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公開番号2024089325
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-03
出願番号2022204614
出願日2022-12-21
発明の名称熱交換装置
出願人日産自動車株式会社,国立大学法人東北大学,ルノー エス.ア.エス.,RENAULT S.A.S.
代理人IBC一番町弁理士法人
主分類F25B 37/00 20060101AFI20240626BHJP(冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒートポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化)
要約【課題】小型化およびエネルギーの消費効率の向上が可能であり、吸発熱量および吸発熱出力が高く、媒体を繰り返し吸着および脱離させた場合であっても熱交換性能の低下が生じにくい熱交換装置を提供する。
【解決手段】収縮して流体冷媒を脱離可能であり、かつ、膨張して前記流体冷媒を吸着可能であるナノ多孔質材料を含むナノ多孔質体と、前記ナノ多孔質体の表面に隣接して配置され、前記流体冷媒を透過可能であり、前記ナノ多孔質材料を透過させない第1の多孔質部と、前記第1の多孔質部に隣接し、かつ、気相に露出するように配置され、前記流体冷媒に対する接触角(25℃)が前記第1の多孔質部よりも小さい、および/または細孔径が前記第1の多孔質部よりも大きい、第2の多孔質部とを有し、弾性を有する吸発熱部と、前記吸発熱部に応力を印加する動作と、前記応力を解放する動作とを行うプレス機構と、前記吸発熱部を収容する収容部とを有する、熱交換装置である。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
収縮して流体冷媒を脱離可能であり、かつ、膨張して前記流体冷媒を吸着可能であるナノ多孔質材料を含むナノ多孔質体と、
前記ナノ多孔質体の表面に隣接して配置され、前記流体冷媒を透過可能であり、前記ナノ多孔質材料を透過させない第1の多孔質部と、
前記第1の多孔質部に隣接し、かつ、気相に露出するように配置され、前記流体冷媒に対する接触角(25℃)が前記第1の多孔質部よりも小さい、および/または細孔径が前記第1の多孔質部よりも大きい、第2の多孔質部と、
を有し、弾性を有する吸発熱部と、
前記吸発熱部に応力を印加する動作と、前記応力を解放する動作とを行うプレス機構と、
前記吸発熱部を収容する収容部と、
を有する、熱交換装置。
続きを表示(約 410 文字)【請求項2】
前記収容部の内部において前記吸発熱部に接触して熱的に接続される接触部と、前記収容部から外部に延出する延出部と、を有する熱伝導部をさらに有する、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第2の多孔質部の少なくとも一部が、前記熱伝導部に熱的に接続されている、請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記第2の多孔質部の少なくとも一部が、複数の前記第1の多孔質部の間に介在している、請求項1または2に記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記第2の多孔質部の気相に露出した表面の少なくとも一部が凹凸形状を有している、請求項1または2に記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記第2の多孔質部が中空構造を有し、前記中空構造の内部表面が気相に露出し、かつ、前記内部表面の少なくとも一部が凹凸形状を有している、請求項1または2に記載の熱交換装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換装置に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、熱を移動させることで対象(空間や物体)の加熱や冷却を行う熱交換装置が広く用いられている。例えば、下記特許文献1には、媒体としての水を気化させる高熱源と、気化させた水分を凝縮する低熱源とを与えるヒートポンプと、水分を集めるデシカント(乾燥材)とを用いた吸着式ヒートポンプ(デシカント空調器)が開示されている。このような吸着式ヒートポンプでは、一般に、デシカントに用いる吸着材としてシリカゲル、ゼオライトなどの多孔質体が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平10-197011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の吸着式ヒートポンプ(デシカント空調器)では、多孔質体中における流体冷媒の移動速度が小さい。このため、冷媒分子が蒸発する(すなわち、吸熱する)際に、冷媒分子の蒸発速度が小さく、単位時間内に十分な吸熱量を得ることが難しい。冷媒分子の蒸発を促すために、多孔質体の温度を上昇させる方法が考えられるが、この方法では入熱用のヒータが必要となるため装置の大型化を招く。また、ヒータを稼働させるためのエネルギーが必要となるため、エネルギーの消費効率が低下する。
【0005】
また、特に設置スペースの限られているカーエアコンなどに適用するために、吸発熱量および吸発熱出力がより高い熱交換装置が求められている。さらに、流体冷媒を繰り返し吸着および脱離させた場合であっても熱交換性能の低下が生じにくい熱交換装置が求められている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、小型化およびエネルギーの消費効率の向上が可能であり、吸発熱量および吸発熱出力が高く、流体冷媒を繰り返し吸着および脱離させた場合であっても熱交換性能の低下が生じにくい熱交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その過程で、応力を印加および解放することによって、機械的に変形して、流体冷媒を脱離および吸着可能なナノ多孔質材料を含むナノ多孔質体を熱交換装置の吸着剤として用い、脱離または吸着により発生した潜熱を冷熱または温熱に直接的に利用した。この際、上記ナノ多孔質体を、流体冷媒を透過させるがナノ多孔質材料の粒子を透過させない第1の多孔質部で覆い、かつ、当該流体冷媒に対する接触角(25℃)が当該第1の多孔質部よりも小さい、および/または細孔径が当該第1の多孔質部よりも大きい第2の多孔質部を当該第1の多孔質部に隣接し、かつ、気相に露出するように配置した構造体を吸発熱部として用いることで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の一形態は、収縮して流体冷媒を脱離可能であり、かつ、膨張して前記流体冷媒を吸着可能であるナノ多孔質材料を含むナノ多孔質体と、前記ナノ多孔質体の表面に隣接して配置され、前記流体冷媒を透過可能であり、前記ナノ多孔質材料を透過させない第1の多孔質部と、前記第1の多孔質部に隣接し、かつ、気相に露出するように配置され、前記流体冷媒に対する接触角(25℃)が前記第1の多孔質部よりも小さい、および/または細孔径が前記第1の多孔質部よりも大きい、第2の多孔質部とを有し、弾性を有する吸発熱部と、前記吸発熱部に応力を印加する動作と、前記応力を解放する動作とを行うプレス機構と、前記吸発熱部を収容する収容部とを有する、熱交換装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型化およびエネルギーの消費効率の向上が可能であり、吸発熱量および吸発熱出力が高く、流体冷媒を繰り返し吸着および脱離させた場合であっても熱交換性能の低下が生じにくい熱交換装置が得られうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る空調装置の構成例を立体的に示す模式図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るユニット本体の構成例を立体的に示す模式図である。
図3は、吸発熱部11の構成を示す図である。図3(A)は、図1および図2に示す吸発熱部11を上部からZ軸方向に見た平面図である。図3(B)は、図3(A)に示す吸発熱部11をB-B’線を通るY-Z平面で切断した断面図である。
図4は、吸発熱部11の構成の変形例を示す断面図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る空調装置において、空気の流れと延出部とを示す平面図である。
図6は、図5に示す延出部をVI-VI’線を通るY-Z平面で切断した断面図である。
図7は、GMS粉末にメタノールを吸着させた後、プレス機を用いてプレス処理を施す前後におけるプレス装置の様子を、サーモカメラを用いて撮影した結果を示す写真である。
図8は、参考例2および比較参考例3の吸発熱部サンプルについて吸熱性能を測定した結果を示す、銅板の経時的な温度変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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