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公開番号2024079311
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-11
出願番号2022192179
出願日2022-11-30
発明の名称太陽電池用反射防止膜及び反射防止膜を備えた太陽電池の設計方法、製造方法、及び設計プログラム
出願人国立大学法人山形大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H01L 31/0216 20140101AFI20240604BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】屋内使用時の反射防止性能を向上できる太陽電池用反射防止膜の設計方法を提供する。
【解決手段】(A)反射防止膜を有する太陽電池の、前記反射防止膜の表面に対する等方的拡散光の入射角θに対するエネルギー密度分布g(θ)を式(1):
【数1】
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2024079311000038.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">15</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">151</com:WidthMeasure> </com:Image> (式中、θは前記太陽電池の表面に対する等方的拡散光の入射角であり、g(θ)は光エネルギー密度である)に基づいて計算すること、及び前記算出したエネルギー密度分布g(θ)に基づいて前記太陽電池の発電効率を最大化する前記反射防止膜の構成を決定することを含む、太陽電池用反射防止膜の設計方法。
【選択図】図4


特許請求の範囲【請求項1】
(A)反射防止膜を有する太陽電池の、前記反射防止膜の表面に対する等方的拡散光の入射角θに対するエネルギー密度分布g(θ)を式(1):
TIFF
2024079311000026.tif
15
151
(式中、θは前記太陽電池の表面に対する前記等方的拡散光の入射角であり、g(θ)は光エネルギー密度である)
に基づいて計算すること、及び
前記算出したエネルギー密度分布g(θ)に基づいて前記太陽電池の発電効率を最大化する前記反射防止膜の構成を決定すること
を含む、太陽電池用反射防止膜の設計方法。
続きを表示(約 2,300 文字)【請求項2】
前記算出したエネルギー密度分布g(θ)に基づいて前記太陽電池の発電効率を最大化する前記反射防止膜の構成を決定することが、
(B)前記反射防止膜の第nの構成を決定すること、
(C)前記反射防止膜の第nの構成に基づいて、前記入射角θに対する前記太陽電池の発電量J
SC
(θ)、または前記入射角θ及び波長λに対する前記反射防止膜を有する太陽電池全体の反射率R(λ,θ)を算出すること、
(D)前記算出したエネルギー密度分布g(θ)と、前記算出したJ
SC
(θ)または前記算出したR(λ,θ)との関係とを用いて、前記太陽電池の発電量の平均値J
SC、ave
または前記太陽電池の反射率の平均値R
ave
を算出すること、及び
(E)最適化エンジンを用いて算出される前記J
SC、ave
が最大化または前記R
ave
が最小化する前記反射防止膜の第n+1の構成を決定すること
を含み、
前記nは1から始まる自然数であり、
前記最適化エンジンを用いて算出される前記J
SC、ave
または前記R
ave
の変化が所定の範囲内に収束するまで前記(C)~(E)を繰り返して、前記反射防止膜の最終構成を決定することを含む、
請求項1に記載の設計方法。
【請求項3】
前記nが1の場合の前記反射防止膜の第1の構成を決定することが、ランダムな初期値を用いて行われる、請求項2に記載の設計方法。
【請求項4】
前記太陽電池の発電効率を最大化することが、式(2):
TIFF
2024079311000027.tif
18
125
(式中、θ
min
及びθ
max
は入射角の積分範囲の下限及び上限であり、H(θ)は、前記入射角θにおいて太陽電池が発生する短絡電流密度J
SC
(θ)の関数、または前記入射角θ及び波長λにおける反射率R(λ,θ)の関数である)
で表される前記評価関数Iを最大化することである、請求項1に記載の設計方法。
【請求項5】
前記H(θ)が式(3):
TIFF
2024079311000028.tif
15
127
(式中、J
SC
(θ)は入射角θにおいて太陽電池が発生する短絡電流密度J
SC
である)
で表され、
前記評価関数Iは式(4):
TIFF
2024079311000029.tif
17
126
で表される等方的拡散光によるJ
SC
の平均値であるJ
SC、ave
に一致し、
前記評価関数Iを最大化することは、前記J
