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公開番号2024034893
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-13
出願番号2022139449
出願日2022-09-01
発明の名称インクジェット記録用水系インク
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C09D 11/324 20140101AFI20240306BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】シリコン部材や酸化シリコン部材を使用するインクジェットヘッドの撥水性の低下を抑制しつつ、インクジェット記録における長期吐出信頼性及び吐出回復性にも優れるインクジェット記録用水系インク、及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
【解決手段】[1]カーボンブラックを含有するポリマー粒子、有機溶剤、ケイ酸化合物及び水を含有するインクジェット記録用水系インクであって、該ケイ酸化合物の含有量が、インク中、1質量ppm以上450質量ppm以下である、インクジェット記録用水系インク。
[2]前記[1]のインクジェット記録用水系インクを用いて、シリコン及び酸化シリコンから選ばれる1種以上をノズルプレート部材に用いたインクジェットヘッドから該インクを吐出する、インクジェット記録方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
カーボンブラックを含有するポリマー粒子、有機溶剤、ケイ酸化合物及び水を含有するインクジェット記録用水系インクであって、
該ケイ酸化合物の含有量が、インク中、1質量ppm以上450質量ppm以下である、インクジェット記録用水系インク。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
前記カーボンブラックを含有するポリマー粒子が、カーボンブラックを含有する架橋ポリマー粒子である、請求項1に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項3】
前記カーボンブラックを含有する架橋ポリマー粒子を構成する架橋ポリマーの酸価が90mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、請求項2に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項4】
前記有機溶剤が、多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項5】
顔料を含有しないポリマー粒子を更に含有する、請求項1~4のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項6】
前記カーボンブラックのpHが3.0以上9.5以下であり、かつ、前記カーボンブラックの比表面積が100m

/g以上450m

/g以下である、請求項1~5のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項7】
インク中のケイ酸化合物の含有量と、インク中のカーボンブラックの比表面積及びカーボンブラックの含有量の積との比[(ケイ酸化合物の含有量(質量ppm))/{カーボンブラックの比表面積(m

