロロトリフルオロエチレンに基づく単位とエチレンに基づく単位とを含む共重合体、テトラフルオロエチレンに基づく単位とペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを含む共重合体、および、テトラフルオロエチレンに基づく単位とヘキサフルオロプロピレンに基づく単位とを含む共重合体のいずれかである、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項7】
前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とエチレンに基づく単位とを含む共重合体であり、前記共重合体は、下記式(F1)で表される単量体F1をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
CH

=CX(CF



Y (F1)
(XおよびYはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、nは2~8の整数である。)
【請求項8】
前記粒子Aの平均粒子径が、100μm~10.0mmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項9】
前記粒子Aが低沸成分を含み、低沸成分の含有量が、粒子Aの全質量に対して、0質量%超0.5質量%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項10】
前記粒子Aおよび前記粒子Bに含まれる低沸成分の含有量を用いて、下記式で計算した熱処理前後の低沸成分の減少割合が20~100%である、請求項9に記載の粒子の製造方法。
熱処理前後の低沸成分の減少割合[%]=100×(粒子Aに含まれる低沸成分の含有量-粒子Bに含まれる低沸成分の含有量)/(粒子Aに含まれる低沸成分の含有量)
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素樹脂を含む、粒子の製造方法および成形体の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
耐熱性、耐薬品性、耐候性等に優れるフッ素樹脂は、半導体産業、自動車産業、化学産業等の種々の分野で使用されている。例えば、静電塗装法、流動浸漬法、回転成形法等の方法によって、基材表面にフッ素樹脂を含む粒子から構成される粉体を塗装すれば、基材表面の保護や耐薬品性に優れた塗膜を形成できる。
近年、低沸成分の含有量が少ないフッ素樹脂が求められている。フッ素樹脂を含む粒子に低沸成分が多く含まれていると、この粒子を用いて塗膜等の成形体を製造した際に、低沸成分の蒸発によって白煙が発生する場合がある。そのため、特許文献1では、二軸押出機によってETFE等のフッ素樹脂を溶融混練する際に、フッ素樹脂の溶融容量流速を制御して、フッ素樹脂に含まれる低沸成分を除去する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2017/209133号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが特許文献1の記載された方法で得られたフッ素樹脂のペレットを粉砕処理したところ、フィブリル化した粉砕物が生じてしまい、粉体として使用できるような粒子が得られない場合があった。そのため、低沸成分の除去性に優れつつ、粉砕処理を実施した場合であっても、フィブリル化の抑制されたフッ素樹脂を含む粒子の製造方法が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、低沸成分の除去性に優れ、かつ、粉砕処理を実施した場合であってもフィブリル化を抑制できる粒子の製造方法および成形体の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、溶融成形可能なフッ素樹脂を含む粒子Aを、中間点ガラス転移温度以上の温度であって補外融解開始温度以下の温度で熱処理すれば、低沸成分の除去性に優れつつ、粉砕処理を実施した場合であってもフィブリル化を抑制できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]溶融成形可能なフッ素樹脂を含む粒子Aを、中間点ガラス転移温度以上の温度であって補外融解開始温度以下の温度で熱処理して、前記フッ素樹脂を含む粒子Bを得ることを特徴とする、粒子の製造方法。
[2]前記熱処理の温度が、中間点ガラス転移温度よりも10℃以上高い温度であって、補外融解開始温度よりも10℃以上低い温度であることを特徴とする、[1]に記載の粒子の製造方法。
[3]前記熱処理の時間が、30分~10時間である、[1]または[2]に記載の粒子の製造方法。
[4]前記フッ素樹脂が、ハイドロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロエーテルの存在下、含フッ素単量体と、非フッ素単量体と、を重合して得られる、[1]~[3]のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
[5]含フッ素単量体が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、及びフッ化ビニルから成る群から選択される少なくとも一種であり、
非フッ素単量体が、エチレン、プロピレン、無水イタコン酸、及び酢酸ビニルから成る群から選択される少なくとも一種である、[4]に記載の粒子の製造方法。
[6]前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とエチレンに基づく単位とを含む共重合体、クロロトリフルオロエチレンに基づく単位とエチレンに基づく単位とを含む共重合体、テトラフルオロエチレンに基づく単位とペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを含む共重合体、および、テトラフルオロエチレンに基づく単位とヘキサフルオロプロピレンに基づく単位とを含む共重合体のいずれかである、[1]~[5]のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
[7]前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレンに基づく単位とエチレンに基づく単位とを含む共重合体であり、前記共重合体は、下記式(F1)で表される単量体F1をさらに含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
CH

