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公開番号2024078303
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-10
出願番号2022190762
出願日2022-11-29
発明の名称RFeB系磁石の製造方法
出願人大同特殊鋼株式会社,株式会社ダイドー電子
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類H01F 41/02 20060101AFI20240603BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】角型比の低下を抑えつつ保磁力を高くすることができるRFeB系焼結磁石又はRFeB系熱間塑性加工磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】希土類元素R、Fe及びBを含有するRFeB系焼結体又はRFeB系熱間塑性加工体から成る基材11Aを準備する基材準備工程と、重希土類元素RHのうちの1種又は複数種を含有するRH含有物から成る島状のRH含有体12Aを複数、前記基材の表面の所定領域内に、該所定領域の面積のうちの50%以上に接触し、且つ隣接するRH含有体同士の間に1mm以上であって該基材の要拡散距離以下の隙間を空けて配置するRH含有体接触工程と、前記RH含有体を接触させた前記基材を、該RH含有体内の重希土類元素RHが該基材の粒界を通して該基材内に拡散する所定温度に加熱する加熱工程とを有する。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
希土類元素R、Fe及びBを含有するRFeB系焼結体又はRFeB系熱間塑性加工体から成る基材を準備する基材準備工程と、
重希土類元素R
H
のうちの1種又は複数種を含有するR
H
含有物から成る島状のR
H
含有体を複数、前記基材の表面の所定領域内に、該所定領域の面積のうちの50%以上に接触し、且つ隣接するR
H
含有体同士の間に1mm以上であって該基材の要拡散距離以下の隙間を空けて配置するR
H
含有体接触工程と、
前記R
H
含有体を接触させた前記基材を、該R
H
含有体内の重希土類元素R
H
が該基材の粒界を通して該基材内に拡散する所定温度に加熱する加熱工程と
を有することを特徴とするRFeB系磁石の製造方法。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
前記R
H
含有体接触工程において前記R
H
含有体を前記所定領域の面積のうちの80%以下に接触させることを特徴とする請求項1に記載のRFeB系磁石の製造方法。
【請求項3】
前記R
H
含有物が、重希土類元素R
H
のうちの1種又は複数種を含有する合金若しくは金属間化合物、又は重希土類元素R
H
の単体の金属の粉末を、液体である有機溶剤と混合して成るスラリー又は有機グリースと混合して成るペーストであることを特徴とする請求項1又は2に記載のRFeB系磁石の製造方法。
【請求項4】
前記R
H
含有体接触工程において前記スラリー又は前記ペーストをインクジェット法又はスクリーン印刷法によって前記基材の表面の所定領域内に供給することにより前記R
H
含有体を形成することを特徴とする請求項3に記載のRFeB系磁石の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類元素(以下、「R」とする)、鉄(Fe)及び硼素(B)を主な構成元素とするRFeB系焼結磁石又はRFeB系熱間塑性加工磁石の製造方法に関する。なお、RFeB系焼結磁石はRFeB系の原料粉末を磁界中で配向した後に焼結したものをいい、RFeB系熱間塑性加工磁石はRFeB系の原料粉末に対して熱間プレス加工を行った後に熱間塑性加工を行うことで結晶粒を配向した磁石をいう。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
RFeB系焼結磁石は1982年に佐川眞人らによって見出されたものであり、残留磁束密度等の種々の磁気特性がそれまでの永久磁石よりも高いという特長を有する。初期のRFeB系焼結磁石は種々の磁気特性のうち保磁力が比較的低いという欠点を有していたが、その後、RFeB系焼結磁石の結晶粒の表面付近に、Dy、Tb及びHo(以下、これら3種の元素を「重希土類元素」と総称する。また、重希土類元素に「R
H
」との記号を付す。)のうちの1種又は複数種を存在させることによって保磁力を向上させることができることが見出された。これにより今日では、RFeB系焼結磁石は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車用モータや産業機械用モータ等の各種モータ、スピーカー、ヘッドホン、永久磁石式磁気共鳴診断装置等、様々な製品に使用されるようになった。
【0003】
重希土類元素R
H
