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公開番号2024054634
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-17
出願番号2022160985
出願日2022-10-05
発明の名称有機光電変換素子の製造方法及び有機光電変換素子
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類H10K 30/50 20230101AFI20240410BHJP()
要約【課題】有機光電変換素子の耐熱性を高める。
【解決手段】第1電極11、正孔輸送層12(キャリア輸送層)、有機光電変換層13、及び第2電極15がこの順で積層された有機光電変換素子10を製造する方法であって、正孔輸送層12上に、p型有機半導体及びn型有機半導体を含む有機半導体インク組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を150℃以上300℃以下で加熱して有機光電変換層13を得る熱アニール処理工程と、熱アニール処理工程の後に、第2電極15を形成する第2電極形成工程とを有する、有機光電変換素子の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第1電極、キャリア輸送層、有機光電変換層、及び第2電極がこの順で積層された有機光電変換素子を製造する方法であって、
前記キャリア輸送層上に、p型有機半導体及びn型有機半導体を含む有機半導体インク組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記塗膜を150℃以上300℃以下で加熱して前記有機光電変換層を得る熱アニール処理工程と、
前記熱アニール処理工程の後に、前記第2電極を形成する第2電極形成工程とを有する、有機光電変換素子の製造方法。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
前記熱アニール処理工程における加熱時間が1秒間以上30分間以下である、請求項1に記載の有機光電変換素子の製造方法。
【請求項3】
前記熱アニール処理工程において、前記キャリア輸送層側から前記塗膜を加熱する、請求項1に記載の有機光電変換素子の製造方法。
【請求項4】
前記キャリア輸送層が正孔輸送層である、請求項1に記載の有機光電変換素子の製造方法。
【請求項5】
前記熱アニール処理工程と前記第2電極形成工程の間に、前記有機光電変換層と前記第2電極との間に電子輸送層を形成する工程を有する、請求項4に記載の有機光電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記p型有機半導体が高分子化合物である、請求項1に記載の有機光電変換素子の製造方法。
【請求項7】
前記n型有機半導体が、分子量が100~5000の有機化合物である、請求項1に記載の有機光電変換素子の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の有機光電変換素子の製造方法により製造された有機光電変換素子であって、200℃の温度条件で50分間保持する耐熱性試験の実施後の外部量子効率をEa、前記耐熱性試験の実施前の外部量子効率をEbとするとき、下記式で表されるEQE維持率が70~100%である、有機光電変換素子。
EQE維持率=Ea/Eb×100

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、有機光電変換素子の製造方法、及び前記製造方法で得られる有機光電変換素子に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
入射された光のエネルギーを電気エネルギーに変換する有機光電変換膜は、太陽電池や光センサ(光ダイオード)などの有機光電変換素子への適応が期待されている。
有機光電変換膜については、従来、電子ドナー性半導体(p型有機半導体)である共役系ポリマーと、電子アクセプター性半導体(n型有機半導体)となるPCBMに代表されるフラーレン誘導体との混合物からなるバルクへテロジャンクション(BHJ)構造を膜中に形成させることが、高性能な有機光電変換膜を得ることに有望とされ、最大で11%程度の光電変換効率(PCE)を持つ有機太陽電池が報告されている。
近年では、フラーレン誘導体に代わって、非フラーレン型アクセプターと呼ばれる低分子アクセプターを用いることにより、更なるPCEの向上が可能であることが報告され、例えば、太陽光からのエネルギー変換効率が18%を超えるものも報告されている。
【0003】
有機光電変換素子の光電変換特性には、p型有機半導体とn型有機半導体とからなるBHJ型光電変換層の相分離構造(p型有機半導体とn型有機半導体との相溶性)が重要な役割を担っている。BHJ構造では膜中に概ね10~100nm程度のサイズでp型半導体とn型半導体がそれぞれ共連続のドメインを有することが理想的であるとされる。これは、有機半導体における励起子の拡散長によって主に決定される。このような分離構造を有するためには、BHJ構造を構成するp型半導体とn型半導体との相溶性が低く、過剰に混合しないことが求められる。一方で、このような低い相溶性は、時間の経過や加熱による分子拡散を通じた相分離サイズの成長を促し、結果として理想的なサイズよりも大きなドメインサイズへの成長に至る。マイクロメートルサイズにまで成長し得るこのような相分離は、光電変換特性の低下や、イメージセンサの画素間の特性バラツキが生じるなど、実用上の問題を引き起こす。
