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公開番号2024033524
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-13
出願番号2022137147
出願日2022-08-30
発明の名称クロムめっき層の製造方法及びめっき装置
出願人神谷理研株式会社,国立大学法人静岡大学
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類C25D 17/12 20060101AFI20240306BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】鉛又は鉛合金電極を使用せず、鉛又は鉛合金と同程度の酸化効率を有するアノード電極を用いたクロムめっき層の製造方法及びクロムめっきに用いる、鉛又は鉛合金電極を使用しないめっき装置を提供する。
【解決手段】六価クロムイオン及び硫酸を含む電解液が貯留されためっき槽と、電解液に少なくとも一部が接触する導電性ダイヤモンドを含むアノード及び被めっき物であるカソードと、アノード及びカソードを連結する外部電源と、を備えためっき装置を用い、導電性ダイヤモンドを含むアノードを用いて電解液に電圧を印加し、電解液中に含まれる六価クロムイオンを電解によって還元し、カソード上にクロムめっき層を形成する工程を含む、クロムめっき層の製造方法及びめっき装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
六価クロムイオン及び硫酸を含む電解液が貯留されためっき槽と、
前記電解液に少なくとも一部が接触する導電性ダイヤモンドを含むアノードと、
被めっき物であるカソードと、
前記アノード及び前記カソードを連結する外部電源と、
を備えためっき装置を用い、
前記外部電源により電解液に電圧を印加し、電解液中に含まれる六価クロムイオンを電解によって還元し、前記カソード上にクロムめっき層を形成する工程を含む、クロムめっき層の製造方法。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
前記アノードにおける導電性ダイヤモンドは、1.0atom%~2.0atom%のホウ素をドープした導電性ダイヤモンドである、請求項1に記載のクロムめっき層の製造方法。
【請求項3】
前記電解液に含まれる六価クロムイオンが、三酸化クロムをイオン原料とするクロム酸イオン、二クロム酸イオン、及び三クロム酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は請求項2に記載のクロムめっき層の製造方法。
【請求項4】
前記電解液における三酸化クロムの含有量が200g/L~300g/Lであり、前記電解液における硫酸の含有量が2.0g/L~3.0g/Lである、請求項3に記載のクロムめっき層の製造方法。
【請求項5】
めっき槽、前記めっき槽中に貯留された電解液、前記電解液に少なくとも一部が接触する導電性ダイヤモンドを含むアノード、及び、被めっき物であるカソードを備える、めっき装置。
【請求項6】
前記アノードに電圧を印加するための外部電源、電解液の温度を調整する装置、及び、電解液をろ過するフィルターをさらに備える、請求項5に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記アノードにおける導電性ダイヤモンドは、1.0atom%~2.0atom%のホウ素をドープした導電性ダイヤモンドである請求項5に記載のめっき装置。
【請求項8】
前記電解液が、三酸化クロムをイオン原料とするクロム酸イオン、二クロム酸イオン、及び三クロム酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種の六価クロムイオンを含む、請求項5に記載のめっき装置。
【請求項9】
前記電解液における三酸化クロムの含有量が200g/L~300g/Lであり、前記電解液における硫酸の含有量が2.0g/L~3.0g/Lである、請求項5に記載のめっき装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、クロムめっき層の製造方法及びめっき装置に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
クロムめっきは、耐摩耗性、耐食性及び外観に優れた金属皮膜を工業製品の表面に電析させる方法として利用されてきた。クロムめっき工程においては、カソード上で六価クロムイオンが還元され、三価クロムイオンを経て金属クロムが電析する。しかし、一部の三価クロムイオンは金属クロムに還元されずにカソード上から電解液中へ離脱し、電解液中の三価クロムイオンの濃度が上昇する。そして三価クロムイオンの濃度の上昇はクロムめっきの被覆力低下の原因となる。
そのため、電解液中の三価クロムイオンをアノード酸化によって六価クロムイオンに戻し、三価クロムイオンの濃度の上昇を抑制することが必要である。三価クロムイオンから六価クロムイオンへの酸化還元電位は、水の酸素発生電位よりも高いため、三価クロムイオンのアノード酸化には酸素過電圧の高いアノードが必要である。従来、アノード酸化の効率向上を目的として、アノード電極には、酸素過電圧の高い鉛電極あるいは鉛合金電極が使用されてきた。
【0003】
しかし、鉛は、鉛合金中に含まれる鉛も含めて、電解液に含まれるクロム酸イオンと反応してアノード電極が経時劣化する問題、前記反応により不溶性のクロム酸鉛を生成して、めっき槽の底部に堆積する等の問題があった。
例えば、鉛又は鉛合金を用いたアノード電極の経時劣化を抑制する方法として、クロム源、特定構造のアルキルスルホン酸、ビスマス、砒素又はアンチモニ-イオン源を添加した電解液を用いることで、鉛又は鉛合金電極の重量減を抑制する技術が開示されている(特許文献1参照)。
