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公開番号2024042762
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-29
出願番号2022147550
出願日2022-09-16
発明の名称近赤外発光有機ELデバイス
出願人国立大学法人山形大学
代理人個人,個人
主分類H10K 50/10 20230101AFI20240322BHJP()
要約【課題】高い発光効率と信頼性とを備えた近赤外発光有機ELデバイスを提供する。
【解決手段】陽極と陰極との間に、少なくとも、ホール輸送層と、発光層と、電子輸送層とを有し、前記発光層が、ホスト材料、アシストドーパント及び近赤外発光材料の3成分系で構成され、かつ、前記アシストドーパントがりん光発光材料であり、700~2500nmの近赤外域に発光スペクトルを有することを特徴とする近赤外発光有機ELデバイス。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
陽極と陰極との間に、少なくとも、ホール輸送層と、発光層と、電子輸送層とを有し、
前記発光層が、ホスト材料、アシストドーパント及び近赤外発光材料の3成分系で構成され、かつ、前記アシストドーパントがりん光発光材料であり、
700~2500nmの近赤外域に発光スペクトルを有することを特徴とする近赤外発光有機ELデバイス。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
前記アシストドーパントが、りん光発光性のイリジウム錯体であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外発光有機ELデバイス。
【請求項3】
前記近赤外発光材料が、りん光発光性のプラチナ錯体であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外発光有機ELデバイス。
【請求項4】
前記アシストドーパントの規格化したフォトルミネッセンススペクトルの波長領域と、
前記近赤外発光材料の規格化した吸収スペクトルの波長領域と
が重なることを特徴とする請求項1に記載の近赤外発光有機ELデバイス。
【請求項5】
前記アシストドーパントの規格化したフォトルミネッセンススペクトルのピーク高さの半値以上の波長領域と、前記近赤外発光材料の規格化した吸収スペクトルのピーク高さの半値以上の波長領域とが重なり、かつ、
両スペクトルのうち一方のピーク波長を含む波長領域が、他方のスペクトルのピーク高さの半値以上の波長領域に含まれることを特徴とする請求項4に記載の近赤外発光有機ELデバイス。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外域で発光し、高い発光効率と長寿命を備えた有機ELデバイスに関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
近赤外線は、およそ700nmから2500nmの波長領域の光であり、赤色光よりもやや波長の長い電磁波である。近赤外線は、赤外線カメラや、人感センサー、家庭用のリモコン、赤外線通信など、さまざまな用途で用いられている。また、近赤外線は、生体に対して一定の透過性を有しており、その一方で、血液中の酸化及び還元ヘモグロビンは近赤外線を吸収するため、脈波センサーや酸素飽和度センサー、静脈認証や虹彩センサーなどにも用いられている。さらには、近赤外線は、可視光では判別できない物質の判別等に利用できるため、布地判別、液体判別、糖度センサー、近赤外分光分析装置など、幅広い応用が考えられている。
【0003】
近赤外線を発する光源としては、現在、ハロゲンランプとLEDが主に用いられている。ハロゲンランプは、白熱電球の封入ガス中に不活性ガスと微量のハロゲンを注入したもので、およそ350nmから3500nmまで幅広い発光スペクトルを有する。しかし、ハロゲンランプは寿命がおよそ2000時間程度と短く、電球が切れれば交換が必要なこととや発熱することなどが課題である。ハロゲンランプは、分光分析装置の光源としても用いられるが、ランプの光量が安定化するまで、例えば約30分の暖機運転が必要であったり、長時間の使用での光量の低下が大きかったり、ランプ交換の度に光量が変動するといった課題を有している。
【0004】
LEDは、近赤外域で発光する製品が既に開発されており、ハロゲンランプに比べてサイズが小さく、消費電力や発熱が少なく長寿命であるため、酸素飽和度センサーなどの小型機器などで用いられている。一方、無機半導体のバンド間遷移による発光であるため、一般的に発光スペクトルの幅が狭く、分光分析装置の光源などの幅広い発光スペクトルが必要とされる用途には、適していない。また、点光源に近い発光デバイスであるため、回路的に電流集中による発熱には注意する必要がある。形状的には、面発光やフレキシブルな発光体へは適用が難しい。
【0005】
有機ELは、超薄型、軽量、低消費電力、面発光であることなどを特徴とする自発光デバイスであり、既に携帯電話用のディスプレイとして広く普及している。有機ELは、LEDと同様、直流、低電圧で駆動する低消費電力の発光デバイスであるが、それに加えて、LEDでは実現が難しい、超薄型、面発光、フレキシブルなどの新しい価値を提供できる。有機ELでは、これまで、赤色、緑色、青色、白色など、可視光域をカバーする発光デバイスが主として開発され、実用化されてきたが、近赤外域で発光する有機ELデバイスは報告例が少なく、実用化にも至っていなかった。それは、近赤外域で実用に耐える発光効率や寿命を示す有機ELデバイスが、これまで実現できていなかったことが一因である。
【0006】
近赤外域で発光する有機ELデバイスの基礎研究としては、りん光材料、熱活性化遅延蛍光材料(TADF)、蛍光材料など、さまざまな種類の材料が検討されてきた。例えば、非特許文献1には、2019年までに報告された主な近赤外発光有機ELの研究結果がまとめられているが、近赤外域では、波長が長くなるほど発光効率が大きく低下していくことが示されている。例えば、発光ピーク波長が750nm以上の近赤外発光有機ELにおいては、外部量子効率が10%を超える報告はほとんど見受けられない。例えば、発光ピーク波長772nmでは外部量子効率8.5%、900nmでは3.8%、1000nm以上では0.28%が最大であり、近赤外域で高い発光効率を示す有機ELを実現することが困難であったことが分かる。また、近赤外発光有機ELの寿命の報告例は少なく、近赤外域にほど近い発光ピーク波長が670nm~690nm付近である深赤色有機ELでは、10時間~100時間程度の寿命が報告されている。近赤外発光有機ELで最も長寿命な素子の例としては、発光ピーク波長769nmで、発光効率最大6.3%(0.1mA/cm
2
時)、連続駆動時間450時間(40mA/cm
2
時)で初期輝度の90%を保持(外挿により1000時間以上の寿命を推定)したとの報告がある(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Andrea Zampetti, Alessandro Minotto, and Franco Cacialli, “Near-Infrared (NIR) Organic Light-Emitting Diodes (OLEDs): Challenges and Opportunities”, Advanced Functional Materials, 2019, 29,1807623.
Carsten Borek, Kenneth Hanson, Peter I. Djurovich, Mark E. Thompson, Kristen Aznavour, Robert Bau, Yiru Sun, Stephen R. Forrest, Jason Brooks, Lech Michalski, and Julie Brown, “Highly Efficient, Near-Infrared Electrophosphorescence from a Pt-Metalloporphyrin Complex”, Angewandte Chemie International Edition, 2007, 46, pp. 1109 - 1112.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、従来の近赤外発光有機ELにおいて、十分な発光効率が実現されてこなかった要因を見直し、主に発光材料や発光層の構成を見直すことで、実用レベルの発光効率を有した近赤外発光有機ELデバイスを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明では、連続発光試験等の信頼性試験で、例えば数年以上といった、十分な信頼性を有する、長寿命な近赤外発光有機ELデバイスを提供することを目的とする。
【0010】
加えて、本発明では、上述のような実用レベルの発光効率と寿命を有する近赤外発光有機ELデバイスの製法を提供することを目的とする。さらには、駆動電圧が低く、低消費電力の近赤外発光有機ELデバイスの製法についても提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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