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公開番号2024087459
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-01
出願番号2022202292
出願日2022-12-19
発明の名称電動機の異常予兆検知装置
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類H02P 29/024 20160101AFI20240624BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】電動機における機械的応力に起因する劣化もしくは耐久性の低下などの予兆を、個体差をも考慮して的確に検知する。
【解決手段】ロータが回転することによる繰り返し変化する遠心力に相当する物理量である遠心力代用特性の振幅を求め(ステップS3)、求められた振幅を、予め定めた振幅についての区分に振り分ける(ステップS4)とともに、それぞれの区分ごとに区分に入る振幅の発生回数を計数し(ステップS5)、複数の区分ごとに予め設定してある上限値に対する計数した値である計数値の比率を、複数の区分ごとに算出し(ステップS7)、複数の区分ごとの比率の合算値である被害度を求め(ステップS8)、被害度が予め定めたしきい値を超えた場合に警報信号を出力し(ステップS10)、しきい値は、電動機が所定の指示トルクの指示を受けて動作して実際に生じさせた実トルクに基づいて予め定められた値である。
【選択図】図10
特許請求の範囲【請求項1】
多数の電磁鋼板を積層して構成されたロータに溝もしくはスロットが形成され、前記溝もしくは前記スロットに永久磁石が前記ロータの半径方向で外側に抜け止めされた状態で挿入されている電動機の異常予兆検知装置であって、
前記ロータが回転することによる繰り返し変化する遠心力に相当する物理量である遠心力代用特性の振幅を求め、
求められた前記振幅を、予め定めた振幅についての区分に振り分けるとともに、それぞれの前記区分ごとに前記区分に入る振幅の発生回数を計数し、
複数の前記区分ごとに予め設定してある上限値に対する前記計数した値である計数値の比率を、複数の前記区分ごとに算出し、
複数の前記区分ごとの前記比率の合算値である被害度を求め、
前記被害度が予め定めたしきい値を超えた場合に警報信号を出力し、
前記しきい値は、前記電動機が所定の指示トルクの指示を受けて動作して実際に生じさせた実トルクに基づいて予め定められた値である
ことを特徴とする電動機の異常予兆検知装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HEV)などの電動車両で駆動力源などとして使用される電動機(発電機能のある電動機を含む。)の異常や劣化などの何らかの不都合の予兆を検知する装置に関するものである。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
電動車両に使用されている電動機は、繰り返し変化する磁力による応力や回転することによる遠心力、さらには温度が変化することによる熱応力などを高頻度で受ける。これらの応力や熱による劣化などが原因となって機械的疲労が増大し、また電磁的特性が劣化する。特許文献1には、このようにして生じる回転電機のロータの疲労度合いを検出もしくは判定して報知するように構成された装置が記載されている。その特許文献1に記載された装置は、ロータの回転数と回転電機の温度とを検出するとともに、回転電機の所定の温度の下での運転時間を計測し、その運転時間に基づくロータの疲労度合いもしくはこれに関連するパラメータを算出し、その疲労度合いもしくはパラメータが所定のしきい値を超えた場合に、回転数の制限を行いあるいは運転者などへの報知を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2017-158312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置では、温度および運転時間を疲労もしくは劣化の要因とし、所定の温度の下での運転時間を数値化し、その検出値が所定のしきい値を超えた場合に、回転電機の運転の制限や、しきい値を超えたことの報知などを行う。しかしながら、疲労の限度は、正確には、回転電機ごとに異なっている。例えば、回転電機のロータやステータは、多数枚の電磁鋼板を積層して構成され、それぞれの電磁鋼板には絶縁のための樹脂被覆が施されている。それらの電磁鋼板やその積層の仕方は、同一仕様の回転電機で完全には同一とはならず、厚さのばらつきやそれに伴う枚数の相違、寸法誤差や積層状態のずれなどが回転電機ごとに生じることがある。このような回転電機ごとの相違がいわゆる個体差であり、これが耐久性に影響することがある。
【0005】
