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公開番号2024085558
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-27
出願番号2022200133
出願日2022-12-15
発明の名称推進薬供給装置とこれを備えた宇宙飛行体
出願人株式会社IHIエアロスペース,国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
代理人個人,個人
主分類F02K 9/46 20060101AFI20240620BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】高圧ガスを用いずにメインエンジンとスラスタに液体推進薬を供給することができ、スラスタのみを使用する場合でも容易に制御できる推進薬供給装置を提供する。
【解決手段】推進薬タンク12、電動ポンプ14、減圧器16、圧力保持ライン18、低圧ライン20及び制御器30を備える。推進薬タンクは、推進薬Lを保有し大気圧以下の減圧空間において排出する。電動ポンプは、推進薬を供給圧力まで加圧する。減圧器は、供給圧力より低い低圧まで減圧する。圧力保持ラインは、電動ポンプの吐出口14bと減圧器の流入口16aとを直接連結する。低圧ラインは、減圧器の流出口16bと電動ポンプの吸引口14aとを直接連結する。制御器は、電動ポンプを流量制御又はオンオフ制御し、供給圧力を所定の範囲に維持する。推進薬タンクは、低圧ラインに連結され、メインエンジン50及びスラスタ60は、圧力保持ラインにそれぞれ連結される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
相対的に大推力を発生するメインエンジンと、相対的に小推力を発生するスラスタとに液体の推進薬を供給する推進薬供給装置であって、
内部に前記推進薬を保有し大気圧以下の減圧空間において前記推進薬を排出可能な中空の推進薬タンクと、
電動ポンプの吐出口と減圧器の流入口とを直接連結し、その間に所定の供給圧力の前記推進薬を保持可能な圧力保持ラインと、
前記減圧器の流出口と前記電動ポンプの吸引口とを直接連結し、その間に前記供給圧力より低い低圧の前記推進薬を保持可能な低圧ラインと、
前記電動ポンプを制御する制御器と、を備え、
前記電動ポンプは、前記低圧ラインの前記推進薬を前記供給圧力まで加圧し、
前記減圧器は、前記圧力保持ラインの前記推進薬を前記低圧まで減圧し、
前記推進薬タンクの排出口は、前記低圧ラインに連結されており、
前記メインエンジン及び前記スラスタの推進薬供給口は、前記圧力保持ラインにそれぞれ連結されている、推進薬供給装置。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
前記減圧器は、オリフィス又は固定絞りである、請求項1に記載の推進薬供給装置。
【請求項3】
前記減圧器は、前記電動ポンプの停止時に、加圧された前記推進薬を前記圧力保持ラインから前記低圧ラインに流し、前記圧力保持ラインと前記低圧ラインの圧力を、前記推進薬タンクの前記推進薬と同じ圧力にする、請求項1に記載の推進薬供給装置。
【請求項4】
前記推進薬タンクは、内部がダイアフラム又はベローズで2室に仕切られた低圧タンクであり、
前記2室の一方に前記推進薬が充填され、他方に大気圧以下の前記減圧空間において前記推進薬を加圧可能な低圧ガスが充填されている、請求項1に記載の推進薬供給装置。
【請求項5】
前記電動ポンプは、吐出流量を可変調節可能な可変流量ポンプであり、
前記制御器は、前記圧力保持ラインの圧力に応じて、前記電動ポンプを流量制御又はオンオフ制御し、前記供給圧力を所定の範囲に維持する、請求項1に記載の推進薬供給装置。
【請求項6】
前記制御器は、加圧された前記推進薬が前記圧力保持ラインから前記減圧器を通って前記低圧ラインに流れ、前記電動ポンプに戻る循環流れを形成する、請求項1に記載の推進薬供給装置。
【請求項7】
前記圧力保持ラインに設置され、前記推進薬の圧力の脈動を吸収するサブタンクを有する、請求項1に記載の推進薬供給装置。
【請求項8】
前記電動ポンプの吐出口側に設置され、前記推進薬の逆流を防止するチェック弁を有する、請求項1に記載の推進薬供給装置。
【請求項9】