【0004】
有機光電変換素子には、素子製造におけるリフロー工程時などの加熱環境に耐えうる耐熱性が必要とされている。しかしながら、一般的に、BHJ型光電変換層は、素子製造時に想定される加熱環境に耐えうる十分な耐熱性を有していない。その結果、BHJ型光電変換層内でp型有機半導体とn型有機半導体のドメインサイズの成長が起こることで光電変換特性の低下が生じる。
このような背景のもと、有機光電変換膜のBHJ構造の安定化による耐熱性の改善に向けて様々な検討がなされてきた。
【0005】
非特許文献1では、架橋基を導入したp型半導体を用いて光電変換層に架橋構造を形成することでBHJ構造の安定性を改善する方法が示されている。
【0006】
非特許文献2では、P3HT(poly(3-hexylthiophene))とPCBMから成る光電変換層に熱架橋性モノマーOBOCO(octane-1,8-diylbis(1,4-dihydrobenzo[d][1,2]oxathiine-6-carboxylate-3-oxide))を添加し光電変換層を熱硬化させることで、光電変換層の耐熱性を改善することが示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Materials Today・Volume 18,Number 8・October 2015, 425-435頁
J.Mater.Chem.A,2013,1, 4589-4594頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、架橋基を有する有機半導体を新たに開発する必要がある。また、非特許文献2の熱硬化性モノマーOBOCOの硬化反応にはフラーレン誘導体が必須であり、本手法を用いる場合、光電変換層の半導体材料の選択に制限が生じる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、新たな有機半導体を開発しなくとも、p型有機半導体及びn型有機半導体に対して添加物を添加しなくとも、有機光電変換素子の耐熱性を高めることができる、有機光電変換素子の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、有機光電変換素子の製造工程において、p型有機半導体及びn型有機半導体を含む塗膜に対して、特定の条件で熱アニール処理を施すことにより、有機光電変換素子の耐熱性を向上できることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0010】
[1]第1電極、キャリア輸送層、有機光電変換層、及び第2電極がこの順で積層された有機光電変換素子を製造する方法であって、前記キャリア輸送層上に、p型有機半導体及びn型有機半導体を含む有機半導体インク組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を150℃以上300℃以下で加熱して前記有機光電変換層を得る熱アニール処理工程と、前記熱アニール処理工程の後に、前記第2電極を形成する第2電極形成工程とを有する、有機光電変換素子の製造方法。
[2]前記熱アニール処理工程における加熱時間が1秒間以上30分間以下である、[1]に記載の有機光電変換素子の製造方法。
[3]前記熱アニール処理工程において、前記キャリア輸送層側から前記塗膜を加熱する、[1]又は[2]に記載の有機光電変換素子の製造方法。
[4]前記キャリア輸送層が正孔輸送層である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の有機光電変換素子の製造方法。
[5]前記熱アニール処理工程と前記第2電極形成工程の間に、前記有機光電変換層と前記第2電極との間に電子輸送層を形成する工程を有する、[4]に記載の有機光電変換素子の製造方法。
[6]前記p型有機半導体が高分子化合物である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の有機光電変換素子の製造方法。
[7]前記n型有機半導体が、分子量が100~5000の有機化合物である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の有機光電変換素子の製造方法。
[8]前記[1]~[7]のいずれか一項に記載の有機光電変換素子の製造方法により製造された有機光電変換素子であって、200℃の温度条件で50分間保持する耐熱性試験の実施後の外部量子効率をEa、前記耐熱性試験の実施前の外部量子効率をEbとするとき、下記式で表されるEQE維持率が70~100%である、有機光電変換素子。
EQE維持率=Ea/Eb×100
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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