SC、ave
を最大化することである、請求項4に記載の設計方法。
【請求項6】
前記H(θ)が式(5):
TIFF
2024079311000030.tif
27
112
(式中、R(λ,θ)は波長λ及び入射角θにおける反射率Rの値であり、F(λ)は設計に用いる光源(例えば、太陽光、LED、蛍光灯等)の波長λにおけるエネルギー密度で表され、前記λ
min
及びλ
max
は積分を行う波長域の下限及び上限である)
で表され、
前記評価関数Iが式(6):
TIFF
2024079311000031.tif
18
145
で表される前記等方的拡散光の条件での反射率の平均値であるR
ave
をマイナスにした値(-R
ave
)に一致し、
前記評価関数Iを最大化することは、前記-R
ave
を最小化することである、請求項4に記載の設計方法。
【請求項7】
前記反射防止膜の第nの構成が、前記反射防止膜の層数、各層の膜厚、屈折率、またはそれらの組合せである、請求項2に記載の設計方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の設計方法を含む太陽電池用反射防止膜の製造方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の設計方法を含む反射防止膜を備えた太陽電池の製造方法。
【請求項10】
コンピューターに、
(A)反射防止膜を有する太陽電池の、前記反射防止膜の表面に対する等方的拡散光の入射角θに対するエネルギー密度分布g(θ)を式(1):
TIFF
2024079311000032.tif
15
151
(式中、θは前記太陽電池の表面に対する等方的拡散光の入射角であり、g(θ)は光エネルギー密度である)
に基づいて計算する計算処理、及び
前記算出したエネルギー密度分布g(θ)に基づいて前記太陽電池の発電効率を最大化する前記反射防止膜の構成を決定する構成決定処理
を実行させる、太陽電池用反射防止膜の設計プログラム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用反射防止膜及び反射防止膜を備えた太陽電池の設計方法、製造方法、及び設計プログラムに関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
太陽電池の発電効率を向上させるため、電池表面での光の反射を抑制する機能を持つ反射防止多層膜が広く利用されている。図1に、太陽電池の反射防止膜の構成及び機能を表す断面模式図を示す。図1(A)に示すように太陽電池が反射防止膜を有しない場合、入射光が入ると反射光が生じて光エネルギーが逃げてしまうが、図1(B)に示すように太陽電池が表面に反射防止膜を有する場合、反射光を抑制して光を太陽電池に効率良く吸収して発電することができる。
【0003】
一般に反射防止膜の設計では、太陽電池表面に光が垂直に入射する際に得られる発電量が最大となるように、反射防止膜の各層の膜厚等の特性が決定される。この設計方法は、光の強度が最も強い真昼の太陽光が垂直に当たるように太陽電池パネルを設置して、この条件における光エネルギーを最大限有効に利用することを目的としている(非特許文献1、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
小檜山光信,光学薄膜フィルターデザイン,オプトロニクス社(2006).
H. Angus Macleod, “Thin-film optical filters,” 4th ed., CRC Press, Boca Raton (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して本発明者は、近年急速に普及しているIoTデバイス(インターネットで接続された各種センサー機器)に使用する場合のように、工場や家といった屋内での発電を目的として太陽電池を使用する場合は、照明の位置と太陽電池の向きによって太陽電池に対する光の方向が様々に変化するため、特定の光の向きを前提とした反射防止膜の設計は適当ではなく、しかも、室内環境では壁や天井で多数回反射することで生じる拡散光が中心となるため、あらゆる方向から同時に光が入射する光学的条件を考慮する必要があることを見いだした。
【0006】
したがって、従来よりも屋内使用時の反射防止性能を向上できる太陽電池用反射防止膜の設計方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)(A)反射防止膜を有する太陽電池の、前記反射防止膜の表面に対する等方的拡散光の入射角θに対するエネルギー密度分布g(θ)を式(1):
TIFF
2024079311000002.tif
15
151
(式中、θは前記太陽電池の表面に対する前記等方的拡散光の入射角であり、g(θ)は光エネルギー密度である)
に基づいて計算すること、及び
