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公開番号2024057137
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-24
出願番号2022163656
出願日2022-10-12
発明の名称寒冷地植栽保全装置、寒冷地植栽保全方法および寒冷地運動施設用芝管理方法
出願人大成建設株式会社,太陽工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類A01G 20/00 20180101AFI20240417BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】植栽の上に加温シートを敷設する際、加温シートが植栽面に直接触れることによってシート直下の植物が痛んでしまうことを防ぐ技術を開発する。
【解決手段】立体網状構造体、通気性・透水性シート加温シートとを備えた保全シート体と、
加温シートの温度を調整する制御盤と、
を備えた、寒冷地の植栽を保護する寒冷地植栽保全装置であって、
保全シート体は、植栽面側から上側に向けて、立体網状構造体、通気性・透水性シート植栽用加温シートの順に配置されており、
制御盤で加温シートの温度を制御することを特徴とする寒冷地植栽保全装置。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
立体網状構造体、通気性・透水性シート、加温シートを備えた保全シート体と、
加温シートの温度を調整する制御盤と、
を備えた、寒冷地の植栽を保護する寒冷地植栽保全装置であって、
保全シート体は、植栽面側から上側に向けて、立体網状構造体、通気性・透水性シート、加温シートの順に配置されており、
制御盤で加温シートの温度を制御することを特徴とする寒冷地植栽保全装置。
続きを表示(約 530 文字)【請求項2】
立体網状構造体の上面側に通気性・透水性シートが一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載の寒冷地植栽保全装置。
【請求項3】
植栽面から加温シートの間、または加温シートの表面に温度センサーが取り付けられており、制御盤は、温度センサーの検知温度に基づいて制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された寒冷地植栽保全装置。
【請求項4】
請求項1記載の寒冷地植栽保全装置を設置して寒冷地の植栽を保全する方法であって、
寒冷地の植栽の上に、立体網状構造体、通気性・透水性シート、加温シートの順に被せて、制御盤を調整して温度を制御することを特徴とする寒冷地植栽保全方法。
【請求項5】
寒冷地の植栽が、運動施設に設けられた芝であることを特徴とする請求項4記載の寒冷地植栽保全方法。
【請求項6】
芝面の温度を0~8℃に維持するように加温シートの温度を制御することを特徴とする請求項5記載の寒冷地植栽保全方法。
【請求項7】
運動施設が、球技用競技場、陸上競技場、ゴルフ場のいずれかであることを特徴とする請求項5記載の寒冷地植栽保全方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地の植栽を保全する技術に関する。特に、寒冷地の運動施設の芝の管理技術に関する。
続きを表示(約 5,300 文字)【背景技術】
【0002】
北陸、東北、北海道等の豪雪地帯にあるサッカースタジアムでは、冬から春にかけて試合を開催する際、芝生の上に積った雪を除雪する必要がある。近年、Jリーグの開幕時期が早まっており、豪雪地帯にあるサッカースタジアムにおいて融雪、除雪は喫緊の課題となっている。また、豪雪地帯以外のスタジアムであっても、試合開催の前日や当日の積雪、植栽土壌や植栽面の凍結、霜等による影響が懸念されている。なお、芝生の上に雪が積もっていると、雪が断熱材となって地表面の温度が5℃程度に保たれているため、凍害などによって芝が枯死するほど温度が下がることはない。その代わりに、冬季に除雪してしまうと、芝が低温にさらされて枯死してしまうことがあるため、除雪後、芝が枯れない程度に地温を保ち、芝を養生することについて配慮しなければならない。
したがって、芝生上に積もった雪を除雪する、あるいは降ってくる雪が積もらないよう融かしながら、植栽土壌や植栽面の温度を保つことによって芝が枯死することを防ぐ技術の開発が求められている。
【0003】
例えば特許文献1(特開平10-306405号公報)には、芝を育成するために、予め地中に埋設された管材に温水等の熱媒体を流通させることで、植栽土壌を加温する方法が開示されている。また、同様の方法として、地中に電熱線を埋設しておくことで、植栽土壌を加温する方法も採用されている。なお、運営しているスタジアムなどの施設に後から熱媒体を設置することは難しい。
特許文献2(特開2000-197415号公報)には、融雪対象芝生面または積雪防止対象芝生面に、散水設備およびヒーティング設備を併設し、降雪状況または積雪状況に応じてこれら散水設備およびヒーティング設備のうちから選択されたいずれか一方により、または両設備を併用することによって、融雪または積雪防止を行う設備を備えたサッカー場などが開示されている。