=CX(CF



Y (F1)
(XおよびYはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、nは2~8の整数である。)
[8]前記粒子Aの平均粒子径が、100μm~10.0mmである、[1]~[7]のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
[9]前記粒子Aが低沸成分を含み、低沸成分の含有量が、粒子Aの全質量に対して、0質量%超0.5質量%以下である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
[10]前記粒子Aおよび前記粒子Bに含まれる低沸成分の含有量を用いて、下記式で計算した熱処理前後の低沸成分の減少割合が20~100%である、[9]に記載の粒子の製造方法。
熱処理前後の低沸成分の減少割合[%]=100×(粒子Aに含まれる低沸成分の含有量-粒子Bに含まれる低沸成分の含有量)/(粒子Aに含まれる低沸成分の含有量)
[11]前記粒子Bを粉砕処理して粒子Cを得る、[1]~[10]のいずれか1項に記載の粒子の製造方法。
[12]
前記粒子Bを粉砕処理して得られた粒子Cの平均粒子径が、10~1000μmである、[11]に記載の粒子の製造方法。
[13]前記粒子Bを粉砕処理して得られた粒子Cの見掛け密度が、0.3~1.2g/cm

である、[11]または[12]に記載の粒子の製造方法。
[14][1]~[13]のいずれか1項に記載の製造方法にて製造される粒子を、前記フッ素樹脂の融点以上で溶融させて、前記フッ素樹脂を含む成形体を得ることを特徴とする、成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低沸成分の除去性に優れ、かつ、粉砕処理を実施した場合であってもフィブリル化を抑制できる、粒子の製造方法および成形体の製造方法を提供できる。
本発明の上記効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、低沸成分の除去により、フッ素樹脂粒子が緻密化しフィルブル化が抑制されたことが一因と考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における用語の意味は以下の通りである。
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
「溶融成形可能」であるとは、溶融流動性を示すことをいう。「溶融流動性を示す」とは、荷重49Nの条件下、樹脂の融点よりも20℃以上高い温度において、溶融容量流速が0.1~1000g/10分となる温度が存在することをいう。なお、「溶融容量流速」は、JIS K 7210:1999(ISO 1133:1997)に規定されるメルトマスフローレート(MFR)をいう。
中間点ガラス温度および補外融解開始温度はいずれも、JIS K7121(1987)の方法に準じて算出される値(℃)であり、示差走査熱量測定(DSC)法によって得られるDSC曲線に基づいて求められる。なお、中間点ガラス温度は「T
mg
」ともいい、補外融解開始温度は「T
im
」ともいう。
「単位」とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に由来する原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。なお、以下において、場合により、個々の単量体に由来する単位をその単量体名に「単位」を付した名称で記す。
「粒子の平均粒子径」は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置を用いて測定して得られる体積基準のメジアン径である。
【0010】
本発明の粒子の製造方法は、溶融成形可能なフッ素樹脂を含む粒子Aを、中間点ガラス転移温度(T
mg
)以上の温度であって補外融解開始温度(T
im
)以下の温度で熱処理(以下、「特定熱処理」ともいう。)して、上記フッ素樹脂を含む粒子Bを得る製造方法である。
本発明の粒子の製造方法は、低沸成分の除去性に優れる。この理由の詳細は明らかになっていないが、T
mg
以上の温度で粒子Aを熱処理すると、フッ素樹脂の分子鎖運動が起こりやすくなって、粒子Aから低沸成分を充分に除去できると推測される。また、T
im
以下の温度で粒子Aを熱処理すると、フッ素樹脂の部分的な融解による粒子同士の融着を抑制できるので、粒子から低沸成分を充分に除去できると推測される。
また、T
im
以下の温度で粒子Aを熱処理すれば、得られる粒子Bを粉砕処理する際に、粉砕処理が容易になること、フィブリル化した粉砕物が生じるのを抑制できること等の利点がある。
(【0011】以降は省略されています)

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