また、電圧を低く抑えたまま最大電流密度を増大させること、陽極電流密度を均一化すること、陽極の湾曲を抑制することを課題として、中空円筒形状の鉛合金を用意し、銅芯を鉛合金の中空部に挿入して圧接させたアノード構造のクロムめっき用陽極が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
米国特許第4786378号明細書
特開2001-158999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2は、いずれも、鉛又は鉛合金をアノード電極に用いることが前提の技術を開示しており、例えば、特許文献1では、鉛を用いた電極の経時劣化は抑制されるが、劣化そのものを抑止できるわけではなく、めっき槽の底に堆積するクロム酸鉛の除去が必要である点は改善されておらず、また、除去されたクロム酸鉛は鉛含有廃棄物となるため、その処理に高額な費用が発生する。さらに、クロム酸鉛を除去する過程で作業者が鉛と接触する可能性があり、作業環境上の観点からも改良が望まれている。
鉛を用いず、環境負荷の低い白金をアノード電極として用いることも検討されてはいるが、酸化効率が低いために、鉛の代替品として用いることは困難であった。
【0006】
本発明の一態様は、鉛又は鉛合金電極を使用せず、鉛又は鉛合金と同程度の酸化効率を有するアノード電極を用いたクロムめっき層の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の別の態様は、金属クロムめっきに用いる、鉛又は鉛合金電極を使用しないめっき装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段は、以下の実施形態を包含する。
【0008】
[1]
六価クロムイオン及び硫酸を含む電解液が貯留されためっき槽と、前記電解液に少なくとも一部が接触する導電性ダイヤモンドを含むアノードと、被めっき物であるカソードと、前記アノード及び前記カソードを連結する外部電源と、を備えためっき装置を用い、前記外部電源により電解液に電圧を印加し、電解液中に含まれる六価クロムイオンを電解によって還元し、前記カソード上にクロムめっき層を形成する工程を含む、クロムめっき層の製造方法。
[2]
前記アノードにおける導電性ダイヤモンドは、1.0atom%~2.0atom%のホウ素をドープした導電性ダイヤモンドである、[1]に記載のクロムめっき層の製造方法。
[3]
前記電解液に含まれる六価クロムイオンが、三酸化クロムをイオン原料とするクロム酸イオン、二クロム酸イオン、及び三クロム酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]又は[2]に記載のクロムめっき層の製造方法。
[4]
前記電解液における三酸化クロムの含有量が200g/L~300g/Lであり、前記電解液における硫酸の含有量が2.0g/L~3.0g/Lである、[3]に記載のクロムめっき層の製造方法。
[5]
めっき槽、前記めっき槽中に貯留された電解液、前記電解液に少なくとも一部が接触する導電性ダイヤモンドを含むアノード、及び、被めっき物であるカソードを備える、めっき装置。
[6]
前記アノードに電圧を印加するための外部電源、電解液の温度を調整する装置、及び、電解液をろ過するフィルターをさらに備える、[5]に記載のめっき装置。
[7]
前記アノードにおける導電性ダイヤモンドは、1.0atom%~2.0atom%のホウ素をドープした導電性ダイヤモンドである、[5]又は[6]に記載のめっき装置。
[8]
前記電解液が、三酸化クロムをイオン原料とするクロム酸イオン、二クロム酸イオン、及び三クロム酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種の六価クロムを含む、[5]~[7]のいずれか1つに記載のめっき装置。
[9]
前記電解液における三酸化クロムの含有量が200g/L~300g/Lであり、前記電解液における硫酸の含有量が2.0g/L~3.0g/Lである[5]~[8]のいずれか1つに記載のめっき装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、鉛又は鉛合金電極を使用せず、鉛又は鉛合金と同程度の酸化効率を有するアノード電極を用いたクロムめっき層の製造方法が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、金属クロムめっきに用いる、鉛又は鉛合金電極を使用しないめっき装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示のめっき装置の一例を示す概略図である。
めっき装置におけるアノードの種類を変えて電解液中で電解を行った場合の電解液中の三価クロムイオンの濃度変化を示すグラフである。
イオン交換膜を用いてアノード電解液とカソード電解液を分離した状態で、各種アノードを用いて電解液中で電解を行った場合のアノード電解液中の三価クロムイオンの濃度変化を示すグラフである。
図4(A)は、アノードとして導電性ダイヤモンド電極を用いた実施例1に適用しためっき装置を用いた場合に、カソード上に電析されたクロムめっき層表面を撮影したデジタルマイクロスコープ画像を示し、図4(B)は、アノードとして鉛合金電極を用いた対照例1に適用しためっき装置を用いた場合に、カソード上に電析されたクロムめっき層表面を撮影したデジタルマイクロスコープ画像を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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