車両の駆動力源として使用されることのある永久磁石式同期モータでは、電磁鋼板を積層したロータに永久磁石を埋め込んだ構成とすることがあり、この種の電動機で永久磁石に作用する遠心力が、永久磁石を埋め込んである溝(もしくはスロット)を押し開く力あるいは電磁鋼板を圧縮する力としてロータに掛かる。その場合、永久磁石とこれを埋め込んである溝(もしくはスロット)との間に相互の姿勢のずれがあると、特定の電磁鋼板にひずみが生じる。例えば、永久磁石を溝(もしくはスロット)に、正規の姿勢に対して僅かに斜めに圧入した場合には、永久磁石の所定の角部が、溝(もしくはスロット)の内面に強く接触する。また、ロータが回転して永久磁石に遠心力が作用した場合に、永久磁石の所定の角部によって溝(もしくはスロット)の内面の所定箇所に大きい応力が作用することになる。電磁鋼板の板厚が厚いロータであれば、板厚の薄い電磁鋼板からなるロータに比較して、そのような応力による変形や欠損が生じ難いので、耐久性あるいは疲労限度が相対的に良好になる。
【0006】
耐久性あるいは疲労限度などに個体差があるのに対して、引用文献1に記載された装置では、しきい値を一律に設定していて上記のような個体差を反映していないので、安全を見込んで、しきい値を比較的小さくすることになる。そのため、未だ十分に使用が可能な回転電機の使用を中止したり、あるいは不必要にメインテナンスを行うなどの可能性が高くなる。
【0007】
この発明は上述した技術的課題に着目してなされたものであって、電動車両のモータあるいはモータ・ジェネレータなどの電動機における機械的応力に起因する劣化もしくは耐久性の低下などの予兆を、個体差をも考慮して的確に検知することのできる装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は、多数の電磁鋼板を積層して構成されたロータに溝もしくはスロットが形成され、前記溝もしくは前記スロットに永久磁石が前記ロータの半径方向で外側に抜け止めされた状態で挿入されている電動機の異常予兆検知装置であって、前記ロータが回転することによる繰り返し変化する遠心力に相当する物理量である遠心力代用特性の振幅を求め、求められた前記振幅を、予め定めた振幅についての区分に振り分けるとともに、それぞれの前記区分ごとに前記区分に入る振幅の発生回数を計数し、複数の前記区分ごとに予め設定してある上限値に対する前記計数した値である計数値の比率を、複数の前記区分ごとに算出し、複数の前記区分ごとの前記比率の合算値である被害度を求め、前記被害度が予め定めたしきい値を超えた場合に警報信号を出力し、前記しきい値は、前記電動機が所定の指示トルクの指示を受けて動作して実際に生じさせた実トルクに基づいて予め定められた値であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明では、ロータが回転した場合に回転数が逐次変化するので、その回転数に基づく遠心力も同様に変化する。遠心力は、例えば回転速度の自乗と質量との積として求めることができるので、その算出の基礎となる物理量を遠心力代用特性とし、その遠心力代用特性の振幅を求める。これは、一例として、レインフロー法によって算出できる。振幅が大きければ、遠心力を要因としたロータの応力が大きくなり、反対に振幅が小さければ、遠心力を要因としたロータの応力が小さくなる。すなわち振幅の大小によってロータの疲労に対する影響が異なる。振幅をその大きさに基づいて複数の区分に振り分け、それぞれの区分ごとにその区分に入る振幅が検出された回数を計数する。そして、区分ごとに設定してある上限値に対する計数した値の比率を求める。各区分での比率の合算値である被害度が予め定めたしきい値を超えた場合に警報信号が出力される。そのしきい値は、指示トルクに対する実トルクに応じて定められており、電動機の個体ごとの値であり、個体差を表している。例えば実トルクが大きい個体にあっては大きいトルクを頻繁に受けていることにより疲労しやすいとしてしきい値を小さくし、反対に実トルクが小さい個体にあっては疲労の進行が遅いとしてしきい値を大きくする。その結果、複数の電動機で被害度が同じであってもしきい値が小さい個体にあっては、警報信号が出力されて異常の予兆をその個体にあったタイミングで得ることができ、しきい値が大きい個体にあっては、被害度がしきい値に到らないことにより警報信号が出力されずに使用を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
電動機の制御系統と電動機から駆動輪に到る駆動系統を説明するための模式図である。
そのロータを示す模式図であって、(A)は断面斜視図、(B)はそのX部の拡大図である。
ロータに対して斜めに永久磁石が圧入された状態を示す模式図であり、(A)はロータコアが薄い電磁鋼板で構成された例を示し、(B)はロータコアが厚い電磁鋼板で構成された例を示す。
指示トルクと実トルクとの関係を説明するための線図である。
指示トルクで駆動した場合の実トルクに応じてしきい値を定めたマップの一例を概念的に示す線図である。
遠心力代用特性の変化の一例を模式的に示す図である。
遠心力代用特性の振幅をその大きさで振り分けた区分ならびに各区分での計数値および上限値を説明するためのグラフである。
振幅をその大きさで振り分けた区分ならびに各区分での計数値および上限値を説明するためのグラフである。
コントローラの機能的構成を説明するためのブロック図である。
この発明の実施形態における制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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