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公開番号2024031023
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-07
出願番号2022134308
出願日2022-08-25
発明の名称ペロブスカイト量子ドット複合体、ペロブスカイト量子ドット複合体の製造方法、インク、及び、ペロブスカイト量子ドット膜の製造方法
出願人伊勢化学工業株式会社,国立大学法人山形大学
代理人個人,個人
主分類C09K 11/66 20060101AFI20240229BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】ペロブスカイト量子ドットの粒子表面にのみイオン半径の小さい異なるカチオン種を配位させることにより、高耐久性を有するペロブスカイト量子ドット複合体を提供する。
【解決手段】ペロブスカイト型構造(ABX3)を有するハロゲン化合物において、前記ABX3表面の少なくとも一部がAよりもイオン半径の小さいA’で置換され、前記A’に有機酸が配位したペロブスカイト量子ドット複合体(A及びA’は互いに異なる1価カチオン種であり、Bは14族金属の2価カチオン種であり、Xはハロゲンである。)。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ペロブスカイト型構造(ABX

)を有する化合物において、前記ABX

表面の少なくとも一部がAサイトよりもイオン半径の小さいA’で置換され、前記A’に有機酸が配位したペロブスカイト量子ドット複合体(A及びA’は互いに異なる1価カチオンであり、Bは14族金属の2価カチオンであり、Xはハロゲン化物イオンである。)。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
粒径が1~30nmである、請求項1に記載のペロブスカイト量子ドット複合体。
【請求項3】
前記Aに対する前記A’の置換率が0.01以上である請求項1に記載のペロブスカイト量子ドット複合体。
【請求項4】
前記A’がナトリウム、カリウム及びルビジウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載のペロブスカイト量子ドット複合体。
【請求項5】
ハロゲン化カチオンAXと、14族金属のハロゲン化物BX

と、Aよりもイオン半径の小さいA’で構成された有機酸塩と、液体誘電率が20以上である極性溶媒とを含む前駆体溶液を調製する工程1と、
前記前駆体溶液を液体誘電率10以下の非極性溶媒中に注入して懸濁液を調製する工程2と
を有するペロブスカイト量子ドット複合体の製造方法(A及びA’は互いに異なる1価カチオンであり、かつ、A’はAよりもイオン半径が小さく、Bは14族金属の2価カチオンであり、Xはハロゲン化物イオンである。)。
【請求項6】
ハロゲン化カチオンAXと、14族金属のハロゲン化物BX

と、液体誘電率が20以上である極性溶媒とを含む前駆体溶液を調製する工程Iと、
前記前駆体溶液を液体誘電率10以下の非極性溶媒中に注入して懸濁液を調製する工程IIと、
Aよりもイオン半径の小さいA’で構成された有機酸塩を前記懸濁液に混合する工程IIIと
を有するペロブスカイト量子ドット複合体の製造方法(A及びA’は互いに異なる1価カチオンであり、かつ、A’はAよりもイオン半径が小さくBは14族金属の2価カチオンであり、Xはハロゲン化物イオンである。)。
【請求項7】
前記工程2及び前記工程IIにおいて、前駆体溶液及び液体誘電率10以下の非極性溶媒の温度を40℃以下とする請求項5又は6に記載のペロブスカイト量子ドット複合体の製造方法。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載のペロブスカイト量子ドット複合体と、液体誘電率10以下の非極性溶媒とを含有するインク。
【請求項9】
請求項8に記載のインクを基板に塗布し、成形する工程と、液体誘電率10以下の非極性溶媒を乾燥により除去して、膜を形成する工程とを有するペロブスカイト量子ドット膜の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高い耐久性及び高い発光効率を有するペロブスカイト量子ドットに関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
ペロブスカイト量子ドットは、1粒子の大きさが1nmから数10nmの、量子力学に従う特異的な光学特性を発現させるペロブスカイト構造(ABX