前記減圧器の流入口側に設置され、前記推進薬の流れを遮断可能な制御弁を有する、請求項1に記載の推進薬供給装置。
【請求項10】
前記推進薬タンクと前記メインエンジン及び前記スラスタを結ぶ前記推進薬の流路が、遮断弁、前記電動ポンプと制御弁、及び主流量調節弁と副流量調節弁の三重のバルブ又はポンプで仕切られ、三重冗長の安全性が確保されている、請求項1に記載の推進薬供給装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙飛行体用の推進薬供給装置とこれを備えた宇宙飛行体に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
宇宙空間で使用する例えば人工衛星や宇宙機(以下、「宇宙飛行体」)の推進系には、主として推進用に用いられるメインエンジンと、主として姿勢制御に用いられるスラスタとが通常搭載されている。
メインエンジンとスラスタは、通常、同一の液体推進薬(例えば、一液式推進薬、液体酸化剤、液体燃料、以下、「推進薬」)を使用し、メインエンジンは相対的に大流量の推進薬により大推力を発生し、スラスタは相対的に小流量の推進薬により小推力を発生する。
【0003】
従来、上述した宇宙飛行体の推進系は、メインエンジンに高圧ガスで大流量の推進薬を供給し、スラスタに小流量の推進薬を分岐して圧送する方式(以下、「高圧圧送式」)を採用している。
この場合、メインエンジンとスラスタは、それぞれ個別にバルブ(流量調節弁又は開閉弁)を有しており、必要に応じて開閉し推力を得るようになっている。
【0004】
しかし、高圧圧送式の推進系の場合、推進薬を内部に保有する推進薬タンクを加圧するために高圧ガスを内部に保有する気蓄器(以下、「高圧ガス容器」)が不可欠となる。
高圧ガス容器は、高い安全性と信頼性が要求されるため、安全対策や安全審査に多大な手間と経費を要し、かつ重量が大きくなり、高コストとなる。
【0005】
そこで、高圧ガスを用いない宇宙飛行体の推進系として、例えば、特許文献1,2が提案されている。
【0006】
特許文献1の「ターボポンプ式エンジンシステム」は、燃料供給系から延びる燃料供給ラインと、酸化剤供給系から延びる酸化剤供給ラインと、それらの供給ラインにそれぞれ介装された対をなすターボポンプとを備える。ターボポンプは燃料供給ラインおよび酸化剤供給ラインと接続されたガス発生器によって駆動される。燃料供給ラインおよび酸化剤供給ラインの先端は、調量弁が介装された分岐ラインを介して推力用のスラスタに接続される。
【0007】
特許文献2の「推進薬供給装置」は、中空の金属箔タンクと電動ポンプとを有する。金属箔タンクは、重ね合わされ外周縁が互いに溶着された複数の金属箔からなり、推進薬の排出管を有し、内部に充填した推進薬を大気圧以下の減圧空間において排出可能である。電動ポンプは、排出管から排出された推進薬を圧送圧力まで加圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
実開平6-18198号公報
特開2021-167580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1,2の手段を、主として推進用に用いられるメインエンジンと主として姿勢制御に用いられるスラスタとが搭載されている宇宙飛行体の推進系に適用する場合、以下の問題点があった。
【0010】
特許文献1の手段には、以下の問題点があった。
(1)燃焼反応が必要なガス発生器によってターボポンプを駆動するため、構造が複雑となる。また、ターボポンプの始動時に高圧ガスが必要であり、高圧ガスの使用を完全に無くすことはできない。
(2)ターボポンプの最大流量は、メインエンジンとスラスタの両方に必要な最大流量に設定する必要がある。一方、スラスタの必要流量は、ターボポンプよりも大幅に少ない(例えば1/100以下)。そのため、メインエンジンは使用せず、スラスタのみ使用する場合には、ターボポンプの駆動条件を大きく低減させる必要があり、ターボポンプの制御(例えば、低速運転)が困難となる。
またターボポンプで大流量の推進薬を供給し、スラスタで小流量のみを利用した場合、供給した推進薬の大部分(例えば90%以上)が無駄となる。
(【0011】以降は省略されています)

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