/g)×カーボンブラックの含有量(質量%)}/100]が、0.1以上30以下である、請求項1~6のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インクを用いて、シリコン及び酸化シリコンから選ばれる1種以上をノズルプレート部材に用いたインクジェットヘッドから該インクを吐出する、インクジェット記録方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用水系インク、及びそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、微細なノズルからインク液滴を直接吐出し、記録媒体に付着させて、文字や画像が記録された記録物を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、記録媒体として普通紙が使用可能、記録媒体に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
商業印刷分野では、従来の普通紙、コピー紙等の高吸水性記録媒体への印刷に加えて、オフセットコート紙等の低吸水性記録媒体への印刷が求められている。
近年ではMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて、シリコン部材や酸化シリコン部材を使用するノズルプレート等を加工することで、吐出精度を飛躍的に高めたインクジェットヘッドが使用されるようになってきている。
【0003】
インクジェットプリンタに用いられるインクには、着色剤として耐光性や耐水性の良好な水系顔料インクが汎用されているが、このような水系顔料インクをシリコン部材や酸化シリコン部材を使用するインクジェットヘッドに充填し、長時間使用又は放置すると、インクに接しているシリコン等が溶出し、ノズルプレート等の部材の劣化によりインクジェットヘッドの撥水性が低下して、プリンタの吐出精度が低下し、画像品質の低下を招く場合があった。
上記の問題を改善するため種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、形成される画像の定着性、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性を低下させることなく、ノズルやペン先からの吐出安定性や耐目詰まり性を向上させた水性インクの提供を目的として、色材と樹脂と水ガラスと有機溶媒とを含む水性インクにおいて、前記色材が、表面にアニオン性の親水性基を持つ自己分散性カーボンブラックである水性インクが記載されている。
また、特許文献2には、インクの吐出信頼性が良好で、インクジェットヘッドの撥水性の低下を抑制しうるインク組成物の提供を目的として、水と、色材と、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、全質量に対し0.0001質量%以上、0.5質量%以下の水可溶性のケイ酸塩とを含有するインク組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2003-342501号公報
特開2011-63725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1の水性インクは、印刷が停止した際のノズル乾燥に伴う吐出回復性の点で不十分であった。また、インクの経時劣化により吐出性の悪化が起こることから、長期吐出信頼性の点で不十分であった。
また、引用文献2のインク組成物は、カーボンブラックを用いる黒インクにおいては、インクジェットヘッドの撥水性の低下の抑制が十分でなく、長期吐出信頼性の点で不十分であった。
本発明は、シリコン部材や酸化シリコン部材を使用するインクジェットヘッドの撥水性の低下を抑制しつつ、インクジェット記録における長期吐出信頼性及び吐出回復性にも優れるインクジェット記録用水系インク、及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、カーボンブラックを含有するポリマー粒子、有機溶剤、ケイ酸化合物を含有するインクジェット記録用水系インクにおいて、特定の含有量のケイ酸化合物を含有させることにより、シリコン部材や酸化シリコン部材を使用するインクジェットヘッドに対する撥水性に優れることに起因して、上記の課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1]カーボンブラックを含有するポリマー粒子、有機溶剤、ケイ酸化合物及び水を含有するインクジェット記録用水系インクであって、該ケイ酸化合物の含有量が、インク中、1質量ppm以上450質量ppm以下である、インクジェット記録用水系インク。
[2]前記[1]のインクジェット記録用水系インクを用いて、シリコン及び酸化シリコンから選ばれる1種以上をノズルプレート部材に用いたインクジェットヘッドから該インクを吐出する、インクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シリコン部材や酸化シリコン部材を使用するインクジェットヘッドの撥水性の低下を抑制しつつ、インクジェット記録における長期吐出信頼性及び吐出回復性にも優れるインクジェット記録用水系インク、及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[インクジェット記録用水系インク]
本発明のインクジェット記録用水系インク(以下、「本発明インク」ともいう)は、カーボンブラックを含有するポリマー粒子、有機溶剤、ケイ酸化合物及び水を含有するインクジェット記録用水系インクであって、該ケイ酸化合物の含有量が、インク中、1質量ppm以上450質量ppm以下であることを特徴とする。
【0009】
なお、本明細書において「水系」とは、カーボンブラックを分散させる媒体中で、水が質量比で最大割合を占めていることを意味する。
また、「記録」とは、文字や画像を記録する印刷、印字を含む概念であり、「記録物」とは、文字や画像が記録された印刷物、印字物を含む概念である。
【0010】
本発明インクは、シリコン部材や酸化シリコン部材を使用するインクジェットヘッドの撥水性の低下を抑制しつつ、インクジェット記録における長期吐出信頼性及び吐出回復性にも優れる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
シリコン部材や酸化シリコン部材を使用するノズルプレート等をMEMS技術により加工したインクジェットヘッドにおいては、通常、シリコン等からのケイ酸イオンの溶出があるが、本発明インクは、ケイ酸ナトリウムやコロイダルシリカ等のケイ酸化合物を含有するため、シリコンや酸化シリコンからのケイ酸イオンの溶出を抑制し、長期にインクと接触した場合も、ノズルプレートの腐食に伴うインクジェットヘッドの撥水性の低下を抑制できると考えられる。
一方で、着色剤にカーボンブラックを用いた一般的なインクジェット記録用インクでは、カーボンブラックの物質の捕捉力が強いため、インク中にケイ酸化合物を含有させても、長期間の間にインク中のケイ酸化合物の含有量のバランスが崩れてしまうため、上記のインクジェットヘッドの撥水性低下を抑制する効果を発現できず、インクジェットインクの長期吐出信頼性や吐出回復性を発現できなかった。
本発明インクは、カーボンブラックを含有するポリマー粒子を用いることで、カーボンブラックがポリマーに少なくとも部分的に被覆されていることで、カーボンブラックがケイ酸化合物等の捕捉する能力を適切な範囲にできるため、インク中のケイ酸化合物の含有量のバランスを適切に保つことができると考えられる。そのため、上記のインクジェットヘッドの撥水性低下を抑制する効果を発現でき、本発明インクは長期吐出信頼性及び吐出回復性を向上できると考えられる。また、カーボンブラックを含有するポリマー粒子を用いることで、カーボンブラックをインク中で安定して分散させることができるため、カーボンブラックの凝集による粗大粒子の発生を制御し、インクジェット記録における長期吐出信頼性及び吐出回復性の更なる向上に寄与していると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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