)を有する粒子(ドット)である。励起したときに発する発光波長が化学組成と粒子サイズで連続的に制御でき、非常に高いフォトルミネッセンス量子収率(Photoluminescence quantum yield,PLQYとも言う)、かつ、発光波長分布のばらつきが非常に小さい発光特性を示すことから、近年注目されている。
【0003】
ペロブスカイト量子ドットは、励起時に欠陥があると量子ドット内でキャリアの非発光再結合を起こし、熱エネルギー等として失われる場合がある。この損失は、量子ドットのPLQYを低下させる一因となる。
【0004】
ペロブスカイト量子ドットは、その大きな比表面積のため、表面欠陥(ダングリングボンド)の抑制が重要になる。そのため、一般的にはペロブスカイト量子ドットの表面欠陥形成を抑制するため、粒子表面に有機配位子(酸、塩基、界面活性剤)をキャッピングさせることによる保護が行われてきた。粒子表面に配位した配位子は、水分や極性溶媒との接触を避ける効果を有する。
有機配位子のペロブスカイト量子ドットへの配位率は、ペロブスカイト量子ドットと溶媒中の未配位の配位子の平衡によって決まる。配位子を適切に添加することで、非常に高いPLQYを有するペロブスカイト量子ドット分散溶液の合成に成功している。
【0005】
しかしながら、ペロブスカイト量子ドットを分散させたインクは、使用用途(樹脂溶液、LEDデバイス)に応じて、分散溶媒の溶媒置換や他の溶媒添加が必要になる。分散溶媒の溶媒置換は分散溶媒中の未配位の配位子量の減少、又は分散溶媒の液体誘電率が変化することで、ペロブスカイト量子ドット表面から配位子が脱離する。更に、配位子脱離部分からハロゲン欠損が起こり、表面欠損を失活部としてPLQYを低下させる。また、配位子脱離は粒子間の凝集・融着を引き起こして、粒径の均一性が損なわれる原因となる。ペロブスカイト量子ドットは、量子サイズ効果により粒径が変化すると発光波長が変化する。そのため、粒径の変化は、発光波長の変化や発光波長分布のバラつきの増大を招く。
【0006】
ペロブスカイト量子ドットの表面欠損生成を抑制する一つの手法として、AサイトとXサイトとで形成する結晶格子を安定化する技術がある。イオン結晶の場合、結晶格子を構成する元素のイオン半径が小さいほど格子エネルギーは大きくなり、表面欠損が起こりにくくなる。Aサイトが1価カチオン、Xサイトがハロゲン化物イオンで占有される場合、ボルン・ハーバーサイクルに基づくハロゲン化アルカリの格子エネルギーを参考にして、ペロブスカイト量子ドットを設計することができる。
【0007】
ペロブスカイト太陽電池に関する報告例として、ペロブスカイト半導体の表面に、より小さいイオン半径のカチオンを有するハロゲン化物を配位させることで、表面欠陥を抑制する技術がある(特許文献1、非特許文献1)。
ペロブスカイト量子ドットでも、合成時に臭化カリウムなどのハロゲン化物を原料に入れると欠陥抑制が向上することが知られている(非特許文献2)。
しかしながら、カリウムがペロブスカイト構造全体にドープされ、結晶の格子歪みにより、ペロブスカイトのエネルギーバンド内にトラップ準位が発生し、発光(PL)スペクトルの半値幅(FWHM
PL
)が広がり、更に発光波長の短波長シフトを起こすという問題がある。そのため、欠陥が形成しやすいペロブスカイト量子ドットの表面にのみ、ペロブスカイト結晶のAサイトより小さいイオン半径のカチオンを置換したペロブスカイト量子ドット複合体の開発が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2021-180277号公報
【非特許文献】
【0009】
Ya Chu et al., J. Colloid Interface Sci. 2021, 596, 199-205
Kai Shen, et al., Adv. Mater. 2020, 32, 2000004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ペロブスカイト量子ドットの粒子表面にのみイオン半径の小さい異なるカチオン種を置換させることにより、高耐久性を有するペロブスカイト量子ドット複合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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