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公開番号2024041282
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-27
出願番号2022145999
出願日2022-09-14
発明の名称神経活動計測デバイスとその製造方法及び計測方法
出願人国立大学法人富山大学,国立大学法人豊橋技術科学大学,公立大学法人名古屋市立大学
代理人個人
主分類A61B 5/294 20210101AFI20240319BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】脊髄後角浅層において正確かつ容易に神経活動を計測することができる神経活動計測デバイスとその製造方法及び計測方法を提供する。
【解決手段】フィルム基板12上に形成された導電体のリード部14と、リード部14の端部に、リード部14と交差する方向に結晶成長した半導体による芯20bから成るプローブ20を有する。プローブ20の先端部20aの直径が5μm以下であり、先端部20aに測定電極22aを備え、測定電極22aとリード部14が電気的に接続している。フィルム基板12の表面からプローブ20の先端21までの長さが、計測対象の動物の脊髄Sにプローブ20を穿刺した状態で、脊髄後角浅層P1に先端部20aが位置する長さである。プローブ20の基端部20cが位置した部分のフィルム基板12が、脊髄後角浅層P1にプローブ20を穿刺する際のストッパになる。プローブ20は、VLS成長により形成したシリコン単結晶半導体の芯20bを有し、表面に金属薄膜を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
フィルム基板と、フィルム基板上に形成された導電体のリード部と、このリード部の端部に前記リード部と交差する方向に結晶成長させた半導体によるプローブが形成され、
前記プローブは、その先端部の直径が5μm以下に形成されて前記リード部と電気的に接続され、基端から先端までの長さが、計測対象の動物の脊髄に前記プローブを穿刺した状態で、脊髄後角浅層に前記先端部が位置する長さに形成され、
前記プローブの基端部が位置した前記フィルム基板が、前記脊髄後角浅層に前記プローブを穿刺する際のストッパになることを特徴とする神経活動計測デバイス。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記フィルム基板上に、前記リード部と、シリコン単結晶半導体を芯に有し表面に金属薄膜が形成された前記プローブとが一体的に形成され、前記フィルム基板表面と前記プローブ先端との距離が、前記脊髄後角浅層の深さに設定されている請求項1記載の神経活動計測デバイス。
【請求項3】
フィルム基板と、このフィルム基板に形成された導電体のリード部と、このリード部の端部に前記リード部から突出する方向に結晶成長させた半導体によって形成されるプローブとを備え、前記プローブを計測対象の動物の脊髄に穿刺することにより、前記動物の脊髄後角浅層に前記プローブの先端を到達させて神経活動を計測するデバイスであって、
前記リード部は、基端部がコンタクトパッドに連続され、このコンタクトパッドを除く部分が、前記フィルム基板の表裏を構成する樹脂によって絶縁されて成るものであり、
前記プローブは、先端部の直径が5μm以下に形成され、かつ表面が導電材料によって被覆されるとともに、基端側において前記リード部の先端と電気的に接続されるものであり、
前記プローブの導電材料は、前記先端部を除く全体表面が樹脂被覆されて絶縁されており、
前記フィルム基板表面のうちの前記プローブの基端の周辺には、そのプローブの前記導電材料を被覆する樹脂によって環状のストッパが、前記フィルム基板表面から隆起させた状態で形成されていることを特徴とする神経活動計測デバイス。
【請求項4】
半導体単結晶を結晶成長させて先端部の断面の直径が5μm以下のプローブを形成し、前記プローブの基端に、前記プローブの長手方向と交差する方向にフィルム基板を形成し、このフィルム基板上に導電体のリード部を形成し、前記リード部と前記プローブの前記先端部とを電気的に接続し、結晶成長させる前記半導体の前記プローブの先端から前記フィルム基板までの長さを、計測対象の動物の脊髄後角浅層に前記先端部が位置する長さに形成することを特徴とする神経活動計測デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記半導体単結晶の前記プローブは、VLS成長により形成し、その後前記プローブの長手方向と交差する方向にフィルム基板を形成する請求項4記載の神経活動計測デバイスの製造方法。
【請求項6】
フィルム基板上に形成された導電体のリード部と、このリード部の端部に前記リード部と交差する方向に結晶成長して先端部の直径が5μm以下に形成された半導体の芯を有するプローブとを用いて、
計測対象の動物の脊髄に前記プローブを穿刺し、前記プローブの基端部が位置した前記フィルム基板が前記脊髄の表面に接するまで前記プローブを挿入し、前記脊髄の脊髄後角浅層の神経活動を、前記プローブと前記リード部を介して計測することを特徴とする神経活動計測方法。
【請求項7】
前記フィルム基板上に、シリコン単結晶半導体を芯に有する前記プローブが一体的に設けられ、前記プローブを前記脊髄後角浅層に穿刺し、前記フィルム基板を脊髄に沿って配置して前記脊髄後角浅層の神経活動を外部から計測する請求項6記載の神経活動計測方法。