前記算出したエネルギー密度分布g(θ)に基づいて前記太陽電池の発電効率を最大化する前記反射防止膜の構成を決定すること
を含む、太陽電池用反射防止膜の設計方法。
(2)前記算出したエネルギー密度分布g(θ)に基づいて前記太陽電池の発電効率を最大化する前記反射防止膜の構成を決定することが、
(B)前記反射防止膜の第nの構成を決定すること、
(C)前記反射防止膜の第nの構成に基づいて、前記入射角θに対する前記太陽電池の発電量J
SC
(θ)、または前記入射角θ及び波長λに対する前記反射防止膜を有する太陽電池全体の反射率R(λ,θ)を算出すること、
(D)前記算出したエネルギー密度分布g(θ)と、前記算出したJ
SC
(θ)または前記算出したR(λ,θ)との関係とを用いて、前記太陽電池の発電量の平均値J
SC、ave
または前記太陽電池の反射率の平均値R
ave
を算出すること、及び
(E)最適化エンジンを用いて算出される前記J
SC、ave
が最大化または前記R
ave
が最小化する前記反射防止膜の第n+1の構成を決定すること
を含み、
前記nは1から始まる自然数であり、
前記最適化エンジンを用いて算出される前記J
SC、ave
または前記R
ave
の変化が所定の範囲内に収束するまで前記(C)~(E)を繰り返して、前記反射防止膜の最終構成を決定することを含む、
上記(1)に記載の設計方法。
(3)前記nが1の場合の前記反射防止膜の第1の構成を決定することが、ランダムな初期値を用いて行われる、上記(2)に記載の設計方法。
(4)前記太陽電池の発電効率を最大化することが、式(2):
TIFF
2024079311000003.tif
18
125
(式中、θ
min
及びθ
max
は入射角の積分範囲の下限及び上限であり、H(θ)は、前記入射角θにおいて太陽電池が発生する短絡電流密度J
SC
(θ)の関数、または前記入射角θ及び波長λにおける反射率R(λ,θ)の関数である)
で表される前記評価関数Iを最大化することである、上記(1)または(2)に記載の設計方法。
(5)前記H(θ)が式(3):
TIFF
2024079311000004.tif
15
127
(式中、J
SC
(θ)は入射角θにおいて太陽電池が発生する短絡電流密度J
SC
である)
で表され、
前記評価関数Iは式(4):
TIFF
2024079311000005.tif
17
126
で表される等方的拡散光によるJ
SC
の平均値であるJ
SC、ave
に一致し、
前記評価関数Iを最大化することは、前記J
SC、ave
を最大化することである、上記(4)に記載の設計方法。
(6)前記H(θ)が式(5):
TIFF
2024079311000006.tif
27
112
(式中、R(λ,θ)は波長λ及び入射角θにおける反射率Rの値であり、F(λ)は設計に用いる光源(例えば、太陽光、LED、蛍光灯等)の波長λにおけるエネルギー密度で表され、前記λ
min
及びλ
max
は積分を行う波長域の下限及び上限である)
で表され、
前記評価関数Iが式(6):
TIFF
2024079311000007.tif
18
145
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、屋内使用時の反射防止性能を向上できる太陽電池用反射防止膜の設計方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、太陽電池の反射防止膜の構成及び機能を表す断面模式図である。
図2は、屋内環境における太陽電池に対する等方的拡散光の模式図である。
図3は、球座標(θ、φ)を表す模式図である。
図4は、入射角θの等方的拡散光により太陽電池が受け取る光エネルギー密度g(θ)のグラフである。
図5は、反射防止膜の最適設計の手順を示す最適化アルゴリズムである。
図6は、有機薄膜太陽電池用に、SiO

層及びTiO

層を用いて8層の反射防止膜を設計した例の模式図である。
図7は、有機薄膜太陽電池用に、屈折率を調整した材料を用いた4層の反射防止膜を設計した例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、(A)反射防止膜を有する太陽電池の、前記反射防止膜の表面に対する等方的拡散光の入射角θに対するエネルギー密度分布g(θ)を式(1):
TIFF
2024079311000014.tif
15
151
(式中、θは前記太陽電池の表面に対する等方的拡散光の入射角であり、g(θ)は光エネルギー密度である)に基づいて計算すること、及び前記算出したエネルギー密度分布g(θ)に基づいて前記太陽電池の発電効率を最大化する前記反射防止膜の構成を決定すること
を含む、太陽電池用反射防止膜の設計方法を対象とする。
(【0011】以降は省略されています)

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