【0004】
特許文献3(特開昭61-78624号公報)には、ポリウレタンフォーム製保温材、断熱材、防水材その他の芯材を、耐候性、防水性等を持たせるために表装材で被覆した育苗用の保温マットが開示されている。
特許文献4(実開平6-52433号公報)には、経糸に合成樹脂製のモノフィラメントを用い、緯糸にアルミニウム蒸着を施した合成樹脂製のフラットヤ-ンを用いて織成したクロスシ-トにおいて、緯糸を隣接した状態で打ち込み且つ経糸を緯糸の打ち込み密度の2倍以上として、芝生の窒息を防止するための通気性と、養生のための保温性確保する冬季の芝生の保護用の被覆シ-トが開示されている。
また、特許文献5(特開2019-183493号公報)には、複数のヒーターユニットと、ヒーターユニット同士を連結する連結手段とを有した植栽用加温シートを用いた植栽土壌の加温方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平10-306405号公報
特開2000-197415号公報
特開昭61-78624号公報
実開平6-52433号公報
特開2019-183493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
植栽面の上に加温シートを敷設すると、加温シートが植栽面に直接触れた部分の植物が痛んでしまうことがあった。本発明は、植栽の上に加温シートを敷設する際、加温シートが植栽面に直接触れることによってシート直下の植物が痛んでしまうことを防ぐ技術を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.立体網状構造体、通気性・透水性シート、加温シートを備えた保全シート体と、
加温シートの温度を調整する制御盤と、
を備えた、寒冷地の植栽を保護する寒冷地植栽保全装置であって、
保全シート体は、植栽面側から上側に向けて、立体網状構造体、通気性・透水性シート、加温シートの順に配置されており、
制御盤で加温シートの温度を制御することを特徴とする寒冷地植栽保全装置。
2.立体網状構造体の上面側に通気性・透水性シートが一体に設けられていることを特徴とする1.記載の寒冷地植栽保全装置。
3.植栽面から加温シートの間、または加温シートの表面に温度センサーが取り付けられており、制御盤は、温度センサーの検知温度に基づいて制御することを特徴とする1.又は2.に記載された寒冷地植栽保全装置。
4.1.記載の寒冷地植栽保全装置を設置して寒冷地の植栽を保全する方法であって、
寒冷地の植栽の上に、立体網状構造体、通気性・透水性シート、加温シートの順に被せて、制御盤を調整して温度を制御することを特徴とする寒冷地植栽保全方法。
5.寒冷地の植栽が、運動施設に設けられた芝であることを特徴とする4.記載の寒冷地植栽保全方法。
6.芝面の温度を0~8℃に維持するように加温シートの温度を制御することを特徴とする5.記載の寒冷地植栽保全方法。
7.運動施設が、球技用競技場(サッカー場、野球場、ラグビー場など)、陸上競技場、ゴルフ場(ゴルフ練習場も含む)のいずれかであることを特徴とする5.記載の寒冷地植栽保全方法。
【発明の効果】
【0008】
1.本発明によって、植栽面と加温シートの間に立体網状構造体を設置することによって、上から降ってくる雪をシートの熱で融かしながら、融雪水を透過させて、植物の周囲の空間を植物が枯死しない程度の温湿度に保つことによって、植物に対する低温障害防止と高温障害防止を図り、健全な状態に維持することができる。
2.本発明の寒冷地植栽保全装置は、寒冷地の植栽面に立体網状構造体を配置し、通気性・透水性シートを介して加温シートを設けて、この加温シートを加熱することにより、保温力を高めて植栽を低温の害から保全することができる。通気性・透水性シートは、立体網状構造体の上面に一体に設けることもできる。あるいは、別体に設けることもできる。また、外側にある加温シートが融雪するので、除雪する必要がない。本発明の寒冷地植栽保全装置を運動施設に使用することにより、寒冷地でも冬季にも運動施設を利用することができる。特に、芝を用いたサッカー場などの球技用施設やゴルフ場、ゴルフ練習場では施設の利用性を高めることができる。
本発明において、冬季とは、寒さで芝などの対象の植栽が痛む(例えば、低温によって芝の生育量が低下したり、茎葉に生育障害が発生したりすること。)時期をいい、暦上の冬季とは異なる。例えば、春に寒波や雪が降って、寒さによる芝に悪影響が出る場合も本発明の冬季に相当し、また、秋に同様の状態が発生した場合も本発明の冬季に相当する。春や秋に芝の寒さによる悪影響が想定されるときは、予防的に本発明を適用することができる。したがって、本発明は、寒冷地の冬季間に利用されるものであるが、春秋季間においても、冷気や積雪が予想される時には、予防措置として利用することができる。