【請求項8】
前記プローブと前記フィルム基板を前記計測対象の動物の脊髄に沿って埋植し、前記脊髄後角浅層の神経活動を継続的に計測する請求項6又は7記載の神経活動計測方法。
【請求項9】
前記プローブと前記フィルム基板を前記計測対象の動物の前記脊髄に沿って埋植し、前記リード部を経た出力を処理する処理回路と、前記処理回路の出力を送信する無線回路と、前記各回路の電源とを一体に備えた計測装置を、前記計測対象の動物に取り付けて、前記脊髄後角浅層の神経活動を、前記無線回路からの無線信号により継続的に計測する請求項8記載の神経活動計測方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、脊髄後角浅層に穿刺して、神経活動における電位を計測し神経活動記録等を取るための神経活動計測デバイスとその製造方法及び計測方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
痛みは生体防御に必要不可欠な感覚であるが、必要以上の痛みや持続する痛み(慢性疼痛)は患者に苦痛をもたらし生活の質(QOL)の著しい低下を招く。特に慢性疼痛は発症メカニズムが未だ解明されておらず、有効な治療法・治療薬も確立されていないことからその開発が急務となっている。これまでの研究で、慢性疼痛時に脊髄後角浅層の神経伝達が亢進していることが示唆されている。
【0003】
痛みは神経を通し、脊髄を経て脳に伝達されるものであり、痛みの情報が最初に伝達される脊髄での神経活動を計測することにより、痛みを抑制する方法を見出せる可能性がある。そこで、脊髄の神経活動を検知するために、脊髄に電極を穿刺して計測する方法があるが、従来の電極(ガラス電極、タングステン電極など)では脊髄への侵襲性が高いものであった。その他、低侵襲性のプローブ刺入デバイスにより神経活動を計測する手段としては、特許文献1,2に開示されているように、脳の神経活動を低侵襲で計測するプローブ刺入デバイスが提案されている。
【0004】
特許文献1に開示されたプローブ刺入デバイスは、測定対象である被験動物等の内部に挿入し、被験動物の体内にある刺入対象である脳や臓器等にプローブを刺入することにより、脳波をはじめとする電気信号を取得するのに用いられる。このプローブ刺入デバイスは、平板形状を呈する可撓性フィルムと、可撓性フィルムから突出して形成されたプローブと、プローブの全体を被覆する被覆体とを備えている。プローブは、可撓性フィルムに支持され、可撓性フィルムから突出して形成された構造体である。プローブは、可撓性フィルム内に埋設された支持材によって可撓性フィルムに固定され、導体によって被覆されている。
【0005】
特許文献2に開示されたプローブ刺入デバイスは、基材と、基材から突出して形成された低侵襲のプローブとを有し、コネクタとプローブとが略平行に延びているものや、プローブが、コネクタの伸長方向に対して略垂直に伸長するよう形成されたものでもよい。プローブを支持する基材は、例えば、半導体シリコン等とすることができ、シリコンウェハを1mm×1mmのシリコンブロックに切断したものを用いることができる。プローブは、基材に支持され、基材から突出して形成された構造体であり、導体によって被覆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2019-195511号公報
特開2020-96720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1,2に開示されたようなプローブ刺入デバイスを用いた既存の計測技術では、痛みの伝達に重要である脊髄後角(とりわけ脊髄後角浅層)におけるニューロンの機能的変化を正確に記録することが極めて難しく、プローブの穿刺位置を正確に特定して穿刺する熟練の技術が必要であり、その習得に長期間要することが課題となっている。また、穿刺の深さを正確に制御して、微小なプローブを製造することが難しく、上記特許文献1,2に開示されたようなプローブは、構造が複雑で比較的大型のものである。従って、脊髄後角浅層に正確に穿刺して、in vivoで長期間計測可能な小型で扱いやすいデバイスが求められていた。
【0008】
この発明は、上記従来の背景技術に鑑みて成されたもので、脊髄後角浅層において正確かつ容易に神経活動を計測し記録することができる神経活動計測デバイスとその製造方法及び計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、フィルム基板と、フィルム基板上に形成された導電体のリード部と、このリード部の端部に前記リード部と交差する方向に結晶成長した半導体によるプローブが形成され、前記プローブは、その先端部の直径が5μm以下に形成されて前記リード部と電気的に接続され、基端から先端までの長さが、計測対象の動物の脊髄に前記プローブを穿刺した状態で、脊髄後角浅層に前記先端部が位置する長さに形成され、前記プローブの基端部が位置した前記フィルム基板が、前記脊髄後角浅層に前記プローブを穿刺する際のストッパになる神経活動計測デバイスである。
【0010】
前記フィルム基板上に、前記リード部とシリコン単結晶半導体を芯に有する前記プローブとが一体的に形成され、前記フィルム基板表面と前記プローブ先端との距離が、前記脊髄後角浅層の深さに設定されているものである。
(【0011】以降は省略されています)

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