は、RFeB系焼結磁石の結晶粒の表面付近に存在する限り、保磁力以外の磁気特性にほとんど影響(悪影響)を及ぼさないものの、結晶粒の内部に多く存在すると残留磁束密度を低下させてしまうという欠点を持つ。そこで従来より、粒界拡散法と呼ばれるRFeB系焼結磁石の製造方法が用いられている(例えば特許文献1)。粒界拡散法では、RFeB系磁石の原料粉末を焼結させた焼結体から成る基材を作製したうえで、重希土類元素R
H
を含有するR
H
含有物を基材の表面に付着させ、所定の温度範囲内(典型的には700~1000℃)の温度に加熱する。すると、R
H
含有物中の重希土類元素R
H
は、基材である焼結体の粒界を通って焼結体内に拡散してゆき、結晶粒の表面付近に侵入するが、結晶粒の内部にはほとんど侵入しない。これにより、重希土類元素R
H
が結晶粒の表面付近には十分に存在しつつ結晶粒の内部にはほとんど存在しないRFeB系焼結磁石が得られる。
【0004】
特許文献1では、重希土類元素R
H
を含有する合金粉末と有機溶剤を混合することにより作製されたスラリーをノズルから吐出させながら該ノズルを移動させてゆくこと(いわゆるインクジェット法)により、R
H
含有物を基材の表面に付着させている。この場合、スラリーの粘性が高いことから、スラリーをノズルから一定の速度(単位時間当たりの吐出量)で吐出させることが難しく、基材の表面にR
H
含有物を一様に付着させることは困難である。しかし、特許文献1によれば、実際には基材の表面にR
H
含有物を一様に付着させる必要はなく、例えばR
H
含有物を、隙間を空けつつ点状又は線状に付着させた場合であっても、その隙間が或る程度小さければ、同じ量のR
H
含有物を基材の表面に一様に付着させた場合と同程度の保磁力が得られる。
【0005】
特許文献1で挙げられた具体例では、略直方体(6つの面のうちの1つの面のみが凸曲面)の形状を有する基材(寸法の記載は無し)を複数個用意し、各基材の1つの面に、単位面積当たりのR
H
含有物の量が同じ値(16mg/cm
2
)となるように、平面視で円形の付着物を複数個、正方格子状又は千鳥状に配置し、900℃に加熱することにより粒界拡散処理が行われた。ここで付着物の大きさ及び間隔は、基材毎に異なる値に設定されている。比較対象として、塗布物を同じ量だけ1つの面の全体に均一に付着(以下、「均一付着」と呼ぶ)させ、900℃に加熱するという粒界拡散処理も行われた。その結果、付着物同士の隙間が0.1~0.6mmの範囲内にある場合には、均一付着の場合の保磁力(24.9kOe(1981kA/m))と同程度の保磁力(24.6~25.0kOe(1958~1989kA/m))が得られた。なお、付着物同士の隙間が2.9mm及び3.6mmである場合には、保磁力はそれぞれ21.0kOe(1671kA/m)及び16.2kOe(1289kA/m)という、均一付着の場合よりも低い値となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2018-078275号公報
特開2015-122517号公報
特開2006-019521号公報
【非特許文献】
【0007】
日置敬子、服部篤 著、「超急冷粉末を原料とした省Dy型Nd-Fe-B系熱間加工磁石の開発」、素形材 第52巻第8号第19~24頁、一般財団法人素形材センター、2011年8月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
モータ等に用いられる磁石では、高い保磁力のみならず、高い角型比(squareness ratio。「SQ」とも呼ばれる。)を有することが要求される(例えば特許文献2参照)。角型比は、縦軸を磁化J、横軸を磁界Hとするグラフ上で表される磁化曲線の第2象限において、磁化Jが最大値J
r
から10%低下したときの磁界の絶対値H
k
を、磁化Jが0となるときの磁界の値である保磁力H
cj
で除した値、即ちSQ=H
k
/H
cj
で表される(図1参照)。図1(a)及び(b)にそれぞれ示した例では、いずれも保磁力Hcjは同じ値を有するが、(a)よりも(b)の方が、H
k
が小さく、それゆれSQも小さい。(b)のようにSQが小さいと、たとえ保磁力H
cj
が大きくとも、磁化Jに対して逆方向にH
cj
よりも弱い磁界が印加されたときに磁化Jが低下してしまい、十分な特性が得られない。このように保磁力H
cj
が高いにも関わらずSQが低下するという原因の1つとして、焼結磁石内において重希土類元素R
H
の濃度分布に濃淡が生じ、部分的に保磁力H
cj
が低くなることが考えられる。特許文献1にはSQ値が記載されていないが、同文献に記載の方法では重希土類元素R
H
の濃度分布に濃淡が生じ、それによってSQ値が低下してしまうおそれがある。
【0009】
ここまではRFeB系焼結磁石を例に説明したが、RFeB系熱間塑性加工磁石においても同様である。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、角型比の低下を抑えつつ保磁力を高くすることができるRFeB系焼結磁石又はRFeB系熱間塑性加工磁石の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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