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公開番号2023184057
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-12-28
出願番号2022097967
出願日2022-06-17
発明の名称熱傷治療用の細胞及び熱傷治療方法
出願人国立大学法人富山大学,サクラ精機株式会社
代理人弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
主分類A61K 35/50 20150101AFI20231221BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】重度熱傷の真皮欠損あるいは皮下組織欠損部で肉芽増生を有効に促進する。
【解決手段】
熱傷の治療に用いられ、人を含む動物の胎盤由来細胞であって、治癒を促進する熱傷治療用の細胞。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
熱傷の治療に用いられ、人を含む動物の胎盤由来細胞であって、治癒を促進することを特徴とする熱傷治療用の細胞。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
羊膜間葉系幹細胞を含むことを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
【請求項3】
熱傷の処置において熱傷用の組織再生として用いられ、肉芽形成を促進することを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
【請求項4】
熱傷用の組織再生および抗菌・抗炎症作用を持つ細胞であることを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
【請求項5】
熱傷創傷部に滴下するために溶媒に含まれていることを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
【請求項6】
前記溶媒は高粘性を有することを特徴とする請求項5記載の熱傷治療用の細胞。
【請求項7】
熱傷がII度および/またはIII度の熱傷である請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
【請求項8】
熱傷用被覆材および/または熱傷用再生足場材と共に、または単独で用いることが可能な細胞であることを特徴とする請求項1記載の熱傷治療用の細胞。
【請求項9】
前記熱傷用被覆材および/または前記熱傷用再生足場材は、人を含む動物の胎児を包む生羊膜を乾燥処理して得た乾燥羊膜であって、大気中で保存できるように乾燥されており、かつ水又は緩衝液に浸漬して再水和した際に生羊膜を構成する上皮細胞、基底膜、及び結合組織が保持されている乾燥羊膜であることを特徴とする請求項8記載の熱傷治療用の細胞。
【請求項10】
人を含む動物の胎盤由来細胞を、熱傷創傷部に配置することにより治癒を促進することを特徴とする熱傷治療方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱傷の治療において欠損した真皮組織(皮下組織を含む)周辺を修復する細胞及び熱傷治療方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
熱傷の重症度は、面積および深さで決まる。深さは、表面の色調から深度をI~III度に分類される。II度熱傷は、真皮に達する熱傷、III度熱傷は、皮膚がすべて損傷された状態である。
熱傷深度II度で体表面積30%以上または熱傷深度III度で体表面積10%以上が重症で、救急センターでの集中治療が必要とされる。
救急外科の領域におけるIII度熱傷は、皮膚だけでなくその下の組織や神経・血管が障害を受けるために外科的治療が不可欠である。また、感染などのリスクが高くなることから一般の創傷被覆材は適応外となる。熱傷により障害を受けた部位は可能な限り早急に除去し、移植床としての肉芽の形成をみて皮膚移植を行う。
しかしながら、移植時に不可欠な移植床形成(woundbed preparation:良好な肉芽形成)が十分に行われていないために、移植した皮膚が生着し難く、敗血症などを誘発して病状の悪化・死亡という問題をしばしば引き起こしている。
【0003】
非特許文献1(一般社団法人日本熱傷学会から刊行されている「熱傷診療ガイドライン〔改訂第2 版〕、2015年」)によれば、創傷被覆材の報告はII度熱傷に対するものであり、III度熱傷創に創傷被覆材を用いるという積極的なエビデンスは無い。なお、熱傷に用いられる創傷被覆材は、フォーム材、ファイバー材、コロイド材に大別され、形状や滲出液の吸収度で使い分けている。いずれも良好な肉芽形成を目的とするものである。
【0004】
なお、羊膜は、コラーゲンと弾性線維で構成された強靱な生体膜であり、生羊膜は、外傷や熱傷に対する有用な被覆材料として報告されている(非特許文献2)。
しかし、必要なときにすぐに手に入らないこと、保存や取り扱いが煩雑であったことから実際の臨床では限定的な使用にとどまっていた。これに対して、特定の乾燥処理により製造される乾燥羊膜(ハイパードライヒト乾燥羊膜:以下、HD-AM)が報告されている(特許文献1、非特許文献3)。HD-AMを用いた肉芽形成について報告もある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2007-54015号公報
特開2021-020868号公報
国際公開第2013/077428号
【非特許文献】
【0006】
熱傷診療ガイドライン 改訂第2 版 2015年 一般社団法人日本熱傷学会
Gruss, J. S. & Jirsch, D. W. Human amniotic membrane: A versatile wound dressing. Can. Med. Assoc. J. 118, 1237-1246 (1978).
Okabe, M. et al. Hyperdry human amniotic membrane is useful material for tissue engineering: Physical, morphological properties, and safety as the new biological material. J. Biomed. Mater. Res. - Part A 102, 862-870 (2014).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述してきたように、これまでIII度熱傷に対する治療方法には感染を予防し、良好な肉芽形成を促進する効果を持つものは無く、患者側の生命力、免疫力に頼らざるを得ないのが現状である。
III度熱傷に対する処置には、早期に肉芽を増生させる必要があるものの、効果のあるものがない。
このため、早期に良好な肉芽を形成し、感染をおこすことなく早期に皮膚移植を行ことが、重傷熱傷患者の延命に有効に働く。
【0008】
発明者らは、熱傷深度II度~III度の熱傷モデル動物を作成し、胎盤由来細胞が、熱傷モデル動物の真皮欠損あるいは皮下組織欠損部で肉芽増生を有効に促進できることを組織学的、免疫化学的、分子生物学的に確かめることにより本発明に想到した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる熱傷治療用の細胞によれば、熱傷の治療に用いられ、人を含む動物の胎盤由来細胞であって、治癒を促進することを特徴としている。
この構成を採用することによって、特に重症熱傷患者の真皮欠損部あるいは皮下組織の再生に用いられる細胞として用いる場合、重症熱傷の創傷部位における炎症性サイトカインや増殖因子などの生理活性物質の分泌を促進させ、その炎症性サイトカインにより、外部からの異物による感染を防御するとともに、これらにより、IL-6、IFN-γ、IL-10やCOX2(PGE
2
)の分泌を促すなどの能動的な作用により、重症熱傷における創傷治癒を促進する。また、倫理的問題が少なく、かつ、他家移植による免疫拒絶反応が少ない安全な再生医療が可能である。
【0010】
また、羊膜間葉系幹細胞を含むことを特徴としてもよい。
この構成によれば、高い分化能と増殖能を有し、重症熱傷における創傷治癒を促進する。
(【0011】以降は省略されています)

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