3.本発明は、加温シートの下面から伝わる熱によって、植栽面と加温シートの間にある立体網状構造体内の空間が温められ、通気性・透水性シートに覆われた立体網状構造体は暖められた空気を立体網状構造体内の空間に保つので、厳冬季においても立体網状構造体によって形成される空間や地表面の温度が、植物に凍害などが発生するほど下がることはない。
立体網状構造体、通気性・透水性シートとも透水性を有しており、雪解け水が滞留することなく植栽土壌へ浸透するため、立体網状構造体内の空間が過湿になって、植物が蒸れてしまうこともない。
立体網状構造体自体の温度が上がっても、立体網状構造体の繊維のみが植物に触れているため、植物に高温障害が発生することもない。
4.冬季に運動施設の芝生表面が凍結してしまうと、芝の根が切れてしまうので土壌を凍結しない温度に保持することが必要である。本発明では、芝生面の温度を5℃~0℃程度に管理することにより、芝が健康でサッカーなどの運動に耐えうる状態を保つことができる。加温シートの温度を10℃~5℃程度に制御することにより、芝生面をこの温度にすることができる。
冬季間中、低温などによって芝が痛みやすい部分に植栽保全装置を敷設し、芝の生育を促進することによって、グラウンド全体の芝を均一に仕上げることができる。
5.寒冷地や豪雪地におけるサッカースタジアムにて、冬季間に試合を行う際、除雪する手間、およびコストを削減することが可能となる。試合前に降雪や霜害の発生が予測され試合の開催が危ぶまれる場合、植栽保全装置を掛け外しすることによって、遅延なく試合を開催することができる。
芝生の上に植栽保全装置を設置することで融雪や地温の加温ができるため、新設、既設を問わず、天然芝グラウンドを備えたスタジアムに導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
寒冷地植栽保全装置の概要を示す図。
寒冷地植栽保全装置の断面構成を示す図。
寒冷地植栽保全装置の設置例を示す図。
寒冷地植栽保全装置の設置効果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、立体網状構造体、加温シートを備えた保全シート体と、加温シートの温度を調整する制御盤とを備えた、寒冷地の植栽を保護する寒冷地植栽保全装置である。保全シート体は、植栽面側から上側に向けて、立体網状構造体、植栽用加温シートの順に配置されており、制御盤で加温シートの温度を制御する。立体網状構造体の上面に一体あるいは別体に通気性・透水性シートを設けて、保温機能を高めることが好ましい。
本発明は、植栽面の上にポリエステルなどの人工繊維からなる網状の立体構造体を設置し、その立体網状構造体の表面を透水性があり、且つ保温性を備えた通気性・透水性シートで覆ったのち、その上に加温シートを敷設して、植栽面の上に加温シートが植栽面に直接触れることがなく、適切な温度空間が植栽面に形成されることによって、シート直下の植物が痛んでしまうことを防ぐことができ、芝などの植栽を健全に保つことができる。
通気性・透水性シートで覆われた立体網状構造体の上に設置される加温シートに通電すると、シートの表面が10℃程度になり、降ってくる雪を融かすことができる。また、加温シートの下面から伝わる熱によって、植栽面と加温シートの間にある立体網状構造体内の空間が5℃程度に温められる。このとき、立体網状構造体は通気性・透水性シートに覆われ、温められた空気が立体網状構造体内の空間に保たれるため、厳冬季においても立体網状構造体によって形成される空間や地表面の温度が、雪が積もっていなくても植物に凍害などが発生するほど下がることはない。
導電性繊維などを利用した面発熱体で形成された加温シートも融雪水を通過する必要があるので、通水性を備えている。加温シートの通水性は、全面に通水性を備えるか、部分的に通水性を備えることができる。
立体網状構造体と通気性・透水性シートの大きさに制限はなく、ロール状あるいは折りたたんだものを、広い運動フィールドへ広げることができる。一方、加温シートは、数十センチメートルから1メートル四方程度をユニットとして、連結して広い面積に展開することになる。加温シートのユニット間から放熱するので、加温シートの下面に植栽面を広く覆うことができる通気性・透水性シートを配置して、立体網状構造体で形成される空間の保温性を図る。
また、通気性・透水性シートと立体網状構造体で形成される空間が形成されるので、その上面に配置される加温シートは、隙間を開けて配置しても、空間内の温度を保つことができる。
立体網状構造体、通気性・透水性シートとも透水性に優れ、雪解け水が滞留することなく植栽土壌へ浸透するため、立体網状構造体内の空間が過湿になって、植物が蒸れてしまうこともない。また、立体網状構造体自体の温度が上がっても、繊維のみが植物に触れているため、植物に高温障害が発生することもない。
植栽面の上に加温シートを敷設する際、植栽面と加温シートの間に立体網状構造体を設置し、これを透水性、保温性に優れる通気性・透水性シートで覆うことによって、上から降ってくる雪をシート表面の熱で融かしながら、植物の周囲の空間を植物が枯死しない程度の温湿度に保つことが可能となった。
(【0011】以降は省略されています)

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